旅先や眺めの良い場所からの夜景は、ぜひ写真に残しておきたいシーンですね。
ここでは夜景を見た印象をそのままに、きれいに撮れる方法を紹介します。
まずはPモードに設定し、次のコツを試してみてください。

三脚を使って撮ろう

三脚を使うとブレないのでシャッター速度を遅くできる

夜景をきれいに撮るために最も効果があるのは、三脚を使うことです。夜景のような暗い場所での撮影は、光が少ないため、光を多く取り入れようとシャッター速度が遅くなったり、ISO感度が高くなったりします。その結果、手ブレが発生して画像が不鮮明になってしまったり、画像にノイズが増えてざらついてしまったりします。

シャッター速度3.2秒で撮りました。いくら体の動きを止めてようとしても、これくらいのシャッター速度になると完全にブレて失敗作になってしまいます。

そこで、三脚を使ってカメラを固定することで、シャッター速度が遅くなっても画像がブレずにきれいに撮ることができます。
三脚を使用する際は、誤作動を防ぐため手ブレ補正機能をオフに設定しておきましょう。また、シャッターを押すときの振動でもブレが発生することがあります。その場合は、セルフタイマーを2秒に設定すると、シャッターを押した際のブレを防ぐことができます。

三脚に乗せることでブレずに撮ることが出来ました。長時間シャッターを開けたことで、水面の光もまんべんなく広がって綺麗です。

ISO感度はできるだけ低めに設定する

ISO感度はできるだけ小さく設定しておきましょう。その分シャッター速度はさらに遅くなりますが、三脚で固定しているのでブレる心配はありませんし、ノイズの発生も防ぐことができます。ISO感度の下限は機種によって異なりますが、ISO100〜ISO400の間がおすすめです。

三脚がないときは

では、三脚を持っていない場合はどうしたらよいでしょうか。 三脚がない場合は、近くの壁や柱に寄りかかったり、手すりなどをカメラの支えにして、ブレを軽減させるのもひとつの方法です。
それができない場合は、手ブレを防ぐためにシャッター速度を速くすることを最優先しなければなりません。カメラの決めた設定で手ブレをしてしまう時は、ISO感度を手動で高く設定しましょう。設定できるISO感度の上限は機種によって異なります。ISO6400、ISO12800など、高くすればするほどシャッター速度は速くなり、手ブレを軽減することはできますが、画像にノイズが乗ったり解像感が失われたりする場合があります。

ISO3200で撮影しました。シャッター速度は速く保てたので手ブレは防げましたが、画像を拡大すると、低いISOで撮影した画像に比べてノイズで少し画像がざらついています。また、細かい部分の解像感や水面の質感も、三脚を使った写真の方がきれいですね。

このようなノイズが気になる場合は、[シーンセレクション]の[手持ち夜景]も有効です(搭載機種のみ)。[手持ち夜景]に設定をすると、一回のシャッターで6枚の写真を連写し、その6枚を高精度で重ね合わせながらノイズ処理を行います。この処理により、1枚での撮影よりもノイズを減らしながら夜景を撮影することが出来ます。しかし、[シーンセレクション]の[手持ち夜景]はオート撮影モードの一つなので、次に説明する色味や明るさの設定はできません。

Mモード(マニュアル露出)で撮影する

Pモード(プログラムオート)での撮影に慣れてきたら、Mモード(マニュアル露出)に挑戦してみましょう。Mモードでは絞り(F値)とシャッター速度の両方を自分で細かく設定できます。
夜景の明るさ、時間帯や周囲の明るさなど撮影環境に応じて、設定を変更しながら何枚か撮影して感覚をつかみ、撮りたいイメージに近づけていきます。

たとえば冒頭の作例は、街の灯と月という明るさの異なる被写体を画面内にとらえているので、露出の設定が難しいシーンです。Mモードで絞りを絞り気味にし、長時間露光することで、街の灯とシルエット、薄暮の空に浮かぶ細い月を美しく調和させています。

日の出前や日没後のマジックアワーと呼ばれる時間帯は、空の色が刻々と変化しドラマチックな写真を撮るチャンスです。
マジックアワーの撮影は、F値をF8からF13を目安に設定し、シャッター速度を調整しながら光の量をコントロールするのがおすすめです。シャッター速度は2秒からから始めて、明るさを調整していきましょう。スローシャッターになるので必ず三脚を使い、セルフタイマー2秒も活用しましょう。

それぞれの用語について詳しくは以下のページをご覧ください。

明るさと色を調整しよう

手ブレをせずに撮影ができるようになったら、イメージどおりの明るさと色に調整しましょう。

露出補正で明るさを調整する

明るさは露出補正で設定します。
人間は夜空を『暗いもの』、ビルの明かりやイルミネーションを『明るいもの』と認識していますが、カメラは暗い被写体でも明るい被写体でも、一律の明るさに写そうとします。そのため、夜空のような暗い部分や、ビルの明かりのような明るい部分が入り混じる夜景撮影では、カメラの決める露出と人間の明るさの感覚が合わないことがあります。その結果、夜空が明るく浮いてしまったり、街のイルミネーションの色が白く飛んでしまったり、思うような仕上がりになりにくい難しいシーンとなっています。
また、クリエイティブルックやクリエイティブスタイルなどのカメラ自体の設定によっても写真の明るさは変化します。
初めは露出補正無しで撮り、結果をよく見ながら調整していきましょう。

2枚の作例は、どちらも同じ場所で撮影しています。
街灯の強い光のため、露出補正なしでは暗く写ってしまいました。ビルの奥の街並みが黒くつぶれ気味です。露出補正を+0.7に設定することで、思うような明るさに調整することができました。

露出補正なしで撮影
露出補正を+0.7で撮影

ホワイトバランスで色合いを調整する

次は色を調整しましょう。全体的な色合いの調整はホワイトバランスで変えることができます。
カメラが自動で決めるオートホワイトバランス[AWB]でも忠実に再現してくれますが、街の夜景の場合は[蛍光灯:温白色]を使ってみると少し青みが出て、人工灯の質感がより伝わりやすくなるかもしれません。また、都会のビルやイルミネーションのような強い光は、写真にすると白っぽく写ってしまうことが多く、思ったほど鮮やかな色が出ないことがあります。その場合はクリエイティブルックやクリエイティブスタイルからオプションを選択し、彩度を+側に調整しましょう。光がより鮮やかに、色濃くなります。

ホワイトバランス:[AWB]で撮影
ホワイトバランス:[蛍光灯 温白色(-1)] 彩度+3で撮影

このような調整をすることで、実際に夜景を見た時のドラマチックな雰囲気が伝わりやすい写真を残しておくことができます。他のシーンでも同様ですが、ここでも色味は撮影者の好みや意図によってさまざまです。露出補正、ホワイトバランス、クリエイティブルック/クリエイティブスタイルといった調整機能を自由に使って、お気に入りの一枚を探しましょう。

それぞれの用語について詳しくは以下のページをご覧ください。

単焦点レンズがあると便利

F値が小さい(明るい)単焦点レンズは、光を多く取り入れることができるため、暗いシーンでも手ブレやノイズを抑えて夜景を撮影することができます。また、人物やスナップでも、背景を大きくぼかした撮影が可能です。

ボディ、レンズともに、35mmフルサイズとAPS-Cフォーマットがあります。
35mmフルサイズのボディにAPS-Cのレンズを装着したり、APS-Cのボディに35mmフルサイズのレンズを装着することも可能です。詳しくは以下のページをご覧ください。
APS-Cフォーマットのボディまたはレンズと35mmフルサイズのボディまたはレンズを組み合わせて使えるか

  • G Masterならではの圧倒的な高解像を開放F値1.4から実現し、柔らかく自然なぼけ表現が楽しめる小型・軽量設計の35mmの大口径広角35mmの単焦点レンズです。画面全域での高い解像性能や逆光耐性に加え、最大撮影倍率0.23倍(MF時は0.26倍)の近接撮影能力も魅力です。

  • 超広角20mmの画角と開放F値1.8の明るさ、高い解像力とぼけの美しさを小型・軽量で実現した大口径超広角単焦点レンズ。ジンバルやグリップに装着しやすい小型・軽量設計をはじめ、高い近接撮影能力や静粛なAF駆動など、動画撮影にもおすすめの1本です。

  • ツァイスならではの高いコントラストと圧倒的な解像力を実現。フルサイズならではのぼけ味を生かした望遠風の撮影や、レンズを絞り被写界深度を深くして、遠近被写体を生かした広角風の撮影など、多彩な表現が可能です。また、夕暮時や室内撮影など、手ブレや被写体ブレしやすい環境下でも明るいレンズが威力を発揮します。

  • ツァイスレンズの描写力を存分に堪能できる開放F値1.8の大口径広角単焦点レンズ。最大撮影倍率は0.25倍で、高い近接撮影能力を備えています。

  • 全長57.5mm、質量約181gという圧倒的な小型・軽量設計で超広角11mm(35mm判換算16.5mm)、開放F値1.8を実現した大口径超広角単焦点レンズ。画面全域での高い解像性能と美しいぼけ味も魅力で、静止画・動画を問わず表現の幅を広げます。

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