XDCAM
映像制作機材 "XDCAM"

RKB毎日放送株式会社 様

放送局

2019年3月掲載

Media Backbone報道ソリューションで報道・スポーツ制作をファイルベース化

RKB毎日放送株式会社様
RKB毎日放送株式会社様は、報道・スポーツ制作システムの更新にあたり、取材や回線収録素材の編集、送出、アーカイブに至るまでをXDCAMを中心にトータルファイルベースシステムを導入、2018年春から運用を開始されました。
  • RKB毎日放送株式会社
  • 報道制作局 報道部長 児玉 克浩様
    報道制作局
    報道部長
    児玉 克浩様
  • 報道制作局 映像部 副部長 波左間 秀俊様
    報道制作局
    映像部 副部長
    波左間 秀俊様
  • 技術局 制作技術部 田中 康之様
    技術局
    制作技術部
    田中 康之様

満を持してのファイルベース移行

当社では数年前よりファイルベース化の検討を進めておりましたが、それまで報道やスポーツ番組の取材や編集に使用していた他社製1/4インチ系フォーマットのVTR保守やテープ生産も終了ということになりました。そのため、ファイルベース化をペースアップする必要に迫られました。

それまでは撮影から編集、送出、主なアーカイブに至るまで、すべてテープベースでしたので、同時の移行が必要でした。東日本大震災の際、他局では早期にファイルベース化していたため、発生当時、現場映像を同時に複数でチェックしたり編集したりできたことで、撮影した素材が埋もれることなく、多様な映像をOAに出すことができたと聞きました。当社もそのような体制を構築したいと考え、またこのタイミングでファイルベース化するにあたっては完成度の高いものを導入したいと思っていました。

個別に検討を進めた結果、入口から出口までソニーに


入口近くにあるインジェスト機器のテーブル。
SxSメモリーカードやプロフェッショナルディスクに対応

システム構成としては、2015年に先行導入した3台のXDCAMメモリーカムコーダーPXW-X500と今年導入した11台のPXW-Z450を本社での取材用に、加えて夜間の取材にも適した高感度とコストパフォーマンスの高さを兼ね備える4台のPXW-X400を、駐在員(通信員)用として配備しています。報道フロアには4式のSxSメモリーカードのリーダーライターを用意しています。


回線収録

回線受けにはXDCAM Station XDS-PD1000/Aを4式、2チャンネルの同時インジェストができるインジェストサーバーPWS-100/INGTを3式導入しています。XDS-PD1000/Aはプロフェッショナルディスクでの記録が可能なことや、従来のVTRのようなオペレーションが可能である点、PWS-100/INGTはインジェストと同時にプロキシが生成され、リアルタイム性が高い点を使い分けて運用しています。

報道スタジオのサブと、制作系のスタジオであるT1サブ、情報番組や夕方のニュース番組のためのT2サブでの送出にも、既存のVTRをそれぞれ置き換えるような形でXDS-PD1000/Aを導入し、プレイリスト制御端末を追加しました。サブ出し素材は、サーバーサイドからオンラインで各スタジオすべてのXDS-PD1000/Aに転送し、どの素材をどのXDS-PD1000/Aからでも送出できるようにしています。コーデックは全体でMPEG HD 422の50Mbpsに統一しています。


ニュースサブに設置されたXDCAM Station

最近は編集システムもさまざまなファイルフォーマットを扱えますので、カメラやコーデック、送出などは個別に検討を重ねました。しかし、ソニーのカムコーダー自体の画質の良さや4Kへの対応に加えて、テストの結果から分かった再圧縮を繰り返したときのMPEG HD 422の画質の良さ、XDS-PD1000/Aというサブ出しに適する製品があったことなどから、入口から出口まですべてソニーを選びました。

XDS-PD1000/Aでサーバーコスト構成をコンパクトに

システム検討にあたり、オペレーションとシステムをコンパクトにまとめるため、サーバーの冗長化などシステム規模の肥大が避けられない、サーバーからのダイレクト送出はやめよう、ということを早期から決めていました。そういった目的においてはXDS-PD1000/Aはピッタリでした。送出サーバーが落ちて放送事故になるリスクもなく、XDS-PD1000/Aが1台故障しても、サブにある他のXDS-PD1000/Aから送出できます。サーバーやネットワークがダウンしてもプロフェッショナルディスクで受け渡しができます。おかげでシンプル・コンパクトに冗長性の確保と安全性の担保ができました。

追記とライトワンスメディアを上手に使い分け


アーカイブ卓にODAドライブユニットODS-D280Uが2台

過去のベータカムシリーズや他社製1/4インチ系フォーマットのテープは、テープデジタイズステーションPWS-100TD1でインジェストし、ニアライン上にある報道・スポーツ系のサブ出しマスターや、一部LTOで保管していた番組マスターなどとともに、第2世代ODAのライトワンスメディアにアーカイブやマイグレーションを進めています。このほか、容量に限りあるニアラインから、1年といった比較的短期で保存をしたい素材を、一時的に第1世代ODAのリライタブルメディアに逃がして保管する運用をしています。

運用開始後もスムーズ、フォローアップもスピーディー

導入後すでに約半年が経過しますが、いままで大きなトラブルもありません。ファイルベース化を図って、同じ素材を複数人で扱ったり、同時編集が行えるようになりました。キャスターや記者もオンエア前にプロキシでサブ出し映像を見ながら原稿読みのチェックが行えるようになるなど、便利になりました。ファイルベースのワークフローがすでに熟した時期に、当初の目論見通り、安定して運用できる完成度の高いソリューションを導入できたと思います。

今回の更新規模は大きかったので、準備段階でこちら側の作業が間に合わなかったり、事前に想定していないことが少なくなかったりしましたが、ソニーからは、都度さまざまな提案やアドバイスがいただけ、だいぶ助けられました。また、現場での工事が始まってから気づくことも多く、細かな変更のリクエストにも快くスピーディーに対応してくれました。運用開始後も細かなフォローアップをお願いしていますが、対応がスピーディーで、現場からもあまりの速さに驚きの声があがっており、とても感謝しています。

今後も、バージョンアップや改善のほか、例えばインタビューの音起こしなど、新たな機能の実現を通じたイノベーションを引き続きソニーに期待しています。