法人のお客様 ニュースリリース一覧 放送・映像制作のDXを推進。AWS連携サービス拡充へ向けてクラウド中継システム「M2 Live」提供開始

2021年11月10日

放送・映像制作のDXを推進するクラウド・IPソリューションの強化へ

− AWS連携サービス拡充へ向けてクラウド中継システム「M2 Live」を提供開始 −

ソニーは、アマゾン ウェブ サービス(AWS)との連携の強化を図りながら、クラウド中継システム「M2 Live(エムツーライブ)」の提供など、重要性が増しているクラウド技術とIP技術を融合した映像制作向けのソリューションの展開により、映像制作業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していきます。その一環として今回、AWSを活用したクラウド中継システム「M2 Live」の提供を開始します。
放送・番組制作の現場では、放送波だけでなくライブ配信やオンデマンド配信など、お客様に映像を届ける手法が多様化し、かつ制作に対して一層の効率化が求められています。また、コロナ禍での感染拡大防止の観点から、人が集まったり、移動したりすることを避けなければならない状況が続いています。近年のこうした背景を受け、映像制作業界のDXへのニーズが急加速しています。
当社は、リアリティ(Reality)、リアルタイム(Real time)、リモート(Remote)を追求する「3Rテクノロジー」を活用して、統合的なクラウドソリューションやIPソリューションを提供し映像制作現場のDXを支援しています。また、AWSのクラウド上にサービスを展開することで汎用性の高いシステムを実現します。

展開中のファイルベース クラウドソリューション

ソニーは、ファイルベースのクラウドソリューションとして、映像制作業界に向けた効果的なメディア管理・運用を実現する統合プラットフォーム「Ci Media Cloud Services (シー メディア・クラウド・サービス) 」を既に導入しています。加えて、今後導入予定のカメラ連携クラウドサービス「C3 Portal(シースリーポータル)」や、異なるマイクロサービスを自由に構築可能なクラウドソリューション「Media Solutions Toolkit(メディアソリューションズツールキット)」をAWS上に展開中です。「Media Solutions Toolkit」は、自社内で運用のシステム(オンプレミスシステム)上だけでなくパブリッククラウドへの展開も可能です。

新展開するライブソリューション 〜クラウド中継システム 「M2 Live」

この度、ライブソリューションであるクラウド中継システム「M2 Live」をAWS上でのソフトウェア提供サービス(SaaS:Software as a Service)として追加します。「M2 Live」は、AWSのクラウドに展開することで、スイッチャーなどの機器を設置・設定することなく中継制作を実現できるため、設置の時間や場所の制約を低減することができます。

この「M2 Live」を用いて2021年10月、株式会社フジテレビジョン、株式会社サガテレビと共同でリモート映像制作ワークフローによる効率的なライブ番組制作の実証実験を行いました。

また、ソニーの子会社であるネヴィオンは、2021年6月にAWSが主催したAWS Cloud Digital Interface(クラウドデジタルインターフェース)(AWS CDI)の相互運用実証実験に参画し、クラウドを活用したライブ制作と配信、およびAWS CDIの実証性を確認しました。AWS CDIは、AWS上で4K60pまでの非圧縮信号をやり取りできるインターフェースです。

新商品、実証実験等の詳細

1.遠隔制御が可能で、配信プラットフォームとも親和性の高いクラウド中継システム「M2 Live」

ライブ映像制作に向け、遠隔からの映像・音声の切り替えやグラフィックス挿入などが可能なクラウド中継システム「M2 Live」※1を発売します。
このサービスにより、初期投資を抑えかつ短い準備期間で、ライブ映像制作の効率化が可能になります。

提供開始時期: 2022年4月
参考サービス利用料: 月額10万円(税込)〜
※ 価格は契約プランにより異なります。

「M2 Live」は、インターネット配信や報道中継等の様々なライブ映像制作用途を想定し、映像のスイッチング、テロップの重畳、動画ファイル再生等、多様な映像処理をクラウド上で実現します。中継現場で映像をリアルタイムに切り替えて番組制作を行う中継車などの役割がクラウド上に構築されるため、場所を選ばず遠隔からの番組制作が可能です。

また、多彩な映像入力フォーマットに対応し、SRTやRTMPといった汎用プロトコルにより幅広いカメラとの連携が可能で、XDCAMメモリーカムコーダー『PXW-Z280』や『PXW-Z190』からはソニー独自のQoS技術に対応することで、より安定した映像転送が実現できます。さらにスマートフォンに入力した映像を直接「M2 Live」へ伝送するモバイルアプリも同時開発し、より機動性の高い撮影、伝送、配信システムを実現します。

クラウド上で制作した映像をダウンロードすることなく直接動画配信サービスに入力でき、昨今ニーズが高まっているインターネット配信との親和性の高いワークフローを構築することが可能です。

クラウド中継システム「M2 Live」概要図
クラウド中継システム「M2 Live」概要図

今後、他のクラウドソリューションと連携することで、お客様のニーズに合わせたよりフレキシブルなシステム構築を可能にし、高品位、かつ効率的なコンテンツ制作に寄与するソリューションに展開していきます。

「M2 Live」の詳細はこちらのURLからご参照ください。

2.フジテレビ、サガテレビとの「M2 Live」を用いた遠隔制御による番組制作の実証実験の実施

2021年10月14日に、株式会社フジテレビジョン(以下、フジテレビ)、株式会社サガテレビ(以下、サガテレビ)と共同で、クラウド中継システム「M2 Live」を用いた遠隔制御による番組制作の実証実験を実施し、遠隔からのライブ番組制作を行いました。

東京・新宿と佐賀県の2か所で撮影した映像を5G・4G LTE通信を介して「M2 Live」へ送信し、東京のフジテレビ本社およびサガテレビより、クラウド上の映像・音声をリアルタイムで切り替えながら、YouTube(非公開チャンネル)にライブ番組を配信しました。映像を中継システムに送信する際には、SRTやRTMP、ソニー独自のQoS技術を用いたストリーミングなど複数の入力信号を用い、通信には5Gミリ波帯対応デバイス「Xperia PRO」などを活用しました。

今回の実証実験では、従来は中継車を撮影地の2か所に配置する必要のあった屋外からのライブ中継を、クラウド上のシステムで代替し実現しました。初期コストを抑えることのできる「M2 Live」により、今後効率的なライブ制作の運用が見込めます。

実証実験の概要図
実証実験の概要図
撮影現場での使用機材
撮影現場での使用機材
局内での映像制御操作
局内での映像制御操作

3.AWS CDIの実証実験への参画

ソニー株式会社の子会社であるネヴィオンは、2021年6月に、AWSの主催するAWS CDIの実証実験に参画しました。13社が参画し、AWS CDIを使用してクラウドで高品質の非圧縮ビデオ信号(最大4K)を相互でやり取りできることを確認しました。また2020年夏には、地上のSDI/IPコンバーターとクラウド間で、JPEG XSで圧縮されたST2110信号の送受信に成功しており、ネヴィオンではクラウドへの対応を進めています。
ソニーとネヴィオンは、両社の優れたIP技術とクラウドを組み合わせることにより、局内・局外でやり取りされるIPの映像信号とクラウド上の映像信号を、統合的に制御・管理・監視できるソリューションの開発をめざしています。実現すれば、制作システムだけでなく、回線システムや、業界で注目されているマスターなどの送出ステムのクラウド化が進み、さらにシステムが自社内の運用環境(オンプレミス)にあってもクラウドにあっても、有機的に信号のやり取りができるシステムソリューションの提供が可能になります。

4.AWSとの連携

ソニーは、クラウド中継システム「M2 Live」など様々なクラウドソリューションのプラットフォームとしてAWSを活用しており、映像制作業界のDX推進に向けてAWSと連携を進めます。また、AWSと連携するシステムの構築支援を強化するためAWS認定資格者の拡大にも努めています。
加えて、メディア総合イベント「Inter BEE 2021(インタービー 2021)」(2021年11月17日〜19日)では、ソニー、AWSそれぞれが主催するクラウドソリューションに関するセミナーに相互に参加し両社のサービスの連携メリットなどを紹介します。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 事業開発統括本部長 佐藤有紀子氏のコメント

AWSはソニー様が進める映像制作業界のデジタルトランスフォーメーションに連携していきます。ライブ映像制作はクラウドを活用することで、中継地へのスタッフ派遣などの負担を減らす方向に進んでいます。特に多様な規模・形式で行われるスポーツやライブイベントではクラウドの柔軟性や従量制料金が大きなメリットとなります。AWSは映像制作業界のお客様ニーズの理解に努め、ソニー様の技術や知見を活かし、AWS上で新しい価値を提供していただけるよう支援してまいります。

ソニー株式会社 イメージングプロダクツ&ソリューションズ事業本部VP 喜多幹夫のコメント

ソニーは、映像制作業界に向け、高品位なコンテンツを効率的に制作するためのソリューション提案をしています。IP技術に加え、AWS上のクラウドサービスの拡充を図り、お客様の既存システムと融合させた統合的なソリューションの提案、構築を進めていきます。今回のクラウド中継システム「M2 Live」の導入により、ライブ制作でもクラウドの活用が可能になり、遠隔からの制作や効率性の向上をめざします。AWSのクラウドのノウハウと、ソニーが長年映像制作業界のお客様のご要望を聞きながら蓄積した知見を組み合わせて、個々のお客様に最適なクラウドソリューションを提案していきます。

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