bravia business

担当者に聞く! 業務用ディスプレイ選定時のよくあるお悩みと解決法

「映り込み」を解決する新技術搭載。
新モデル「BZ40L」の実力

デジタルサイネージや明るい会議室などで発生しやすい「映り込み」の問題。映り込みを低減させようとすると、コントラストが低下するなどの影響が出てしまうという技術的な課題があった中、2023年6月にリリースされた新しい法人向けブラビア「BZ40L」シリーズは、新技術「ディープブラック・ノングレアコーティング」によって従来機種と比べてコントラストを維持したまま映り込みの低減を実現。その実力と技術開発に込めた思いを聞いてきました。

私がお答えします!
  • ソニー株式会社
    ホームエンタテインメント&サウンドプロダクツ事業本部 TV事業部 商品設計第2部門 設計2部 パネル技術2課 エンジニアリングマネジャー 塚大浩司
  • ソニーマーケティング株式会社
    B2Bプロダクツ&ソリューション本部 B2B統合ビジネス推進部 1課 進藤涼太

■ディスプレイの「映り込み」はあらゆる用途に共通する問題

--街中や会議室などで使われている業務用ディスプレイにおけるお客さまが抱えてらっしゃる課題にはどのようなものがあるのでしょうか?

進藤:「実際に使ってみると、想像していたよりも画面への映り込みが気になった」という声をお聞きすることがとても多いですね。特に暗い映像を表示させたときに自分自身が映り込んでしまったり、周囲の照明などが反射してしまって表示している映像が見づらくなったりして、届けたいメッセージが伝わりづらくなってしまうことに問題を感じられているようです。

--主にどういった用途で映り込みが気になるのでしょうか? やはり、デジタルサイネージ用途でしょうか?

進藤:照明がたくさんある明るい商業施設などで使うデジタルサイネージはもちろんですが、会議室でも映り込みの問題はあります。蛍光灯が映り込んで画面が見にくくなるといった問題です。会議室のディスプレイに図表などを表示させて打ち合わせをする際、映り込みがあると、席によっては一部の情報が見えなくなってしまいます。実際にそういうお声をお客さまからいただいたこともあります。映り込みは全ての用途に共通する問題と言えるでしょう。

■理想の映り込み低減技術を法人向けブラビアのために新開発

--多くのお客さまを悩ませているという映り込みの問題ですが、これはどうすれば解決できるのでしょうか?

進藤:ディスプレイの映り込み具合を示す「ヘイズ値」の高い製品を選んでいただくと蛍光灯などの映り込みが目立ちにくくなります。ただし、これはディスプレイの表面に凹凸を作って光を散乱させるという「アンチグレア処理」の性能を示す数値で、数値が大きくなっても映り込みが消えるわけではありません。高ヘイズな業務用ディスプレイには、蛍光灯などの光源の輪郭がぼけたかたまりのように残ってしまうという問題がありました。

--業務用とPC用のディスプレイで使われるアンチグレア処理は異なるものなのでしょうか?

塚大:基本的には同じものと考えていただいて構いません。一般的な業務用低反射ディスプレイではヘイズ値が25%くらいのものが使われることが多いようです。これを50%程度にまで高めると映り込む像の輪郭をほとんど見えなくすることができます。ただし、このヘイズ値を上げるほど部屋の光を乱反射するため画面全体が白っぽくなってしまってコントラスト感が低下し、引き締まった黒の表現などが難しくなる弱点があります。そのため、これまでの法人向けブラビアではヘイズ値よりも表現力を最優先してきました。

なお、ディスプレイの映り込み防止技術にはもう一つ「ローリフレクション」というものがあり、こちらは仕組みと効果が全く異なります。光の「干渉」という特性を利用して反射率を落とすコーティングを表面に施すことで映り込みを目立たなくする技術で、ブラビアの最上位液晶テレビ(X95Lシリーズ) や 有機ELテレビ(A95K, A80L, A90Kシリーズなど)、一部の高級スマートフォン用保護ガラスなどに使われる技術です。ただし、ローリフレクションには、映り込みを少なく(暗く)、黒い部分をしっかり黒く表現できる効果があるものの、輪郭ははっきりと残ってしまう問題があり、映り込んだものによってはアンチグレア処理を施したディスプレイよりも目立つことがあります。

塚大:そこで、今回、2023年の法人向けブラビアのラインアップに新たに追加される「BZ40L」シリーズには、「アンチグレア」と「ローリフレクション」、2つの特性を併せ持った「ディープブラック・ノングレアコーディング」という技術を施し、これまでずっと課題であった映り込みの低減と高画質を両立させました。

進藤:これは実際に見ていただいた方がいいですね。左が「BZ40L」、右が「BZ30L」となります。

左:BZ40L 右:BZ30L

--テスト用にかなり強めの照明を真正面から当てているのですが、ほとんど映り込みがありませんね。このくらいなら映像が映っていたら全く気にならなさそうです。

塚大:はい。実は映り込みを低減させるには、もう一つ有効な手法があります。それは映り込みに負けないくらい画面輝度を上げるというものです。そこで「BZ40L」シリーズではディープブラック・ノングレアコーティングに加え、700cd/m2という高輝度パネルを搭載することで、明るい環境での高い視認性を確保しています。例えば白いシャツを着てこの前に立っても映り込みを感じることはほとんどありません。
* 85型モデルは650 cd/m2

■デジタルサイネージから、会議室、クリエイティブ用途まで

--アンチグレア処理とローリフレクション処理を両方行った製品がこれまでなかったのにはどういった理由があるのでしょうか?

塚大:この技術はフィルムメーカーと共同で開発しているのですが、開発から量産導入まで3年ほどの月日がかかっています。表面に細かな凹凸を付けることで光を散乱させるアンチグレア層の上に、光の波長よりも薄く均一なローリフレクション層を形成するのがかなり高難度かつ高コストだったためです。なお、今回「BZ40L」シリーズに採用したローリフレクション層では、低反射なだけでなく 擦れ傷に強いという特長も両立させています。これによってさまざまな用途で使われる法人向けブラビアの画面をしっかりと守ります。

--今回、2023年の法人向けブラビアにラインアップされた全モデルにこのディープブラック・ノングレアコーティングを施さなかったのには何か理由があるのでしょうか?

塚大:「BZ40L」シリーズと同時にリリースされる他モデルについては従来通りのヘイズ値のままとしています。映り込みは明るい環境で問題になりやすいため、高輝度モデルから新技術を投入しました。お客さまの用途や使用場所に応じて、「BZ40L」シリーズが良いか、他モデルが良いのかをご検討いただきたいですね。

--では、どういった場所で「BZ40L」シリーズがおすすめなのかを教えてください。

塚大:照明の多い商業施設で使われるデジタルサイネージや、窓がある明るい会議室などの場合は「BZ40L」シリーズをおすすめします。また、大画面を前に創作するクリエイターの作業用ディスプレイとしても自分の影が映り込まないメリットが訴求できるのではないかと考えています。

進藤:ほかにも、学校の教室などのアカデミー用途にもおすすめしたいですね。昼間の授業といった光が差し込む環境でも、しっかり視認性を確保でき、学びを阻害することがありません。デジタルサイネージに限らず、映り込みに悩まされている全てのシーンでお役に立てるはずです。

■ぜひ、「ディープブラック・ノングレアコーティング」の実力を体験いただきたい

--最後にこの記事をお読みの皆さまにメッセージをお願いします。

塚大:このディープブラック・ノングレアコーティングは、我々が法人向けブラビアのために開発した、家庭向けブラビアにも搭載されていない特別なものです。これまで多くのお客さまやクリエイターを悩ませてきた映り込みの問題に対して、とても良い対策ができたと考えています。これによって、あらゆる場所でブラビアが長年に渡って培ってきた高画質な映像エンジンの魅力がフルに引き出せるようになります。その効果をぜひ一度、ご覧になっていただきたいですね。

進藤:冒頭でもお話ししましたが、映り込みの問題は導入されるまでなかなか気付きにくいところです。ヘイズ値という数値もご存じないかたの方が多いと思います。そうした中、私たちとしては、この「ディープブラック・ノングレアコーティング」がもたらすメリットをしっかりとお伝えし、お客さまのビジネスにより一層貢献していきたいと考えております。ご興味を持っていただけたお客様には、気軽にお問い合わせいただきたいと考えていますし、実はソニーストア各店で「BZ40L」シリーズが導入されています。業務用ディスプレイを実際に体験できる場というのはなかなかないのが実情ですが「BZ40L」のディープブラック・ノングレアコーティングの効果を体験いただける場としてぜひソニーストア各店にお越しいただければと思っています。よろしくお願い致します。

ソニーストア各店の情報は以下よりご確認ください。 https://www.sony.jp/store/retail/

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