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ドキュメンタリー ダカールラリー2014 Team HRC(Honda Racing Corporation)

プロダクション

世界一過酷なモータースポーツ競技に参戦したTeam HRCの活躍の様子をNXCAMカムコーダーHXR-NX3で撮影し、世界中のオートバイ、ホンダファンに配信

ドキュメンタリー
ダカールラリー2014 Team HRC(Honda Racing Corporation)

2014年1月5日にアルゼンチンのロザリオをスタート、ボリビアを経て18日にチリのパルパイソでゴールを迎えた「ダカールラリー2014」。Team HRCは、2013年に続き、モト(二輪)部門にHonda CRF450 RALLYで参戦し、6つのステージ優勝を記録するなど大きな成果を得ました。2週間に及ぶ激しい戦いの様子は、主にNXCAM カムコーダーHXR-NX3で撮影され、各ステージ終了ごとに撮影素材を編集して、連日Webサイトを通して世界中に配信されました。

Team HRCで撮影監督を務めた有限会社rpm films代表取締役 大野晴嗣様に、世界一過酷と言われるレースにおける撮影環境やカメラに求められる条件、今回使用したHXR-NX3の成果、使用感、今後のモータースポーツ撮影での可能性などを伺いました。

※インタビュー記事中には一部ソニーの保証の対象外となる内容も含まれます。

過酷な環境下で撮影機材に求められる条件はコンパクトで機動性に優れていること NXCAMカムコーダーHXR-NX3は、この条件を満たしていると判断して採用


大野 晴嗣 様

今回、Team HRCは、全行程全長8,734km、13ステージに分けられた競技区間が5,228km、196台がエントリーしたモト部門に参戦しました。南米大陸を舞台に、砂漠やガレ場、富士山を超える標高4,200mの高地など過酷な競技コース設定に加え、日中は40℃を超える温度変化や急な雨などの気候条件も選手達を苦しめます。こうした厳しい環境は、選手達ほどではないとしても、競技関係者、世界から集まったチームのメンバー、プレス関係者にとっても厳しい環境であり、それは、私たちのような撮影担当チームにとっても例外ではありません。

まず、撮影機材の選定に神経を遣わなければなりません。全競技区間をトラブルなく撮り終えることができる信頼性、安定性は当然のことですが、それ以外にも大きく二つの要件を満たしていなければなりません。一つは、撮影機材をいかに少なく、コンパクトにまとめることができるか。二つ目は、つねにカメラを手元に置いて、いつでも撮影できる体制がとれるか。いかにいいカメラであっても、この二つの要件を満たしていないと、今回のダカールラリーのような撮影に使用することはできません。

こうした要件を満たすカムコーダーとして注目したのが、今回の撮影で採用したHXR-NX3でした。事前にテスト撮影を行い、コンパクトで機動性に富み、柔軟に運用できると判断しました。また、これまでにもHXR-NX5J、HXR-NX70JといったNXCAMカムコーダーを使い慣れており、性能・機能・操作性に対する信頼感もありました。つい先日も、個性は少し異なりますが、NEX-FS700を冬の寒さが厳しい北海道でのCM撮影に使用し、無事に撮影を完了しています。こうしたNXCAMシリーズの使用経験や、ノウハウの蓄積もあって選定に迷いはありませんでした。


HXR-NX3


40℃を超える高温


4000mを超える高地

ライダーの走行、各ステージのゴールシーン、インタビューなどを撮影 その日のうちに編集して、衛星通信回線を介して世界中のファンに配信


常用しないスイッチ類は、砂塵対策で目張り


独自製作のオンボードカメラ

Team HRCの撮影は、基本的に2名で行いました。私がHXR-NX3を持って、プレスカーなどに乗ってライダー達を追いかけ、走行のシーンやコース内の自然・風土、各ステージ終了後に行われるライダーのインタビューなどを撮り続けました。もう一人は、別のカメラを持って撮影も行いますが、基本的に編集担当で、基本的に飛行機で各中継ポイントを移動するという体制です。撮影した素材は、当社独自製作のオンボードカメラの映像なども必要に応じて加えながら、その日のうちに編集して、衛星通信回線を利用してWebサイトにアップロードして世界中に配信しました。

今回、HXR-NX3を採用して一番の評価点は、トラブルなく無事に全競技期間を撮り終えることができた点です。想定していたこととはいえ、気候・風土といった環境面だけでなく、事故やエンジントラブルなど、いつ何が起こるか分からない競技なので、つねに身近に置き、状況の変化にも臨機応変に対応できたことは高く評価できます。HXR-NX3は、当初からの私の期待に見事に適応してくれたということです。もちろん、性能・機能・操作性の点でも十分に満足できるものであり、従来のカムコーダーにはなかった、いくつかの特長も今回の撮影で威力を発揮してくれました。

最大40倍全画素超解像ズーム、2個搭載のメモリーカードスロット、秀逸な内蔵LEDライト、長時間バッテリーなどにメリットを実感

まず基本画質について、従来のハンディタイプのカムコーダーに比べて一段高い解像感とノイズ特性を感じましたが、その中でも印象に強く残った点がいくつかあります。一つは、優れたレンズ性能です。広角28.8mm、光学20倍ズームは競技コースの豊かな自然から、ピンポイントで狙いたいシーンまで広い画角で画づくりをサポートしてくれました。そして何より最大40倍(1152mm)の全画素超解像ズームの画質には驚きました。コンバージョンレンズを装着することなく、ワイド側からテレ側までの広範囲をシームレスに撮影できるので、走行するライダーとマシンを遠くから捉えたり、ピットワークでのライダーやメカニックの表情のアップなどを撮影する際に、大いに威力を発揮してくれました。

内蔵LEDライトも秀逸な存在でした。小さな面積ですが、暗闇では十分な光量があり、照明機材なしでも夜間の撮影が可能でした。色温度が約5500KのLEDなので、3200Kに変換するフィルターを小さく切って貼りました。海外から集まったカメラマンの中には、HXR-NX5などのハンディカムコーダーを使っている人も数多くいましたが、このLEDライトには興味津々の様子でした。それと、中継ポイントでは夜間にベースキャンプ内を動き回ることもあるのですが、そうした時にはライト代わりにも使えて非常に便利でした。


自作の色温度変換フィルターを装着

本体に装備された2つのメモリーカードスロットも有効でした。前述しましたように、今回の撮影の主目的は、その日のうちに編集してWebに配信すること。そのため、撮影したメディアを次々に編集側に渡す必要があります。その一方で、次の撮影に入る必要もあります。2スロットあることで、この作業工程をスムーズに行うことができました。また、埃の多い現場では、なるべくスロットの開け閉めを避けたいので、AVCHD個別・同時に加え、リレー記録にも対応しているので安心できます。

今後も国内外のモータースポーツ競技の撮影に有効活用したい 同様の環境下での撮影が求められる山岳カメラマンにも喜ばれると思う

HXR-NX3を運用してみて好印象だった点はほかにもあります。たとえば、最大60fpsのスロー&クイックモーション機能もその一つです。スローモーションは、30p収録だと最大2倍速ですが、ENGスタイルのドキュメントタッチの映像に加えることで、映像表現の幅を広げることができます。実際、エントリーしたマシンのテスト走行時に使ってみましたが、ダイナミックな走行シーンを情感豊かに表現することができ、マシンとライディングをより魅力的に、臨場感豊かに捉えることができたと感じています。欲を言えば5倍速スローぐらいが欲しいのですが、どうしても必要な場合にはカメラを使い分けてNEX-FS700のスーパースローモーションで240fps収録しています。

また、手ブレ補正機能も機敏で柔軟な撮影、撮り逃しができないシーン撮影で効果的に機能しました。さらに、ロングバッテリーライフも、機動性に富んだENGスタイルでの撮影を強力にサポートしてくれます。今回は、いつ、どこで撮影スタートしなければならないか分からないことが多かったので、HXR-NX3はつねに身近に置くとともに、電源はONでスタンバイしていました。バッテリーは予備を含めて3個持って行ったのですが、2個の使い回しで十分対応することができました。

機動性と安定性に優れ、コンパクトサイズながら豊かな表現力を持ったHXR-NX3は、幅広いコンテンツ制作で活躍すると思います。特に、今回のようなドキュメンタリー系コンテンツでは有効に活用できると思います。たとえば、ダカールラリーと同様の厳しい環境下での撮影が求められる山岳カメラマンには、うってつけのカムコーダーと言えるのではないかと思います。当社でも、主力業務である国内外のモータースポーツ競技の撮影などに積極的に活用していきたいと考えています。

有限会社rpm films

2001年創業の映像制作会社。企業プロモーション・イベント・CF・Webなどの幅広い映像コンテンツ制作の企画・制作を行っている。特に、エンジンのタコメーター回転数に使われるrpm(Revolution per Minute)を社名に採り入れていることに象徴されるように、自動車、オートバイ関連の映像制作おいて定評と実績があり、二輪、四輪のPR映像およびモータースポーツ映像の企画・制作のほか、特殊撮影や撮影機材の開発、製作、販売も行っている。創業者であり、代表取締役を務める大野晴嗣様は1964年生まれ、1986年大阪芸術大学映像制作学科卒業。1987年からルマン24時間レースを10年連続で取材したほか、二輪世界GPやWRC(世界ラリー選手権)などを多数取材する。1997年にはNHKスペシャルのカメラマンとして、パリ・ダカールラリーを撮影するなど豊富な経験を持ち、現在も世界各国の二輪・四輪撮影で撮影監督を務めている。

http://www.rpm-films.com

ダカールラリー2014 Team HRC(Honda Racing Corporation)


※ピットワークやインタビュー映像はHXR-NX3で撮影されたものですが、空撮など一部の映像は主催者側が撮影したものです。

ダカールラリーは、1979年にパリ・ダカール間でラリーレイド競技としてスタート。通称パリ・ダカと呼ばれ、世界一過酷なモータースポーツ競技として知られます。2009年に舞台を南米大陸に変更してからも、出場者全員が「完走者はすべて勝者である」という共通認識でデッドヒートを繰り広げる過酷さは変わりません。かつてこのレースのモト(二輪)部門で総合優勝5度の実績を誇るTeam HRCは、2013年に24年ぶりにワークス参戦を再開、2014年もHonda CRF450 RALLYで参戦しました。結果、6つのステージ優勝を記録し、終盤まで常に表彰台圏内で争いを続け、さらにはタフで激しい2週間の戦いをエンジン無交換で戦い抜くなど、大きな成果をあげました。このTeam HRCには撮影隊も参画し、各ステージでのライダー達の活躍の様子やインタビューなどを、毎日衛星通信経由でWebサイトにアップし、世界のレース、オートバイ、そしてホンダのファンに配信しました。

http://www.honda.co.jp/DAKAR/race2014/movie/

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