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「ROOTS 日本の原景」撮影記 Vol.1
沖縄本島の御嶽(うたき)の旅

 御嶽というのは沖縄諸島における聖地、神の宿る場所、あるいは先祖を祀る場所で、その場所は大きな岩であったり、森であったり、山であったりする。そしてそれは14世紀から19世紀にかけて沖縄諸島を統一支配した琉球王朝が、それまで各部族、各集落にそれぞれにあった、それぞれの信仰の場所や神の場所、また古い言い伝えのある場所を、統一して呼ぶことにした言葉である。

 このことは、本州や四国、九州における日本人の神の定義と同じで、統治者が国を統べる時、すべての集落の自然神的な神をすべて認め、すべてを正当な神々とするという、ヤオヨロズの神の発想と同じ考え方だ。その考え方の方が西洋や中東のような一神教の考え方より、国の統治がうまくいくという知恵があるのだと思える。

 ここでも勢力争いの戦があり、雌雄が決して強者が国を統べていったが、古代から連綿と続いていた各集落での神への祈りや祭祀、聖地の存在はすべて否定されず、御嶽という名で許され残されていったことになる。

 また、本州や四国、九州では人や文明の動きも激しく、そういった痕跡は曖昧になったところも多いが、中央から遠く離れた小さな島である沖縄では、人々の心の深いところにある、いにしえからの神の概念や聖地というものが、形としてはっきり残された場所がたくさん残っている。

 北の端には、安須森御嶽があり、南には斎場御嶽、そして久高島がある。その他にも沖縄本島各地に数知れない御嶽がある。どれも訪れてみれば、特別な雰囲気があり、人の心に忘れられない思いを残す場所だ。

 今回使った機材は、カメラがα7R II、α7R、レンズは FE 12-24 F4 GとFE 70-200 F2.8 GM、Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS、これらはズームではあるが、単焦点並みの、いやそれ以上の性能を誇る最新式のレンズだ。旅先で出会った大切な光景を余すところなく写真に撮りこみたい。また、いずれは大伸ばしのプリントにもしたい。そんな要求に見事に応えてくれる。フイルム時代なら大判写真に匹敵する細密さと言っていい。

久高島・カベール岬

 沖縄本島の東南に浮かぶ久高島は、琉球王朝最高の聖地、島の北端にあるカベール岬に琉球開闢の神、アマミキヨが降り来たったとされる。写真はその神の降りた浜。超ワイドで、見える世界を大きく取り込み、雲はダイナミックにしながら、浜のパースは自然にと心がけた。細密な描写の中に、ただならぬ聖地の気配を感じながらの撮影である。

α7R II,FE 12-24mm F4 G 18mm,F8,1/2500秒,ISO200

 神が降り来たり、そして歩いた「道」を写真にする。場所の持つ物語を写真に定着させなくてはいけない。水平線から大岩の間を通り浜に上がる道は真昼の太陽を受けて光の道として。また、降り来たった神が、島の南に向かって歩いた道は強い日差しを受けた真白い痕跡として。沖縄でなくては、聖地でなくては出会えない場所の気配。できるだけ細密な写真でその気配を写真に写す(移す)ことをしたい。

α7R II,FE 12-24mm F4 G 12mm,F7.1,1/3200秒,ISO200
α7R,FE 24-70mm F4 ZA OSS 69mm,F7.1,1/5000秒,ISO200

辺戸岬の星空

 沖縄本島の北端、辺戸岬の断崖絶壁の下を日が沈む頃に歩いて、星空を待つ。この右側の崖の上には北部、ヤンバル(山原)最高の聖地、安須森御嶽がある。真っ暗な空にかかる銀河は、まっすぐにその地に向かうように見えた。遠く水平線上で雷が光る。海は凪いで静かな波が足元を洗う。天と地との壮大な営みの間にカメラマンはちっぽけに立っている。

α7R II,FE 12-24mm F4 G 12mm,F4,30秒,ISO6400

喜如嘉の集落のシーサー

 沖縄のシーサーは魔除けのために屋根の上や門柱の上などに置く、獅子を模した置物だ。古くからの大きな屋敷では立派なものを、庶民のうちでは小さいものを置いているが、同じものはないと言ってもいいくらい、それぞれに個性豊かだ。沖縄を旅したら、自分の気にいるシーサーを探してみるのも面白い。これはヤンバルの入り口の小さな集落を歩いているときに見つけた迫力あるシーサーたち。これは言ってみればポートレイトの撮り方。望遠レンズの特性の生かし方の見本になるだろう。

α7R II,FE 70-200mm F2.8 GM OSS 148mm,F5,1/1250秒,ISO200
α7R II,FE 70-200mm F2.8 GM OSS 198mm,F4.5,1/2000秒,ISO200

夏の雲

 知念岬で。振り返ると巨大な積乱雲が立ち上がっていた。雲を細密に撮るのは意外に難しい。雲を立体的にし、そのエッジを際立たせる、そんな光の角度のときに撮らなくてはならない。このときは見事な光だった。高画素カメラとGMレンズの組み合わせは、見事な細密さで雲のディティールを再現してくれ、全くストレスのない写真にしてくれる。αはもう、肉眼以上に詳しく見える世界に突入していると言えるだろう。

α7R II,FE 70-200mm F2.8 GM OSS 134mm,F5.6,1/8000秒,ISO200

 ズームレンズはレンズ交換無しでいろんな焦点距離を生かせる便利なものだ。以前は単焦点レンズに比べて性能が劣ると言われていたが、今回の三本のような最新式のものでは、単焦点に勝るとも劣らない絵が撮れる。これは荷物の増やせない旅先では大変ありがたいことだ。ただ気をつけて欲しいのは、ズームレンズを使うと、どうしてもテレ端とワイド端をよく使うことになってしまうという点だ。よくファインダーを見て、自分の意図した絵になるように焦点距離を微調整してもらいたい。特に12-24mmのような超広角では、焦点距離1mmの違いでも絵は劇的に変わる。手を抜いて絵を弱いものにしないように。可能などの焦点距離も生かしていくようにしたい。

さて今回はこれで終わり。また次回お会いしましょう。

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