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冬の北欧でエアリーな世界観を紡ぎ出す
α7R IIIの解像感と豊かな階調

写真家 山本 まりこ氏

α Universe editorial team

豊かな感性で、その場の空気感まで写し撮るような「airy(エアリー)」な作品を撮り続けている写真家・山本まりこ氏。今回、α7R IIIとともに出かけたのは美しき北欧の国・フィンランド。日照時間が短い冬のフィンランドで、彼女はどのような世界をαで描いたのか――。撮影した作品を見ながらαの魅力やレンズの性能について話を聞いた。

山本 まりこ/写真家  理工学部建築学科卒業後、設計会社に就職。「でもやっぱり写真が好き」とカメラを持ってひとり旅に出発し、そのまま写真家に転身。風通しがいいという意味を持つ「airy(エアリー)」をコンセプトに、空間を意識した写真を撮り続けている。雑誌・広告撮影、旅エッセイ執筆、講演、フォトセミナー講師、テレビ出演など活動は多岐。著書は『エアリーフォトの撮り方レシピ』など多数。2017年10月、初の写真集『熊野古道を歩いています。』を出版。

トナカイのソリに乗るために冬のフィンランド行きを決定

――撮影地にフィンランドを選んだ理由を聞かせてください。

一番の目的はクリスマスの時期にトナカイのソリに乗ることでした。カメラと一緒にサンタクロース気分でソリに乗ることがずっと憧れだったんですよ。しかも、ちょうどオーロラが出る時期にも重なっていたので、これはもう行くしかないと思って。普通はオーロラが目当てになるところですが、私の場合はトナカイのソリに乗ることがフィンランドを選んだ最大の理由です。 約10日間の旅でしたが、その間に地元の旅行会社が主催しているトナカイのソリに乗るツアーに参加しました。トナカイを放し飼いにしている広大な牧場を30〜40分かけて駆け抜けるツアーです。北欧の自然の中を進んでいきますが、途中からトナカイが姿を現して併走してくれるんですよ! ウワサではすごく速いと聞いていましたが、乗ってみたら笑えるくらい遅くて。でも、長年の夢が叶った、とても楽しい時間でした。 そのほかにも北欧の自然の中で、私らしい作品をたくさん撮ることができました。ただし気温は−20℃。寒いのでバッテリーの持ちが心配でしたが、−20℃の中でオーロラ撮影にチャレンジした時もいつもと変わらず撮影できました。1時間外に出て撮影していましたが、バッテリーが極端に減ることもなく、カメラトラブルもなく、その耐久性にはビックリです。

α7R III,FE 24-105mm F4 G OSS 87mm,F4,1/13秒,ISO1600
フィンランドではホテルの部屋からも、寒い地域ならではの美しい風景に魅せられた。カーテンと窓枠を入れることで、暖かい部屋から外を眺めている様子が伝わる1枚に。

エアリー感は月明かりで演出。高解像と豊かな階調で立体感のある仕上がりに

――フィンランドで山本さんらしい「エアリー」な作品を撮るために工夫したことはありますか?

今回は運良く満月に近い時期にフィンランドに行くことができました。オーロラや星を撮る場合は満月よりも新月の方がいいですが、エアリーフォトを撮る私にとっては月明かりが重要です。月明かりは柔らかな雰囲気を演出してくれますから。

α7R III,FE 16-35mm F2.8 GM 16mm,F2.8,6秒,ISO100

月明かりが強かったおかげで、上のような作品も撮ることができました。一般的には夜景を撮影するときに「月明かりを入れない」という選択をする人も多いと思います。でも柔らかい雰囲気の写真が撮りたい人はあえて月明かりを入れてみてほしいですね。月明かりがあることでエアリーに表現できます。暗くなりがちな下の方の景色をどれだけ明るく写せるかがポイントです。 また、α7R IIIは高解像なので木々の細部まで表現でき、立体感のある作品に仕上がりました。月明かりから暗い空へのグラデーションもきれいで、私らしい優しい雰囲気の作品が撮れたと思います。

――このときはシャッタースピードが6秒なので、三脚を使用していますよね?

そうですね。夜の森は人が歩いていなくて、本当に静かです。そんな中でシャッターを切ることができるので、手持ちでフットワークよく撮影するよりも三脚を使ってしっかり撮りたかった。そうすると自分の気持ちも一緒に三脚に据えることができ、その思いが写真に入ります。気持ちを込めたかったら三脚に据えて、長時間露光する。このときはじっくりと被写体と向き合いたかったので三脚を使用しました。私の場合は自分の気持ちに合わせて撮影スタイルを変える感じですね。

高感度撮影が気づかせてくれた
「街明かりを拾う」という撮影法

――冬のフィンランドは日照時間が短く曇りがちのせいか感度を上げて撮影することも多かったようですが、高感度撮影についてはいかがでしたか?

薄暗いシーンでも、個人的にはISO4000までであれば大画面でも問題なく映せると思うほど、高感度は優秀だと感じました。暗い部分を起こしてくれる「Dレンジオプティマイザー」をLv.5にして使っても、ザラつきはほとんど気になりませんでした。

α7R III,FE 24-105mm F4 G OSS 24mm,F4,1/15秒,ISO3200

上の作品は街中にある樹木を撮影したものですが、童話に出てくる悪役のように「今にも動き出しそう」と思いながらシャッターを切りました。ISO3200にしたのは、街灯の明りを拾うため。エアリーフォトは太陽の光が重要な役目を果たしていますが、フィンランド北部にあるサーリセルカを訪れたときには、一日中太陽が昇らない極夜の時期だったので、「街の明りを利用して撮る」という方法を学びました。今までは夜の写真を作品として発表することがありませんでしたが、「こういう風に撮ればいいんだ」ということがわかって。撮影の幅が広がるような新たな発見ができたのは大きな収穫でした。 このときは街中を歩きながら手持ちで撮っていましたが、手ブレ補正もしっかりと効いていますよね。どこを見てもシャープに描写されていて、霧氷のような樹木の美しさや怪しい雰囲気をよく表現できたと思います。

1本で何でも撮れる「FE 24-105mm F4 G OSS」と
表現力豊かな「FE 16-35mm F2.8 GMが大活躍」

――今回の撮影ではさまざまなレンズを使っていますが、なかでも使用頻度が高かったレンズはありますか?

「FE 24-105mm F4 G OSS」は1本で幅広い撮影ができるので、今回の旅ではよく使いました。105mmで寄ると背景がとてもきれいにぼけるんですよ。APS-Cに切り替えれば焦点距離が1.5倍に伸びますし、超解像ズームを使えばさらに2倍になるので、24‐200mmくらいの幅がこれ1本でカバーできるわけです。そう考えるとかなり使い勝手の良いレンズだと思います。旅に持って行くレンズを1本だけ選べと言われたら、迷わずこのレンズを選びますね。

α7R III,FE 24-105mm F4 G OSS 69mm,F4,1/60秒,ISO1600

フィンランドでの一番の目的であるトナカイのソリに乗るときもこのレンズを使いました。トナカイの毛並みも背景の雪を被った樹木も、繊細に描写されていますよね。

α7R III,FE 16-35mm F2.8 GM 16mm,F2.8,1/250秒,ISO800

ソリに乗ってからは「FE 16-35mm F2.8 GM」につけ替えましたが、このレンズもお気に入りの1本です。このレンズの魅力は周辺が歪まないところ。35mmで寄れば背景がきれいにぼけますし、最短撮影距離が短いのでグッと寄ることもできます。 少しあたりが暗くなってくるような絶好の時間にソリに乗ることができたので、空のグラデーションも美しく撮ることができました。このときは空の色を出すためにクリエイティブスタイルを「ビビッド」にして撮影。F2.8なので、もっと絞ると背景がよりはっきり見えてくると思いますが、このレンズならふんわりとしながらも解像感が高いのでF2.8でも十分です。 トナカイには動物対応の「リアルタイム瞳AF」をぜひ試してみたかったですね。最近は猫などの動物撮影もよく行うので、今後はアップデートしてぜひ使ってみたいと思います。

写真の設定をそのまま動画に反映できる。
動きのある世界で「エアリーを表現」

――フィンランドでは動画も撮影したそうですが、山本さんにとって動画の魅力は?

写真は動きを止めた世界なので、動いているところを頭の中で想像するもの。動画にすることで初めて動きがわかる。そこが一番の違いです。エアリーな空間を動きのある世界で見せられるのは、写真とはまた違った楽しさがあります。しかもαなら美しい動画を簡単に撮ることができますから。私は写真を撮るときに色をかなりつくり込みますが、αは動画ボタンを押すだけでその設定を反映できるのでとても便利です。

上の動画では、トナカイのソリに乗って撮影したシーンも出てきますが、前に出てきたトナカイの写真と同じ設定のまま動画も撮影しています。もちろんレンズもそのまま。写真から動画へ、設定の変更をすることなく簡単に移行できるので、動画も積極的に撮影するようになりました。トナカイがおしりをフリフリしながら進むのがすごくかわいいでしょ?(笑)。この動きも動画だからこそ伝えられるんですよね。

――動画作品は構成や音楽も、すべて山本さんが考えるのですか?

もちろんです。だいたい「この辺りのシーンを使いたい」というのは頭の中に入れておいて、最初に考えるのは音楽です。その曲の抑揚に合わせて、盛り上がるところにはこの映像を入れよう、という風に映像や写真を繋げていきます。動画は構成を考えるだけでも楽しいので、今後もどんどん作品をつくっていく予定です。

共通マウントだからNEX-3を使用していた頃に購入したマクロレンズもアダプターなしで使える

――下の作品はAPS-Cフォーマット対応のマクロレンズで撮影していますが、このレンズを使った意図はありますか?

α7R III,E 30mm F3.5 Macro 45mm,F4,1/20秒,ISO100

これはトイレの窓ガラスを撮影したものです。窓に雪がついて、溶けたものが凍った状態だと思います。「すごい結晶だな」と思ったと同時に、日本のレトロなすりガラスの柄みたいだな、と思って。窓全体がこんな状態になっていたので、結晶を大きく写したいとマクロレンズを取り出しました。 フィンランドでは雪の結晶を撮りたかったので、最初からマクロを持って行こうと決めていました。でも他のレンズも3本持っていくつもりだったので、マクロは軽いものがいいなと思っていて。αのレンズラインナップにはフルサイズのマクロレンズもありますが、一番軽くて小さい「E 30mm F3.5 Macro」を持って行くことにしました。 このレンズはAPS-Cフォーマット用ですから焦点距離が1.5倍になりますし、超解像ズームを使えばさらに倍に拡大できる。ものすごく小さいものが、ものすごく大きくきれいに写せるわけです。さらにα7R IIIは4240万画素ですから、APS-Cサイズに切り取っても高解像な画質を維持できる。だからAPS-Cフォーマット用レンズでも安心して使うことができます。

α7R III,E 30mm F3.5 Macro 45mm,F9,1/15秒,ISO8000

上の作品も同じレンズで撮影しました。街灯の下に止まっていた車のフロントガラスに降り積もった雪を撮影したもので、実際の結晶の大きさは5mmほどだったと思います。このレンズはレンズ先約2cmまで寄ることができるので、ここまで大きく撮ることができました。ただしピントがシビアだったので、撮影にはかなり苦労しましたね。 ソニーのミラーレスはずっと同じEマウントを採用していて、さらにフルサイズ、APS-Cとセンサーサイズが違っても共通マウントであることが利点です。このレンズは私がNEX-5やNEX-3を使っていた時代に購入したレンズですからね。それを今でも、フルサイズの最新カメラで使うことができるのがすごいところ。しかも写りもこんなにきれい。昔買ったお気に入りのレンズが今でも使えるのは、ユーザーにとってとてもありがたいことです。

柔らかさの中にピリッとしたスパイスを。
色のつくり込みはかなり緻密に行う

――フィンランドで撮影した作品は全体的に青っぽいイメージですが、そのあたりは意識して仕上げたのですか?

青が好きなんですよね。だからあえて青を加えることも多くあります。フィンランドでは全体的に空が薄暗いグレーだったので、そこに青をのせると日本で撮る自然の青とは違った風合いになるな、と思っていました。 色に関していえば、クリエイティブスタイルの「ビビッド」も多用します。特定の色を強めに出したいときや、レンズの特性によってフワッと写り過ぎてしまうときは、ビビッドにしてコントラストやシャープネスを下げてと、最適なところを見つけていくんです。 私の作品は「ゆるふわ」「ハイキー」な写真とカテゴライズされがちですが、実はそうではなくて、やわらかさの中にも少しピリッとさせるのが私の作風です。フワッとしているけど締めるところは締めて、ハイキーでも白飛びしないところで画をつくる。色はバランスを見ながら細かく詰めています。

α7R III,FE 16-35mm F2.8 GM 16mm,F2.8,15秒,ISO100

こちらはシャッタースピードを遅くすることで地明かりを拾い、流れゆく雲を撮影しました。雲のピンクを強めに出したかったので、ホワイトバランスを「蛍光灯」に設定しています。どの部分を強調するかによってホワイトバランスを変更して、さらに色温度を微調整することで理想の一枚に仕上げていきます。

色味やぼけ具合の微調整も簡単。
カメラ設定を反映するEVFはとても便利

――フィンランドのほか、エストニアでも撮影をしたそうですね。

エストニアとフィンランドはとても近いので、フィンランドに行った流れでエストニアにも立ち寄りました。収容人数2000人ぐらいの豪華客船に乗ると、ヘルシンキから2時間ほどでエストニアに着きます。バルト三国の一角、エストニアは洗練された北欧とは少し違う雰囲気で、古き良き時代のヨーロッパという感じでした。

α7R III,FE 24-105mm F4 G OSS 26mm,F4,1/50秒,ISO800

上は街の通りにあるヘアサロンの前で撮影したものです。かわいらしい建物がたくさん並んでいて、たまたまお洒落な女性が通りかかったので、その瞬間を狙いました。ホワイトバランスを太陽光にして、マゼンタを少し加えています。見た瞬間に「こういう色合いに仕上げたい」と頭に浮かぶんですよね。 そんなときに便利なのがEVFです。色や絞りなどカメラの設定がすべて反映されて、撮影後と同じ画像がEVFで見られるのは本当に便利。例えば設定を反映した映像が見えないとすると、ある程度は勘に頼らなければなりません。先ほども言いましたが、私はかなり緻密に色のコントロールをするので、直感的に上書きして対応していけるカメラがいいんです。

α7R IIIはホワイトバランスを調整するときに微調整画面が右下に出るので、画面でどんな仕上がりになるか見ながらの調整が可能です。反映される画面の方が大きく表示されるので、とてもわかりやすい。なかには全面にナビが表示されてしまったり、表示で撮影画面が見えなくなったりするカメラもあるので。直感的に微調整ができるシステムもかなり気に入っています。

α7R III,FE 24mm F1.4 GM 24mm,F1.4,1/320秒,ISO100
「FE 24mm F1.4 GM」は接写に強く、前ぼけも背景ぼけもとてもきれい。こういったぼけ具合もEVFに反映されるのがαの利点。
α7R III,FE 16-35mm F2.8 GM 21mm,F5.6,13秒,ISO100
光源がさまざまな小雨が降るエストニアの夜景。ブルーを足してピンクの色も出すような複雑な色調整をするようなときもEVFがサポートしてくれる。

私にとってαは「はじまり」のカメラ
エアリー感をつくりだす不可欠な存在

――エアリーな作品を撮るために必要な、カメラの性能や要素は何ですか?

やはり独特な柔らかさをつくり出すことができること。世の中には柔らかいよりもカッチリした写真を撮りたいと思っている人が圧倒的に多いので、カッチリ撮ることに長けているカメラが多いと思うのですが、柔らかい作品も撮れるのがαです。ダイナミックレンジの広さやレンズによる美しいぼけ味で柔らかさを出しながらも、シャープなところはシャープに見せる。全体的にとろとろと溶け過ぎない、スパイスを利かせた表現をできるのがαの魅力だと思います。

――山本さんにとってαはどのような存在ですか?

「α」はギリシア文字の第一字で、物事の最初を意味します。私のエアリーフォトもNEX-3を持ったときから確立していったテーマなので、ソニーのカメラは私にとって「はじまり」のカメラです。もちろんその前にフィルムも使っていましたし、デジタルも使っていましたが、自分のなかで「撮りたいエアリー」が撮れるようになったカメラはαが初めてでした。αの意味のごとく「最初」であり、「はじまり」です。「初心忘るべからず」で、このままαとともにエアリーな作品を撮り続けていけたらいいな、と思っています。

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