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Majestic TRAIN- 威風鐵道 -
鉄道写真家 中井精也 氏 × α7R III Vol. 7

ドラマチックな鉄道写真をコンセプトに、中井氏が撮る心に響く鉄道風景をデジタルカメラマガジンとのタイアップ企画として毎月コラム形式でお届けします!

α Universe editorial team

みなさんこんにちは。鉄道写真家の中井精也です。 第7回目となる今回は、燃えるような紅葉に染まる北東北。秋田県と岩手県の県境に位置する「仙岩峠」で秋田新幹線「こまち」号を撮影しました。 いざ訪ねてみると、山々はみごとに紅葉で色づいていました。紅葉の名所を探すコツですが、僕は朝晩の寒暖差が大きい場所を探します。例えば、川沿いや標高の高い場所を重点的にチェックします。また、2つの県にまたがるような路線の県境付近などお勧めです。県境は、山深い峠や大きな河川になっていることが多く、寒暖差も大きくなるので、紅葉が美しくなる条件が揃っていることが比較的多いのです。
秋田県と岩手県の県境に位置するこの仙岩峠も、生保内川の渓谷が、美しい紅葉を生み出してくれます。黄色を基調とした贅沢な紅葉は、息を飲むほどの美しさでした。 そんな紅葉に染まる絶景の中を駆け抜ける秋田新幹線を捉えた、今回最初にご覧いただく写真がこちらの2枚です。

α7R III,FE 24-70mm F2.8 GM,F4,1/2000秒
α7R III,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS ,F4.5,1/800秒

ご覧いただければお分かりのとおり、この2枚の写真は同じ場所で撮影したものです。ここで注目していただきたいのは「光線」です。 横位置の1枚目は風景全体をまんべんなく写し、縦位置の2枚目は明暗差がある紅葉を強調した作品です。光線と構図によって、同じ場所からの撮影でも、それぞれ異なる魅力がある写真が撮れたと思います。 特に縦位置の方は新幹線を途中でカットした構図にしています。それにより、紅葉が目立つ構図にすることができたんじゃないかと思います。 ところで、この2枚の写真。さぞやハードな場所で撮影したのでは?と 思われた方もいたのではないかと思います……。

実際に撮影していたのは、こんな感じでした。ここは「仙岩峠の茶屋」というお茶屋さんで、名物はおでん。温かいおでんを食べながら、こんな絶景を撮ることができちゃう素晴らしい場所なので、ぜひ訪ねてみてくださいね。

次にご覧いただくのはこちら。3枚目の写真になります。

α7R III,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS ,F5.6,1/800秒

冬の渓谷は日の当たる時間が短く、列車が走る線路もすぐに日陰になってしまいます。でも簡単にあきらめてはいけません(笑)
完全に日陰になってしまった鉄橋部分を見ていると、背景の紅葉がまぶしく輝いていました。そこで僕は、その紅葉をバックライトに、列車をシルエットにして撮影することを思いつきました。
斜め方向からの撮影なので、列車の影絵が分かりづらくなるのではと危惧していましたが、「こまち」号の先頭部の複雑な造形が助けてくれました。さまざまな角度から紅葉を車体に映し、先頭部が輝いてくれたのです。
たとえ条件的に諦めてしまうような状況でも、こんな風に撮れることがあります。簡単にあきらめないこと。大切です!

さて場所を移動して今度は岩手県側へ。 4枚目の写真は、こまち号が走る鉄橋と手前には真っ赤に色づいたモミジが構図に入る素敵な場所です。

α7R III,FE 16-35mm F2.8 GM,F10,1/640秒

このままでも美しいのですが、いろいろと試したくなる性格の僕。
低速シャッターにして流し撮りをしてみました。 それがこちらの写真です!

α7R III,FE 16-35mm F2.8 GM,F22,1/10秒

流し撮りをすると動感はプラスされますが、せっかくのモミジのシルエットがわからなくなってしまいます。
狙いは秋田新幹線「こまち」号と美しい紅葉の2つです。この2つの狙いを満たすためには?と思案した結果
僕が思いついたのはフラッシュで撮影することでした!

今回ご覧いただく最後の写真になります。

α7R III,FE 16-35mm F2.8 GM,F14,1/6秒

1/6秒という低速シャッターで流し撮りしながら、フラッシュ撮影しました。フラッシュの光が当たったモミジだけが、しっかりと描写されているのが分かるかと思います。これは夜の雪にフラッシュを当てて写し止めるのと同じ原理です。流し撮りのパンの最中に、フラッシュの光が当たったモミジだけが、まるで多重露光のように写し止められるのです。
僕の2つの欲望を満たす写真を撮ることができました! 撮影に慣れていくほど、撮影方式にも無意識に決まったパターンが出来上がっていたりします。もちろん、それは貴重な経験値でもあり、そのパターンで撮影することで手堅く撮影することが可能ですが、その一方でマンネリな写真になりがちなリスクもあります。
だから僕は、簡単には諦めないよう、たとえ結果が失敗になっても常に新しい表現はないだろうか?と自問自答するように心がけています。これをご覧いただいている皆さんで、すっかり撮影パターンが確立されているような方は特に、僕と同じように自問自答してみてください。
きっと新しいひらめきが、生まれるはずです。 それではまた来月もこの場所で! 中井精也でした。

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