法人のお客様プロフェッショナルモニター 事例紹介 株式会社 キュー・テック 様

株式会社 キュー・テック 様

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4K有機ELパネルによる高精細・高解像度の4K映像、HDR(ハイダイナミックレンジ)表示などの先進性を評価して30型4K有機ELマスターモニターBVM-X300を採用、4K編集・カラーグレーディングに本格運用を開始

株式会社 キュー・テック 様

株式会社 キュー・テック様は、4K制作設備拡充の一環として30型4K有機ELマスターモニターBVM-X300を2015年7月に導入され、4Kコンテンツの編集・カラーグレーディングのマスターモニターとして本格運用を開始されました。

同社 第1映像部 部長 安立幸一様、実際に運用を担当されている第1映像部 カラーワークスグループのカラリスト今塚 誠様、DIエディター 塚田徹郎様、テクニカルソリューション部 部長 平野則之様に、導入の経緯と決め手、運用状況と成果、今後の期待などを伺いました。
なお、記事は2015年8月下旬に取材した内容を、弊社にてまとめたものです。

4K有機ELパネルならではの黒の階調表現、動画応答性、色の正確な再現などが
これから本格化する4K映像制作のマスターモニターとしてふさわしいと評価して導入を決定


安立幸一様


今塚 誠様


塚田徹郎様


平野則之様

当社は、数年前から4K制作に積極的に取り組み、制作設備を拡充してきました。最新の4Kデジタルカメラに対応した撮影データの素材管理、DITサポートの提供、4K編集・カラーグレーディング、CG/VFXとのシームレスな連携など、幅広いコーディネートサポートが行える体制を整えたのもその一つです。今回、BVM-X300を導入したのも、この4K設備拡充の一環となります。4K制作では、特にカラーグレーディングが重要な役割を担いますので、高精細・高解像度の4K映像を正確に捉えるマスターモニターが不可欠であると思っていたことが背景にあります。

BVM-X300については、ソニーから発表された時点で有力候補として考えていました。ソニーのマスターモニターに対する長年の実績もあり信頼性が高かったことに加え、次世代放送規格ITU-R BT.2020の広色域に対応していること、さらにはHDR(ハイダイナミックレンジ)の表示が可能であったこともあり、今後の映像制作のマスターモニターとしてふさわしいと考えていたからです。
実際、展示会などに足を運んで確認しただけでなく、社内で運用テスト、検証作業も行いました。これらを通して、仕様・スペックの高さを実感することができ、導入を決定しました。

テスト運用を通して、最大の魅力、特長と感じたのは、やはり画のクオリティーです。有機ELパネルならではの動画応答性、色の再現性、黒の階調表現は、4K映像でもそのまま生かされています。特に、黒の再現性は低階調でもしっかり表示されます。0%と1%の違いも明確に表示されます。見た目だけでなく、分光放射輝度計を使って測定してもその通りに出ていることは衝撃的でもありました。この黒の締まり、低階調表現の正確さは、CRTとの比較でも同等以上であると評価できました。4Kマスターモニターの選択肢は現状限られてはいますが、BVM-X300を選んだことは間違いのない判断であったと思っています。

DCI-P3やITU-R BT.2020などの色域、多彩なガンマモード搭載による幅広い表現力、
コントロール一体型などによる操作性、使い勝手の良さも魅力


Quantel Rio 4Kと接続し、4K編集・カラーグレーディングを行うマスターモニターとしてBVM-X300を運用。

現在、BVM-X300はQuantel Rio 4Kと接続して、4K映像などハイエンドのカラーグレーディング、フィニッシング時のマスターモニターとして運用しています。また、当社の業務用4K高画質主観評価動画像集「QT-4000series」の撮影・編集で使用し、主観評価動画像として最高クラスの画質を実現する上でも大きく貢献してくれたと思います。
30インチの画面サイズは、導入当初は大きいと感じていましたが、4Kの高解像度映像を確認する上では適したサイズだったと考えています。

本格的な運用はこれからになりますが、カラーグレーディング時のクオリティー確認には非常に有効だと評価しています。色域はデジタルシネマの規格DCI-P3を包含し、ITU-R BT.2020にも対応しています。さらにガンマモードも放送規格、デジタルシネマのガンマをサポートしているので、放送用途から映画制作、過去の名作映画・ドラマの4Kスキャン、各種メディア作成まで幅広い4Kコンテンツ制作に有効に活用できるだろうと考えており、大きな期待を持っています。

分かりやすく、使いやすいという操作性の点でも満足しています。まず、メニュー階層が非常にシンプルになっているので、スピーディーにアクセスして作業に入ることができます。また、7つの機能を割り当てることができるファンクションボタン、ダイレクトに色調整ができるマニュアル調整ボタン・つまみなどを搭載した一体型コントローラーも便利です。

HDRによる新しい映像表現や、Ver.1.1へのアップグレードによる機能、操作性の向上にも大きな期待


BVM-X300の魅力の一つとなっているHDR表示機能。有機ELパネルならではの高コントラストに加え、ピーク輝度を上げても黒潰れや白飛びすることなく表示でき、従来のモニターでは表現できなかった迫力と臨場感溢れる映像表現が可能と注目されています。
※BVM-X300で表示されている画像は、同社の業務用4K高画質主観評価動画像集
「QT-4000series」を使用しています。

導入の決め手の一つに、HDR表示があります。モニターのピーク輝度が上がることにより、暗部からハイライトまで黒潰れ、白飛びすることなく表示できるので、映像制作における映像表現の幅を広げることができます。「QT-4000series」にはHDR対応のシーケンスも用意してあります。ITU-R BT.709とITU-R BT.2020の色域の違いと比べて、HDRは一目瞭然でその魅力を実感することができます。

国内では4K放送がすでに開始されています。HDRの存在や特性についてはあまり知られていませんが、CES2015でのHDR対応次世代ブルーレイプレーヤーの出展やハリウッドなど映画制作業界でも注目を集めはじめていることなどから、国内でも徐々に関心が高まり、当社への問い合わせが増加しています。そんな中、SMPTE提唱のEOTF(Electro-Optical Transfer Function)でUltra HD Blu-ray規格でもある「ST2084」にBVM-X300(Ver.1.1以降)が対応したことは良かったと思います。引き続き、当社ではBVM-X300を活用したHDR制作にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。

また、本格運用はこれからですが、8月にリリースされたファームウェア Ver.1.1による機能強化にも期待しています。たとえば、ガマットマーカー機能(ITU-R.BT709もしくはDCI-P3の色域外信号をゼブラパターンで表示する機能)は、色域外がどの部分なのか一目で判断できるので、ウェーブフォームモニターで見るよりも分かりやすく頻繁に使用しています。また、色温度自動調整ソフトウェアへの対応も魅力です。カラーマネジメントの際にマニュアルだと時間がかかってしまうだけでなく、どうしても自分の主観が入ってしまいます。このソフトウェアを使えばフラットな条件で測定でき、ストレスを感じることなく作業に集中できます。その他の新しい機能も、検証を重ねつつ有効に活用していきたいと思っています。

ソニーには今後も4K制作をリードするメーカーとして、マスターモニターをはじめとした4K対応機器のラインアップを拡充するとともに、当社を含めた実際に制作を担当する立場からの意見、要望に応えるソリューションを提案して欲しいと思っていますし、大いに期待もしています。

株式会社 キュー・テック

株式会社 キュー・テック

1989年(平成元年)創業のポストプロダクション。東京・赤坂本社スタジオ、赤坂第2スタジオ、杉並クリエイティブセンターを拠点に、各種コンテンツ制作の企画・演出・システム提案、撮影・編集・仕上げ、MA、テレシネ、BD/DVDエンコード・オーサリング、高画質デジタルアップコン、デジタルマスタリング、フィルムスキャニング、CG/VFX、DI、3D、配信用エンコード、各種データ変換、翻訳・字幕サービスなどを展開し、高い評価と実績を得ています。近年は4K制作にも積極的に取り組み、4K映像編集サービス、4K DCP制作に対応しています。さらに、各種4K映像機器の静止画・動画解像度・コントラスト・階調・色再現などの各評価項目や総合評価を行える業務用4K高画質主観評価動画像集「QT-4000series」をリリースし、ディスプレイや通信機器メーカーなど業界の注目を集めています。

http://www.qtec.ne.jp/ (株式会社 キュー・テック)

業務用4K高画質主観評価動画像集「QT-4000series」

業務用4K高画質主観評価動画像集「QT-4000series」

株式会社キュー・テック様が2015年4月にリリースした、各種4K映像機器の研究開発・設計製造における評価・調整を目的とした業務用途の高品位・高画質4K主観評価用動画像ライブラリー。撮影にはCineAlta Premium 4KカメラF65RSを採用。編集工程は非圧縮RGB 4:4:4プロセスで行われ、主観評価映像として最高クラスの画質を実現しています。

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