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野生と人の境界を越えてゆくレンズ
「FE 600mm F4 GM OSS」

α Universe editorial team

私は野生生物を撮影するうえで600mmは「迫力ある写真を撮るための標準レンズ」として捉えている。警戒心が強く、接近すること自体が危険を伴う事も多い、そんな動物たちの息遣いをも感じられる写真を写すためになくてはならない焦点距離のレンズなのだ。

野口 純一/野生動物写真家 1968年、埼玉県生まれ。北海道在住。2輪、4輪のエンジニア時代にバイクツーリングで訪れた北海道に惹かれ、2000年に移住。キタキツネの撮影をきっかけに、2002年より写真家として活動を開始。北海道を中心に国内外の野生動物を撮影し、雑誌やカレンダー等の各種媒体に作品を提供。野生動物に関する深い知識と豊富な経験に基づく的確で粘り強い撮影スタイルから生み出される、力強く美しい作品には定評がある。公益社団法人日本写真家協会(JPS) 会員。
http://www.junsetsusha.com

テレコンバーター等のアダプターを介する事なく、かつカメラボディが持つAFや解像性能を100%引き出せる純正のフルサイズミラーレス専用設計レンズとしてこの焦点距離をカバーするFE 600mm F4 GM OSSの登場は我々野生生物を撮影する者たちが強く待ち望んでいたものである。さらにはx1.4やx2.0のテレコンバーターを併用することで、猛禽類を画面いっぱいに捉えたり、猛獣の表情の一部を切り取る等のクローズアップ撮影にまで対応が可能だ。

α9,FE 600mm F4 GM OSS 600mm,F5,1/200秒,ISO1600

FE 600mm F4 GM OSS 600mmを肩に下げ森を歩く。針葉樹の影から顔を出したエゾヒグマを手持ちで撮影。ロクヨン片手に森歩き・手持ち撮影。新しい感覚の撮影法を可能にしたのはこのレンズの超軽量性と優れた手ブレ補正能力の賜物だ。

これでソニーαは、野生動物撮影に於いても撮影者のイマジネーションをフルに発揮できる体制が完全に整ったと言えるだろう。また同時に発表されたFE200-600mm F5.6-6.3 G OSSは200〜600mmという野生生物撮影で使用頻度の高いレンジをカバーしながら、優れた描写性能と操作性・携行性を保ち野生生物の撮影を一気に身近なものとしてくれた。何よりも機動性を第一にする必要がある撮影では、私もメインレンズとして使用することもあるレンズである。

FE600mm F4 GM OSS は高性能レンズが居並ぶ大口径超望遠レンズ群の中でも、特に際立つ解像力の高さを持っていると思う。まるで天井に貼りついたかのようなMTF曲線からも尋常ではない解像度・コントラストの高さを読み取ることができるが、実際に撮影した画像を拡大表示して確認しても、野鳥の羽毛の一本一本、動物の体毛の硬柔まで写し切り、色滲みの片鱗も見られない高い描写性能に驚かされる。この一切の妥協無く、ひたすら超高性能を追求した姿勢は、非常に高価な蛍石レンズを贅沢に3枚も使用していることからも伺える。

またこのレンズで特筆すべきは極めて高い解像度と非常に美しいぼけ味を両立している点だ。極めてシャープなピント位置からなだらかに美しくぼけていくことで素晴らしい立体感が生まれ、野生生物たちの生命感・存在感を生き生きと写しだしてくれるのだ。

α9,FE 600mm F4 GM OSS + 1.4X Teleconverter 840mm相当,F5.6,1/800秒,ISO400

防波堤脇に蹲るオジロワシを発見。徐々に近くが至近距離まで逃げ出さないので傷病により飛翔不能と判断。この写真を撮って、保護の為の連絡先を探そうと携帯電話に視線を落とした瞬間飛び去った。飛ぶタイミングを逸してしまっていたらしい。SEL14TC使用、オジロワシの眼の虹彩の紋様や羽毛の一本一本まで写し切るシャープさに驚いた。

作品の一部を拡大した画像

FE600mm F4 GM OSSを使用してすぐに気付くのが、AFスピードの速さ・静粛さ・そしてAF駆動時に振動を全くと言っていいほど感じないことである。一般的に大口径レンズは、AF時に質量の大きなレンズを駆動する必要があることが多い。それ故レンズ駆動速度や応答性を高めることが難しくなってくるし、単に高出力なだけのモーターを用いれば駆動音や振動を増大させることにつながる。 このFE600mm F4 GM OSS には従来よりも推力効率を高めたXDリニアモーターを2個搭載し、さらにはこのモーターに最適化されたアルゴリズムまで新開発し併用している。これらにより非常に応答性の高いAF追随性能を達成しながら、静粛且つ低振動をも達成した。 このAF駆動能力をαの無音撮影と組み合わせることで、従来は難易度が高かった素早く不規則に動き回る野生生物を高速かつ確実に捉えるAF能力とともに、被写体に余計なプレッシャーを与えない静音性までをも手に入れることになった。これは、今まで以上に動物たちの自然な姿を思うままに撮影できる可能性が大きく広がったということでもあると思う。

α9,FE 600mm F4 GM OSS + 1.4X Teleconverter 840mm相当,F8,1/2500秒,ISO800

飛翔するミサゴをSEL14TC併用で撮影。テレコンバーターを使用してもAF性能の低下を感じることは無い。また厳しい地形上で偽装し待機していたが、取り回しの良さ故にミサゴを視認できる僅かなタイミングを確実に捉えることができた。

重量面で言ってもこのレンズは600mm F4レンズとして世界最軽量*1 であり、さらに通常フロントヘビーとなる大口径超望遠レンズの常識を打ち破る優れた重量バランスを達成している。構えたままレンズを横に振った時の感覚は、従来の一般的な300mm F2.8クラスといえば想像してもらえるだろうか。絶対的な軽量性は、厳しい地形を踏破し警戒心の強い被写体に迫るための何よりも強い助けになり、優れた重量バランスは疲労が蓄積した状況でも正確な手持ち撮影を持続可能にする。 さらにこのレンズの高い堅牢性と耐環境性能は厳しい自然環境での長期に渡る撮影でも終始安心して撮影を継続することができた。また海外取材時の航空機内への機材持込でもメインレンズである超望遠レンズが軽量なことで、携行機材にプラス1本のレンズを加えられる余裕を生み出す利点もあり、これも表現の幅を広げる手助けに繋がった。

α9,FE 600mm F4 GM OSS 600mm,F4,1/640秒,ISO1600

2頭の当歳仔を連れた母親のエゾヒグマ。600mmの焦点距離のおかげで撮影距離を保つことができた。素早く撮影し、ゆっくりと下がり距離を作り離脱する。こういった状況でも機材の軽量性が非常に有効だった。

使用して驚いたことがまだある。それはテレコンバーター併用時にも描写性能やAF速度・精度の低下を全くと言って良いほど感じないことだ。元々の性能が極めて高いレベルにあるからこそなのだろうが、特にx1.4のテレコンバーター使用時はややもするとテレコン装着していることを忘れるほど違和感がない。 手ブレ補正効果も高く、特にMODE3は飛翔する野鳥をファインダーで追いやすく安定したフレーミングが可能だった。カスタマイズ可能なフォーカスホールドボタンやファンクションリングの装備等、各操作系もよく練られていて実際の撮影時にレンズの操作でストレスを感じることが無い。また地味に嬉しいのがフード逆付収納時のカバーがコンパクトな事。カメラバッグへの収納性が高くとても助かっている。

α9,FE 600mm F4 GM OSS + 1.4X Teleconverter 840mm相当,F5.6,1/2000秒,ISO640

流氷期と違い近付く事自体が非常に困難な夏のオジロワシ。EF600mm F4 GM OSSの機動力の高さで撮影できる場所まで辿り着きチャンスを待った。αとEF600mm F4 GM OSSの静音性とSEL14TCを装着し撮影距離を保った事で、オジロワシを警戒させず自然な姿を撮影することができた。

ソニーのαシステムは従来不可能だと思われていた常識を打ち破って我々を驚かせる製品を次々と打ち出してきた。そしてそれは単に技術の追求をしてきただけではなく、常にユーザーの「こういうモノがあったらなぁ」という希望を具現化する、使う者の夢を叶える製品だったと思う。

小型軽量で高性能、さらにはフルサイズのデジタルカメラがEVFを備えることによって、写真撮影の経験が少なくても撮影時に仕上がりを確認できるという利点を生み、誰もが自分の望む写真を撮れる割合が飛躍的に高まった。動物対応の瞳AF等、ソニーαで撮影するならばもはや動物撮影は全く難しいものでは無くなった。 今まで難しいと思われてきた動物写真を、自由に思うがままに撮れるソニーαの世界をより多くの人々に是非体験してほしいと思う。そしてまた私も、ソニーαで美しく素晴らしい野生生物たちの世界を写し続けていきたい。

*1:35mmフルサイズセンサー搭載デジタルカメラ用の焦点距離600mmF4交換レンズとして。2019年6月12日広報発表時点。ソニー調べ。

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