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Adventure TRAIN

Adventure TRAIN 第2回 只見線
鉄道写真家 中井精也 氏
中井精也がαと旅する鉄道冒険記
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α Universe editorial team

本格的な登山で挑んだ蒲生岳 そこから臨む絶景に感動

α1,FE 16-35mm F2.8 GM 26mm,F9,1/400秒,ISO800 只見線の復旧に併せて、懐かしい客車を用いた記念列車が運行された。多くのカメラマンが殺到する中、独自の目線で見つけたこの場所で、ハレの日の清らかな空気感を!

10月1日、2011年の豪雨災害により一部区間の運休が続いていた只見線が、11年ぶりに復旧した。沿線住民や自治体の努力が実を結び、90億円といわれる復旧費用は、国と福島県および沿線市町村、JR東日本が1/3ずつを負担。復旧後の維持管理は福島県、運行はJRが担当する「上下分離方式」も決まり、まさに奇跡のような復活劇となった。 復旧した会津川口〜只見の27.6kmの区間には、僕がずっと待ち望んでいた憧れの撮影地があった。標高828mの頂上付近から、第八只見川橋りょうを望める蒲生岳だ。「会津のマッターホルン」とも呼ばれる蒲生岳頂上までの所要時間は約75分、それならば楽勝だと挑んだ僕は完全に見誤っていた。機材はミラーレスで軽くなったのだが、自分自身の体重の重さを……。

登山道はほぼ直登コースで、ザイルや鎖を掴んで岩場をトラバースする箇所もあり、結局頂上まで約100分、到着時には両足が同時に痙攣する始末。なんとか撮影をこなして下山するも、なんと行程の半分で日が暮れて真っ暗になってしまった。ここで焦ると滑落するので、一歩ずつ丁寧に下山し、命からがら生還することができた。そんな過酷な行程だったが、まさに自分の足で勝ち取った作品は、何にもかえがたい宝物になった。 11年ぶりに列車が走る風景は、どこもキラキラ輝いて見えた。復旧後に見込まれる鉄道収入よりも、只見線が存続することによる経済効果を重視した、まさに奇跡的とも言える只見線の復旧作業。これが、日本全国で奮闘する赤字路線のモデルケースとなることを期待したい。

<PHOTO TECHNIQUE> スローシャッターで列車を ぶらすことで主題を際立たせる

稲干しの風景と列車を撮る場合、左のように列車を写し止めると、どうしても列車に目が向いてしまう。そこで低速シャッターで列車をぶらして列車の存在感を薄めることで、主題である稲干しが際立ってくるのだ。右ページの横断幕と列車の写真も、ぶらさないと珍しい列車ばかりが目立ち、メッセージが弱まってしまうと考えた。鉄道写真の主役はあくまでも列車だが、ときには自分の伝えたいことを強調するために、あえて列車の存在感を薄めることも必要なのだ。

α1,FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS 600mm,F7.1,1/500秒,ISO800 蒲生岳から第八只見川橋りょうを見下ろす。風景全体を写す誘惑を断ち切って超望遠レンズで見せたい部分だけを切り取った。ドローンでも空撮でもない、自分の足で見つけた絶景
α1,FE 24-70mm F2.8 GM II 56mm,F8,1/640秒,ISO800 あれだけの災害が起きたのが信じられないような、おおらかでやさしい只見川の流れ。この平和な風景が二度と壊されることがないよう願いながら、シャッターを切った
α1,FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS 415mm,F6.3,1/10秒,ISO100 大塩集落の人達が、只見線に向けた「おかえり」のメッセージ。まるで村人が帰ってきたかのように、列車をやさしく迎えていた
α1,FE 70-200mm F2.8 GM OSS II 74mm,F2.8,1/320秒,ISO1600 只見川の流れは、風景を映し出す鏡だ。暮れゆく渓谷を覆った漆黒の闇に、赤く染まった夕焼けの空が万華鏡のように浮かび上がった
α1,FE 16-35mm F2.8 GM 16mm,F5,1/400秒,ISO800 只見線でもっとも山深い位置にある只見沢橋りょう。鉄橋の先にある六十里越トンネルを越えると、もう新潟県だ。明暗差が大きい状況だったので、DROをLv5にして撮影した

<ADVENTURE EPISODE> 3日間の車中泊はすべて自炊

キャンピングカーで車中泊をしながら撮影をする場合は、自炊になることも多い。只見線沿線の山奥では、糖質オフのパスタを作ってご満悦。夜は地元食材を使って鍋をしたり、おいしくヘルシーに撮影を楽しんでいる。

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