ZX500 Project Member’s Voice ストリーミング時代に、高音質で放つ存在感。新たな音楽体験を拓き続けるハイエンドモデル

  • 田中 光謙 商品企画田中 光謙 商品企画
  • 関根 和浩 商品設計関根 和浩 商品設計
  • 松崎 恵与 音質設計松崎 恵与 音質設計
  • 石崎 信之 メカ設計石崎 信之 メカ設計
  • 原田 紀 ソフト設計原田 紀 ソフト設計
  • 横山 寛明 デザイン横山 寛明 デザイン

いま、スマートフォンといった通信デバイスとの相性の良さから、音楽市場ではストリーミングサービスが加速度的に利用者を増やし、音楽の楽しみ方は大きな過渡期を迎えています。そのような背景の中で登場したのが、ハイエンド・ストリーミングウォークマン「NW-ZX500」。先代機や上位機種から受け継ぐ圧倒的な高音質を、ストリーミングでも楽しんでいただくために、開発チームが注いだ努力や工夫、そしてユーザーや音楽にかける思いを聞いてみました。

素材が、音にあたえる重厚感や透明感。ひとつのパーツにかける技術者の思い

──設計においても、高音質化のための工夫が細部にありそうですが

松崎 恵与[音質設計]

ウォークマンのフラッグシップモデルWM1シリーズや、携帯用ではありませんがDMP-Z1という高性能デジタルミュージックプレーヤーに、どこまで近づけるか。この2機種と比べればですが、ZX300は低音の深さや、音の広がりが足りないと感じていました。そこをどれだけ伸ばせるかにこだわって、部品を一つひとつ選んでいきました。

ZX300の完成度が非常に高かったので、ZX500はその部品レイアウトを継承しています。ただ、Androidに対応するために部品が増えていますので、それらをどう格納するか。これについて開発初期からメカ設計担当と相談し、私からの要望はほとんど聞いてもらいました。ZX300の構造で良かった点、そして更にさかのぼってZX2の構造はどうだったのかと、当時を検証し、ノウハウを継承して、ZX500の開発に活かしています。

具体的にZX2からは、デジタル部品をまとめたブロックを囲ってしまうという方法を継承しています。いちばん難しかったのは、デジタル処理を行う部品を集めたブロックと、アナログ処理を行う部品を集めたブロックを、どう分けるかでした。つまり、デジタルとアナログの、どちらのブロックに入れたらよいか判断が難しい部品があったということです。銅に囲まれた部分がデジタル部品をまとめたバスブロックですが、この中はスペースが限られていますので。

高音質化のための工夫 高音質化のための工夫

石崎 信之[メカ設計]

ZX300では、このデジタルのバスブロックに厚み0.3mmの銅板をプレス加工したプレートを使っていますが、ZX500ではより厚みのある銅板を切削したものを採用しています。プレス加工ですと、どうしてもラフな形状のものしか作れません。つまりピッタリな形状のものが造りにくいわけです。全体のサイズを変えたくない中で、どうやったらメカの視点でも高音質に寄与できるか考えました。

そこで思いついたのが、切削ならより精度高く、0.1mm単位で削ることができるということ。際の際まで削ってブロック内の容積を稼げば、部品をより多く格納できるようになります。一方で、音質のことを考えれば、銅をできるだけ多く使いたいという希望があります。その意味でも、加工精度が高ければムダに削ることがなく、銅の体積を残すことができます。

石崎 信之[メカ設計]

松崎 恵与[音質設計]

今までの経験から、銅の割合を増やすと低音がすごく重厚になるんです。そのため基板のグランドの容量を上げる目的で、ZX300だとプレス加工だった銅プレートを、ZX500では銅の削り出しにしました。これによって銅の重量が3倍になったのが最大の特長です。WM1シリーズには、銅の筐体を持つモデルもあり、それに少しでも近づきたいという思いがありました。ZX500の試作品を社内で聴いてもらったところ、多くの人から低音が良くなったという感想を聞くことができました。

石崎 信之[メカ設計]

ほかにも、シールドケースとしてデジタルブロックを覆うフタには、基板との接面に高い平面性が必要です。それもプレス加工では難しく、どうしても歪みが出てしまうのですが、切削なら平面度を高めることができました。

高音質化のための工夫

関根 和浩[商品設計]

シールドにするとデジタル的なノイズを封じ込めるという効果が高まります。今回はWi-FiやBluetooth®のほかにGPSなども搭載していますので、ノイズの影響が心配されます。このため、シールドにする必要があるんですね。基板との隙間がないように取り付けなければいけません。その意味でも、切削はとても寄与しています。見た目通り、少しコストの高い部品ではありますが(笑)。

松崎 恵与[音質設計]

ほかにも、A50やDMP-Z1でも使っている「高音質無鉛 糸はんだ」を採用しました。金をわずかに添加することで、透明感のあるボーカルや、艶のあるクリアな音を再現することができます。どうしても、電気の接合部でわずかながら音質劣化が起きてしまうことから開発されたものです。ZX300では使っていませんでしたので、さらなる高音質化に寄与しています。いま考えられる中で、高音質性にもっとも優れたはんだです。

石崎 信之[メカ設計]
NW-ZX500

ウォークマンZXシリーズ

NW-ZX500シリーズ Hi-Res AUDIO 64GB

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ハイエンド・ストリーミングWALKMAN

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