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映画「裏アカ」

監督 加藤卓哉 様 / 撮影監督 池田直矢 様

「肌を綺麗に撮れるカメラを使いたい」だからVENICEを
内蔵NDとDual Base ISOで自在に被写界深度をコントロール

映画「裏アカ」(主演:瀧内公美)の制作にあたり、CineAltaカメラVENICEが使用され、2021年4月2日から全国ロードショー公開されました。

監督 加藤卓哉 様
監督 加藤卓哉 様
撮影監督 池田直矢 様
撮影監督 池田直矢 様

“肌を綺麗に撮れる”最高のVENICEで

加藤様 この「裏アカ」は、表参道や渋谷など、東京の華やかな世界で生きる“30代の女性の渇き”ともいうべきものをテーマにした作品です。東京の今の街を艶っぽく、きらびやかに撮りたいだけでなく、作中では、主人公の女性がSNSの裏アカウントで下着姿を投稿してしまうようなシーンもあり、「肌を綺麗に」撮りたいと考えていました。
私は元々ソニーの半導体部門でエンジニアをしていてPSP周りの開発などに携わっていたのですが、東映には映画監督を目指して芸術職の中途採用で入社しました。ソニー製品については、ミラーレスもα7 IIIを使っていたり、コンパクトデジカメもRX100シリーズを所有していたりするなどソニー製品を愛用してきました。CineAltaシリーズの最初のモデルHDW-F900もハリウッドで使われているのを見て、当時ソニー社員だった私としても誇らしく感じていました。その頃から「自分が映画監督になったらソニーのカメラで撮りたい」と思うようになっていました。今回は私の長編デビュー作ということあり、毎回撮影をお願いしている撮影監督の池田さんに、ソニーの最高峰のデジタルシネマカメラ「VENICE」を試してみたい、と相談しました。
もちろん、ソニーだからいいわけではなく、元エンジニアなので「最高のものを使いたい」という気持ちが一番です。今まで、他のいろいろなカメラで撮られた作品も見てきましたが、他のカメラの表現で特別「いいな」「綺麗だな」と思ったことはありませんでした。そして、実際にカメラテストでVENICEの画を見た時に「これは綺麗だ。」と感じ、選択は間違ってなかったと思いました。

池田様 加藤監督の作品では、今まで短編やパイロット版などを撮らせていただいていますが、カメラの指名をいただいたのは今回が初めてですが、自分もやっていて楽しく感じています。「裏アカ」では、一部カメラ台数が必要なシーンではPMW-F3も併用しています。

Super35mmをベースに、ここぞというシーンはフルサイズで

池田様 「裏アカ」ではSuper35mmでの4K撮影をベースにしつつ、一部のシーンでフルサイズ6K撮影を行いました。記録は全篇X-OCN STで行いました。フルサイズ撮影は24mmと35mmレンズを使ったシーンで行っています。仕上げは2Kのアメリカンビスタサイズです。
今でこそフルサイズ撮影はだいぶ増えてきていますが、「裏アカ」がクランクインをしたのは2019年です。フルサイズ撮影は、まだ当たり前の状況ではありませんでした。クランクイン前から、単に「VENICEで撮りました」以上の「VENICEを選んだことに意味がある」撮り方をしたいと考え、いろいろテストを行いました。長玉(望遠)だと、被写界深度も必然的に浅くなり、長玉でフルサイズを活かす、というのはピンと来ませんでした。そこで、ここぞというシーンのワイドに絞ってフルサイズ撮影することにしました。僕は比較的、人間の心象が撮れる手持ち撮影が好きなのですが、VENICEのフルサイズでワイドレンズを使って撮ることは、その点でもマッチしていました。

6K撮影で可能になったトリミングでの「寄り」表現

加藤様 今回の撮影では1回しか撮るチャンスがないようなシーンがありました。池田さんから提案を受けて、6Kフルサイズのワイドで撮り、トリミングで寄るという演出を比較的頻繁に使いました。今までそういう撮り方をしたことはありませんでしたが、2K作品を6Kで撮るからこそ可能になった表現でした。

デュアルベースISO機能があってこそ撮れたシーン、X-OCNで感じた立体感

池田様 今回は、VENICEに標準で備わっているS709のLUT(ルックアップテーブル)を使い、S709でモニタリングをしながら撮影を行いました。日本ではなかなかグレーディングに時間をかけられないので、S709の中で綺麗に撮れるよう、照明技師の舘野さんとも相談をして撮影を行いました。従って、S709の中でイメージしたものをそのままに映画に仕上げたような形になっています。独自のLUTを作って入れて、オリジナルのルックで撮影する現場もありますが、それにはしっかりしたテストが不可欠です。過去にF55で独自のLUTを入れて撮ったこともありますが、ちゃんとテストしきれないままのLUTを入れるとうまくいかないこともあります。VENICEにはS709という完成度の高いLUTが予め入っていますので、S709をベースに仕上げた方が確実な仕上がりになります。
ラチチュードについては、最近のカメラは十分に広いので、不安は全くありませんでした。今回、特に活躍したのが、デュアルベースISO機能です。主人公の女性が、SNSを通じて知り合った男性の部屋で一晩を過ごすシーンがあるのですが、照明技師の舘野さんとも相談し、オレンジ色の光を1灯打ち込んだ照明で撮っています。デュアルベースISO機能を活用することで、ISO500と2500を切り替えながら、過酷なライティング環境の中で被写界深度をコントロールしながら撮ることができました。窓向けのツーショットや、ベッドで寝ているショットはフルサイズで撮っていますが、VENICEだからこそ撮れたシーンだと思います。
X-OCNの16bitリニアが持つ階調も大きな強みでした。仕上げをしているときに実感しましたが、オレンジ色のワンライトの中、色で表現できる立体感はVENICEならではだと感じました。

8ストップ内蔵NDとフルサイズ&デュアルベースISO機能が生む相乗効果

池田様 撮影の時には、被写界深度をどうとるか、ということを常に考えています。デュアルベースISO機能だけでなく、8ストップの内蔵NDフィルターに加えて、フルサイズとSuper35mmの切り替えで微妙な深度調整ができます。Super35mmでは24mmレンズでしか撮れない画角が35mmレンズで撮れるだけでなく、深度も思いのままになる。撮っていて楽しいカメラです。同じシーンでもISO500と2500を切り替えて撮影しているシーンがたくさんあります。感度や設定を変えることで何か支障を来すような不安はありませんでした。ナイター(夜間撮影)でも被写界深度に制約を与えることなく撮れるのが魅力です。まるで2種類のカメラを持って使い分けているような感じがするほど表現域の広いカメラです。また、フィルター入れたり抜いたりする時間が必要ないので、監督がいきたい、役者がやりたい、といった瞬間を逃さず撮れるカメラです。
使い勝手の面でも直感的に使えます。ソニーのカメラは「クライマーズハイ」という作品でHDW-F900に触れたのが最初で、最近ではF55なども使って来ました。VENICEはF55に比べても、とても使いやすくなり、黒や暗部のノイズ感が驚くほど向上しました。一方、今回も一部で使っているPMW-F3はシンプルで使い勝手が良く、黒がとても気に入っているカメラです。VENICEは使い勝手が良い上に黒が綺麗、さらに色に立体感がある、ということで、今までのソニーのカメラそれぞれの良かったところが1つにまとまった上にプラスαが乗ったようなカメラですね。
今回は必須ではなかったので使いませんでしたが、カメラヘッドを延長するエクステンションシステムも今後是非使ってみたいと思います。小さいデジタル一眼などと合わせて使って、画の合わせ込みに苦労するくらいなら、全てをVENICEで撮った方が良いので、VENICEを選ぶ理由になります。それを前提とすることで、ロケハンから変わってくると思います。

フルサイズのハイスピード撮影も積極的に

加藤様 ハイスピード撮影を使ったシーンもいろいろありました。代表的なシーンは、主人公が走り出すという最後のシーンです。プロデューサーからも「一番良かったカット」と言われました。元々はハイスピードを使うつもりではなかったのですが、池田さんから提案を受けてハイスピードで撮りました。結果として、とてもいいシーンに仕上がりました。他にも、主人公が桜を見ているシーンにもハイスピードを使っています。

池田様 桜のシーンは、ハイスピードと同時にフルサイズで撮影しています。ハイスピードについては、どのシーンも上限は60fpsくらいで撮りました。

VENICEは”世界で勝負できるカメラ”、次回作もVENICEで

池田様 最近は、機材の変化のスピードが速くなりました。性能は素晴らしくても、使いこなせて初めて発揮されるものです。しかし、使いこなせるようになる前に次の機材に移ってしまったり、カメラに限った話ではないのですが、ちょっと使ってみただけで「この機材はいい」「この機材は悪い」と言ってしまう風潮に危機感を感じていました。今回PMW-F3などを組み合わせて使ったのも、そういう理由からです。こういうカメラの組み合わせをする人はいないと思いますが、とても意義深いものでした。
先のオレンジ色の照明のシーンでは同時にPMW-F3も使っているのですが、VENICEの限界を引き出した「艶っぽい」表現を狙ったこともあり、差は大きく出てしまいました。わかっていたことではあるのですが、ちょっと悔しさが残る部分もありました。一方、大衆食堂というか居酒屋のシーンがあるのですが、こちらではテークを重ねず一気に撮るためPMW-F3なども合わせた計4カメで撮りました。VENICEにトーンを合わせ込むのは無理があるので、他のカメラに合わせ込む前提で撮り、「艶っぽさ」を狙うシーンとは色表現でメリハリをつけました。このシーンでは各カメラでの違いはあったものの、ストレスなくマッチングをすることができました。一方で、PMW-F3もまだまだ使えるカメラだと思っていたのですが、改めて技術の進化や時代が変わったことを感じさせられました。
実際にVENICEでなければ撮れなかったと思えるシーンはいっぱいありました。そして監督が「VENICEを使う」と言ってくれなければVENICEで撮ることもなかったと思います。観客の皆さんがその差を意識して気づくことはないかも知れませんが、見た人の潜在意識には必ず届くいい画が撮れたと思います。

加藤様 今回、VENICEで撮った仕上がりにはとても満足しています。次回作以降もVENICEで撮りたいと思っています。企画力も上げ、演出力も磨き、より多くの予算をつけてもらい、次はオールVENICEで撮れるように頑張っていきたいと思います。

映画「裏アカ」ディレクターズカット版予告

映画「裏アカ」公式サイト

http://www.uraaka.jp/

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