商品情報・ストア Feature 制作者の意図、全ての要素がクリアに“見えてくる”『NW-WM1ZM2』の音
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制作者の意図、
全ての要素が
クリアに“見えてくる”

『NW-WM1ZM2』の音

音楽プロデューサー・本間昭光が語る
新フラッグシップウォークマン

『NW-A100シリーズ』製品画像

2022年3月25日、ウォークマンの新たなフラッグシップとなる『NW-WM1ZM2』がいよいよ発売されます。ここではそれを記念して、ポルノグラフィティやいきものがかりなど、数々の人気アーティストを世に送り出してきた音楽プロデューサー・本間昭光さんに『NW-WM1ZM2』の音を聴いていただきました。楽曲提供やアレンジなど、アーティストとしての顔も持つ本間さんが、新しいフラッグシップウォークマンの“音”をどのように感じたのか、本間さんが実際に音作りをしているご自身のスタジオでお話を聞いてきました。

PROFILE

音楽プロデューサー
本間昭光

1988年、マイカ音楽研究所に入学し、松任谷正隆氏に作曲アレンジを師事。翌年から、Wink、工藤静香、原田知世をはじめとするアイドルを中心にアレンジャーやTVやライブのサポートミュージシャンとして本格的に音楽活動を開始する。1999年にはポルノグラフィティで自身初となるトータルプロデュース・作曲を担当した。2010年には、サウンドプロデュースに加え、全国ツアーでバンドマスターを務めるなど深い関係性を築く、いきものがかり「ありがとう」が大ヒット。近年は降幡愛、鈴木雅之、渡辺美里、関ジャニ∞、木村カエラ、天月-あまつき-、め組、ビッケブランカなど、さまざまなジャンルのアーティストを担当する傍ら、ミュージカルの音楽監督や若手アレンジャーの育成など、新たな活動にも意欲的に取り組んでいる。

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『NW-WM1ZM2』で聴いて、
40年間の“誤解”が解けた

― 本間さんには今回、Signature Series(シグネチャーシリーズ)の新しいフラッグシップウォークマン『NW-WM1ZM2』を、同じSignature Seriesのステレオヘッドホン『MDR-Z1R』とキンバーケーブル『MUC-B20SB1』との組み合わせでご試聴いただきました。まずは率直なご感想をお聞かせいただけますか?

本間:お伝えしたいことはたくさんあるのですが……じつに素晴らしい音質ですね! 仕事仲間のエンジニアたちにも試してもらったのですが、皆、感動していましたよ。設計者の本気、意気込みが伝わってくるって。とくに『NW-WM1ZM2』と『MDR-Z1R』、そしてキンバーケーブル『MUC-B20SB1』の組み合わせによる音のクオリティの高さには、本当に驚かされました。

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― 後で製品内部もご覧いただきますが、この組み合わせはアンプの根本から耳元までを全く同じ仕様のキンバーケーブルで繋ぐという点が画期的な組み合わせ。音に対する思想も同じなので非常に相性が良いんですよ。

本間:一番衝撃を受けたのは、松任谷由実さんの1982年のアルバム『PEARL PIERCE』に収録されている「夕涼み」ですね。40年前から何度となく聴いてきた曲なのですが、この曲のイントロはドラマー・林立夫さんによるスネアの美しいリムショット一発から始まるんです。僕はそれをずっと、リムショットにリバーブがかかった音として認識していたんですけど……違っていました。

― 何だったのでしょうか?

本間:僕がずっとリバーブの鳴りだと思っていたのは、リムショットの振動に対するタムの共鳴だったんですよ。それを『NW-WM1ZM2』で聴いて、初めて理解しました。この音響は、レコーディングスタジオで聴いていなければわからないもの。まさにレコーディングの現場にいるような臨場感、没入感が感じられて、本当に驚きました。林立夫さんやプロデュースされた松任谷正隆さんにも、ぜひお伝えしたいと思いました。

― 一瞬の音も、そこまで微細に聴き取れるんですね。

本間:そして、クラシックの音響にも驚きました。たとえばリヒャルト・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」。この曲は、超低音のドの音から始まるのですが、人間の可聴域ギリギリの深い音程なので、CDでもどの音階で何の楽器で演奏しているかが、楽譜を参照しないと判別するのは難しいんです。

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― ぼんやり超低音が鳴っていると感じられてしまうのですね。

本間:はい。でも今回の組み合わせで聴くと、一瞬でパイプオルガンとコントラバスの音(ファゴットも入っているようですが)だと分かるんです。しかもその演奏が始まる直前、エンジニアがフェーダーを上げたであろう瞬間の、会場の空気が共鳴している様子までもが、ちゃんと音として感じられました。クラシックでは先頃、映画が公開された『ウエスト・サイド・ストーリー』のサウンドトラックも、Dolby Atmosでのデジタル・リリース盤で聴きましたが、没入感がすごかったです。まるで自分がニューヨークにいるような感覚になれました。オーケストラのトゥッティがドカンと来るだけでなく、打楽器、シロフォン、ラテンパーカッションとさまざまな楽器が、入れ替わり立ち替わり出てきて共鳴する様子が、克明に“見える”んです。そこまでの再現性を実現したウォークマンなのだというのが、まず驚きでしたね。『MDR-Z1R』も一見ヘヴィな見た目ですが、かけてみるととても装着感がよく、音のバランスもいい。『NW-WM1ZM2』と『MDR-Z1R』の組み合わせだと、さらに没入感が高まるので、『MDR-Z1R』を着けていることをつい忘れてしまうほどでした。

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― さらに現代的なジャンルではいかがでしたか?

本間:クラシックが“共鳴”の音楽だとすると、ヒットチャートを賑わしているダンスミュージック、ヒップホップミュージックなどは“分離”の音楽と言えるんです。リズムにはほぼリバーブがかかっていないですし、空気感は感じられますが、音像のセンターラインに来る音は、ほぼ共鳴というものを意識してないサウンドになっています。例えばエド・シーランの音楽だと、そこに声の倍音だけが出てくる創りになっています。エド・シーランの声が、基音の上に倍音が重なって口の中で共鳴しているだけで、それ以外に共鳴するものがない音楽になっています。そういう音楽も、『NW-WM1ZM2』で聴くと、やはり“見える”感覚がありました。ジョナス・ブラザーズの楽曲で、今まではブチブチしたノイズがただのっているなと感じていたものが、はっきりとレコードノイズだったことも分かりました。BTSの「Butter」もミックス違いの音源がたくさんありますが、キックの音が何種類使われているかまで、つぶさに聴き分けることができます。それはフラッグシップ機ならではの音楽体験でしょうね。

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― 再現性という意味では、本間さんが手がけられた楽曲をご自身がどう感じられたかも気になります。

本間:僕が編曲とプロデュースを手がけた、いきものがかりの「ありがとう」はデジタルレコーディング、デジタルマスタリングをしていました。かたや20年前のポルノグラフィティの楽曲はデジタルレコーディングをしましたが、デジタルのマスター音源をアナログのハーフインチテープに落としてマスタリングしています。その2曲を『NW-WM1ZM2』で聴き比べると、ポルノグラフィティはアナログの良さが際立つ滑らかさがより再現されていますし、いきものがかりは当時の音質が再現されただけでなく、「DSDリマスタリングエンジン」によって上下方向に音が伸び、ツヤ感が増しました。

― そういう元音源の違いもさらに明らかになるんですね。ちなみに「DSDリマスタリングエンジン」の効果についてはどのように感じられましたか?

本間:我々のレコーディング現場では、デモテープを提供する時、音の資料を作る時は全てDSDで録音しています。音楽を伝える方法として僕はDSDに勝るものはないと常々思っているんです。感覚的にも、DSDで再現された音は滑らかで、空気感があり、音楽に没頭できるんです。音楽制作者である僕が思う“いい音”は、やはりレコーディングスタジオで聴く、くすんでいない音なんですね。制作者の意図が見える、演奏者の息遣いが感じられる、全ての要素と全体像がクリアに見える音。再生機としての『NW-WM1ZM2』は理想的ではないかと思いました。

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― なお『NW-WM1ZM2』は音質の向上に加え、フラッグシップウォークマン初のAndroid対応もポイントです。これによって、ストリーミング音楽サービスの楽曲を楽しめるようになりました。圧縮音源を高音質にアップスケーリングする「DSEE Ultimate」も進化しており、新モデルでは流行りのロスレス音源をより高音質に再生できるようになっています。

本間:はい。それで今回、僕もストリーミング再生で、さまざまなジャンルの音楽を聴いてみたのですが、「DSEE Ultimate」の効果が本当に素晴らしくて。実際、ここまでしたお話は全てストリーミング再生で感じたことなんですよ。それで、いちリスナーとしても音質のいい音楽をもっと聴きたくなりましたし、ここまでクオリティの高いウォークマンを作られてしまうと、音楽制作者として非常に身が引き締まります。これはもう、僕らに対するソニーさんの挑戦状ですよね(笑)。

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音楽も製品も、
ヒットは作り手の
“自己満足”から生まれる

― 本間さんには今回、『NW-WM1AM2』も体験いただきましたが、そちらはいかがでしたか?

本間:基本的な印象は変わりません。『NW-WM1AM2』も十二分にいい音を再現してくれています。ただ『NW-WM1ZM2』に比べると、ちょっとポップス寄りな音質かなと感じました。音圧が出てくる部分があるので、ビートがしっかり出せますね。なので、ダンスミュージック系の音楽などには、より向いているんじゃないかと思いました。

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― 『NW-WM1ZM2』はいかがでしょう? ジャンルの向き不向きは感じられましたか?

本間:いえ、とても汎用性のあるサウンドですね。えてしてフラッグシップ機は、クラシックやジャズなどインストゥルメンタルな音楽のリスナーに向けられることが多いと感じていましたが、『NW-WM1ZM2』はそういう発想ではないところがいい。ボーカル曲も、とても滑らかに聴かせてくれます。ボーカルレコーディングも、時代を重ねて、使用するマイクを工夫したり、いろいろな音を重ねることで深みを出すようになりました。それを感じられるのが素晴らしいですね。ちなみに、そうした音作りは、近年のラッパーの発想でもあります。

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― 音作りにも時代によって変化が生じているわけですね。

本間:音楽の本質に変わりはありませんが、マスタリングには流行りがあるんです。例えば90年代、80年代の“ソニー・マスタリング”と呼ばれるマスタリング方式が流行した時代は、ボーカルの「さ・し・す・せ・そ」の音が強く出る傾向にありました。海外のマスタリングにはない日本独自の流行ですね。それが以前は、耳にキツく聴こえましたが、それはリスナーの再生環境のせいでもありました。なので、今『NW-WM1ZM2』でそれらの楽曲を聴いてみてもそうした不満は全く感じません。ボーカルの存在感もハイレベルで非常にしっかりしています。

― クラシック、ジャズからいわゆる“歌モノ”のポップスまで、『NW-WM1ZM2』は全て網羅できている再生機であると。

本間:そうです、まさに汎用ですね。ボーカルがこれだけしっかりしていて、各楽器の存在もきちんと見えるのは、じつに素晴らしい。だからといって何かの音がマスキングされているわけでもない。あるべき音源が全て再現されているという意味では、本来の意味の“原音忠実再生”が実現していると考えていいのではないでしょうか。『NW-WM1ZM2』は、その最高音質バージョンですね。この2機種の違いは、どこから生まれてくるものですか?

― それについては、今回、『NW-WM1ZM2』および『NW-WM1AM2』の音質設計を担当したエンジニアの佐藤が同席していますので、彼から回答しますね。

佐藤:『NW-WM1ZM2』も『NW-WM1AM2』も、実はどちらも基板は同じです。大きな違いがあるとすれば、シャーシ、筐体の素材と内部のケーブルがキンバーケーブルか否かです。今日は、『NW-WM1ZM2』の内部構造が分かる試作モデルを持ってきたのでぜひご覧いただきたいのですが、内部のキンバーケーブルはわずかな長さではあるのですが、歴然と音が変わります。

本間:この太い編み込みが、音質にいい影響を与えているのですね。

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佐藤:そうですね。そして筐体に関しても、『NW-WM1AM2』はアルミニウムですが、『NW-WM1ZM2』は純度99.99%の無酸素銅を採用しています。無酸素銅は削るだけでも大変な苦労があり、本来なら手間がかかるので量産には向かない素材なのですが、シャーシ内部の切り出し方からこだわって金メッキ加工をして量産にこぎつけました。内部も削った跡の美しさまで残したかったので、ショットブラスト加工でマスキングをしています。ただ製品を組み上げてしまうと、そのあたりは全て隠れてしまうので、開発者の自己満足というかこだわりになってしまうかも知れませんが……。

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本間:いえ、その精神がもの作りにはとても大切なのだと思います。僕が音楽制作で、理想のいい音を目指しているのも、結局は作り手の自己満足です。そして、その自己満足が、手にする人に共有してもらえたら、ヒットが生まれる。作り手が理想を極限まで追い込んでいくことは、もの作りの入り口としては正しいと思います。『NW-WM1ZM2』のように、最高峰を目指して、本当にきめ細やかにミリ単位のこだわりを持って作られることに共感する人も多いでしょう。

佐藤:こだわりということですと、今回の2機種には、『NW-A100シリーズ』などにもあった、再生画面にアナログカセットデザインを表示させる機能も搭載しています。再生するフォーマットによって、カセットの種類も変わりますし、曲名を表示しているラベルのレタリングも、昔のインスタントレタリングを再現しています。

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本間:うわっ、これは楽しいですね(笑)。僕も高校時代に初代ウォークマンユーザーでしたし、その後も愛用していました。懐かしさと同時に、カセットテープの再生機から始まったウォークマンの歴史を感じさせてくれるこだわりは、個人的にもうれしいです。

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『NW-WM1ZM2』の登場は、
音楽制作者として身が引き締まる思い

― ちなみに今回、本間さんはストリーミング再生での音楽体験をしていただきましたが、ひとりの音楽家として、近年のストリーミング配信サービスの隆盛を、どのように捉えられていますか?

本間:ストリーミング配信は、もう時代が呼んでるものですよね。次から次へと新しい音楽が毎週のように生まれ、リスナーはそこから気に入ったものだけを“お気に入り”として留め置いていく。その“お気に入り”に残る、長く愛される音楽を、我々は目指していくことになりますね。

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― ロスレス音源の配信も始まり、ストリーミング配信サービスも高音質化していますね。

本間:そうですね。それを『NW-WM1ZM2』のような再生機器で聴く、新しい音楽の楽しみも生まれることでしょう。そうして、リスナーの耳もどんどん良くなっていくのだろうと思います。イヤホン、ヘッドホンの性能も確実に上がっていますから。今、有線のイヤホン、ヘッドホンがまた売れているというのも、配信サービスでいい音を求めるユーザーが増えているからではないでしょうか。

― いい音はこれからさらに求められていくと思われますか?

本間:はい。全体としても、いい音を追求する流れというのが、昔のようにまた戻ってくるんじゃないかなと思います。僕は、ボカロPの人達とも親しくさせてもらっていますが、彼らもいい音で録りたい、いい音のミックスをしたいというように、意識が変わってきています。なので、彼らにはスタジオレコーディングの経験もしてもらいたくて、何かあるたびに誘うようにしてるんですよ。そういう若い世代の個人の意識の高まりも非常に感じますね。音楽をやる上で最も大切なことは何だろう?と考えると、ジャンルによってアプローチは違いますが、やはり大事なのは音楽の基本を知り、音の響きを知ることなんです。その意味でも、たくさんの音楽を配信サービスで聴くことが、彼らの意識を変えていったのかも知れません。より高音質を追求した『NW-WM1ZM2』はそういう時代にこそマッチするウォークマンなのかも知れないですね。

― しかし、こうした高音質プレーヤーの登場について、アーティストとしてはどのように感じられていますか?

本間:最初にお伝えしたように、『NW-WM1ZM2』は音楽制作者として非常に身が引き締まる音楽プレーヤーです。こういうツールが世の中に存在して、しかもあのウォークマンとして市場に出るのですからね。『NW-WM1ZM2』のようなハイエンドオーディオに興味を持つ人が大多数いるのだと思うと、全ての楽曲に対する取り組み方、音色作りが変わります。音色の選び方も変わります。今までは、ウッドコーンのスピーカーで一番鳴る音色を厳選して楽曲に反映させていましたが、これからは低音を増強するサブウーファーでモニタリングすることも必要になるはずです。『MDR-Z1R』のようなヘッドホンの精度も上がっていますから、スーパーローの音ですら音程がしっかり伝わるようになるので。そこもしっかり意識したサウンドを作らなくてはならないですね。

― 作曲やアレンジ面の意識も変わりそうですね。

本間:もちろんです。特に現代のポップミュージックの作曲は、デスクトップで音楽を創ることが主流ですから、アレンジ能力やミキシングエンジニアとしての能力も含めた作曲家、という位置づけに変わってきました。ですから、ますます音楽と音響の知識を深めていないと淘汰されていくでしょうね。『NW-WM1ZM2』のような力の込もったハイエンドオーディオがこうして市場に出てしまうと、僕らのやっていることが、すべて丸見えになってしまいます。だからこそ、ソニーさんの挑戦状に全力で応えられるようないい音、いい音楽を、これからも作り続けたいですね。

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