━━ 『THE QUIET MAN』における音の重要性はとてもよくわかりました。今回、リファレンス機器としてヘッドホン『MDR-Z1R』をはじめとするソニーの高音質技術の結晶、Signature Series(シグネチャーシリーズ)を選んでいただきましたが、その理由をお聞かせください。
藤永:僕は、生粋のソニーファンなんです。『THE QUIET MAN』は音の存在意義を問うところから始まり、とことん音にこだわったゲームになったので、ぜひユーザーのみなさんにも『MDR-Z1R』で体感してほしいと思いました。このゲームはコンパクトで短く、価格も1,800円と映画1本分。短いからこそ尖らせるところはとにかく尖らせ、こだわるところはとことんこだわり抜いた珠玉の1本です。弊社には「ファイナルファンタジー」シリーズをはじめとする超ビッグタイトルもあります。そういった豪華絢爛なジュエリーボックスのようなタイトルではありませんが、小粒でも誰かにとってダイヤモンドのような作品になってくれれば、と思っています。究極を目指す、こだわりを極めるという点では、Signature Seriesに共感を覚えるところがありました。
━━ 今回、『THE QUIET MAN』のリファレンス機器としてSignature Seriesを選んでいただきましたが、直接PlayStation 4と繋ぐことのない、ウォークマン®WM1シリーズ『NW-WM1Z』『NW-WM1A』も含めたのはなぜでしょうか。
藤永:『THE QUIET MAN』は音を排してゲームが進行しますが、唯一エンディングにだけ、とある楽曲が収録されています。それだけが、いわゆる音楽と呼べるもの、言葉と呼べるものなんです。我慢して我慢して、最後に聴けるのがこの1曲。だからこそ、それは“神曲”でなければなりません。そこで、イモージェン・ヒープさんというロンドンのシンガーソングライターと一緒に曲を作ることにしました。この楽曲は後日ハイレゾ音源としても発売予定です(2018年7月9日取材時点)。それを、ぜひウォークマン®で聴いてほしいと思ったのです。ゲームはゲーム用のミックスになるので、最高の環境で楽曲そのものを聴くとしたらウォークマン®WM1シリーズに行き着きました。外に持ち出して聴くという条件下では、このシリーズに勝るものはないでしょう。
━━ 試聴される前のSignature Seriesの印象は?
藤永:正直に言うと、優れた商品であるのは当然として、果たして値段に見合うだろうかと懐疑的なところがありました。僕は普段からハイレゾ対応の高音質エントリーモデルであるウォークマン®Aシリーズを愛用しています。価格に対する満足度が非常に高い、素晴らしい商品ですよね。あのシリーズは約3万円ですが、その10倍近い価格のウォークマン、同等のヘッドホンは果たして値段に見合う価値があるのだろうか。『THE QUIET MAN』は音と向き合うゲームでもあるので、きちんと検証して我々なりの答えを出そうとふたりで話しました。