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「αが拡げるビデオグラファーの世界」
〜ウエディングからWeb-CFまで 一眼動画のスタンダードモデルα7 IIIを使いこなす〜

映像作家 鈴木佑介 氏

α Universe editorial team

2018年6月5日、6日に「PHOTONEXT(フォトネクスト)2018」で行われた、映像作家・鈴木佑介氏によるセミナーの内容を紹介します。

プロカメラマン向けフォトビジネスフェア「PHOTONEXT2018」に、今年もソニーが出展。一昨年、昨年に引き続き、映像作家・鈴木佑介氏のセミナーは今年で3回目。αを使った映像制作を積極的に行っている鈴木氏に、実際にα7 IIIで撮影された映像を紹介しながら、カメラやレンズの魅力と実用性について話していただきました。

鈴木佑介/映像作家 1979年逗子市生まれ、逗子在住。日本大学芸術学部映画学科 演技コースを卒業。在学中に撮られる方(俳優)から撮る方へ興味がシフトし、映像制作の世界へ。テレビCM制作の撮影スタジオ勤務を経て、2004年からフリーランスの映像作家として活躍中。「人」を撮る事を専門とし、2012年に一足早く個人ブランドでのWedding動画を始める。現在は企業VP、Web-CFなどを中心に活動中。雑誌・Webマガジン(ビデオサロン・PRONEWS)での執筆を行う傍、企業・写真館・個人クリエイターへの動画セミナーをはじめ、日本の動画制作の底上げに力を入れている。尚、ソニーのαアカデミー for Professional プロフェッショナル動画講座の講師も務め、「動画で食べていく」ための技術を伝えている。

世界から注目されてきたフルサイズミラーレス“α”の変遷を紐解く。

私は人を描くことを専門に、ウェブコマーシャルやウエディング映像などを制作しているビデオグラファーです。企画から撮影、編集、演出と、すべてを1人でこなすスタイルを15年続けています。 まずはフルサイズミラーレスのαについて、少し話したいと思います。私はαに乗り替えて約3年になりますが、以来ウエディングやイベント、ウェブコマーシャルなど多くの撮影現場でαが大活躍してくれます。αは革新的なモデルをラインアップし、映像業界に時代の波を作っています。 まず、2015年にα7S IIが発売され、第1次αブームがやってきます。フルサイズセンサーの画素を1200万にすることで、超高感度の撮影が可能になりました。α7S IIの発売を機に、私たちビデオグラファーがこぞってαに乗り替えたわけです。 第2次αブームはα9が発売された2017年。驚異的な超高速AFで秒間20コマ、最大362コマのJPEG連写ができるα9は革新的モデルでした。α7 IIシリーズとはボディのデザインも異なりマルチセレクターを搭載。さらにバッテリー性能も向上し、世界中のフォトグラファーの注目の的になりました。 そして今年、第3次αブームが起きています。ずばり、α7 IIIのおかげです。α9をベースとした筐体で、高速化したAFは動画軸でも驚くほどの速さ。そしてフルサイズの4K/24p動画をノンクロップで、且つ6K相当の領域からオーバーサンプリングできる。つまり約2000万画素をギュッと凝縮して4Kの動画として出力するため、普通の4Kよりもきれいです。 このようにαは進化を遂げてきました。そして、今回撮影に使用したのは最新モデルα7 IIIです。実際に使ってみると、α7 IIIと〈FE 24-105mm F4 G OSS〉の手ブレ補正つきレンズがあれば、ウエディングの現場では大体OKという結論に達しました。

AFが速くてレンズ交換が不要になり、スピーディーな撮影が可能に。

ここからはα7 IIIの魅力について話したいと思います。α7 IIIを使うと幸せなことがたくさんあります。4Kで撮れるのは当たり前として、僕が思う幸せについてまとめてみました。

まず「ジンバル以外 特機が不要」とあるのは、ボディ内5軸手ブレ補正が優秀だからです。私はαにしてから3年間、ずっと手持ちで撮影しています。以前は一脚やスライダーを使っていましたが、とても邪魔でした。しかし、α7 IIIならこういった特別な機材がなくても簡単に美しい映像が撮れるので、撮影がとても楽になりました。 2つ目の「短い時間で画数が稼げる」というのは、4Dフォーカス対応でAFが圧倒的に速くなったためです。動画でも被写体に向けるだけでフォーカスが合います。αはAF/MFの切り換えがボディ側でできるので、レンズ側でAFにしておいても「マニュアルが欲しいな」と思ったらボディ側のボタンを押し込んでいる間だけマニュアルとして扱える。いちいち切り換えの必要がないのも嬉しいところです。 そして、「望遠レンズがほぼ不要 荷物がコンパクトになる」。αは全画素超解像ズームという、画質劣化しないデジタルズームに対応しています。4Kが1.5倍まで、フルHDは2倍までズームできる。さらにAPS-Cモードの切り換えが可能です。そうするとまた焦点距離が稼げます。

2420万画素のセンサーでも4Kは800万画素しか必要ないので、単純にセンサークロップしても問題はありません。だから〈FE 24-105mm F4 G OSS〉の場合、APS-Cモードにすると1.5倍の162mmまで使えて、さらに全画素超解像ズームを使うとHDで324mmまでいけます! つまり、手持ちで撮影でき、AFが速くてレンズ交換もほぼ不要だから、撮りたいものを諦めなくて済むわけです。また「画角を稼ぐ」という動画撮影のニーズにも最適なのです。

広いダイナミックレンジでの撮影だけでなく、Log撮影も可能に。

続いて「屋外で役立つEVFとS-Log/HLG」。αはバリアングル液晶でアオリや俯瞰での撮影ではとても便利ですが、さすがに晴れている屋外では見づらいです。アイセンサーがついているので、ファインダーを覗くと自動的にEVFに切り換わり、離れるとモニター表示になります。手動で切り換えずに済むので、スピーディーに撮りたい時に便利です。 ここからはS-Logの話になります。αはS-Log2、S-Log3などのLog撮影が可能です。S-Logとは、広いダイナミックレンジでの記録を可能にし、撮影後に画像処理を行うことを前提としたガンマカーブのこと。少し使ってみて、良い思いをしなかった人が多いかもしれません。ちょっと専門性が高くて挫折する人も多いみたいです。

LogはRAWじゃありませんので、適正露出で撮る必要があります。広いダイナミックレンジで、普通のビデオガンマよりも広い色域で撮っておいて、撮影後に自分で調整するというものです。私は逆光や屋外でコントラストが強いシーンで階調を残しておきたい時に使います。 Logを使うとまったく印象が変わってとても便利ですが、正直なところ、知識がないと途中でわけがわからなくなってしまいます(笑)。Logでの撮影は、グレーディングについて勉強してから挑戦しましょう。

自分好みにボタンカスタムすることで、常用する機能にすばやくアサイン。

5つ目は「バックアップの安心感」。α7 IIIはデュアルスロットで動画でも同時記録が可能です。もしカードにエラーが起きたとしても、どちらか片方は撮れているという安心感があります。 余談ですが、バッテリーの持ちもα7 IIの約2倍になりました。以前はウエディング撮影の時に8〜10本バッテリーを持って行きましたが、α7 IIIは3、4本で十分。最大4本のバッテリーを収納できる別売のマルチバッテリーアダプターキットNPA-MQZ1Kを使えば、寝ている間に4本のバッテリーを充電できます。これはとても便利です。

そして、αといえば自分好みにボタンカスタムができるところも見逃せません。かなりいろいろなところに自分の好みの機能をアサインできます。 これは「鈴木式動画カスタム」です。動画をメインに撮られる方は参考にしていただき、あとはそれぞれの使い勝手に応じてアレンジしてくださいね。

ファンクションボタンには12もの項目をアサインできます。私は上段にビデオ系の機能を、下段に写真の機能などを入れていますが、こうしておくとロケハンの時に便利です。「ちょっと写真撮って」というリクエストにも即時に応えられますからね。

遠くからでもマクロの描写を狙える〈FE 100-400mm F4-5.6 GM OSS〉のすごさ。

先ほども申し上げたように、〈FE 24-105mm F4 G OSS〉さえあればウエディングをはじめ大体の仕事はこなせます。F4という数値が気になる方がいるかもしれませんが、フルサイズの動画ならF4で十分です。開放F値が明るくなり過ぎるとピントの合う範囲が薄くなるためフォーカスがきつくなり、見ているだけで疲れてしまいますからね。 レンズをプラスすれば、当然表現の幅は広がります。そこでおすすめしたいのが〈FE 100-400mm F4-5.6 GM OSS〉という超望遠レンズです。

このレンズがすごいのは、最短焦点距離が1m切っているところです。だから望遠ならではの圧縮効果を加えた望遠マクロのように使えます。このレンズを使って手持ちで撮影した素材を用意しましたので、まずはこちらをご覧ください。

手持ちでのブレを軽減するため意図的にハイスピードで撮っていますが、背景の圧縮効果は超望遠ならではですね。習字のワークショップイベントも撮影しましたが、結構暗いところでもAFがすばやく合ってくれます。 習字をはじめ、手元で細かい作業をするようなワークショップでは、90mmマクロだとかなり近づかないと手元を大きく写せません。そうすると参加者は嫌がりますよね。でも400mmなら遠くからでも狙うことができる。さらに手持ちで撮影していますからね。それでもほとんどブレなく撮れるのはすばらしいです。 ということで、「αが拡げるビデオグラファーの世界」と題し、レンズ含めα7 IIIを中心に話をさせていただきました。α7 IIIは撮影者をネクストステージに連れて行ってくれるカメラです。「PHOTONEXT」らしいまとめになったところで、私のセミナーを終わりたいと思います。
皆さん、ご清聴ありがとうございました。

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