マクロレンズ

小さな被写体を大きく写せるレンズがマクロレンズです。植物についた水滴や、機械式時計のムーブメントなど、繊細で緻密な被写体をマクロレンズをとおして見ると、肉眼で見るのとは違った世界が見えてきてとても魅力的です。

明るい単焦点レンズなので、マクロ撮影に限らずぼけを活かした表現や、人物、街角のスナップなど幅広いシーンで活躍します。

どのくらい大きく写せるか

■最大撮影倍率

被写体をどのくらい大きく写せるかについては、レンズ仕様の「最大撮影倍率」で確認できます。
最大撮影倍率は、最短撮影距離で被写体が一番大きく写るときの撮影倍率で、[イメージセンサー上に投影される被写体の大きさ/被写体の実際の大きさ]を比率で表したものです。マクロレンズは最大撮影倍率が大きくなるように設計されています。

例えば最大撮影倍率0.25倍のレンズでは、実物の4分の1の大きさに写ります。ソニーのマクロレンズは最大撮影倍率1倍の等倍マクロです。

最大撮影倍率とイメージセンサー上に投影される像の大きさのイメージ

  • 0.25倍=1/4 ⇒ 1cmのものが0.25cmでイメージセンサー上に投影される

    1cmのものが0.25cmでイメージセンサー上に投影されたイメージ
  • 等倍=1/1 ⇒ 1cmのものが1cmでイメージセンサー上に投影される

    1cmのものが1cmでイメージセンサー上に投影されたイメージ

撮りたい被写体に合ったレンズ選び

■ワーキングディスタンスと最短撮影距離

撮りたい被写体やシーンによって、最適なレンズが変わってきます。レンズの最短撮影距離とワーキングディスタンスを確認しましょう。

花からカメラのレンズの先端までをA、花からカメラのイメージセンサー面までをBとしたイメージ

【A】ワーキングディスタンス:被写体からレンズの先端までの距離

【B】最短撮影距離:被写体からイメージセンサー面までの距離

カメラ上部左側にイメージセンサーの位置を表す丸に横線が入った場所を表している図

例えば、SEL30M35の最短撮影距離は9.5cm、ワーキングディスタンスは約2cmです。かなり被写体に近づいて撮影できるので、椅子に座ったままテーブルに置いた料理や小物などを撮影することが容易です。

SEL90M28Gの最短撮影距離は28cm、ワーキングディスタンスは約13cmなので、近づくと逃げてしまう動物や昆虫などを少し離れた距離から大きく撮影することができます。

ワーキングディスタンスが短い ⇒ 被写体に近づいて撮影できる

椅子に座ってテーブルのドーナツを近づいて撮影しているイメージ

ワーキングディスタンスが長い ⇒ 離れた距離から撮影できる

外でタンポポの花についている昆虫を少し離れたところから撮影しているイメージ
ワンポイントアドバイス
ワンポイントアドバイス
  • 水滴などの反射する被写体に接近すると、自分自身やカメラが写り込んでしまうことがあります。角度を変えるなど工夫してみましょう。
  • 被写体に近づきすぎて被写体や周りのものに、レンズが触れないように注意しましょう。ファインダーでの撮影時は、ファインダーを覗いていない方の目も開けて距離感を確認しましょう。

マクロ撮影のピント合わせ

マクロ撮影では緻密なピント合わせが必要です

前後左右にポイントが散らばっている被写体では、前後をぼかすために絞りを大きく開いて被写界深度(ピントの合う範囲)を浅くすると、オートフォーカス(AF)では思ったところにピントが合うとは限りません。

オートフォーカス(AF)で意図したところにピントが合わないときは、ダイレクトマニュアルフォーカス(DMF)で微調整するかマニュアルフォーカス(MF)でピント合わせしましょう。
DMFは、AFでピントを合わせたあと、フォーカスリングで微調整できるので、素早く意図したポイントへのピント合わせが可能です。

■ピント合わせに役立つ機能

DMFとMFでは以下のピント補助機能が利用でき、確実なピント合わせに有効です。

  • ピント拡大:撮影前の画像を拡大してピントの確認ができます。
  • MFアシスト:画像を自動で拡大表示してピントを合わせやすくします。
  • ピーキング:ピントが合った部分の輪郭を、指定した色で強調します。

SEL90M28GのAF/MF切り替え

SEL90M28Gは、フォーカスリングがAFとMFの切り換えスイッチにもなっていて、前後に動かすだけでAF/MFを素早く切り換えられます。DMFを使う場合はAFのほうにします。

レンズをカメラ側に動かすとMF。レンズを外側に動かすとAFに切り替えるイメージ
ワンポイントアドバイス
ワンポイントアドバイス

細密な被写体は、カメラの液晶画面ではブレていないようにみえても拡大すると細かくブレていることがあるので、撮影後に拡大表示してブレていないか確認することをおすすめします。

おすすめの撮影シーン

メインの花にぐっと寄りつつも、ぼけのある背景でふんわりとした雰囲気に。

 撮影テクニックはこちら

小さなもの

目では捉えられない小さなものも改めて注目してみると、今まで見たことの無い世界が広がります。

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雨の日のアジサイ

花びら1枚1枚やその上の雨のしずく、その繊細さにクローズアップした写真を。

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おすすめのマクロレンズ

中望遠マクロレンズと比べてより広い範囲の背景を入れたフレーミングを楽しめる35mmフルサイズ対応の標準マクロレンズです。本格的なマクロ撮影による作品づくりから、テーブルフォト、スナップ、風景、ポートレートの撮影まで幅広いシーンで活躍します。

光学式手ブレ補正機能の搭載により、手持ちで高精度な等倍撮影ができるEマウントレンズ初の中望遠マクロレンズです。球面収差などの諸収差をバランスよく補正し、Gレンズならではの柔らかく美しいぼけ味を実現しています。
少し離れた地点から被写体を大きく撮影できるので、近づくと逃げてしまう動物や昆虫、高い位置にある桜や紅葉のアップを撮影するのにもおすすめです。

約138gと軽く、手軽に持ち歩けるEマウント専用の等倍マクロレンズ。最短撮影距離約9.5cmまで被写体に近づけるので、花や小物などの近接撮影はもちろん、テーブルにある料理も座ったままで撮影できておすすめです。

以下はAマウントレンズです。Eマウントのボディで使うにはマウントアダプターが必要です。
AマウントとEマウントについて

花や昆虫などのクローズアップ撮影に適したAマウントの望遠マクロレンズです。ワーキングディスタンスが長くとれるので、近づきにくい被写体でも画面構成しやすいのが特長です。ダブルフローティング方式による高画質と、9枚羽根円形絞りのやわらかなボケ味も魅力です。