法人のお客様[法人向け] カメラ 事例紹介 株式会社アンクルバック 様

事例紹介

株式会社アンクルバック 様

アーティストから支持されるステージカメラ『FR7』

ABEMAライブ配信「STUTS ”Orbit” Release Tour TOKYO」(2022年11月11日 LINE CUBE SHIBUYA公演)の制作にあたり、Cinema Lineカメラ『FR7』をご使用いただきましたので、株式会社アンクルバック ディレクター 村尾 輝忠 様とフリーランス 大矢 大介 様に運用のメリットや使い勝手について伺いました。

フルサイズセンサー搭載リモートカメラ『FR7』が、
アーティストの悩みを解決

村尾:今回、『FR7』を導入したのは、私が長くライブ映像を担当させていただいているヒップホップアーティストSTUTSの公演でした。会場となったLINE CUBE SHIBUYAは、私たちが関わるステージとしては中規模くらいの会場になります。

STUTS - Orbit Release Tour TOKYO - Shot on SONY FR7 別ウィンドウで開きます

株式会社アンクルバック
ディレクター 村尾 輝忠 様

STUTSはサンプラーを叩くスタイルで演奏するアーティストです。これまでは手元に固定カメラを仕込み、後から編集でズーム処理を加えて動きをつけるという工夫をしていましたが、どうしてもパンチルトで動きをつけられないため「画角にバリエーションがない」という悩みがありました。STUTSの活躍の場が大きくなるにつれ、ご本人や所属事務所様含めてなんとか改善したいと大きな課題となっていました。そのような状況で出会ったのが『FR7』でした。

フルサイズセンサーによる被写界深度の浅さとリモート操作による画角の自由さの両方を兼ね備えた点で「まさに探していたカメラじゃないか」ということで、現場投入するという思い切った決断をしました。

フリーランス
撮影 大矢 大介 様

大矢:今までもアーティストのバックショットやキーボード横、天吊りなどを中心に、従来型のリモートコントロールカメラを使ったことがありました。しかし、それではイメージセンサーのサイズが小さく感度性能が低いため、ステージの暗所部が撮れなかったり、解像感が異なったりと併用するカメラと混ぜると映像に違和感が出てしまっていました。小型のカメラを使ったこともありましたが、熱で録画が止まってしまう、バッテリーがもたないなど記録の確実性にも問題があり、私たちのオペレーションにおいては使用が定着しませんでした。

その点、『FR7』は人が立ち入れない場所に設置できるリモートカメラでありながら、フルサイズセンサーで明るく綺麗に撮れて、ぼけ感もあるという点から、まさにうってつけのカメラでした。

直感的な操作で、すぐに本番運用が可能

村尾:今回のSTUTSのライブでは、キーボードにも注目させる演出をしたいというアーティストの意向があったため、キーボード斜め後方とアーティスト本人の横の計2台の『FR7』を設置しました。カメラのリモートコントローラーを操作するベースはステージの下手袖の幕外に置きました。

大矢:オペレーションは2台とも私が担当しました。1人で2台操作するにあたり、混乱してしまわないよう、リモートコントローラー『RM-IP500』を2台用意し、それぞれ1対1で接続して使っていました。

総合的に、『FR7』は扱いやすいカメラだったと思います。前日にカメラテストを行い、すぐに本番に臨んだ形でも使うことができました。本体メニューがCinema Lineと共通したものだったため、普段から『FX6』を使い慣れていた私自身は飲み込みが早かったのではないかと思います。

ジョイスティックによる操作は、従来型のリモートカメラを使った経験もあったことから、感覚通りに動いてくれたので全く戸惑いはありませんでした。『RM-IP500』の追随性もよく、ストレスなく操作できました。

1人で2台の『RM-IP500』を操作しようとすると当然忙しくなります。そこで、役に立ってくれたのは「プリセットポジション」機能でした。1台のカメラのパンチルトを操作しながら、もう1台のカメラは困ったら予め決めておいた画角位置に変えるといったことができたので助かりました。

それに加えて、タブレットからの操作性が本当に良かったです。フォーカスが画面をタッチしたところに合い、追従してくれる「タッチトラッキング」機能は、直感的な操作でとても便利でした。ライブでは、暗いシーンやスモークといったAFには過酷な条件が多いので、基本的にはマニュアルフォーカスで操作しています。しかし、全体が明るく、動きが激しくなければAFもしっかり効いてくれるので、マニュアルフォーカスでは間に合わなそうな時にタッチトラッキングを多用しましたが、かなり使える機能だと思いました。

編集の効率化に貢献する映像制作のためのリモートカメラ

村尾:撮影は、S-CinetoneのLUT/Scene ファイルを使っていました。S-Log3を使って収録することもありますが、全体をカラーグレーディングしなくてはならなくなるため、時間と予算に余裕がある作品に限られます。S-CinetoneはソニーのハイエンドシネマカメラVENICE譲りの色再現や階調表現で、グレーディングすること無くそのまま本編で使える良さがあります。さらに、S-Cinetoneは一部のデジタル一眼カメラαシリーズでも搭載されているので、色の統一がしやすく、後のことを考えると楽で良いですね。

また、ライブを撮影するカメラは動きがあることが多い中、据え置きのカメラでは静止した映像になってしまうので、どうしてもテンポが崩れてしまい違和感が出てしまいます。画角を切り取るなど編集で動かすような手間をかけて調和を取っていましたが、ひとつひとつ編集処理を加える作業が必要なくなり、さらには編集ではできないカメラワークをつけることができるようになりました。

アーティストの要望に寄り沿うことができ、指名されるカメラに

村尾:今回『FR7』を使った結果、メインアーティストからゲストや観客席にカメラを向けるといった演出も可能になり、より魅力的なコンテンツを制作することができました。アーティスト本人も「やったー!」と大喜びで、所属事務所からも大満足の言葉をいただいています。その後も2ヵ月ほどの間に、3つの現場で『FR7』を使いました。

アーティストの中にはライブに集中できないことを理由に、目立つカメラやカメラマンが視界に入ることを嫌う方が多いですが、そういった場合でも、スッキリしたデザインのカメラで、かつ有人カメラマンを必要とせず緊張感から解放される『FR7』は活躍しました。別のアーティストさんの日本武道館公演でも、同様にカメラ位置を工夫しなければならない事例がありました。カメラの設置場所は、あらかじめアーティストの方にも確認してもらうのですが、その時はご本人から「『FR7』なら動きも気にならない」とお墨付きをもらい、足元に置かせてもらうことができ、本人とライブ用装飾の電球を一緒に撮ることで会場の雰囲気の演出を伝える画にすることができました。

もう1つの現場では、予算的な面から『FR7』は使えない見込みでした。しかし、そのアーティストの所属事務所さんがSTUTSのライブ映像をご覧になった結果、固定カメラでは満足できず「追加費用は持つので、ぜひうちでも『FR7』を使ってほしい」とのご要望をいただき、導入することになりました。追加予算を出してもらえるということは、なかなかありません。それぐらいインパクトのある映像を撮れるのが『FR7』です。

『FR7』は、次の使用現場も決まっています。アーティスト本人のご希望で、初めてアーティスト直上からの天吊りで使ってみる予定です。カメラから直下のアーティストを見下ろすアングルで、パンによって「回転しながらのズーム」という演出を入れてみるつもりです。

大矢:今後も、『FR7』を使いたいと考えています。クレーンやドリーを組み合わせた運用も考えてみたいと思います。カメラ台数に比例して、オペレーターも増やさなくてはならないので、1人で3カメがオペレーションできれば理想的です。他の音楽ジャンルにおいても、『FR7』は活躍してくれると思います。 例えば、クラシックのストリングスなど、固定カメラだと全体をカバーしきれず、映せない人が出てしまっていたのが悩みでしたが、そういった場面も解決してくれそうです。

村尾:特にオーケストラでは、曲の途中で休みになる演奏パートの方もいます。それを固定カメラだと切ることができず、編集でも苦労をしていました。『FR7』で、演奏しているパートに寄って撮れるようになればすごく助かります。

『FR7』は、見た目が目立たないだけでなく、音もとても静かなことに感動しました。ピアノ公演などでは、動作音の問題から、今までリモートコントロールカメラを使うことが難しかったのですが、そういった現場でも『FR7』は使えると思います。

予算が許せば、『FR7』はジャンルに関わらず常時3台くらいを使いたいカメラです。ライブ公演だけでなく、インタビュー映像などでも使えそうです。インタビューでも同室するスタッフの人数は少ない方が喜ばれます。今までは私1人で行き、『FX6』を固定で撮影していました。『FR7』ならば、リモートコントローラー『RM-IP500』なしに、タブレットだけでのオペレーションもできます。インタビューをしながら手元でカメラの被写体フォローもできますから、とても便利です。顔認識やAFの精度も本当に上がっているので、安心して撮影ができると思います。

『FR7』が登場したときは、今までのCinema Lineとだいぶ違うものが出てきたなという印象でした。実際に使ってみると、他のCinema Lineと肩を並べて様々な分野で活用していきそうな可能性を感じさせてくれました。今後は『FX6』と『FX3』のように、『FR7』もCinema Line PTZのバリエーションを増やしてもらいたいなと思っています。

使用機材紹介

FR7

Cinema Line カメラ
FR7

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RM-IP500

リモートコントローラー
RM-IP500

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株式会社アンクルバック

http://sonicfilm.net/ 別ウィンドウで開きます

※本ページ内の記事・画像は2023年1月に行った取材を基に作成しています。

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