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鉄道写真家 中井精也 氏 Vol.10
中井氏が“α1”と探す唯一無二の鉄道絶景!
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α Universe editorial team

みなさんこんにちは。鉄道写真家の中井精也です。 今回は島根県の宍道駅と広島県の備後落合駅を結ぶ木次(きすき)線を旅しました。今の時期だけ見ることができる、新緑から深緑へと変わりゆく美しい“緑”を写そうと考えたからです。 また木次線ですが、この路線は日本海側の宍道駅から険しい中国山地へ分け入ってゆく山岳路線で、途中の出雲坂根駅と三井野原駅の間では、珍しい3段スイッチバックを見ることができます。 麓にある出雲坂根駅の標高は564mですが、直線距離だと1kmほどしか離れていない三井野原駅の標高は726m。この162mの標高差をわずかな距離で効率よく登るために、木次線の列車は方向を変えながら逆Z字を描くようにしてジグザグに斜面を登っていきます。 それから最初にネタバラシではありませんが、今回の旅ではレンズは1本のみで臨んでいますので、そこも見どころかと思います! 早速ですが、1枚目は木次線のハイライトともいえる出雲坂根の3段スイッチバックの全景を捉えたものです。

α1,FE 24-70mm F2.8 GM II 70mm,F8,1/400秒,ISO800

下段に小さく写る列車は観光トロッコ列車「奥出雲おろち号」です。金曜・土曜・日曜の週末とハイシーズンに走ります。 青と白のコントラストが緑の中でとても映えます。出雲坂根駅の手前の区間はスイッチバックをすることで有名。このあと画面右方向に進んだ列車は出雲坂根駅で方向を変え、画面左上の山中に写っている屋根の折り返し地点で再び方向を変えて、上段の線路に現れます。 僕が初めてこの撮影地を訪ねた30年前は、スイッチバック区間の線路がずっと見えていましたが、今は木々が生い茂り線路の一部しか見えなくなってしまいました。少し苦しげにエンジンを唸らせながらスイッチバックを登ってゆく光景は、ここでしか見ることができない「唯一無二」の鉄道風景です。 続いて2枚目です。

α1,FE 24-70mm F2.8 GM II 70mm,F2.8,1/800秒,ISO800

まるでトンネルのような樹木の中を、抜けるように走る1枚です。 木次線は、出雲横田駅から県境を越えて備後落合駅に至る末端区間では、1日に3往復と運行本数がとても少ないローカル線ですが、この写真のように美しい緑に包まれた幻想的な写真が撮れる魅力があります。 この写真は開放F2.8で写しているのですが、手前に木々を大きく前ぼけさせて奥行き感を強調することを意識して撮っています。 左下に列車を配置するため、もう少し絞ってシャープに写そうとも思うところですが、このレンズであれば開放でも精細な描写をしてくれるので、気にせずに前ぼけをさせて撮ることができます。 3枚目になります。

α1,FE 24-70mm F2.8 GM II 24mm,F10,1/8秒,ISO100

ご覧いただいた通り、流し撮りで疾走感を演出しました。 広角24mmから望遠70mmまでをカバーするこのレンズは、いわゆる標準ズームと呼ばれる使用頻度の高いレンズです。 この写真は広角端の24mmで、手前に木々を入れて低速シャッターで流し撮りをする「木流し」というテクニックを使っています。 なお、このように下からあおるようにして撮ってあげると、24mmよりも広角のレンズで撮影したかのように見えるかと思います。 ちょっとした工夫次第でさまざまな表現ができるので、固定観念にとらわれずに撮影地ではいろいろ試してみることをお勧めします。

α1,FE 24-70mm F2.8 GM II 70mm,F2.8,1/4000秒,ISO800

4枚目は列車ではなく、線路脇に咲くルピナスを主題にして、このレンズのぼけ味を楽しんでみました。 鉄道写真だから、絶対に列車が主題である!ということはありません(笑) 日常の生活の中に溶け込む鉄道だからこそ、季節感を出すことを優先させたいと思えば、このように列車をぼけさせることも僕は全然アリだと思っています。 ところで、ルピナスの花は精細に描写され、列車の方はとても滑らかなぼけ味を見せてくれています。列車のテールランプの丸ぼけがとても美しいです!

α1,FE 24-70mm F2.8 GM II 63mm,F5.6,1/60秒,ISO800

5枚目はちょっとだけ小休止です。 訪ねたのは松本清張の小説「砂の器」の舞台にもなった木次線の亀嵩(かめだけ)駅。この駅には、駅舎内に名物の出雲蕎麦屋さんがあります。 こちらのお蕎麦は、重ねられた丸い割子(出雲地方では昔から重箱のことを割子と呼んでいたそうです)に、直接だし汁をかけていただく独特のスタイル。 せっかくなので、お蕎麦の美味しさが写真からでも伝わるように、本気で撮った1枚です(笑) ちなみにこのレンズの最短撮影距離が広角端の24mmでは21cm、望遠端の70mmでも30cmまで寄ることができるので、こんな風に食べ物のテーブルフォトでも重宝します。 6枚目になります。

α1,FE 24-70mm F2.8 GM II 56mm,F7.1,1/1250秒,ISO1600

美しい新緑の森の中を流れる川面に、列車と鉄橋がリフレクションしている瞬間を捉えた1枚です。 出雲坂根のスイッチバックで峠を越えると、列車はすぐに広島県へと入ります。それとともに車窓風景も変化し、深い渓谷に沿って列車は走ります。 この撮影地は深い谷ゆえに、夏のわずかな時間帯しか光が当たらない鉄橋。木次線と並行するようにして流れる清らかな西城川の水面にその姿を映しながら走る風景は、この時期のこの時間にしか見ることのできない秘境の鉄道絶景です。 どこかノスタルジックで少年の頃を思い出させるような情緒を感じる、今回の旅でとても気に入っている1枚です。

α1,FE 24-70mm F2.8 GM II 24mm,F11,1/640秒,ISO800

今回ご覧いただく最後の写真になります。 山間を走る木次線は夕日を撮ることが難しい路線なのですが、日登駅から下久野駅の区間で、ギリギリ日没を捉えられる場所を発見しました!時期的に、ちょうど田んぼに水が入る田植えのシーズンだったこともあり、田んぼの水鏡に映る列車をシルエットにして、旅情と郷愁を演出してみました。 さて冒頭でお伝えしたように、今回の旅は1本のレンズだけで臨んでみたわけですが、そのレンズとは「SEL2470GM2」でした。 ここまでお読みいただいた皆さんはもうお気づきの通り、“万能”といっても過言ではないくらい、機動力も描写力も抜群のレンズでした。これは必携レンズといえるでしょう。 さて今回の木次線はいかがだったでしょうか? それでは来月もこの場所で、皆さんに鉄道絶景を紹介できることを楽しみにしています! 中井精也でした。

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