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「ROOTS 日本の原景」撮影記Vol.09
近江・琵琶湖夢幻韻 其の1

滋賀県の旧国名は近江(おおみ)という。江というのは大きな川や海、湖のことを指す言葉で、ここでは大きな湖のことをいう。つまり琵琶湖。これの対語である遠江(とおとうみ)というのは、いまの静岡西部、つまりこれは浜名湖をさす。近江の国は古来、都と東国を結ぶ、また北陸、越の国に向かう大変な交通の要所で、歴史上にも文学にも、いくつもの逸話が残されている。奈良平安の素朴な旅。東国の戦国武将が天下取りのためにまず足がかりにする湖南。また権力を追われて都を落ちる時に通る水辺の道。また各地の産物が都を目指して通る道。いくつもの重要な街道や、また湖上の船の移動、それらが幾多の人々の悲喜こもごもの人生のもとで行われてきた。それが各地に逸話として残っている。今、琵琶湖を旅する時、これらのことを思わずにはいられない。だから琵琶湖の風景は特別なものがある。湖上の朝日、夕日、霧の出た日、雲の低い日、また素晴らしく晴れ上がった日の、決して鮮やかすぎない澄んだ青色は、見るものを遥か昔に誘い、古代からの日本人の旅というものに思いをはせさせてくれる。湖畔に座って一夜を過ごしていると、今居るのが現代なのか古代なのか曖昧になる。今にも目の前を江戸時代の丸子船が、いやもっと古代の屋根もないような小さな手漕ぎ船が目の前に現れ、また闇に消えて行くのを見るような気がしてくる。夜明けとともに対岸の空が光で溢れると、一人の武士が横から水辺に立ち現れるような気がしてくる。幻想の旅。夢幻の旅。琵琶湖を旅するときはいつも夢うつつになる。

近江舞子からの夜明け

近江舞子は、大きな駐車場と湖水浴場、キャンプ場など備える大観光地だが、シーズンでなければ人気はなく湖畔でゆっくり過ごすことができる。夜明け、対岸に見えるのは沖島と近江八幡あたりの山々。日の出の薄紅の時間が終わって、日は少し高くなり、雲の間から光を漏らす。雲が厚い日にも、快晴の日にはない光の芸が見られることがある。ひたひたと動く湖面の水の表情を逃さず写真にしたい。

α7R II,FE 16-35mm F4 ZA OSS,F7.1,1/320秒,ISO100

高島市鵜川・白髭神社の鳥居

琵琶湖西岸の真ん中あたり、白髭神社の大きな鳥居が湖の中に立つ。この神社は滋賀県でも最古と言われる神社で、祭神は猿田彦の命。猿田彦は、アマテラスの孫、ニニギが天孫降臨したとき付き添っていた白髪、白髭の老人で、だから白髭神社。ちなみに、ニニギはのちにコノハナノサクヤヒメを娶る。この姫はご存知富士山に宿る女神ですね。いや、昔話はさておき、日はもう随分前に登り快晴になったのに、朝霧が残り湖面近くは白く霞んで居る。風がないので波はなく、湖面は揺らいで映す鳥居を面白く歪める。ここも有名な観光地で誰もが撮るこの鳥居だが、この日この時の光や自然を生かして、そうね、何かおおらかな古代の空気感がある写真を撮ろうと思った。

α7R II,FE 16-35mm F4 ZA OSS,F7.1,1/320秒,ISO64

近江八幡・水が浜の日没

これは上の写真の対岸の、琵琶湖南東部、近江八幡。長寿祈願で有名な長命寺のある半島のそのもう少し奥、素敵な湖畔カフェがあることで知られる水が浜からの夕日。斜めに落ちる夕日と葉のない古木の位置、それと右の葦の草叢、それらがいい感じの配置になる場所を見つけ、あとは太陽が程よい位置に来たらシャッターを切ろうと水辺に座っていたら、六羽のガチョウがガアガアとやって来て、ちょうどいい場所にたむろした。「そのまま、そのまま。」と小声で言いながら、夕日の位置を確かめて、全体の構図をもう一度チェックして写真した。これもまた幻想の琵琶湖だ。

α7R III,FE 16-35mm F4 ZA OSS,F7.1,1/1600秒,ISO200

沖島のスジエビ漁

沖島は琵琶湖に浮かぶ、全国で唯一の淡水湖での有人の島。と言っても寂しい離島ではなく、昔ほどではないにせよ、結構活気のある島だ。島の小学校こそ生徒数は減ってしまったが、大人たちは元気に暮らしている。フェリーに乗って夕方島に着いた時に、港でたくさんの漁船を見たが、どうせ年寄りばっかりだろうから、実際漁に出る船はほんの少しだろうとたかをくくっていたら、翌朝起きて見ると全ての船が出払っていた。 この島に住む人たちは、古来、琵琶湖の恵みを漁って暮らしを立てて来た。漁協長にお願いして、琵琶湖名産のスジエビ漁の船に乗せていただいた。早朝暗いうちに船は出て、明るくなる頃に漁場に着き網を下ろす。漁は夫婦二人でする。男は船尾で船を操り、女が船首で網をさばく。そして網をウインチで巻き上げ、最後のいよいよ獲物が船に上がるという時だけ、二人は寄り添い肩を並べて、力を合わせて網を引き上げる。それはこの漁で一番力がいる時なのだ。もう何十年もこうして二人で漁をしているので、交わす言葉は少ないが、見事に呼吸があっている。古代から連綿と続く人の営みの、素敵な時間を見せていただいたと思った。

α7R II,FE 24-105mm F4 G OSS,F4,1/250秒,ISO100

琵琶湖西岸・今津浜あたりから

また西岸に戻って、もう湖北といってもいい高島市今津浜へ。ここらあたりまで来ると人家もまばらで、湖畔の好きなところに静かに座っていられる。空は晴れ渡っているが海辺とは違って風も透明で、それでいてどこか淡い色合いがあり、これはこれで白昼の夢、といった感じになる。見ると、琵琶湖最大の聖地、竹生島と、これも聖なる山、伊吹山が湖上に重なって居る。こりゃあ、ここは特別な場所だな、と写真にすることにした。直列した二つの聖地からのパワーがこの場所に直噴して来る、、と言いたいところだが小澤はあんまりそういったことがわからない。しかしそんな小澤でも、ちょっとは何か感じそうな白昼の絶景でありました。

α7R III,FE 100mm F2.8 STF GM OSS,F5.6,1/5000秒,ISO200

琵琶湖周辺は、汲めど尽きせぬ、興味深い光景の宝庫だ。今回お見せしたのは、小澤の琵琶湖の旅のほんの一部。いづれまた機会があればこれ以外の面白い場所もお伝えしたい。今回お見せした写真に使ったレンズは、どれも大変高細密の描写をするズームレンズだ。昔は単焦点に比べてズームレンズの描写は、こういった細密な描写をしたい作品を撮るにはイマイチ劣っている感じだったが、今のズームレンズは素晴らしく進化して、単焦点に比べて遜色ない。皆さん活用していただきたい。また最後に載せた写真はFE 100mm F2.8 STF GMで撮っている。え?風景写真にSTF?と思われるかもしれないが、実はこのレンズは、ボケが綺麗なだけのレンズではない。大変な高性能で高細密なレンズなのだ。それについては、次回にもっとお伝えできると思う。

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