XDCAM
映像制作機材 "XDCAM"

秋田テレビ株式会社 様

放送局

2021年3月掲載

Media Backbone報道ソリューションでシンプルでコンパクトなファイルベース化を実現

秋田テレビ株式会社 様
秋田テレビ株式会社様は報道制作におけるMedia Backbone報道ソリューションを核とした、OTC送出システムからオプティカルディスク・アーカイブ(ODA)によるアーカイブまでのトータルソリューションを導入され、2020年4月から運用を開始されました。
  • 放送技術局 制作技術部 部長 加納 周平様
    放送技術局
    制作技術部 部長
    加納 周平様
  • 放送技術局 制作技術部 課長 佐々木 和紘様
    放送技術局
    制作技術部 課長
    佐々木 和紘様

“Media Backbone”でコンパクトに

今回更新を行った報道スタジオでは、平日と土日のお昼と夕方のニュース番組を放送しています。前回の更新から14年経ての今回の更新にあたっては、大きく3つのコンセプトを立てました。「ファイルベース化」「アーカイブの導入」「バーチャルスタジオの導入」です。

ファイルベース化自体は、カムコーダーや編集機など断片的に導入していました。今回はそのファイルベース化を全体に広げつつ、システム自体はシンプルに、大規模化せず、コンパクトにまとめることを目標に据えました。当社では、サブや編集システムなど、それぞれの設備で個別の更新時期を設定しています。各ワークフローが密になりすぎるとインターフェースが縛られ、今回の導入費用だけでなく更新時の開発費も膨らむことを懸念してのことです。

今回の更新では、報道用OTCを手掛けている各社にご提案をお願いしましたが、我々の要望に一番沿ったコンパクトでシンプルな提案をしてくれたのがソニーでした。今回のソニーの “Media Backbone報道ソリューション”によるOTCシステム導入以前も、ソニーのIBO2とSonapsによるシステムでしたので、その時からの関わりもあって、ソニーが一番当社のワークフローを理解してくれていたと思います。

画質がよくコスパに優れたHDC-3100

スタジオのカメラとしてはHDポータブルカメラHDC-3100を2台とマルチパーパスカメラHDC-P50を2台導入しました。HDC-P50はリモコン雲台で使用します。カメラの選定にあたっては、さまざまな機種をデモ機としてお持ちいただき、画質比較を行いました。更新前は、1/2インチCCDのHDコンパクトカメラHDC-X300を使用していましたので、更新検討当初は、もっとリーズナブルな製品の導入も考えていました。しかし比較をしてみると、画質の差が歴然とあったことや報道サイドからの強い要望もあってHDC-3100とHDC-P50に決めました。そのなかでも、HDC-3100はコストパフォーマンスがとても高く、我々の用途にはうってつけのモデルだったと思います。


HDC-3100はバーチャル用センサーを搭載して運用


HDC-P50とリモコン雲台の採用で省力化

XDCAM Stationでの送出に安心感


信頼性の高いXDS送出を採用

更新前のシステムでは、編集済みのサブ出しの「白素材」などを、いったんXDSにファイル転送し、それを再生してベースバンドでSonapsに登録する形でしたが、今回の更新によりファイルベースでダイレクトに送出に紐づけられるようになりました。送出はXDCAM Station XDS-PD1000/Aを使用しています。この点もソニーを選定した理由です。一般的に送出サーバーはマルチポートのものが多く、障害時の波及が大きいことが懸念されます。XDSは1ポートごとに1台であることによる冗長性があるうえ、いままで使い慣れているVTRと同様の扱いのため、トラブルなどが起きても他のフロアのXDCAM Stationと自分たちで入れ替えを行うことが簡単にできます。

総合的に見てアーカイブを“ODA”に

アーカイブは当社にとって長年の課題でした。当初は長年のビデオテープに対する信頼性からLTOの導入を考えていました。しかし、LTOは2世代ごとにマイグレーションの作業が必要となる煩わしさがあります。そして、LTOはテープではあるもののビデオテープとは異なり、一部がダメージを受けると全体が読めなくなるリスクがありました。

一方でソニーの「オプティカルディスク・アーカイブ」(ODA)はマイグレーションが不要であるだけでなく、保存性が高いと言われる光ディスクです。さらに1カートリッジに10枚のディスクが入っていて、一部にダメージを受けてもサルベージに望みが残りそうな面を感じ、最終的にODAを選びました。運用については、これまで運用してきたニシコン社製報道支援システム(JAPRS)のライブラリ管理システムとMedia Backbone Ensembleアーカイブシステムを連携させることができました。日々のニュースOA素材はJAPRSでアーカイブ指示を立て、アーカイブ側でカートリッジを挿入するだけで完了します。リトリーブも作業完了すれば即編集機でファイルにアクセスできるようネットワークを構築しました。


16面タッチパネルで直感的な操作を実現


XVS-6000、XDS-PD1000などが搭載されたラック室

支局からのネットワーク転送も実現

今年の2月から施工をはじめ、4月から運用を開始し、すでに半年が経過しました。カットオーバー当日は混乱もなくスムーズに移行でき、運用に戸惑いもありませんでした。ファイルベース転送にも難しさはなく、簡単な説明を1回した程度で皆が使ってくれています。これまでもソニーのシステムでしたので、移行はしやすかったと思います。当社では結果的に制作サブも中継車もソニーを導入していることで、使い勝手の統一や機器のバックアップ、予備部品の共通化なども図れています。

我々の手作りで段階的に拡張していた社内のネットワーク環境についても今回の更新で綺麗に再整備されるとともに、2つの支局「県北総局」と「県南総局」からのネットワークを介した素材転送も可能となりました。

今回の更新では、計画段階から「こういうのは難しいですかねぇ?」などと相談したときに「せっかく入れるんだから、後悔しないものに作り上げましょう」とか「せっかくやるからにはここまでやりましょう」といった言葉をかけていただき、そういう気持ちがとても嬉しく感じました。導入の成果が見えるのはまだ先のことだと思いますが、今回ソニーを選んだことは間違っていなかったと思います。


今回はリモートで取材に応じていただきました

主な導入機器

Media Backbone報道ソリューション
マルチフォーマットプロダクションスイッチャー「XVS-6000」
XDCAM Station「XDS-PD1000/A」
HDポータブルカメラ「HDC-3100」
マルチパーパスカメラ「HDC-P50」
オプティカルディスク・アーカイブドライブユニット「ODS-D380U」