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「ROOTS 日本の原景」 撮影記 Vol.8
富士山・素顔の霊峰 其の2

前回に続いて、もう少し富士山を撮ってみよう。
富士山はとても大きく遠くからでも良く見えるので、絵にする時、手前に何を入れるかで大きく表現が変わる。江戸時代に富嶽三十六景をかいた葛飾北斎も、実にいろんなものを富士の手前に描き、印象的な構図にしている。まあ、北斎のように物凄いものは出来なくても、その発想に学んで色々試してみたい。 手前の物と富士をうまく配置するという時、望遠レンズの持つ絵の特徴と、ワイドレンズの持つ絵の特徴をよく理解して、それぞれに合ったやり方をして行く。今回は望遠系として前回と同じく、FE 100-400mm F4.5- 5.6 GM OSS。ワイド系として、手頃な標準ズームのFE 24-105mm F4 G OSS を主に使って撮影した。100-400はGM、24-105はGの称号を冠したα最高クラスのシャープで細密な描写をするレンズだ。 撮影したのは、忍野八海、大瀬崎、三保の松原、十里木の草原と、古来富士を見る名所と言われる所。それぞれの場所で、そこに合った前景を工夫するのは楽しい作業だった。

忍野八海

ここには古い日本の建物が移築されたり再現されて並んでいる。雪が降った後、晴れて空が澄み渡った日、濃い青と真っ白と暗い茶色で作って行く絵が面白い。ワイドレンジにして、手前の建物を大きく、富士は小さく顔を覗かせるくらいにして、かえって印象的な富士になった。

α7R II FE 24-105mm F4 G OSS 24mm,F 8,1/1000秒,ISO200

西伊豆・大瀬崎

これは大風景。印象的な形の大瀬崎を手前に入れて、箱根の山、富士はもちろん、大きな駿河湾の向こうに静岡の街々。南アルプス連峰、そしてそのまた向こうに北アルプスの白い山並みが見える。24-70mmの標準ズームを35mmぐらいで使って、全体を公平にクリアに撮ってその配置に気をつけて画角を決め絵にする。あまりワイドではせっかくの遠景が小さくなりすぎ、望遠では視野が狭くなる。ちょうどいいところを見つけなくてはいけない。

α7R II FE 24-70mm F4 ZA OSS 38mm,F9,1/1250秒,ISO200

静岡/清水・三保半島から

三保半島の海岸で富士を見ていたら、巨大なコンテナ運搬船が清水港に向かって入ってきた。これは面白い前景だ。100-400mmのテレ端で思いっきり富士を引きつけて撮る。ここまで超望遠で画角一杯に船を入れると、その進むスピードは思ったよりずっと早い。ちょうどいい位置に来るのは一瞬だ。今だという時、手前をヨットが通りかかった。ますますチャンスは一回しかない。小澤は連写はしないので、息を詰めて、大げさに言えば、渾身の一枚を撮った。どこかユーモアのある一枚になったと思う。

α7R III FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 244mm,F10,1/2000秒,ISO200

三保松原

三保の松原といえば大変な観光名所だが、松の木は密生しているので写真にはしづらいかもしれない。それにこの時、海岸線は広い範囲に工事中で、立ち入り禁止の状態だった。そこで、100-400mmのテレ端で、画面を極端に単純化し、松の枝ぶりをシルエットにしてフォルムの対比で見せることにする。松は日陰でアウトオブフォーカス、富士は明るく、ものすごく細密なディティールで、という対比が狙い所。

α7R III FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 253mm,F8,1/2000,ISO200

裾野市須山あたり

この辺りは自衛隊の演習場の中を道路が走り抜けていて、道の両脇はもちろん立ち入り禁止だが、道路脇にスペースのあるところに車を止めて、演習場になったおかげで手付かずの溶岩原越しの富士を見ることができる。24-105mmのワイド端で、手前の荒地の様子をたっぷりと見せ、その向こうに端正な富士を対比させる。何本か立つ葉を落とした木々の配置に気を配ることはいうまでもない。

α7R II FE 24-105mm F4 G OSS 24mm,F11,1/800秒,ISO100

写真を撮るときに、主となる被写体のみを大きく見せ、背景をぼかして主体を強調するというやり方もあって、それはそれでまた違う工夫も多くあり面白い手法なのだが、そのときにはレンズの持つぼけの綺麗さが大切になる。αのEマウントレンズの中でも85mmや135mmの中望遠のレンズは、開放近くで使った時の美しいぼけ味には定評のあるところで、その辺のことについては、また機会を見てお話ししたいが、前回と今回の富士山の撮影では、むしろ高解像のレンズで、パンフォーカスに近い状態で、つまり絞りをしっかり絞って、シャープさの際立った写真にするというやり方の中で、いくつかのアイデアをお見せしました。富士山は魅力的な被写体で、作者の意図によって千差万別の表情を見せます。富士を撮った名作は、すでにたくさんあるけれど、先入観にとらわれないで、最新の高性能レンズで独自の作品を生み出してください。

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