商品情報・ストアデジタル一眼カメラ α α Universe

日本カメラ

Adventure TRAIN 第1回 函館本線
鉄道写真家 中井精也 氏
中井精也がαと旅する鉄道冒険記
デジタルカメラマガジンとの連動企画を
毎月コラム形式でお届けします

α Universe editorial team
Photo 1 α1,FE 70-200mm F2.8 GM OSS II 182mm,F8,1/2000秒,ISO800

崖を登り、森に入り、山を下る 鉄道写真は冒険なのだ

僕が鉄道写真を撮り始めてから40年以上が経過し、気が付けば鉄道写真を撮ることが人生そのものになった。山あり谷あり、さまざまな苦難もあったが「鉄道を撮りたい!」という気持ちだけで乗り越えてきた。僕にとって鉄道写真とは自分の生涯を賭けた冒険なのだ。

新連載のタイトルには、そんな自分の思いを込めて「Adventure TRAIN」とさせてもらった。僕の最高の相棒であるソニー α1とともに繰り広げる冒険の成果を、毎月ご覧いただければと思っている。 第1回目のロケーションには、北海道新幹線が札幌まで延伸すれば、劇的に変化するであろう函館本線を選んだ。特に廃止の可能性が高い長万部〜小樽の通称「山線」と、国鉄時代から活躍するキハ40系気動車が最後の活躍を見せる函館〜長万部の区間を中心に焦点を当てた。 最初の見開きの作品は、道南の観光名所である大沼・小沼とキハ40を撮影したもの。駒ケ岳の大噴火によって誕生した大沼・小沼には、溶岩塊などでできた小島が点在しており、日本離れしたスケールの絶景と列車を撮影することができる。

撮影地となる日暮山展望台は、以前は車で行けたが現在は崖崩れのため30分ほどの登山が必要となる。万全の熊対策で登山したが、真の敵はヒグマではなく、見たこともない数の黄色い蚊だった。列車待ちのあいだ、蚊の大群に襲われ、蚊をつぶそうと絶えず足や手を叩く僕の姿は、まさに死のダンス。最高の1枚が撮れて大満足だったが、体じゅうが虫に刺されでボコボコに……。そう、鉄道写真は、リアルに冒険なのだ。

<PHOTO TECHNIQUE> 超広角レンズの「木流し」で 山線の魅力を表現する

「山線」は深い山の中を走るため、撮影ポイントは道路と交差する跨線橋ばかり。なんとか山線らしい作品は撮れないか。悩んだ末にたどり着いたのがこの作品だ。超広角レンズの FE 14mm F1.8 GMのダイナミックなワイド感を最大限に生かすため、あえて画面の中心に列車を配置してパンした。列車は写し止めつつ、上下の森が弧を描くように流すことで、森林をゆく「山線」の魅力を表現することができた。

木ごしに流す「木流し」に挑戦 森の奥に線路が見え隠れしている場所を探すのがコツ。木が多いと透けないので、試し撮りで確認する 広角のパースを存分に生かす 列車の位置を変えながらテストし、パースの効果を見ながらこの位置に決定。四辺が引っ張られることで周辺がお椀のようにゆがむ 通過する列車の速度を予想する 同じシャッター速度でもカメラをパンするスピードによって効果は変わる。列車の速度を予想しながらテストを繰り返し、1/4秒に決めた。列車の速度感を予測する経験も必要になる

Photo 2 α1,FE 14mm F1.8 GM 14mm,F14,1/4秒,ISO50 山が深いがゆえに、写真家をも寄せ付けない山線。その魅力を表現すべく、僕が木流しと呼ぶテクニックで撮影した。失敗というリスクを恐れない勇気も、テクニックと同じように重要だ
Photo 3 α1,FE 14mm F1.8 GM 14mm,F8,1/5000秒,ISO800 転げ落ちそうな急な丘によじ登ると、穏やかな内浦湾が眼前に広がった。やってきたのはカラフルな特急ニセコ号。14mmという超広角だが、ゆがみもが少ないのはさすがG Master
Photo 4 α1,FE 24-70mm F2.8 GM II 24mm,F8,1/1000秒,ISO1600 山線のハイライトは、なんといっても羊蹄山。蝦夷富士と親しまれている山容は息をのむほど美しい。車両は新しくなっても、山線旅情は健在だ
Photo 5 α1,FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS 257mm,F5.6,4/5秒,ISO3200 函館本線でありながら閑散路線となってしまった砂原支線の夕景。夕焼けの中、無人駅を出発するキハ40の姿に、周遊券を握りしめて旅をした青春時代の思い出が重なる

α UniverseだけのスペシャルPhoto

α1,FE 24-70mm F2.8 GM II 33mm,F11,1/2500秒,ISO400 内浦湾の奥に浮かぶのは、道南の名峰、駒ケ岳。おだやかな風景を引き締めるように、朝日を受けて特急北斗の側面がギラリと輝いた

<LOCATION GUIDE> 函館本線(北海道)

函館本線は北海道の函館駅から旭川駅を結ぶJR北海道の鉄道路線。ルートによって通称があり、長万部駅から札幌に接続するルートを「海線」、長万部駅から小樽駅の間を「山線」と呼んでいる。

記事で紹介された機能の詳細はこちら

記事で紹介された商品はこちら

ワンクリックアンケートにご協力ください

記事一覧
商品TOP
デジタル一眼カメラαの商品一覧を見る
最新情報をお届け

αUniverseの公式Facebookページに「いいね!」をすると最新記事の情報を随時お知らせします。

閉じる