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ドキュメンタリー 野口 健 ヒマラヤ遠征活動報告

アルピニスト

NXCAMカムコーダーHXR-NX70JとNEX-FS100Jを使ってヒマラヤでの学校訪問、登山、清掃など多彩な活動を記録

ドキュメンタリー
野口 健 ヒマラヤ遠征活動報告

世界的なアルピニストとして知られる野口健様は、国内外での登山やトレッキングのほかに、ヒマラヤや富士山での清掃登山、各種基金の設立、環境学校の開校、遺骨収集活動など幅広い社会貢献活動を行っています。2012年4月にも、すでに50回目を超えるというヒマラヤ遠征活動を行い、その記録をNXCAMカムコーダーHXR-NX70JとNEX-FS100JKを使って映像として残されました。

野口健様と、今回のヒマラヤ遠征に同行された山岳カメラマン・平賀淳様に、遠征の目的や活動の内容、ヒマラヤという過酷な気候条件の中でのHXR-NX70JやNEX-FS100Jを使った撮影の様子とその成果などを伺いました。

※インタビュー記事中には一部ソニーの保証の対象外となる内容も含まれます。

基金で建設した学校訪問、清掃活動、登山などの活動を個性の違う2台のNXCAMカムコーダーを使い分けて高画質に記録


野口 健 様


平賀 淳 様

2012年4月に行った約1ヶ月半のヒマラヤ遠征は、キャラバンによる移動を繰り返しながら各地でいろいろな活動を行うのが目的でした。一つは、2008年に設立した「ヒマラヤに学校をつくろうプロジェクト(マナスル基金)」によってサマ村に完成した学校を初めて訪問すること。富士山と連携してサマ村の清掃活動を行うこと。ネパールで20年以上に渡って農業指導を行っている近藤亨氏を訪問して、その活動を広げていく可能性を検証すること。そして、冒険活動の一環としてムスタンのサリブン峰(標高6328m)登山などがあります。結果的に、この登山は気候条件が悪く、断念することになりましたが、これらの活動を行うことが今回の遠征の目的でした。

こうした遠征活動の際には、いつもビデオカメラを持って行きます。活動記録を映像として残すことが主目的ですが、撮った映像は野口健の活動を紹介する番組やニュース、ドキュメンタリー用途に提供したり、講演会の際の資料映像として使用することもあります。従って、高画質であることはもちろんですが、ヒマラヤのような過酷な条件下でも安定性・信頼性に優れた業務用ビデオカメラを選ぶことが多く、これまではソニーのHDVカムコーダーHVR-Z1Jなどを主力機として撮影を行い、用途に応じた編集を行った後、保管・活用しています。

今回のヒマラヤ遠征では、初めてのテープレスモデルとなるNXCAMカムコーダーを選びました。内蔵メモリーを搭載していたり小さなメモリーカードに長時間記録が可能で、従来のようにたくさんのテープを用意する必要がないなど、軽装備で対応できる点は、どうしても荷物が多くなる遠征活動においては大きなメリットでした。しかも、HXR-NX70JとNEX-FS100Jという性能・機能・使い勝手など個性が違う2機種を用意することで、撮影の目的や対象に応じて使い分けてみるというのも、これまでにはない新しいチャレンジでした。

キャラバン移動や、雨や雪の中での撮影には防塵・防滴のHXR-NX70Jをフル活用。ベースキャンプでの雄大なヒマラヤの自然の美しさをNEX-FS100Jで撮影

今回の遠征では、延べ20時間くらいの撮影を行っていますが、そのほとんどはHXR-NX70Jで撮影しています。業務用にふさわしい高画質、コンパクトで機動性に優れていることはもちろん大前提にありますが、一番の理由は防塵・防滴仕様にあります。周知のように、ヒマラヤの気候は位置や高度によってめまぐるしく変化します。季節は春でしたが、場所や時間によって気温は20℃から-20℃まで変化します。また、雨の時が非常に多く、それが雪に変わったことも少なくありませんでした。しかも、雪は湿気が多い、みぞれに近い最悪の状態でした。


ラルケ峠の雪原


サリブン峰に向けてキャラバン

晴れた状態でも油断はできません。ヒマラヤは一年を通してチベット側から風が流れ込んでくる地理的条件のため、埃や塵が非常に多い土地柄でもあります。まさにビデオカメラのような精密機械にとって、これ以上はない過酷な条件下にある場所です。これまでのヒマラヤ遠征においても、こうした塵や雨、雪、気温の大きな変化に対するカメラの対策に悩まされてきました。レインジャケットを装着するなど、カメラそのものにかなり神経を使う必要があり、シャッターチャンスを逃してしまうケースも少なくありませんでした。

IP54相当の防塵・防滴を実現したHXR-NX70Jは、こうした長年の悩みを根本から解決してくれました。XLRユニットを外した状態であれば、埃や塵が舞い上がるような場所でも、雨の中でも、ベタ雪が降る環境でも、カメラの故障を気にすることなく撮影ができました。ガンマイクは使えなくなってしまいますが、内蔵マイクは機能しているので、多少音質は劣るものの音声を撮り逃すことはありません。もちろん、肝心のシャッターチャンスを逃すこともなく、カメラを気にする必要がない分、身の回りの危険箇所に配慮できるので安全確保にも有効だと実感しました。気温差による結露も、装着したワイコンが曇ることはありましたが、収録系のトラブルは一切ありませんでした。

コンパクトなボディなので片手で撮影できるだけでなく、縦・横方向に加え、回転方向の手ブレも補正するアクティブモードも機動性の向上に大きく貢献します。特に今回の遠征では、キャラバンでの移動が多く、トレッキングしながらの撮影時などに威力を発揮しています。小型ながら光学10倍、35mm換算で広角26.3mmの動画撮影を実現したGレンズも非常に有効でした。さらに、GPS機能は撮影ポイントの確認など記録性の向上に寄与しますし、あってはならないことですが、万一の遭難の際に救助を速めるための一助として活用できるのかもしれません。

一方、NEX-FS100Jは、大判イメージセンサーによる高感度・低ノイズ、レンズ交換式という表現力が最大の魅力です。そこで今回は、時間的な余裕が持てるベースキャンプで、ヒマラヤの雄大な自然を撮影する際に活用しました。非常に魅力的な映像を撮ることができたと思っています。本来ならレンズの特性を生かした画づくりや、60pによる雲の動きなどを撮影したかったのですが、それは次の遠征の楽しみにしたいと思っています。このカメラの表現力、創造性を活用すれば、ヒマラヤをはじめとした世界各地の山や秘境の新しい魅力を伝えることができると思います。

滞在中に突発的に発生した氷河の融解に起因する洪水事故の現場を取材。HXR-NX70J/NEX-FS100Jで撮影した映像を内外のテレビ局、ジャーナリストに配信

今回のHXR-NX70JとNEX-FS100Jの活用事例には、実はまったく予期しなかった出来事とその取材も含まれます。サリブン峰登山を断念した頃に、マチャプチャレ峰付近で洪水が発生したというニュースが飛び込んできたのです。ヒマラヤでは、以前から温暖化に伴う氷河の融解や、それによって誕生した氷河湖の決壊などが問題となっていました。僕たちもこの問題をテーマの一つとして取り組んでいたこともあり、すぐにヘリコプターをチャーターして現場に飛びました。そこで氷河が融解して川を塞き止めたことによる洪水であることが判明しましたが、一つの村が流されてしまうなど悲惨な状況であることに変わりはありませんでした。

現地のメディアもまだ入っていませんでしたので、HXR-NX70JとNEX-FS100Jを使って上空からの撮影や、現場での取材撮影を行いました。その映像は、内外のメディアやジャーナリストに配信しました。映像が持つリアリティーをもって、現地から悲惨な状況と、その遠因となっている温暖化の問題を発信してもらう目的からです。できれば、こういう使い方はせずに済めばよかったのですが、不本意とはいえ、環境問題を考える上で、あるいは将来のために行動を起こすための貴重な取材映像を残すことができました。

この偶発的で不幸な出来事を含め、今回のヒマラヤ遠征では、冒険家としての活動はもちろん、山岳カメラマンやビデオジャーナリストとしての取材映像をHXR-NX70JやNEX-FS100Jによって残すことができました。特に、HXR-NX70Jはヒマラヤという気候条件の厳しい環境で防塵・防滴を含めた機動性をいかんなく発揮し、トラブルも一切なく撮影を完了できた意義は非常に大きいと感じています。ヒマラヤでOKということは、国内はもちろん、世界各地の厳しい環境下でも撮影が可能ということになります。今後の国内外での幅広い遠征活動にも、ぜひ取材撮影の主力機として運用していきたいと思っています。

野口健

のぐち・けん●アルピニスト。1973年、米国ボストン生まれ。亜細亜大学卒業。1999年のエベレスト登頂により、7大陸最高峰世界最年少登頂記録を25歳で樹立(当時)。その後もアルピニストとしての登山、トレッキングのほか、ヒマラヤや富士山での清掃登山、シェルパの子女への教育援助を行う「シェルパ基金」、ネパールの子供たちのために学校を作るプロジェクト「マナスル基金」、次世代の環境問題を担う人材育成を目的とした「野口健環境学校」の開校、沖縄での遺骨収集活動、生物多様性の価値と保全を訴える「センカクモグラを守る会」など幅広い社会貢献活動や講演会活動を行っている。また、テレビ局のカメラマンを目指した時期もあるなど、写真や映像に対する造詣も深く、19歳でのマッキンリー登頂の頃からビデオカメラを携帯し撮影。現在も、ブログ等で紹介している写真、講演等で活用されている映像には自身で撮影されたものも多く、その腕前は趣味の領域を超える。

http://www.noguchi-ken.com/

平賀淳

ひらが・じゅん●山岳カメラマン、世界中のアウトドアフィールドで活動するプロフェッショナル映像制作事務所OFFICE DAISHIZEN代表。1978年、山梨県生まれ。韮崎高校山岳部出身で、2007年にエベレストにカメラマンとして登頂するなど、国内外で撮影登山、トレイルランニング撮影、アドベンチャーレース撮影、モータースポーツ撮影などに活躍。野口健氏の活動にカメラマンとして同行することも多い。機動力が高くタフに使えるHXR-NX70Jはまさに自分仕様のカメラだと高く評価し、アウトドア撮影を中心にフル活用中。

http://www.daishizen.biz/

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