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株式会社TBSビジョン 様

プロダクション

THE世界遺産3D GRAND TOUR「古代都市チツェン・イツァー(メキシコ)」篇(BS-TBS)

マヤ文明発祥の鍵を握るとも言われるユカタン半島"地底湖"の水中3D撮影にNXCAM 3DカムコーダーHXR-NX3D1Jを活用

株式会社TBSビジョン 様

BS-TBSで2011年4月から放送を開始した「THE世界遺産3D GRAND TOUR」(毎週土曜17:30〜18:00)は、TBS系列で好評放送中の「THE世界遺産」の3Dレギュラー番組。全編3D撮りおろしの作品をサイド・バイ・サイド方式でオンエア、地上波放送と同様の美しい映像に加え、3Dならではの迫力と臨場感で世界遺産の魅力を視聴者に伝えています。2011年11月放送予定の「古代都市チツェン・イツァー(メキシコ)」篇では、初めてNXCAM 3DカムコーダーHXR-NX3D1Jを使った水中3D撮影を行い、いまなお神秘のベールに包まれたマヤ文明の謎に迫りました。

制作を担当された株式会社TBSビジョン 事業本部 プロデューサー/ディレクター 河野英輔様、プロデューサー 小川直彦様に、HXR-NX3D1J導入の目的と撮影状況、運用の成果と、今後の番組制作における可能性などを伺いました。

3Dリグを使った撮影システムで全編3D撮りおろしの作品をレギュラー放送。「古代都市チツェン・イツァー(メキシコ)」篇では水中3D撮影のために機動力に優れたHXR-NX3D1Jを初めて導入


プロデューサー/ディレクター
河野英輔 様


プロデューサー
小川直彦 様

BS-TBSで2011年4月にスタートした「THE世界遺産3D GRAND TOUR」は、地上波のTBS系列で1996年から放送し15年目を迎えている「THE世界遺産」の3Dレギュラー番組です。全編3Dで撮りおろした作品を制作・放送し、3Dならではの迫力と臨場感で好評を博しています。この「THE世界遺産」の3D版ともいえる企画がスタートしたのは2010年春のことで、鹿児島県屋久島を舞台にした約10分ほどのテスト版を作成し、TBSの夏のイベント「夏サカス2010」の3Dシアターで上映しました。そして夏からレギュラー番組の企画がまとまり、日本、イタリア、トルコ、スペイン、カンボジアなどで撮影を行い、BS-TBSでオンエアするとともに、CS放送の3D専門チャンネル「スカチャン 3D 169」でも3D放送を行っています。

「THE世界遺産」という番組は、そのスタートからつねに映像美を追求するとともに、貴重な映像資料として後世に残せるだけの画づくりをポリシーにしてきました。3D化に際しても、このポリシーを踏襲し、最新鋭の3D撮影システムを導入しました。撮影には、マルチパーパスカメラHDC-P1を2台搭載したハーフミラー方式の3Dリグと、3D撮影時の解析・補正でより見やすく安全な3D映像を可能にするマルチイメージプロセッサーMPE-200を採用しました。収録はHDCAM-SRポータブルレコーダーSRW-1/SRPC-1によるデュアル収録により、よりクオリティーの高い3D映像を可能にしました。「古代都市チツェン・イツァー(メキシコ)」篇でも、ピラミッドや天文台などチツェン・イツァーの主要な遺跡の撮影には、この3D撮影システムをそのまま使用しています。

一方、「古代都市チツェン・イツァー(メキシコ)」篇の見どころの一つに、セノーテと呼ばれる天然の泉があります。これはユカタン半島の低平な石灰岩地帯に無数に存在する陥没穴に地下水が溜まったところのことですが、その下層には大規模な鍾乳洞が水没して地底湖のようになっているところがあります。世界の四大文明がすべて大きな河川の近くに発祥していますがマヤ文明には、そのような河が存在せず謎の一つになっていました。実は、このセノーテと呼ばれる泉が真水供給の役割を担っていたのではないかと言われているのです。そこで番組では、この地底湖の水中3D撮影をぜひ行いたいと思い、コンパクトで機動力に優れたHXR-NX3D1Jを番組制作に初めて採用することにしました。

 
テスト撮影を含めて6日間、約3時間の素材をメモリーカードに収録。神秘的な地底湖の美しさや、古代の人間や動物の骨、石器などの貴重な映像を3D撮影




セノーテの水中撮影には、HXR-NX3D1J専用のハウジング(株式会社 後藤アクアティックス社製)を用意し、2D表示のモニター、小型の照明器具を取り付けて撮影を行いました。テープ収録と同様のワークフローを踏襲すべく、収録には内蔵メモリーではなくメモリーカードを使用し、持ち帰って都度確認とバックアップを取るようにしました。撮影はカメラマンにお任せになるので、事前にテスト撮影を念入りに行い、構図などを決めました。このカムコーダーの魅力の一つに、最短で80cmまで対象に寄れる点がありますが、1m〜1m50cmぐらいを目安にしてもらいました。カメラマンは水中メガネを通して見ることや2Dカメラの感覚でどうしても対象に近づきすぎたり、あるいはすごく透明度の高い水中なので遠くまで見えてしまい、3Dコンソーシアムや社内の3D制作規定を超えた見え方をするケースを未然に防止する目的でした。音声については、内蔵マイクで気泡の音など、水中ならではの世界をリアルに再現するようにしました。

テスト撮影を含めて6日間、約3時間分の素材を撮影しています。もちろん、その時の水中の状況などもありすべてがうまくいったわけではありませんが、非常にきれいで、臨場感にあふれたカットも数多く撮ることができました。ソニーが制作した3Dコンテンツ「ハイビジョン美ら海水族館」もそうでしたが、今回の撮影で3Dは水中撮影で特にその魅力を発揮するということを再確認しました。きれいな水中に浮かぶ浮遊物が前後に左右に流れる様子など、3Dならではの特性をいかんなく発揮することができたのではないかと思っています。特に、本来水面下に形成されることがない鍾乳洞の美しさや、特別に撮影許可をいただいた 古代の人間や動物の骨、石器などが水底に沈んだシーンなどは見どころです。

HXR-NX3D1Jで撮影した素材は、メモリーカードに記録されたファイルからHXR-NX3D1Jに付属のソフトウエア「Content Management Utility」を使って右眼用・左眼用のファイルをそれぞれ作成して、それをBS-TBSの3D規定に収まる形で編集し完パケしています。番組の中では約4分ほど使用されていますが、水中シーンということもあり、地上でリグを使った3D撮影システムで撮影した部分とで違和感を感じるほどではなく、「古代都市チツェン・イツァー(メキシコ)」篇の大きな見どころの一つになるのではないかと思っています。

今回の水中撮影に代表されるように機動力の高さがHXR-NX3D1Jの最大の武器。報道性の高い3Dコンテンツ制作などにこれから威力を発揮すると期待




「古代都市チツェン・イツァー(メキシコ)」篇の撮影で使い、また帰国後テストを兼ねて高尾山に出かけて撮影してみましたが、HXR-NX3D1Jの最大の魅力は、やはり機動力の高さにあると思います。水中撮影はその代表例と言えますが、大型の機材が持ち込めない場所での3D撮影に威力を発揮します。地上波の「THE世界遺産」でも以前に高山での撮影に民生用のハンディカムを使ったことがありますが、今後の「THE世界遺産3D GRAND TOUR」でも同様に水中や高山、秘境などの撮影には有効に使えるのではないかと感じました。

性能・機能面もこのカムコーダーの機動力をサポートしてくれます。たとえば、高感度もその一つで、今回の洞窟内の水中撮影を小さな照明器具だけできれいに撮影できたのも、イメージャーをはじめたとした高感度設計にあったと思います。裸眼3D対応の液晶パネルも見やすく、フォーカス確認の際には2D表示にも簡単に切り換えられるなど利便性が高いと感じました。さらに、3Dコンテンツでは音声も重要なファクターとなりますが、HXR-NX3D1Jには取り外し可能なXLRマイクアダプターが付属しているので、用途や目的に合った高品質録音が可能です。

放送を含めて3Dが今後ますます発展するためには、魅力的なコンテンツが質・量ともに豊富に用意されなければなりません。「THE世界遺産3D GRAND TOUR」で制作した番組をアメリカに配信する予定があるなど、3Dコンテンツへのニーズの高さは世界的な傾向とも言えます。HXR-NX3D1Jは小型・軽量で機動力が高く、しかも調整や設定の手間も少なく、極端に言えば誰でも手軽に3D撮影ができます。この特性をうまく活用して、たとえば速報性が要求される番組やドキュメンタリーなどのメインカメラ、サブカメラとして使えば、魅力的な3Dコンテンツが増えていくのではないかと期待しています。

「THE世界遺産3D GRAND TOUR」(BS-TBS)

TBS系列で好評放送中(毎週日曜18:00〜18:30)で、BS-TBSで再放送中(毎週土曜17:00〜17:30)の「THE世界遺産」の3Dレギュラー放送として、2011年4月からBS-TBSで毎週土曜17:30〜18:00に放送中。すでに「アンコール(カンボジア)」、「フィレンツェ歴史地区(イタリア)」、「日光の社寺(日本)」、「ギョレメ国立公園とカッパドキアの岩石遺跡群(トルコ)」、「九泰溝の景観と歴史地区(中国)」、「アントニ・ガウディの作品群(スペイン)」などの全編3D撮りおろし番組を、サイド・バイ・サイド方式でオンエアしています。「THE世界遺産」の魅力の一つとなっている映像美はそのままに、3D放送ならでは臨場感と迫力が加わった番組として視聴者から好評を得ています。

http://www.bs-tbs.co.jp/

株式会社 TBSビジョン

主としてTBSテレビと系列放送局のドキュメンタリー番組を中心に制作する総合プロダクション。テレビでオンエアされる番組だけではなく、イベント事業から展示映像を含め、企業PRやデジタルコンテンツまで、多岐にわたるコンテンツの制作を行っています。3D映像といった新しい技術の研究にもいち早く取り組み、これらを活かしたコンテンツ制作にも力を入れています。『THE世界遺産』『情熱大陸』をはじめ、ドキュメンタリー、情報、バラエティなどの分野で数多くの実績を残しています。

http://www.tbs-v.co.jp/

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