XDCAM
映像制作機材 "XDCAM"

株式会社倉敷ケーブルテレビ 様

ケーブルテレビ

取材・完パケのHDフォーマットにXDCAM HD422を採用。長尺物の特別番組を含めた自主放送のハイビジョン化を実現。

株式会社倉敷ケーブルテレビ 様

株式会社 倉敷ケーブルテレビ(KCT)様は、2008年7月に取材・完パケのHDフォーマットにXDCAM HD422を採用。取材用カムコーダーとしてXDCAM HD422カムコーダーPDW-700を4式、編集・送出用にXDCAM HD422レコーダーPDW-HD1500を8式導入・運用されることで、ほとんどの自社制作番組をハイビジョン放送されています。

放送制作部 課長 堀川久志様、放送制作部 番組制作課 水川秀樹様、同課 藤原 崇様に、XDCAM HD422採用の狙いや現段階での評価や、取材・編集・送出・アーカイブに至るトータルワークフローの改善など、運用の成果を伺いました。

HDCAMのクオリティーを継承しつつテープレス化を実現するXDCAMに注目 2/3型CCD、4:2:2サンプリング、50MのXDCAM HD422シリーズの登場で採用を決定


放送制作部 課長
堀川久志様


放送制作部番組制作課
水川秀樹様

当社は、地域密着と言うより街づくりに貢献することを理念に掲げており、それもあって自主放送に注力してきました。いわゆるコミュニティーチャンネルです。現在、レギュラーだけでも12番組あり、毎月約85番組、年間1,020番組を制作・放送しています。そのほか、高校野球や選挙速報、地域のお祭りの中継や年末年始には特別番組なども手がけ、視聴者に親しまれています。

コミュニティーチャンネルの充実と共に、自主放送のデジタル化にも積極的に取り組んでいます。2006年に、取材・送出にHDCAMフォーマットを採用し、2式のHDW-730を使って日々の取材に活用するとともに、貴重な映像資料を保存してきました。2007年3月には、メモリー方式のHDフォーマットを採用したスタジオOTCシステムを導入し、HDCAM機器との併用で生の情報番組「KCTワイド」(月〜金、40分)のハイビジョン放送を開始しました。次のターゲットは、すべての自社制作番組のハイビジョン放送になるわけですが、メモリー方式のHDフォーマットは、メディアコストや記録時間のほか、中間及び最終の保存などに難点があり、短いストレートニュース以外ですと実質的に運用が不可能でした。そこで、いわゆる長尺物の番組は従来からのHDCAMを運用しつつ、テープレス化のタイミングとフォーマットを検討していました。

当初から、プロフェッショナルディスクを使ったXDCAM HDの動向には注目していたのですが、2/3型CCD採用、4:2:2サンプリング、50Mbps、2層ディスクによる長時間記録のXDCAM HD422シリーズが発売されたことで、2008年7月に取材・完パケのHDフォーマットにXDCAM HD422採用を決定しました。これにより、現在ほとんどの自主放送番組をハイビジョン放送することが実現できています。

採用の決め手は、XDCAM HD422の優れたトータルコストパフォーマンス 取材からアーカイブに至る運用の選択肢の広さやハンドリングの良さも高く評価

XDCAM HD422採用の決め手は、優れたコストパフォーマンスです。単純なディスク単価ということではなく、XDCAMであれば、運用や使い方しだいでテープと比較してもメディアコストの圧縮が可能だと思うのです。2層ディスクであれば約95分の長時間記録が可能です。また、PDW-700はバージョンアップで記録ビットレートを50Mbpsだけでなく、35Mbpsや25Mbpsも選択できるようになりました。言い換えれば、運用の選択肢が広がり、それを自分たちで選べるようになったということです。取材にしても保存にしても、内容や目的に合わせて選択することでコストの削減が可能になると思います。

もちろん、採用の決め手の一つに、高精細・高解像度のHD記録・再生があることは言うまでもありません。素材や好みによって評価は分かれると思いますが、HDCAMと比べても遜色のない高画質だと感じました。また、プロフェッショナルディスクのハンドリングの良さも高く評価しています。従来のテープ同様に取り扱うことができ、リニアシステムとの親和性も高いので既存設備を有効に活用できます。PDW-700は2/3型CCDを搭載していますから、HDW-730などで使用してきたレンズをそのまま使うことができるメリットもあります。その他、アーカイブメディアとしての保存性の高さも採用の大きな決め手になりました。


優れたコストパフォーマンスがXDCAM HD422採用の決め手。
HDCAMと比べても遜色のな高画質も高く評価。

想像以上にきれいな画質、シャープな映像がスタッフに好評 ファイルオペレーションの利便性やハンドリングの良さを日々の取材で実感


放送制作部番組制作課
藤原 崇様

現在、4式のPDW-700は取材用カムコーダーとして運用しています。HDCAMカムコーダーHDW-730と併用です。画質はHDCAMに遜色なく、特にXDCAM HD422のシャープな映像は大きな魅力で、想像以上にきれいだと感じているスタッフが多いようです。また、暑い夏、寒い冬、強風の埃のある場所、潮風が吹く海辺など、かなり過酷な環境での撮影も少なくありませんが、トラブルもなく、非常に安定した状態で運用できています。

ファイルオペレーションのメリットも日々の取材の中で実感しており、PDW-700の利点が認識されるにつれて稼働率が非常に高くなってきています。基本的に上書きがないので安心して撮影できる点もそうですが、何よりも一番の魅力は撮影現場で録った素材をすぐに、しかも簡単に液晶パネルでプレビューできること、ミスショットや不要なカットを簡単に消去できることです。当社の番組には、撮って、編集なしという特番の中継物とかも少なくないので、現場で粗編集に近いことができるという意味では非常に有効に使っています。

8式のPDW-HD1500については、6式を編集用として運用しています。ノンリニア編集機での書き込み・書き出しのほか、リニアのA/Bロール編集でも使えるようになっています。また1式は、サーバーに取り込むためのエンコーダー用に、もう1式は中継車などでの持ち出し用として運用中です。ハーフラックサイズなので持ち運びも容易ですし、VTRライクに使えるなど操作性も優れています。またXDCAMドライブユニットPDW-U1も1式導入しており、CM営業部のデスクに置いて、CM制作用のノンリニア編集機に接続しています。CM営業部では、PDW-700で撮影したハイビジョンCMの制作を行っているのですが、その臨場感と迫力ある映像は地元のクライアントにも好評です。


4式のPDW-700は取材用カムコーダーとして運用。PDW-HD1500は、編集用のほか、エンコーダー用と中継車などでの持ち出し用に計8式を配備。PDW-U1は、CM制作用として設置。

現状のワークフローを改善できるメリットもさることながらプロキシAVデータやメタデータなどを活用した新たなワークフローの構築へ

XDCAM HD422シリーズの運用を開始してまだ1年に満たない段階ですが、ワークフローの改善や自社制作番組のハイビジョン放送の実現といった実績を高く評価しています。こうした実績を元に、次のステップに向けた活動にも取り組んでいかなければならないと考えています。

まず、XDCAM HD422の特性を、魅力的な番組づくりにどのように生かせるか検討する必要があります。PDW-700の機能面の検証と応用がその一つです。キャッシュRECやデジタルエクステンダーなどの使い方や効果を検証し、番組の中で活用していくこともそうですし、XDCAMの特長であるプロキシAVデータ、メタデータ、MXFファイルをどう生かしていくかも検討課題になります。すでにPDZ-1を使ったメタデータ作成の可能性など、一部については検証作業を始めていますが、これから本格的に取り組まなければならないと思っています。

ワークフローについても同様のことが言えると思います。確かにXDCAM HD422の導入で従来に比べてワークフローは大きく改善されています。ですが、XDCAM HD422の特性をフルに使ってどんなワークフローを構築できて、その中でどう番組づくりをしていくか、人材配置はどうするべきかといった点を、コンテンツ配信やVODといった新しいビジネスも視野に入れながら検討し、新しいワークフローを構築していく必要があるのではないかと思っています。そういった意味で、XDCAM HDのメリットを本格的に享受するのはこれからではないかと大いに期待しています。

株式会社 倉敷ケーブルテレビ

1984年、岡山県倉敷市で開局。倉敷市・玉野市・総社市・早島町・岡山市灘崎町をサービスエリア(約197,000万世帯)とするケーブルテレビ局。約83,000の契約世帯に地上/BS/CSのテレビ放送の配信、インターネットやIPフォンの通信サービスを行っています。設備のHD化にも意欲的に取り組まれており、2006年にHDCAMによる取材・送出を開始され、2008年7月に取材・完パケのHDフォーマットにXDCAM HD422を採用することで、ほとんどの番組のハイビジョン放送を実現。現在では、毎月約85番組、年間1,020番組の自主放送を行っておられます。

http://www.kct.co.jp/