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正ちゃんの即効!カメラテクニック講座

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"ガンマ"を活用して、映像表現の幅を広げよう
正ちゃん 明暗の階調特性を調整する、高度な機能"ガンマ"(γ)。
最近では、小型カムコーダーにもガンマ選択機能が搭載されています。取扱説明書を読むと、描写力を高めるなどと解説されていますが、いったいどんな機能なんでしょう。
このガンマ選択機能を撮影に役立てるために、今回は"ガンマ"を勉強しましょう。

映画の雰囲気を出すには、どうすればいいですか?

タクがHVR-Z1Jの「ピクチャープロファイルメニュー」を使って、映画のような画調を作ろうとしているようです。
どうだい、うまくできそうかい?
タク 映画のような画調で撮影するには、「ピクチャープロファイルメニュー」の「PP4」というファイルが適していることまでは分かったんです。
でも、この中のメニューの「CINEMA-TONEγ」で、「TYPE1」と「TYPE2」を比較したら、あまりにも映像の雰囲気が違うのでびっくりしました。
どちらを使ったらいいのか教えてください。
OFF(標準) TYPE1 TYPE2
正ちゃん ガンマ調整は、昔は放送局やプロダクションのビデオエンジニアが使う特別な機能だったけれど、最近では一般的に使われているんだね。
いい機会だからガンマについて説明しよう。

ガンマを簡単に言うと、映像の雰囲気を明るくする、または暗くする、高度な画調コントロール機能で、ガンマカーブと言う場合もあるよ。
カメラには、入力された信号を非線形(ガンマカーブ)に出力する回路があるんだ。
このカーブをどのような形にするかによって、映像の雰囲気が大きく変化するんだ。
たとえば、明るい(楽しい)イメージを作ったり、暗い(恐い)イメージにしたり、さらに全体は明るいけれど暗いところはしっかり暗くするなどイメージの作り込みに利用するんだ。
これ以上詳しい内容は『カメラ機能活用集(第8回)』にゆずるとしよう。

HVR-Z1Jのガンマ選択機能

HVR-Z1Jではこのガンマが「CINEMA-TONEγ」の「TYPE1」と「TYPE2」、そして「OFF」(標準)の3種類から選べるので、これらを使い分けることができるね。
この「CINEMA-TONEγ」は、映画のようなイメージの映像作りに適したものだけれど、一言で映画のような映像といっても千差万別だよね。Z1Jの場合は、映像のイメージを「全体の明るさ」と「黒側(暗い部分)の諧調」の2つの面からコントロールし、その変化でガンマにバリエーションを持たせているんだ。
どちらを選んだら良いか、タクは悩んでいるけれどイメージは個人の感性だから、これが良いという結論は無いんだよ。
でも、画調として解説すれば次のようなことが言えるよ。
  例1 例2
●OFF(標準)
通常の撮影に適し、ビデオ映像としてバランス良く設定されている
●「CINEMA-TONEγ」「TYPE1」
映画(フィルム映像)風の画調を、明暗部の階調の細かなレベルでコントロールしている
●「CINEMA-TONEγ」「TYPE2」
TYPE1の特長に加え、暗い部分をより強く表現するよう設定されている
映画のような映像の撮影で使い分けるなら、「TYPE2」は、ちょっと怖いホラー、サスペンスや重厚な感じの映像にしたい場合や、ハードロックのミュージックビデオでインパクトの強い映像を作る時に使用。それ以外は「TYPE1」を使うといいかな。これも本当に人それぞれだから、好みで使い分ければいいね。

DSR-450WSLの多彩なガンマカーブ

画柄にこだわる場合は、DSR-450WSLのように、好みのガンマカーブを設定できる機能がついているものを使うといいね。プリセットだけでも11種類持っていて、そのうちシネマ画柄が5つもあるんだ。
STD 3
スタンダードなガンマカーブで、バランスのよい画柄を作り出しています。
 
FILM 1
このポジションは、フィルムライクな映像の標準的なものです。
 
FILM 2
FILM1に比べ、比較的に落ち着いたイメージが再現できるようにしています。多少暗い部分の抑えを強くしています。
   
FILM 3
FILM1に比べ、よりダイナミックレンジが広く感じられる設定になっています。白とびがさらに抑制されています。
 
FILM 4
FILM1に比べ、比較的明るいイメージのガンマカーブになっています。
 
FILM 5
FILM4に比べ、さらに明るいイメージが演出できるような設定になっています。
写真で見るより実際の画柄は質感の違いがはっきりわかるから実機でモニターしながら確認するといいよ。
DSR-450WSLで、独自の画柄を作りたい場合はマスターガンマとブラックガンマを調整するんだけれど、この調整に関しては『カメラ機能活用集(第8回)(第9回)』を参考にして挑戦してみるといいな。
タク 正ちゃん先生、ガンマカーブで映像の雰囲気は変化することがわかりました。
Z1Jの「CINEMA-TONEγ」「TYPE1」で撮影を続けようと思いますが、僕がすぐにできることで、他に簡単なアドバイスがあればお願いします。
正ちゃん タクがどんなイメージを作りたいかによるけれど、雰囲気を変えるテクニックに、ガンマカーブを組み合わせる方法もあるよ。
例えば、秋の紅葉を被写体に、時間の流れと一緒に画調を変化させる場合は、明るい日中にバランスの取れた通常撮影モードで撮影し、鮮やかさを表現。夕暮れには「TYPE1」を使い、冬に向かう寂しさを表現。さらに「TYPE2」を使った撮影で、秋の夜のしっとり感をだす。なども考えられるよ。
でも、映像のイメージは人それぞれだから、タク自身がイメージの変化を感じることが大切なんだよ。

そうそう、ガンマカーブを選ぶ場合の極意は、最低でも30秒以上の撮影をして、それを比較的大きなモニターで再生確認すること。つまり、Z1Jの場合は3つのガンマカーブで同様な映像撮影を行い、比較して自分のイメージに近いものを選べばいいね。
タク はい、正ちゃん先生、頑張ります。
はじめは試し撮りでイメージをつかんでみます。
ガンマを使いこなすには、さまざまな被写体と照明環境で、各ガンマ設定での撮影を試し、なんとなくでも良いのでイメージの変化を感じることが大切です。
また、被写界深度の講座で紹介した映像効果を組み合わせるなども、撮影テクニックに磨きがかかるので、ぜひチャレンジしてください。
正ちゃん
次回 今回の"ガンマ"に関しては、『カメラ機能活用集』にさらに詳しく紹介されていますので、ぜひご覧ください。
次回は、機材編で撮影に欠かせないビデオテープの扱い方についてご紹介する予定です。
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