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事例紹介

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東海大学 文化社会学部 広報メディア学科 テレビ班 様

大学

企画・撮影・編集・仕上げ
番組制作のプロセスを全て学生が担うテレビ班

「3.11震災特別番組」2時間番組のスタジオ収録風景「3.11震災特別番組」2時間番組のスタジオ収録風景

東海大学 文化社会学部 広報メディア学科様は〈テレビ番組の制作による実践的なメディア教育〉を目的として、2001年にキャンパスのある湘南地域を放送エリアとする湘南ケーブルネットワーク(SCN)制作部との協業で、学生によるメディアプロジェクト テレビ班を発足しました。制作番組は、湘南地域の文化や地元で活躍する人々のドキュメンタリー番組 『ミネスタウェーブ』と「人生を変えた1冊の本」をテーマとするインタビュー番組『東海Book Café』。これらは同プロジェクトに参加する学生が番組制作の全工程を担っており、現在、SCNや関東エリアJ:COMを含むケーブルテレビ12局にて各15分番組として放送中です。また、2012年からは震災特別番組として2時間のドキュメンタリー番組も制作しており、学生の主体的かつ実践的なメディア制作における技能を高められています。これらの番組はDVCAM、XDCAM、NXCAMといった歴代のソニー製カメラで撮影されており、2018年2月にはHXR-NX5R 2台を新たに導入いただきました。

「鉛筆と紙」から「カメラとパソコン」への変化

プロジェクトの指導にあたってきた五嶋正治教授と、番組制作機材の導入・メンテナンスをサポートするブレーンズ・システム社 松尾佳晃様に、番組制作の実践教育について伺いました。

東海大学 文化社会学部 広報メディア学科 五嶋 正治教授東海大学
文化社会学部 広報メディア学科
五嶋 正治教授
株式会社ブレーンズ・システム 営業部長 松尾 佳晃様株式会社ブレーンズ・システム
営業部長
松尾 佳晃様

東海大学 広報メディア学科は、新聞・放送・出版・ネット・広告など、幅広いジャンルにわたるメディア教育を行い、社会に価値あるメッセージを創造・発信する人材を育てています。学生を取り巻く環境は大きく変化し続けていて、ツールは「鉛筆と紙」から「カメラとパソコン(編集機)」に換わり、今やスマホなどで誰もが情報発信のできる時代。そのような社会環境で、私たちは番組制作を通して学生たちに「情報発信者としての責任」を学んで欲しいと思い、業務用放送機材を取りそろえ、この実践教育を行っています。XDCAMメモリーカムコーダー(以下、XDCAM)やNXCAMカムコーダー(以下、NXCAM)などの撮影機材を使用し、可能な限りプロの制作現場に近づけるようにしています。業界のスタンダードを知ることで、将来、学生たちが現場に立ったときに迷わず対応できるようにするためです。

学生達が運用して来た歴代カメラ学生達が運用して来た歴代カメラ

テレビ班の活動は番組を作ることですが、それが最終の目的ではありません。情報発信者として責任を持つこと、取材対象者や仲間との信頼関係を築くこと、それらを学ぶことが何より大切だと考えています。カメラはコミュニケーションスキルを磨く一つのツールと捉えており、番組制作や人との対話・コミュニケーションを通して、人として成長してもらいたいと思っています。

湘南地域の文化や人に迫るドキュメンタリー番組

ドキュメンタリー番組担当の尾前隼士さん須金香奈さんにお話を伺いました。

尾前 隼士さん尾前 隼士さん
須金 香奈さん須金 香奈さん

『ミネスタウェーブ』は、湘南地域の文化や地元の人々に密着して、その魅力に迫るドキュメンタリー番組です。学生だから感じること、自分だから見えることを探し、その視点で捉えたものを視聴者へ伝える番組を目指しています。番組は2ヶ月に1本ペースで制作し、今年3月には放送100回目を迎えました。

過去のマスターテープと完成DVDパッケージ過去のマスターテープと完成DVDパッケージ

スタッフは1・2年生を中心に20人程。ドキュメンタリーという性質から、スタッフ全員がディレクターでありカメラマンです。企画会議では毎回約20本の企画が上がり、決定した企画を出した学生がディレクターを担当しています。取材が始まると他のメンバーがカメラマンやスタッフとして取材をサポート。取材回数が多いので、ディレクター自らも撮影するなど、メンバー全員一丸となって制作に取り組んでいます。

建物外観や情景カット、取材対象者へのインタビューなど、番組のメインとなるカットは三脚を使ってNXCAMで撮影しています。マニュアルでの操作がし易く、画角や絞りなどを素早く、思い通りにコントロールできるので、自分たちがイメージしている映像を撮ることができます。また、音質もクリアなのでナレーション録りにも活用しています。また、狭い場所の撮影や機動性が求められる撮影の場合には、軽量・小型のHandycamを使用してフットワークを重視。状況に応じて機材を使い分けています。

ドキュメンタリー番組「ミネスタウエーブ」取材風景(協力:NPO法人もったいないジャパン)ドキュメンタリー番組「ミネスタウエーブ」取材風景(協力:NPO法人もったいないジャパン)

ドキュメンタリー番組制作において、取材でさまざまな人とコミュニケーションをとれることは大きな魅力です。ただ一方では、取材対象者と取材者・番組制作者という距離感を保つ難しさも感じています。いくつかの経験を積んだ今でも、その難しさを感じてはいますが、多くの方々とのコミュニケーションを経て、以前よりも視野が広がったと感じています。
また、テレビ班の活動を通して養うことができたのは、相手の立場にたって考える力。取材対象者やスタッフが、何を考え、どうしたいと思っているのか。こちらの希望を相手に伝えるためにはどうしたら良いか。相手のことを考え、自分の意志も含めて話し合うことで信頼関係を築くことができるのではないかと思います。
企画・撮影・編集・仕上げとすべての作業を自分たちだけで行うのは、もちろん苦労も多いのですが、その分番組が完成し、放送された時の充実感とうれしさは他では感じられない経験です。

「人生を変えた1冊の本」
教授のイメージが変わるインタビュー番組

インタビュー番組担当の、石井佑弥さんと目澤鳳茄さんに伺いました。

石井 佑弥さん石井 佑弥さん
目澤 鳳茄さん目澤 鳳茄さん

私たちが制作している、『東海Book Café』は、文学部及び文化社会学部の先生から「人生を変えた1冊の本」をテーマに、自身の価値観や人生観に影響を与えた本に関する思い出やエピソードなどを伺うインタビュー番組です。大学教授というと、真面目・堅い・気難しいといったイメージを持つ人が多いとは思います。しかし、実際は気さくで面白い先生方が多いんです。大学教授の堅いイメージを払拭し、本当の魅力を伝えることがこの番組のテーマ。番組視聴者の方々に見てもらい、大学教育に興味を持ってもらうことを目的としています。番組は2009年4月から放送を開始し、2ヶ月に1本ペースで『ミネスタウェーブ』と隔月で放送しています。現在スタッフは8名。スタジオ収録がメインということもあり、主体性を優先して、専任でカメラ担当やフロア担当などを決めており各自の得意分野を伸ばすようにしています。

インタビュー番組の学生MCとゲスト教員インタビュー番組の学生MCとゲスト教員

東海大学 湘南キャンパス内にあるスタジオにブックカフェ風のセットを組み、収録を行っています。カメラは、今年の2月に導入したHXR-NX5R(以下、NX5R)が2台、PMW-100が 2台、俯瞰の固定カメラとしてHandycamが1台の計5カメ体制で、スイッチングをしながらの収録スタイルです。カメラの色合わせでは、高画質のNX5Rに近づけるように他のカメラを調整し、よりクオリティの高い映像を目指しています。調整は、ブレーンズ・システム社 松尾さんに相談し、ピクチャープロファイルを使用した方法を教えてもらいました。ピクチャープロファイルは調整項目を理解すれば色合わせがしやすく、カメラの調整技術の習得にも役立ちます。また、以前使っていたHXR-NX3にはSDI出力が無くHDMI-SDI変換器を使っていましたが、NX5RはSDI出力端子から直接スイッチャーへ接続できようになり、スタジオ内のケーブル類がシンプル化できてカメラの取り回しが楽になりました。松尾さんは学生達にとっても、プロの視点で様々な相談に応えてくれる存在で、日常的な活動、そして大きな生中継といった番組では重要なサポーターです。
スタジオ以外では、ゼミやキャンパス内での先生の様子をNX5RとHandycamで撮影、番組内で試食するケーキの物撮りをNX5Rで撮影しています。NX5Rは色の再現性が高いのでライティングのしがいがあります。セッティングが決まりモニターにお菓子が美味しそうに映っていると、幸せな気分になれます。

番組の構成やインタビュー内容は、出演の先生を交えての構成会議で話し合われます。短い時間の中で専門知識豊富な先生方の人物像やプライベートな話を引き出すのは簡単ではありません。また視聴者にわかりやすく伝えるために、学生MCが質問する内容を吟味するのは難しいですが、そこがインタビュー番組の面白いところだと感じています。
放送後に出演の先生から、『東海Book Café』に出て良かったと聞くと嬉しさとやりがいを感じます。この番組では、さまざまな経験と知識に触れるため、日々脳と体を動かさなければならないのですが、そのおかげで学びが広がっていると実感しています。

アメリカンフットボール部との共同プロジェクト
迫力あるプレイをライブ配信

2017年5月には、テレビ班と東海大学アメリカンフットボール部「TRITONS」との共同プロジェクトとして、湘南キャンパスで行われた春季オープン戦の試合を、インターネットでライブ配信しました。競技場には空撮用のドローンを含め7台のカメラを設置。会場を広く見渡せるイントレの上にNXCAM3台を配置し、アメフト部員による解説実況も交え、迫力あるゲームをライブ中継しました。

イントレ上のNXCAMは光学ズームで20倍、超解像ズームも使用すれば40倍のアップが撮れるので、選手の動きをしっかりと追うことができましした。アメフト部の監督からは、「ヘルメットの奥まで見えて、選手の目の動きがわかった」との感想をいただき、高倍率ズームの威力をリアルに体感したことを覚えています。屋外で晴天時の撮影でも液晶モニターのコントラストが高く映像がはっきりと見え、ほとんど失敗することなく選手の動きを追うことができました。
スポーツ中継・生配信、ともに初めての試みでしたが、テレビ班としてしっかりと実績を残すことができたと思います。

テレビ班の活動で学んだ、映像の力

尾前隼士さん/須金香奈さん/石井佑弥さん/目澤鳳茄さん

企画や準備、収録、編集などテレビ班にかかわる時間はとても多く、もう自分たちの生活の一部になっています。主な活動時間は授業終了後や夕方以降になります。授業外活動ですので、単位取得にはなりませんが、不満はありません。この活動を続けているのは、映像を通じて社会的なメッセージを発信することや、機材に触れることが好きだからです。人との信頼関係を築くこと、やりがいや経験を得られこと、これらは決して座学だけでは学べないですし、貴重な時間を過ごせたと思っています。

テレビ班として活動したことで、卒業後は映像業界に進みたいという気持ちがより強くなりました。五嶋先生や松尾さんから学んだ専門的な知識や制作活動を通して培った経験を生かかし、自分たちの将来へつなげたいと思います。

「テレビ」から「動画コンテンツ」へ
時代の変化に対応した学びの環境づくり

五嶋正治 教授

この実践教育での私の立場は「ティーチャー」ではなく「ファシリテーター(世話役)」であり、「教える」ではなく、「学べ」だと思っています。学生が興味を持って学べる環境を作ることが役割です。学生に相応しい環境さえ与えれば、あとは学生自身が考え、面白いことを始めます。テレビ班メンバーが学生事務局を務めた「One Minute Videoコンテスト2017」では、コンテスト当日にロンドンにいる審査員と生中継をしたいという企画があがり、その相談を受けた松尾さんが情報を集め、無事にロンドンとの生中継を成功させました。こうした学生たちの夢やアイデアをバックアップするのが私たちの役割であり、松尾さんは学べる環境を整えるためのパートナーとして、とても大きな存在です。
最近の学生は、「動画コンテンツ」という言葉を使います。プロジェクト発足当時の映像は「テレビ」が主流でした。時代は大きく変化しています。現在は「テレビ班」として活動していますが、今後は「動画コンテンツ」も含めた活動になっていくでしょう。これからも、時代の変化に対応しながら、学生たちが興味を持って、楽しんで夢を追いかけていける「映像教育環境」を作っていきたいと思います。

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