商品情報・ストアデジタル一眼カメラ α α Universe

02 FILMMAKER 江夏 由洋氏

本当の新時代を告げる
驚異のフルサイズミラーレス
α7S III

Yoshiihiro Enatsu × α7S III × TVCM

長きにわたりCMやプロモーションビデオなど、次世代のクリエイティブな映像作品をつくり続けてきた江夏由洋氏。いち早く4K、8Kの撮影や映像制作に取り組んだ先駆者としても知られ、最新技術を取り入れた革新的な撮影手法も注目を集めている。今回、動画性能が格段に進化したα7S IIIを用いて作品を撮り下ろした。VENICE、FXシリーズなどの業務用シネマカメラからデジタルミラーレス一眼カメラを使いこなす江夏氏にα7S IIIはどう映ったのか、このカメラが写し出す真価を思う存分語ってもらった。

Image Movie × α7S III

PROFILE

江夏 由洋/映像作家 1998年東京放送(TBS)に入社後、スポーツ局のディレクターとしてドキュメンタリー番組を中心に数多くの中継に携わる。2008年、兄・正晃氏とともに株式会社マリモレコーズを設立し、独立。企画・撮影から編集・配信まで映像制作をトータルに行っている。

新しい映像表現を可能にするスペック。
約5年ぶりの「S」シリーズ

待望のα7S IIIが登場しました。
手に取ったとき、最初に心に沸いた期待感はどういったものだったでしょうか?

映像撮影に携わる多くの人が、かなりの期待とともにこの瞬間を待っていたはずです。驚愕の高感度撮影を4Kで実現したα7S IIの後継機の登場には、約5年という長い沈黙が続いてしまったものの、後継機への期待値はどんどんとあがっていたに違いないと思います。そして、その沈黙を破って登場したα7S IIIは、そんな多くの人の期待を遥かに超えたスペックを纏(まと)っていると僕は感じました。 その新機能の数々は、ハイエンドのデジタルシネマカメラを凌(しの)ぐものばかり。まず、やはり4K120pの撮影ができる点が大きなキーワードになるでしょう。さらには4:2:2 10bitという表現をMP4のファイルフォーマットで内部記録できるというのも大きい。また高感度撮影に関しては追って説明しますが、ISO12800という常識では考えられない常用感度を実現している印象です。そして、一番の技術革新はオートフォーカス性能。今まで似たようなスペックを特長とする4Kのカメラはハイエンド機も含めて多く目にしてきましたが、今回の撮影を通じて、α7S IIIが与えてくれる新しい表現の世界は異次元であると感じました。

なぜ今回、全編4K120pの撮影を行ったのでしょうか?

作品はアイルランド民謡である「Siúil A Rún」という曲を軸に描きました。戦地に赴く人を想う悲しくも気丈である女性の姿がテーマです。まずは曲のレコーディングを行い、曲や歌詞に合わせて画を重ね合わせていきました。女性の心情や涙、気丈にふるまう思いを風や炎、スモークなどで使って4K120pで演出するというのが作品の内容だったのです。もともと技術検証の映像を制作することで始まったプロジェクトだったのですが、カメラの特長を生かし「暗所での4K120pとAF性能」を各シーンで見せる構成を立て、ストーリーを紡いでくことに挑戦しました。

動画性能の進化とフルサイズが描く圧倒的な世界

4:2:2 10bit内部記録と35mmフルサイズセンサーが紡ぐ描写はどうでしたでしょうか?

α7S IIIの実力を画で表現すべく、エンディングを除く全編を4K120pで撮影し、全てを内部記録で進めました。カメラの最大の特長が4K120pの映像を4:2:2 10bitのMP4フォーマットで記録できるということ。さらに、その映像はフルサイズ領域での画素加算のない全画素読み出しであるため、美しいぼけ味の中に立体感あふれる世界を描けたと思います。風に揺れる髪の毛が一本一本しっかりと描かれる中、スキントーンや空などの諧調はいままでのαシリーズでは見ることのできなかった次元の表現力でした。暗所やミックス光源といったカメラにとっては非常に厳しい撮影条件で挑んだりもしましたが、色を反射する黒のレザードレスや、細かいドレスの柄はもちろんのこと、人の肌の質感、解像感、ハイライトの粘りなど全てにおいて美しい表現力を見せつけてくれました。 今回はS-Log3、S-Gamut3.cineの設定で撮影を行い、編集時にシネマトーンのLUTでカラーグレーディングを行ったのですが、破綻の無い色の再現性とカラーグレーディングの自由度にも非常に驚かされました。15stop以上(S-Log3動画撮影時)の広ダイナミックレンジがあるといわれるその高画質なデータを入れ込んだMP4というフォーマットは、あらゆるノンリニア編集環境においてもストレスのない軽快さを見せてくれるだけでなく、諧調を崩すことのない色表現を思いのまま進められます。

αシステム史上、常識を覆すレベルのAF精度。
制作者の意思を反映できるフォーカスワーク

α7S IIIのオートフォーカス性能はどうだったでしょうか?

オートフォーカスも常識を覆すレベルの精度を持っていました。4K120pでも使用できるリアルタイム瞳AFのレベルが素晴らしく、横顔や、低照度という悪条件であってもその力を発揮してくれました。そして頼もしいのはタッチ操作におけるフォーカスターゲットの設定です。自分の意図とする合わせたい場所を決め、背面液晶をタッチするだけで、確実なフォーカスを得ることができる。レコーディング中であってもタッチフォーカスの精度に助けられることが多く、暗所の4K撮影であっても、狙った場所のピントを外すことはほとんどなかった印象です。さらにこの操作を、スマートフォンやタブレットなどの専用アプリ「Imaging Edge Mobile」を使って行えるため、カメラマン以外のスタッフが離れた場所で自由にフォーカスを変えられるという、正に未来を感じるAFのコントロールが実現しました。ほぼ全編にわたりAFでフォーカス合わせを行いましたが、カメラマンやディレクターの意思を反映したフォーカスワークがここまでできるとは、本当に信じられなかったです。 今回は35mmフルサイズ対応Eマウントの単焦点レンズを多く使用しました。フルサイズの魅力を最大に生かしたいというのがその理由です。単焦点はその明るさが特長となりますが、通常ならフォーカスが怖くて使用できない「絞り開放」であっても、全く不安を感じさせないフォーカシングを4K120pという条件であっても見せてくれました。長い間デジタルシネマの撮影に携わっていますが、ここまでAFの実用性に圧倒されたことはなかったです。α7S IIIのAF性能は動画の撮影スタイルを大きく変え、マニュアルでのフォーカス合わせが難しいとされる撮影などで誰もがAFの恩恵を実感すると強く思っています。

撮影現場で安心して使えるカメラ、これこそが本質。
α7S IIIのプロフェショナルに対する熱意を感じた

その他、α7S IIIの進化を感じられた部分はあったでしょうか?

α7S IIIの進化が感じられた実用的な機能として、光学式5軸ボディ内手ブレ補正も挙げられます。撮影画角が少し狭くなるが、αシリーズボディとしては初めて手ブレ補正効果を向上させる動画専用の「アクティブモード」も搭載され、単焦点レンズを使って手持ちの撮影も積極的に行いました。また、バリアングル液晶モニターも使い勝手がとても良い。先程お伝えしたタッチAFも好きなアングルで調整ができる。面白いように、どんどんと撮影が進んでいきました。どのカットもほとんどが一発でOKとなる。カメラマンは画づくりに集中し、時としてフォーカスはディレクターがタブレットで行う。ディレクターは時間に余裕ができるため、シーンごとにいろいろな画角やパターンに挑戦することができました。カメラクルー2名、照明1名というスモールユニットであっても、数時間でここまで高いクオリティの撮影を何カットも行えたのは、正にα7S IIIのスペックがあったからこそですね。

オーバーヒート問題やバッテリーのもちはどうだったでしょうか?

α7S III が実用的であると感じたもう一つの理由は、熱問題に対する対策とバッテリーの運用が堅牢であるということが挙げられます。もちろん環境に依存することもありますが、今回4K120p撮影を断続的、外部給電も使用しながらとはなるものの計5時間以上行いましたが、撮影を通じてオーバーヒートは一切なく、安定した動作が続きました。現場で「バッテリーが切れた」「オーバーヒートでカメラがストップした」というのでは使い物にならない。オートフォーカスの精度もそうですが、完全にカメラの性能に頼り切ることができるからこそ、撮影効率も大幅に向上し、高いクオリティの制作に全員が集中できる。当たり前のようであるが、これは非常にありがたいです。
またメニュー構成も一新され、設定の変更や確認が非常にやりやすかったというのも大きいです。今までのαのメニューは少々使い勝手が悪く、目的とする設定になかなかたどり着けないということや、設定ステータスの確認が難しかった印象です。加えて、REC中のホワイトバランス設定変更、業務用カムコーダーとの親和性を高めた動画時のフレキシブル露出設定モード、マニュアルフォーカスでの記録中にも目的に応じたAF動作が可能であったり、REC中にモニター画面枠全体に赤色の枠表示など、一新されたメニューや機能は多くの現場の声を反映したところであると思っています。

世界が驚く「S」の実力。
撮影の常識を変えるこの一台に無限の可能性がある

撮影を通しての進化のポイントをたくさん教えていただきましたが、
「S」を語る上で一番大事な感度性能はどうだったでしょうか?

α7S IIに比べたときに動画時拡張ISO409600というスペック上の値は変わらないのです。ただ、実際に撮影を行って一番驚いたのはISO12800以上の高感度領域で撮影したときの映像を見たときです。通常の撮影であれば、ISOの上限は1600、まぁ少し無理をして3200が限度であると思います。ですので、ISO6400以上で撮影するのは少々気が引けてしまうのが現状ではないでしょうか。実際α7S IIIも今回の撮影での設定であるS-Log3、S-Gamut3.cineでISOを上げていけばノイズレベルがどんどんあがるのですが、ISO12800に到達した瞬間、一気にノイズレベルが落ちたのです。シャッタースピードとの関係でさらにISOを上げて16000で撮影しましたが、ポストでその画質を比較すると、そのノイズ量はISO1600に匹敵すると言っても過言ではなく、同時に色の情報も全く遜色なかったのです。おそらく誰にも信じてもらえないと思うのですが、この感度でここまでの撮影ができてしまうとなると、今までの撮影の常識が一変してしまうでしょう。作品内で最後のパールを引きちぎる2カットはISO16000で撮影を行いました。ポストでノイズ処理は一切せず、ISO1600のカットと同様に色編集を進められたのです。正に異次元だと感じた瞬間です。「本当に撮れているんだろうか?」と自分の目を疑うような微量の光源しかない真っ暗なシーンの中で、人間の目を遥かに超越する画をこのカメラは捉えてくれたのです。

最後に、江夏さんのクリエイティブにα7S IIIは
どんな大きな変化をもたらしてくれそうでしょうか?

とにかく驚きの連続でした。あらゆる常識を私たちは捨てなければいけないのだと、このカメラを使ってみて思いました。フルサイズの4K120p、4:2:2 10bit記録、革新的なAF性能、手持ち撮影を強力にサポートしてくれる手ブレ補正、そして高感度領域での低ノイズ、かつ高品質な映像を実現する誰もが未だ見ぬ世界。圧倒的なスペックはどれも実用的で、撮影表現のクリエイティビティが無限に広がる瞬間を誰もが感じることとなるでしょう。今まで「できなかった撮影」を可能にしてくれるα7S IIIの登場は、ミラーレスという枠を飛び越えて新しいデジタルシネマの世界を描いてくれることとなるでしょう。

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