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Signature Seriesが表現する“音のない世界の音” PlayStation<sup>®</sup>4 “シネマティックアクション”ゲーム THE QUIET MAN

 Signature Seriesが表現する“音のない世界の音” PlayStation<sup>®</sup>4 “シネマティックアクション”ゲーム THE QUIET MAN

スクウェア・エニックスから、異例尽くしのタイトルが発表された。セリフやBGMを排し、音のない世界で進行するストーリー、実写とCGを融合したグラフィック、わずか3時間でクリアできるコンパクトなスタイル。中でも、画期的なのが「音のない世界を音で表現する」という試みだ。試行錯誤の末、たどりついた独自のサウンド設計とは。細部まで味わい尽くすためのベストなオーディオ環境とは。リファレンス機器としてソニーの高音質技術の結晶 Signature Seriesを挙げるプロデューサーの藤永健生さん、サウンドディレクターの御子柴健一さんに、音へのこだわり、Signature Seriesを推奨する理由をうかがった。

 株式会社スクウェア・エニックス 藤永健生(ふじなが・けんせい)

株式会社スクウェア・エニックス
藤永健生(ふじなが・けんせい)

『THE QUIET MAN』プロデューサー。総合監督として企画原案、ストーリー原案、開発ディレクションを担当。過去に携わった作品は、スマートフォンアプリ『星のドラゴンクエスト』など。本作が初の単独プロデュース作品となる。

 株式会社スクウェア・エニックス 御子柴健一(みこしば・けんいち)

株式会社スクウェア・エニックス
御子柴健一(みこしば・けんいち)

『THE QUIET MAN』サウンドディレクター。『ダージュ オブ ケルベロス -ファイナルファンタジーVII』でチーフサウンドデザイナー、『ラストレムナント』でサウンドディレクターを務める。

『THE QUIET MAN』は
1本の映画のように楽しめる大人のための作品

━━ はじめに、『THE QUIET MAN』がどのようなゲームかお聞かせください。

藤永:『THE QUIET MAN』はゲームというコンテンツのありかたを一から問い直し、さまざまな試みを詰め込んだゲームです。ゲーム内容を簡単に説明すると、耳の聞こえない主人公が誘拐された歌姫を命がけで助けようとする、という物語で、一晩の出来事に焦点を当てた、わずか3時間で終わるコンパクトなゲームになっています。映画を1本楽しむような感覚で、モニターの前に座ってゲームを起動し、そのままクリアできるゲームにしようと思いました。

株式会社スクウェア・エニックス 藤永健生(ふじなが・けんせい)
株式会社スクウェア・エニックス 藤永健生(ふじなが・けんせい)

━━ 50時間、100時間プレイするゲームも多い昨今、3時間で遊べるコンパクトな作品にしようと思ったのはなぜでしょうか。

藤永:現代人には、とにかく時間がありません。50時間かかるゲームを同時に複数遊ぶわけにはいきませんし、ゲーム以外にも映画や海外ドラマなど上質なコンテンツが巷にあふれています。デジタルエンターテイメントによる時間の争奪戦が起きているのです。大人になると、ゲームのために7,000〜8,000円を出すという金銭面の投資は比較的気兼ねなくできます。その反面、50時間という時間を投資するのは難しい。そこで、時間の投資に対するハードルを極限まで下げたらゲームはどのような形になるだろうと考え、3時間でクリアできるゲームという答えを導き出しました。『THE QUIET MAN』は映画とゲームのハイブリッドのようなタイトルなので、ゲームのプレイ時間は作品性にも合っていると思います。

主人公は耳の聞こえない男
その音のない世界をどのように表現するか

━━ 『THE QUIET MAN』のもうひとつの実験的要素として、「音」が挙げられます。どのような試みでしょうか。

藤永:僕は長らく、ビデオゲームだからこそ表現できるテーマを取り扱ってみたいと思っていました。そこでたどりついたのが、「音を越えて、言葉を越えて、私たちは解り合うことができる」というテーマです。このテーマは、小説では表現することができません。映画では表現できるかもしれませんが、感情移入するのは難しいでしょう。しかし、自分の手で操作するゲームというメディアなら、言葉を一切排しても、物語を伝えられるかもしれないと考えました。そうして耳が聞こえない男性を主人公に据えた、音がない世界の構想が始まりました。

株式会社スクウェア・エニックス 御子柴健一(みこしば・けんいち)
株式会社スクウェア・エニックス 御子柴健一(みこしば・けんいち)

━━ 藤永さんからその話を聞いた時、御子柴さんはどう思いましたか。

御子柴:「音がないゲームを作るのに、なぜサウンドディレクターの僕に話を持ち掛けるんだろう」と思いました(笑)。そこから話し合いを重ね、「音がない世界を音で表現する」というテーマを理解していきました。
藤永:主人公は音が聞こえませんが、音が伝える情報を一切感じていないということではないのです。例えば敵を殴ったり蹴ったりすれば、その手触り、衝撃は体に伝わっているはずです。足音、心拍なども同様です。彼が生きている世界をプレーヤーにも感じることができるよう、体で触れたもの、体に強いインパクトを与えるものを、独自の音として御子柴に表現してもらいました。

━━ 音が聞こえない人の感覚をどのように再現したのでしょうか。

藤永:「そもそもビデオゲームにとって、音の設計はゲーム命に係わるものです。ビデオゲームでは、プレイヤーが起こしたアクションに対し、何らかのフィードバックがあります。そしてその演出には、必ず音がつくのです。音がなければ手ごたえは半減し、ゲームは殆ど成立しません。にもかかわらず、今回のプロジェクトでは「音を排する」という根本的なテーマがありました。
御子柴:耳が聞こえない主人公というキャラクターのリアリティーを追求しながら、ゲームとして成立させる。そのため、一般的なゲームの攻撃音のように外に広がる音ではなく、内に響くようなサウンド設計をしています。中でも特徴的なのは、足音、殴った時の衝撃音、人が話している音です。足音ひとつとっても、カツンカツンという一般的な音とはまったく違うアプローチになっています。殴る音も、あくまでも内側に響く音に。高音を出さないという単純なことではなく、体に響いて伝わるはずの情報を聴覚化した表現になっています。人が話している時の音も、なんとも表現しがたい音になっています。
藤永:主人公は唇を読めるので、視覚から情報を得ることができます。しかし、これは演出上の問題ですが、ただ音を鳴らさずにパクパクと口を動かしているだけでは間が持ちません。相手が喋っていて、主人公がその唇を見てる、つまりその内容を概ね把握している、ということを表現するために、音を少し鳴らしています。すべてほかでは聞くことのない音だと思いますので、ぜひゲームをプレイしていただきたいです。

音にこだわる作り手の一人として
Signature Seriesには共感を覚えていた

━━ 『THE QUIET MAN』における音の重要性はとてもよくわかりました。今回、リファレンス機器としてヘッドホン『MDR-Z1R』をはじめとするソニーの高音質技術の結晶、Signature Series(シグネチャーシリーズ)を選んでいただきましたが、その理由をお聞かせください。

藤永:僕は、生粋のソニーファンなんです。『THE QUIET MAN』は音の存在意義を問うところから始まり、とことん音にこだわったゲームになったので、ぜひユーザーのみなさんにも『MDR-Z1R』で体感してほしいと思いました。このゲームはコンパクトで短く、価格も1,800円と映画1本分。短いからこそ尖らせるところはとにかく尖らせ、こだわるところはとことんこだわり抜いた珠玉の1本です。弊社には「ファイナルファンタジー」シリーズをはじめとする超ビッグタイトルもあります。そういった豪華絢爛なジュエリーボックスのようなタイトルではありませんが、小粒でも誰かにとってダイヤモンドのような作品になってくれれば、と思っています。究極を目指す、こだわりを極めるという点では、Signature Seriesに共感を覚えるところがありました。

株式会社スクウェア・エニックス 藤永健生(ふじなが・けんせい) 御子柴健一(みこしば・けんいち)
株式会社スクウェア・エニックス 藤永健生(ふじなが・けんせい) 御子柴健一(みこしば・けんいち)

━━ 今回、『THE QUIET MAN』のリファレンス機器としてSignature Seriesを選んでいただきましたが、直接PlayStation 4と繋ぐことのない、ウォークマン®WM1シリーズ『NW-WM1Z』『NW-WM1A』も含めたのはなぜでしょうか。

藤永:『THE QUIET MAN』は音を排してゲームが進行しますが、唯一エンディングにだけ、とある楽曲が収録されています。それだけが、いわゆる音楽と呼べるもの、言葉と呼べるものなんです。我慢して我慢して、最後に聴けるのがこの1曲。だからこそ、それは“神曲”でなければなりません。そこで、イモージェン・ヒープさんというロンドンのシンガーソングライターと一緒に曲を作ることにしました。この楽曲は後日ハイレゾ音源としても発売予定です(2018年7月9日取材時点)。それを、ぜひウォークマン®で聴いてほしいと思ったのです。ゲームはゲーム用のミックスになるので、最高の環境で楽曲そのものを聴くとしたらウォークマン®WM1シリーズに行き着きました。外に持ち出して聴くという条件下では、このシリーズに勝るものはないでしょう。

━━ 試聴される前のSignature Seriesの印象は?

藤永:正直に言うと、優れた商品であるのは当然として、果たして値段に見合うだろうかと懐疑的なところがありました。僕は普段からハイレゾ対応の高音質エントリーモデルであるウォークマン®Aシリーズを愛用しています。価格に対する満足度が非常に高い、素晴らしい商品ですよね。あのシリーズは約3万円ですが、その10倍近い価格のウォークマン、同等のヘッドホンは果たして値段に見合う価値があるのだろうか。『THE QUIET MAN』は音と向き合うゲームでもあるので、きちんと検証して我々なりの答えを出そうとふたりで話しました。

ウォークマン<sup>®</sup>WM1シリーズ『NW-WM1Z』『NW-WM1A』
ウォークマン<sup>®</sup>WM1シリーズ『NW-WM1Z』『NW-WM1A』

Signature Seriesのサウンドは、とことん正確で精密
その音で『THE QUIET MAN』を楽しんでほしい

━━ 実際にSignature Seriesを使った感想をお聞かせください。

藤永:結論から言うと、Signature Seriesには確かに違いがありました。Aシリーズは、外に持ち出せるオーディオとして極上の商品です。しかし、ソニーファンの中にはその上を求める方々もいます。「極上」なはずの商品のその上を欲する方々がいるんです。Signature Seriesは、それに対してとても真摯な答えを出した商品群だと思いました。

━━ なぜそう感じたのでしょうか。

藤永:『THE QUIET MAN』のエンディング曲は、ハイレゾで制作しています。Signature Seriesでその楽曲を聴きながら、確かに素晴らしいことは素晴らしいけれど、「果たしてどれだけ違うのか」、「社内でブラインドテストをした時にどれぐらいの人が違いを感じるだろうか」と思いました。ゲームのサウンドも今後ハイレゾの流れになっていくのか、サウンドデザイナーもそこに答えを見出す時代が来るのかと、御子柴と話をしながらで楽曲を聴き続けていたんです。そんな中、ある時ふとAシリーズに戻ったんです。その時に、ものすごい違いを感じて驚きました。それはもう「おおおお!」と、思わず声を上げてしまうほど(笑)。AシリーズからSignature Seriesに移行した時は「確かにものすごくいいけれど……」というくらいの感じでしたが、戻ってみるとその違いがとても分かりやすく伝わってくるんです。とても新鮮な驚きでしたね。もちろん、Aシリーズは今でも素晴らしい音質だと思っていますが、そういう聴き方をすることで、違いが浮き彫りになりました。

株式会社スクウェア・エニックス 藤永健生(ふじなが・けんせい)
株式会社スクウェア・エニックス 藤永健生(ふじなが・けんせい)

━━ どのような点で違いを感じましたか?

藤永:音の解像度がまったく違います。あんなに素晴らしいと思っていたAシリーズですが、Signature Series体験後はくぐもって聞こえてしまうようになりました。正直に言えば、空気感のようなものは僕にはわかりません。ベルリンでオーケストラの収録をした際、我々はリハーサル時に指揮者の真後ろに立たせていただきました。ですが、イモージェンは収録した音源を自由自在に組み合わせて独特の音楽世界を作り上げる方なので、オーケストラのその場の空気感、その場にいる臨場感を再現することは、この曲において実はそれほど重要ではないんです。イモージェンと僕らが作り上げた楽曲をとことん精密に鳴らし、あるべき姿できちんと受け止められるのがSignature Seriesでした。
御子柴:僕はファイナルミックスしたデータをウォークマン®WM1シリーズに入れて、ヘッドホン『MDR-Z1R』で聴いていました。普段からヘッドホンを使って自分のブースで音源を聴くことが多いのですが、やはりスタジオで聴くのとは少し違う感じがするんです。でも今回Signature Seriesで聴いたところ、スタジオの感覚に近く、音の広がりを感じました。サウンドデザイナーとして思い描いた音を、そのままヘッドホンで聴くことができたんです。

━━ イモージェンさんによるエンディング曲は、最後の山場だと思います。楽曲へのこだわりについてお聞かせください。

藤永:先ほどもお話したように、『THE QUIET MAN』は耳が聞こえない主人公が歌姫を助ける話です。でも、彼は歌姫を助けたところで、どう転んでも彼女の歌を聴くことはできません。一方歌姫は心に傷を抱え、歌えなくなっています。だからこそ、耳が聞こえない主人公に対してのみ心を開いていて、彼にだけは自分の声が聞こえている気がしています。3時間のゲーム体験で、もしプレイヤーが主人公に感情移入できたなら、音がない世界で苦しみもがいて生きてきた彼の人生に自分を重ねてくれたなら、最後に曲が流れた時、生まれて初めて音を聞いたような感動が宿るのではないかと思いました。そういう思いをイモージェンに打ち明け、「あなたでなければいけない」とお伝えしました
御子柴:イモージェンに頼んだ時点で良い曲ができるのはわかっていましたが、上がってきた楽曲は期待をはるかに上回るものでした。第一弾のデモが届いた時、ふたりで聴いて「これは!!」と興奮しました。
藤永:「ラフデモです」と言われたので、ハミングで歌っているようなものが届いたのかと思いきや歌詞がバシッと入った楽曲でした。聴いた途端、ふたりで泣きました。ストーリーを読み込み、このゲームの本質をわかった上で曲を書いてくれたというのが伝わってきたんです。Signature Seriesで聴くと、その時に我々がうけた感動の本質のようなものが、確かにそこに宿っているように感じられました。

━━ エンディング曲以外の音を、Signature Seriesで聴いた感想は?

藤永:もともとこのゲームをプレイする際には、ヘッドホンを推奨したいと考えていました。内に留まる音を体感するには、5.1chサラウンドのように外から広く鳴る音よりもヘッドホン環境のほうが適していますから。中でもベストなのは、作ったとおりの音を出してくれる純度の高さ、素直さ、正確さを持ち合わせたヘッドホンです。クセの強いヘッドホンよりも、我々が提示する「この音で遊んでほしい」という音をダイレクトに届けられる、モニタリングヘッドホンのような特性が求められるように感じていました。その点、Signature Seriesのヘッドホン『MDR-Z1R』は、申し分ない製品です。こちらが思い描いたとおりの音を体験できる、この上なくリッチな環境ですから。

━━ では最後に、ゲームにおける音の重要性についてお聞かせください。

藤永:特に現代において、ビデオゲームは、音がなければ成立しないメディアです。映画やドラマ以上に、音の重要性が高いと言えるかもしれません。その体験をリッチにしようと思ったら、まだまだ伸びしろがあります。ゲームをプレイするにあたり、優れたオーディオ環境を持つことはテレビのサイズを上げることよりも大事かもしれません。スピーカー、ヘッドホンを替えるだけでも体験の質は劇的に変化しますので、ぜひ良い音で試してほしいと思います。『THE QUIET MAN』でなければソニーのサラウンドシステムを推奨したいところですが、本作に関しては良いヘッドホンをひとつ新調してみてはいかがでしょう。その究極のラインがSignature Seriesです。

御子柴:最近のゲームは映画やドラマよりも作り込みが細かく、世界には素晴らしい作品があふれています。ゲームをプレイするうえで、音は非常に重要です。中でも『THE QUIET MAN』は音を意識したタイトルですので、ぜひSignature Seriesで楽しんでいただけたらと思います。

株式会社スクウェア・エニックス 藤永健生(ふじなが・けんせい) 御子柴健一(みこしば・けんいち)
株式会社スクウェア・エニックス 藤永健生(ふじなが・けんせい) 御子柴健一(みこしば・けんいち)
NW-WM1Z

ウォークマンWM1シリーズ(メモリータイプ)

NW-WM1Z

高音質を追求したこだわりのパーツで構成されたウォークマン・フラッグシップモデル

NW-WM1A

ウォークマンWM1シリーズ(メモリータイプ)

NW-WM1A

「音」に込められた想いまで届ける。温かみのある音質まで再現するアルミ切削筐体モデル

MDR-Z1R

ステレオヘッドホン

MDR-Z1R

空気感を表現するためソニー最高峰の技術を投じたフラッグシップヘッドホン