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HDCAM-SR、RGB4:4:4でほぼ全編を撮影する「UDON」(本広克行監督作品)は、2006年8月26日の全国公開を目前にして急ピッチで制作が進められています。
本作品の制作プロデューサー、株式会社ロボット 映画部 村上公一様と、VEとして参加された株式会社IMAGICA テレビ本部 撮影グループ ビデオエンジニア 新部信行様に、映画制作におけるHDCAM-SR、RGB4:4:4の可能性について伺いました。
「UDON」という映画は、雑談から生まれた作品といえます。本広克行監督は香川県の出身で、私は向かいの岡山県の生まれで、たまたま同じ頃に香川県のうどんブームを体験する機会がありました。映画部でその体験を話し合っていると、ほかのスタッフも加わって、どんどん盛り上がり、これは映画になるんじゃないか、ということになったのです。
最終的に、実話をモチーフにしつつ、笑いあり、涙ありの脚本が仕上がりました。野心に燃えて故郷を飛び出した主人公がニューヨークで挫折して故郷に逃げ帰って来るところから映画は始まります。やがて、故郷名物であり、実家も製麺所という主人公が、その魅力を再発見して....といったストーリーです。
 
  株式会社ロボット 映画部
村上公一様
今回の作品をHDCAM-SRのRGB4:4:4で撮影しようというアイデアは、佐光朗キャメラマンから出されました。理由は大きく二つあります。一つは、自然の美しさをそのままの美しさで撮影したいということ。もう一つは1年間の物語を2ヶ月で撮影する必要があるので、後処理のしやすさ、クオリティーを確保するという狙いからでした。そのためには、分解能に優れたRGB4:4:4撮影が適しているというわけです。

カメラテストを重ねて、技術的な検証と画質などを評価しました。その結果は大変満足できるものでした。もともとHDCAM-SRは約440Mbpsという高画質を実現していて、その上で分解能が良くなるということですから、メリットは大きいと判断できました。

2ヶ月の撮影で1年の四季の表情を表現する必要があり、さらに天候が不順な春先の撮影なので、撮影現場での調整には限界があります。当然、カラーコレクションを中心としたフィニッシュワークが重要になるだろうと思っていましたので、RGB4:4:4撮影に期待する気持ちもありました。

実は、映画の中に一部3D CGを使うシーンがあるのですが、RGB4:4:4はCGとの親和性が高く、合成処理にメリットがあります。このシーンを含めて、本格的なフィニッシュワークは今後のことになりますが、いまから楽しみにしているところです。特に今回は、カラーコレクションの追い込み作業を、DLPを使った最新鋭のシステムで行うことになっており、最終的な作品としての仕上がりに大いに期待しているところです。
HDCAM-SRによるRGB4:4:4撮影の本当の魅力や特長を実感することになるのも、このフィニッシュワークの作業や仕上がりで実感することになるのではないでしょうか。
映画の主要舞台の一つとなる香川県のロケでCineAltaカムコーダーとHDCAM-SRポータブルレコーダー SRW-1を使ってRGB4:4:4で撮影
(写真提供:株式会社ロボット様)
デジタルシネマの技術は、本当に日進月歩です。つねに勉強していかないと、すぐに遅れてしまうような気がします。
本広監督の前作「サマータイムマシン・ブルース」の制作にも携わっていましたが、この作品は文字通りフルデジタルシネマで、「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2005」のオープニング招待作品となりました。この時は札幌から光回線を通して伝送し、SRプロジェクターで上映したのですが、そうした手法で公開できるのもデジタルシネマならではの優位性だと感じました。もう一つ驚いたのが、フィルムに焼いて映画館で上映するより画質がきれいだったことです。ある意味では、ショックでした。まだ時間が必要でしょうが、将来的には普通にこうした上映方法で映画を楽しむ時代がくるのかもしれません。

HDCAM-SR RGB4:4:4は、こうしたデジタルシネマ技術の最先端の技術といえます。「スターウォーズ エピソード3/シスの復讐」で採用されたことで、合成を多用するSFX映画で有効なことはよく知られています。でも、今回「UDON」で使ってみて、まだ作品としては未完成の段階ですが、人間ドラマやコメディ、ラブストーリーなどでも有効に使える撮影手法だと実感しています。たぶん、今後の映画制作で活躍の場を広げていくのではないかと思います。

強いて要望点をあげるとすれば、HDCAM-SRによるRGB4:4:4の制作環境を、より充実したものにしていただけたらと思っています。カメラのラインアップの充実や、さらにシネマ制作に適した機能、特性をもったカメラの開発などです。デジタルシネマの今後の発展のためにも、ソニーにぜひ取り組んでいって欲しいテーマです。
 
株式会社IMAGICA テレビ本部
撮影グループ ビデオエンジニア
新部信行様
 
本広監督はキャメラマンと協議をしつつ、「踊る大捜査線 THEMOVIE 2〜レインボーブリッジを封鎖せよ〜」ではHDCAM24Pを、「交渉人 真下正義」ではHDCAM-SR コンポーネント4:2:2を採用するなど、映画としてのおもしろさを追求すると同時に、制作手法についてもつねに新しい試みにチャレンジしてきました。最新作の「UDON」では、HDCAM-SRのRGB4:4:4撮影にチャレンジしたという側面があったと思います。

数ヶ月にわたってカメラテストを行いましたし、フィルムにも焼いてみました。正直に言って、撮影した素材で見る限りではコンポーネント4:2:2とRGB4:4:4でそれほどの差があるとは思いませんでした。両方ともきれいだと感じましたから、HDCAM-SRが基本的にそれだけ高画質であるということだろうと思います。ただ、スペックとしてはRGB4:4:4の方が色の幅が広いので、合成やカラコレでメリットが出るだろうと感じました。

撮影では、現場でできることと、後処理に任せる部分を分けて考えるようにしましたが、カラコレに任せるシーンでも処理がしやすいように撮影するように心がけています。まず、全体のトーンとしては締まった感じにし、しかも色の幅を出しやすいユーザーガンマをつくって採用しました。また、夕景のようにノーマルの状態からカラコレで仕上げるとなると大変なシーンでは、撮影時にフィルターを使って、ある程度までは作り込んでおいて、それにファクターを付加する形でカラコレできるようにしています。夏のシーンの登場人物のフェイスについても、マトリクスを入れて日焼け風の赤みが出るようにするなど、現場でできることは、可能な限り対応しました。やはり一番苦労したのは、うどんを食べるシーンで、できるだけおいしそうに見えるように、いわゆる“シズル感”を出すのに苦労しています。この映画のある意味では肝になるシーンだけに、観る人が本当においしいそうだと感じてくれるようにしたいと思っています。
 
HDCAM-SRポータブルレコーダーSRW-1を搭載した移動用ベースで撮影映像のチェックを行う新部様(写真左)
 
撮影では、機動力を確保しつつ、HDCAM-SR RGB4:4:4 ならではの分解能に優れた映像を3Gbpsのビットレートで伝送可能(写真右)
今回は、LFEという1フレーム1秒で撮る機能を多用しています。具体的には、ニューヨークで主人公の周囲だけが動いたり、本屋での定点撮影などで使っています。LFEを使って黒味を抜くことで表現しているのですが、SRモーションなら、撮影したその場で効果を確認できると思いますので、非常に有効に使えると思います。
本広監督や佐光キャメラマンは、こうした新しい機能にも敏感であるだけでなく、どういうシーンで使うと効果的か、直感的に判断できる方々です。ニューヨークで主人公が感じた挫折感や、本屋で雑誌が飛ぶように売れていく様子が本当にうまく表現されていると思います。本広作品に参加して一番楽しいのは、こうした新しい試みにチャレンジできることです。苦心や苦労が、同時に楽しみでもあります。
映画『UDON』公式サイトはこちら 事例トップへ戻るhttp://www.udon.vc/movie
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