XDCAM
映像制作機材 "XDCAM"

株式会社 フジテレビジョン 様

放送局

2014年1月掲載

XDCAM Stationを有効に活用した効率的な収録システムを構築し、情報番組制作のファイルベース運用を開始。

株式会社 フジテレビジョン 様


ファイルベースの収録システム(写真・右) を導入し、運用を開始した情報NV室。

株式会社 フジテレビジョン様は、FNN 系列朝の人気番組「とくダネ!」など情報番組の制作を行う情報NV室に、XDCAM HD422ファイルフォーマットを採用した新収録システムを導入され、2013年9月より運用を開始しました。

同社 技術開発局次長 兼 計画部長 佐藤光雄様、技術局 制作技術センター 映像部 映像部長 戸田英男様、映像部 南雲幸平様に、システムの概要や採用の決め手、現在の稼働状況と成果を伺いました。

なお、記事は2013年9月下旬に取材した内容を、編集部でまとめたものです。

報道制作システム事例(2008年導入)はこちら

XDCAM Stationを連結して仮想的なサーバーシステムを構築


10台のXDCAM Station XDS-PD2000を連結する形で構築された自動回線収録システム。

情報NV室は、かつてはHDCAMデッキ10台を使用した回線収録システムの設備でしたが、ファイルベース化により収録から編集、送出、そしてアーカイブまで一貫したワークフロー構築のプロジェクトをスタートすることになりました。その間に、大きなイベントがあり、情報番組でもその素材を多用する必要があったため、10台のXDCAM HD422レコーダーPDW-HD1500を導入しました。そして今回、さらに運用の効率化を目指すプロジェクトの第1弾となる収録システムが完成し、運用を開始しました。

今回の新収録システムのキープロダクツとなったのが、高速アクセス・マルチタスクオペレーションを可能にするSSDを内蔵したXDCAMメディアステーションXDS-PD2000でした。XDCAM Stationを連結することで仮想的なサーバーシステムを構築できるだけでなく、内蔵SSDとディスクのハイブリッド運用ができる点も大きな魅力でした。

まず、10台のXDS-PD2000による自動回線収録システムを構築しました。これにより、約160時間(HD) の収録が可能となりました。もともと大規模な収録容量は運用上不可欠ではないと考えていましたので、約半月分の収録が可能になった点で評価しています。また、運用はこれからですが、外部で取材した素材のインポート用として4台のXDS-PD2000を導入しました。これもシステムに連結してありますので、約64 時間の容量を確保しています。

さらに、今回の収録システムのポイントの一つにもなっているのですが、報道NV室からの素材転送用に2台のXDS-PD2000を配備しました。これにより、情報番組で報道の素材を使用する場合、効率的に素材を転送することができます。

XDCAM HD422フォーマットの信頼性と実績を評価


報道NV室からの素材転送にもXDS-PD2000を活用。

ファイルフォーマットにXDCAM HD422(50Mbps)を採用したのは、クオリティーや機能と実績を評価した結果です。当社の報道制作を担当するNV室や、スポーツ番組を担当するスポーツNV室でも採用されており、連携を考えた時にメリットが大きいことも背景にあります。また、ソニーなら1社で収録から編集、送出、アーカイブに至るトータルソリューションを提供してくれる安心感や、コストメリットも判断材料の一つになりました。

また、プロキシAVデータの自動生成やメタデータの活用といった機能的な面や、充実したXDCAM HD422ラインアップ、サポート体制などを総合的に判断した結果でした。こうしたメリットが端的に現れたのが、報道NV 室からの素材転送で、単に効率的に必要な素材を転送できるだけでなく、メタデータによって内容や許可範囲などを確実に情報NV側で把握できるようになっており、円滑な運用が可能になっています。

ファイルベース化による効率的なワークフローに大きな期待


プロキシAVデータを活用した事前プレビューも好評。情報デスクなどにプレビュー端末を配置。

稼働して間もない段階ですが、新しい収録システムは安定した状態で運用できています。内蔵SSDとプロフェッショナルディスクに同時収録していますので、ディスクをバッアップ用途や、アーカイブ用とすることができるなど、安心して運用できています。また、万一、1台のXDS-PD2000にトラブルなどが発生しても、代替えでスピーディーに対応できるなど、非常に信頼性の高い収録システムを構築できたと思っています。

低解像度のプロキシAV データを活用した事前プレビューも大変好評です。情報NV室は2階にあり、情報番組の制作デスクは14階にあり、これまではプレビュー用として14階にもHDCAMデッキを配備していたのですが、ネットワーク経由によりPC端末で気軽にすべての素材のプレビュー確認ができるようになっています。現在、10台の端末を必要箇所に配備していますが、必要に応じて端末数は増やすことができます。番組制作に集中できる環境づくりに貢献しているのではないかと思います。

また、今回の収録システムは、編集ブースとも接続しており、収録システム内の共有素材にアクセスすることで編集作業の効率化や、スタッフのストレス軽減に寄与してくれることを期待しています。

2014年4月に送出システムを運用、アーカイブシステムの構築も


素材のインポート等を行うコントロール卓。10台のXDCAM HD422レコーダーPDW-HD1500も活用。

初めにも申し上げましたが、今回の情報NV室の設備更新は、プロジェクトの第1弾です。2014年2月から、やはりソニーと共同で送出システムを構築する予定で、4月からの運用を目指しています。この送出システムが完成すれば、スタジオからのリモートコントロールで必要な素材の送出が可能になります。情報番組制作のより効率的なワークフローを整えることができます。

また、送出システムと並行してアーカイブシステムも検討していく予定です。メディアの選定など、システム設計は今後開始することになりますが、メタデータなどを有効に活用した利便性の高いアーカイブ環境を実現し、効率的な検索や二次利用などを促進していけるものにしたいと考えています。

これにより、情報NV 室における収録・編集・送出・アーカイブのトータルワークフローを完成することができ、また報道NV室、スポーツNV室との連携も強化されます。それぞれの素材を共有し、一段と魅力的な報道番組、情報番組、スポーツ番組を視聴者に提供できるのではないかと思いますし、また大いに期待しています。

ソニーにも、今回の収録システムにおける報道NV 室との連携等で発揮していただいたインテグレーション能力やノウハウを、新しい送出システムの構築や、アーカイブシステムについての提案などでも、いかんなく発揮していただきたいと思っています。

株式会社 フジテレビジョン 技術開発局次長 兼 計画部長 佐藤光雄様

株式会社 フジテレビジョン
技術開発局次長 兼 計画部長
佐藤光雄様

今回の情報NV室のシステム更新は、情報番組制作のワークフローの効率化と、従来のテープ運用コストの削減が最大の目的です。高速アクセスとマルチタスクオペレーションを実現するSSD内蔵のXDS-PD2000を有効に活用することで、コストパフォーマンスに優れた素材収録システムを構築することができたと思っています。

株式会社 フジテレビジョン 技術局 制作技術センター 映像部 映像部長 戸田英男様

株式会社 フジテレビジョン
技術局 制作技術センター 映像部 映像部長
戸田英男様

2010年から運用を開始している報道番組を担当するNV室、あるいはスポーツ番組を制作するSNV室でもファイルフォーマットにXDCAM HD422(50Mbps)を採用しています。そうした実績や評価も、今回の導入の決め手の一つになっています。素材の共有化など連携する部分も少なくないので、同じフォーマット、システムだと安定性・信頼性も高くなります。

株式会社 フジテレビジョン 映像部 南雲幸平様

株式会社 フジテレビジョン
映像部
南雲幸平様

情報NV室の新しい収録システムは、回線系の自動収録、外部での取材素材のインポート、プロキシAVデータやメタデータを使ったプレビュー、素材管理などに有効に活用できています。しかし、本当の意味での効率的なトータルワークフローを構築できるのは2014年4月に運用される送出システム、さらにアーカイブシステムとの連携が完成されてからになります。