商品情報・ストアヘッドホン LOVE MUSIC mabanua × NW-ZX500 series
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|楽しいばかりじゃないから、前進できる|

mabanuaさんはご自身の音楽活動に加えて、国内に限ってもCharaさんや米津玄師さん、向井太一さんをはじめ、数多くのミュージシャンのかたたちとさまざまなコラボレーションをされています。現時点では、音楽づくりにどのような楽しさを感じているでしょうか?

mabanua(以下M) : ひとりでつくる作品は、自分にしか決定権がないだけに、最初は楽しいんだけど、どこかで悩みだすと、はたしてこれでいいのだろうかと、ずっと葛藤しながら進めていくことになります。でも、それも含めて楽しいですね。誰かと一緒につくっていくことも、もちろん楽しい。ただ、レーベル側やクライアントから、こうしてほしいとか、別の案も聴いてみたい、といった要望をもらうことも当然あって。それに応えていく面白さも、難しさもあります。そうしたさまざまな条件のなか、楽しさと苦しさが、交互に波のようにやってくることで、よりエキサイトしてけるという面があると思います。

mabanuaさん自身がいま心を惹かれる音楽とは、どういうものになるでしょうか?

M : 大まかにいうと、違う要素が混ざり合っているものがすごく好きですね。打ち込みのドラムに、生演奏の楽器の音がのっているとか、さらに、そこにブラックミュージックっぽさもあるとか。14歳のころにはじめてビートルズを聴いたのですが、彼らの音楽にはそれこそさまざまな要素が含まれていて、初期、中期、後期の作品で音楽性もまるで違う。ひとつのジャンルとしては、とても限定できないけれど、統一感があるというか。聴き方によって、いろんな聴こえ方のする音楽というのも、僕は大好きです。

音そのものについては、どうでしょうか。mabanuaさんにとっての「いい音」とは、どのようなものになりますか?

M : 細かな話になりますが、中音域や中高音域あたりの帯域がコントロールされているかどうか、音楽の情報量として密度があるかどうかが、ポイントになってくるんです。高音域や低音域で過剰な音を出すことは、僕としては避けたい。中音域や中高音域をどうつくり上げていくかは、じつはとても難しい作業なのですが、そこの密度を濃く、うまくコントロールできていると、「いい音」だなと思います。ビートルズの作品などは、そうした帯域の処理がうまい、わかりやすい例ですね。

|音の鳴る空間が広くて、透明感がある|

今回は、ウォークマン「NW-ZX500シリーズ」とイヤホン「IER-M7」を使って、ご自身の作品などを実際に聴いていただきました。

M : 器の大きさのようなものが圧倒的に違う、というのが最初の印象でした。スマートフォンなどで聴いていたときと比べて、はるかに大きな空間の広がりを感じます。音源そのものは変わらないのに、音の鳴っている空間の大きさが違うという感覚で。4畳半の部屋で聴いていた音が、20畳の部屋で聴いているような音になるというか(笑)。それくらい圧迫感がなく聴こえました。

「NW-ZX500シリーズ」ではフルデジタルアンプ〈S-Master HX〉によって、ハイレゾの音源をより高音質で楽しむことができます。ご自身のアルバムである『Blurred』、サウンドトラック作品の『MEGALOBOX Original Soundtrack (Complete Edition)』を聴いてみて、どのような印象を受けたでしょうか?

M : どちらも自分でミックスをしているので、正直、聴くのが怖かった(笑)。あの部分はこうしておけばよかったとか、あらが見えてくるのでは、という怖さがあったのですが。結果的には、自分が意図した鳴り方をきちんとしていたので、まずは安心しました。自分でこういう処理をしていたんだなと、はっきり確認することができますね。先ほど言ったような、空間の広がりがあるなかで聴くと、透明感のようなものもすごく感じる。

本日は、製品開発を担当した関根和浩も同席しています。いまmabanuaさんが話していただいたようなハイレゾ音源の聴こえ方については、〈S-Master HX〉によるところも大きいのでしょうか?

関根(以下S) : そうですね。なにか新たに音を加えているわけではなく、フルデジタルアンプの機能を向上させることによって、ノイズを削減し、ごくごく小さな差でもより鮮明に感じ取れるように改良を続けてきました。こうした上位機種ではとくに、プロのかたに、自分のミックスした音がよく再現されていると言っていただくことが多くて、うれしい限りです。

M : やっぱり、そうなんですね。いまとなっては、自分のシステムにこのウォークマンをつないでモニタリングしながら、もう一度ミックスをしたいくらいです(笑)。

先にご紹介した2作品のように、ハイレゾ音源でアルバムをリリースすることは、mabanuaさんにとって、どういった面白さがあるのか教えていただけますか?

M : たとえば『MEGALOBOX〜』はサウンドトラックなので、一曲のなかでレンジが広い。最初は静かにはじまって、終わりのころには爆発していくというように、そのダイナミクスが表現できるかどうかが鍵になってくる。そうした音圧の変化がある曲ほど、ハイレゾで聴いてもらったほうが、魅力がわかりやすいと僕は考えています。一方で、『Blurred』のほうは全体的に音数が少なく、余白が結構あるので、音の鳴っていないところが重要になってくるんですね。ブラックミュージックにもそういうところがあるのですが、音がどこで消えるか、どう鳴り止むかといったことで、印象が大きく変わってくる。そうした表現性の面でもやっぱり、ハイレゾ音源をこうした音楽専用機であるウォークマンで聴いてもらえるといいなと思います。

|ストリーミングも音楽専用機で聴きたい|

「NW-ZX500シリーズ」はストリーミング・サービスにも対応しているのですが、普段mabanuaさんはストリーミングで音楽を聴くことがありますか?

M : 僕はSpotifyを使っています。ストリーミングに慣れてしまうと、スマートフォンで聴く機会がますます増えますね。でも本当は、ストリーミングもこうした音楽専用のプレーヤーで聴きたいと思っていたので、このウォークマンの登場はうれしい。音楽に限らず、僕はなにかの目的のための専用機が好きなんです。

ストリーミングで見つけていいなと思った曲も、こうした対応モデルならば、PCを介したりせず、そのままダウンロードして購入することもできます。

M : それは便利ですね。僕にとっては、まず音質重視であることがうれしいし、これ一台でいろいろ完結できるというのも大きいです。

さらには、独自の〈DSEE HX〉が機能することによって、CD音源などに加えて、圧縮されたストリーミング音源も、ハイレゾ級高音質※にアップスケーリングされます。実際に、その機能をオンにした状態と、オフにした状態とで聴き比べてみてください。
※ 有線接続:「DSEE HX」ON時(最大192kHz/32bitまで拡張)
  無線(Bluetooth(R))接続:対応ヘッドホンの「DSEE HX」ON時(最大96kHz/24bitまで拡張)


M : ……ああ、違いますね。上の帯域が違うのかな。上の帯域が変わることで、ほかの帯域まで印象が違って聴こえるような。オンとオフで切り替えてみると、違いがよくわかります。

S : 実際には、AI技術によってリアルタイムで解析して、上の帯域だけをアップスケーリングしています。20kHz以上のところは、人間には聴き取れない音なのですが、そうした部分まで加わることで、音の体感が変わってくるのです。

M : なるほど、面白いですね。

S : 圧縮率の高いCDやストリーミング・サービスの音源では再現することのできない帯域を、あくまで、できるだけ自然に、ハイレゾ級の高音質まで補完する機能ということになります。

M : 最近、スタジオで一緒に作業をしてもらっているエンジニアのかたに、低音域でもとくに20Hz以下の音を取り入れると、違って聴こえますよと言われて。地鳴りのように聴こえるかどうか、というところなんですけど、たしかに曲の印象が違うんですよ。

S : 先ほど触れたように、20kHz以上の高音域や20Hz以下の低音域は、人間の耳では聴き取れない帯域なのですが、音があることは感じています。私も、自然のなかにある音をハイレゾで録って聴くことがあるのですが、再生音質がハイレゾとそうでないものでは、はっきりと違いがわかりますね。

|音楽の密度が濃くなるような聴き応え|

もうひとつ、この「NW-ZX500シリーズ」の特徴として、専用ケーブルとの組み合わせによって、バランス出力ができるという点が挙げられます。

S : バランス出力ではない場合、右から鳴るべき音が、左からの音の中に漏れたり、その逆のことが起きたりする。そうしたクロストークと呼ばれる、信号の混信が生じます。バランス出力は、左右の音の信号の流れを完全に分けることで、クロストークを限界まで低減し、一つひとつの音をクリアに届けることができます。それによって、音に広がりが出て、ステレオ感が大きく変わってきます。

M : 高級オーディオのへッドホンアンプなどには、バランス出力の機能が搭載されていたりしますよね?

S : まさしく、そうした高度な機能です。じつは、ヘッドホンプラグとジャックの接点に生じる抵抗が、音質に影響してしまうので、この「NW-ZX500シリーズ」では、その抵抗を極限まで低くするための改良を重ねました。こうしたところも、スマートフォンなどでは実現できない、専用機ならではの特徴ということになります。

今回はバランス接続に対応した別のケーブル「MUC-M12SB1」も持参していますので、こちらでも試していただけますか?

M : ……これは違う。1秒もかからずに、わかりますね(笑)。なんて言えばいいのか、月並みな表現になってしまいますが、密度が濃くなったような感じというか。

S : このケーブルは、アメリカのKIMBER KABLE(キンバーケーブル)社に協力いただいて開発したものです。電気が流れることによって生じるノイズを、中の線の編み方などによって低減させています。

M : ガツッという音が、ゴツッになるような。音の芯が、よりはっきりする感じですね。その違いが、とてもよくわかる。いままでいろいろ試してきたけれど、このセットは完成度がとても高いですね。

S : 離れたところで聴くスピーカーに比べて、イヤホンやヘッドホンは密着した状態で聴くだけに、ケーブルによる違いもよりわかりやすいですよね。

mabanuaさんは、アナログレコードも好きで聴かれているということですが、この「NW-ZX500シリーズ」にも搭載されているバイナルプロセッサー(アナログレコード特有の音響現象を再現する機能)については、どのような印象をもたれたでしょうか?

M : 僕は、いったん曲をつくり終えたあとに、レコードのノイズのようなものを薄くのせたりすることが、ときどきあって。そうすると、音が太く聴こえるような気がするんですね。そういったアプローチにも通じるところがあるでしょうか?

S : ノイズをのせているという意味では、そうですね。アナログレコードは針が振動するなどして、独特のノイズが鳴っていることが、心地よさにつながっているので。原曲に対して、そうしたノイズをどうやって加えたらいいのか、といったことを徹底的に研究しました。ちょっと遊び心のある機能で、やはり自然に聴こえるということを大切にしています。

M : あからさまなノイズではなくて、違和感なく聴こえて面白いと思いました。

|いまも挑戦を続ける姿勢に共鳴する|

ところでmabanuaさんは、以前からさまざまなソニー製品を使われてきたそうですね。

M : 父親がとにかくソニーの製品が大好きだったこともあって、いまだに家にはテレビやヘッドホンなど、なんでも揃っています(笑)。自分が音楽づくりを始めてから、一時期は海外メーカーの製品を使ったりもしたのですが、やっぱりソニーに戻ってみると、すごく安心感があるというか。イヤホンやスピーカーで聴いたときに、「あ、これはソニーの音だ」と感じられる。ソニーの製品は、素直な音色で、クセが強すぎたりしないところがいいですね。スタジオに持ち込んで、そのまま僕たちの仕事に活用できるものが充実していると思います。

S : それはうれしいですね。先ほど、自然界にある音を聴いてみるということに触れましたが、そういう人の手が加わっていない音を集め、再生して確かめることを、私たちは続けているんです。過度な脚色をしたりせず、違和感のない高い再現性を実現していくこと。そのための試行錯誤が、ソニーの製品らしさにつながっているような気がします。

今回はウォークマンとともに、イヤホン「IER-M7」も使用していただきました。使い心地はいかがでしたか?

M : じつはこのイヤホンを、この前ステージで使わせていただいて。まずは耳からまったく落ちないこと、それからノイズがないことにも驚きました。イヤホンに関してはとくに、個人の相性があると思うのですが、僕の耳にはすごくあっているようです。父親の影響もあるかもしれませんが(笑)、信頼感が圧倒的に違う。

製品の開発担当者として、mabanuaさんに訊いてみたいことはありますか?

S : はい。いまは音楽を聴くときにイヤホンやヘッドホンを使うという人が、本当に多いですよね。そのためなのか、最近の曲は、そうした機器から音楽を聴くことを想定して、リバーブを使ったり、パンを振ったりしているものが多い気がしていて。以前に比べて、ヘッドホンで聴いたときに気持ちいい曲というのが、多くなってきているように思います。mabanuaさんは、そうしたことを意識して音楽づくりをされていますか?

M : 昨日もミックスをしていて、最後にヘッドホンでチェックしたのですが、音の配置がすごく気になりました。スピーカーで聴いている分にはそうでもないけれど、ヘッドホンで聴くと、右側の楽器が多すぎるから、左側にひとつ移そうかなとか。もしくは、左側だけに音を完全に振り切ってしまおうとか、いろいろ試してみたくなる。音の聴こえてくる角度も、ヘッドホンでチェックすると、45度と60度の違いを体感できたりして。音の配置もそこまで明確にわかるとなると、もっと気をつけたいなと思います。

そうすると、つくり手の意図した音をしっかり再生できる機器というのも、やはり重要になってきますね。

M : 一聴してすごくいい音だなと思っても、空間の広がりが狭いイヤホンでずっと聴いていると、だんだん疲れてきてしまうんです。そうではなくて、広い空間に鳴っているような、解像度も高い音を聴いていると、それほど疲れないし、むしろリラックスできる。うまくたとえられたらいいんですけど……、ベッドの硬い整体屋さんで、マッサージをずっと受けていても疲れてきちゃいますよね(笑)。いい再生環境で聴いていると、音楽をより吸収しやすいような気がします。

S : たしかに、疲れる音、疲れない音ってありますね。私たちも、日頃いろいろなヘッドホンを試しているのですが、自然に聴こえるもの、実生活の音との差が少ないものは、長く使用していても疲れにくい傾向があるようです。対して、なんとなく違和感がある音にずっと接していると疲れてしまう、というのは実際の体験からもわかる。私たちとしては、そういう面も含めて、「いい音」とは何かということを考えていく必要があると思います。

これから、さまざまな新しい技術が開発されていくことも、mabanuaさんの音楽づくりの刺激になるところがあるでしょうか?

M : 最近ちょうど、ソニーの別の新しいスタジオモニターヘッドホン(「MDR-M1ST」)を使う機会もありました。実際に使ってみると、このウォークマンと同じように、いまだに新たな挑戦を続けているというか、突き進んでいく意志のようなものが感じられて、すごくいいなと思うんです。

S : テクノロジーを進化させ、音楽体験を向上させていくことが、私たちの本来の仕事だと考えています。そのために毎回いろいろな挑戦をしています。このオーディオの世界にも、決まったゴールというものはなく、求められるものは変化していくに違いありません。これからも、かつてない音楽体験を提供できるような製品を追求し続けていきたいです。

M : 僕たちミュージシャンも、一度ヒット曲が生まれると、次回もそれに準じた曲を求められることが多いのですが、やっぱり、そこは過去の成功に頼るのではなく、違うものをつくりたい、いい意味での裏切りを見せたいなと思います。そういう姿勢の部分で、通じているところがあるのかなと感じます。

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