法人のお客様 [法人向け]Creators’ Cloud Ci Media Cloud 事例・コラム THINGMEDIA株式会社 様

クリエイターが現場目線で評価するCreators’ Cloud First Impression

THINGMEDIA株式会社 様

評価に参加してもらったTHINGMEDIAの間地 浩晃様(左)、楠 あびを様(中央)、田口 将伍様(右)。

2022年秋にサービス開始したソニーのCreators' Cloud。今年2月には個人や少人数チーム向けにもサービスが提供開始されている。今回はCM制作からテレビ番組、セミナー・イベント等のライブ配信も手掛けるTHINGMEDIAのみなさんにCi Media CloudとM2 Liveを試用してもらい、その使用感と自身のワークフローのなかでどのように活かせるかお話を伺いました。

THINGMEDIA株式会社

「映像のチカラであなたの世界を変える」をテーマに、CM・テレビ番組制作、ライブ配信、イベントプロデュースなどを行う映像カンパニー。ただ動く“画”ではなく、人や想い、感情を“映す”映像を日々提供している。20名程ほどのプロデューサー・クリエイターが所属しており、今回の評価に参加してもらったのはプロデューサー兼テクニカルディレクターの間地 浩晃様、経営企画部の楠 あびを様、イベント・ライブ配信プロデューサーの田口 将伍様の3名。

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映像・画像に特化した共同作業を加速させるクラウドメディアストレージ

Ci Media Cloudはハリウッドの現場から生まれた、映像・画像に特化したクラウドメディアストレージで、伝送からアーカイブまでチームでの共同作業と素材共有の効率を向上し、加速させる機能が用意されている。

Ci Media Cloudのイメージ図

豊富なコーデックに対応し、Aspera(IBM社の高速転送アルゴリズム) を搭載した超高速アップロード&ダウンロードを実現。アクセス権などの条件を細やかに設定して素材共有できる「メディアボックス」、スマホがあれば撮影現場から直接伝送できるなど、一般的なクラウドストレージと比較して、より映像制作の現場目線で設計されている。また、操作性に優れたプレビューや便利なコメント機能、アクティビティ通知機能によって、複雑になりがちな関係者への素材展開、チームでの映像制作のフローをサポートしてくれそうだ。

カメラで撮影しながらスマホの専用アプリ「Creators' Cloud for Enterprise」を使用してファイル転送が可能。
プロキシだけでなくハイレゾの素材にも対応している。

「修正の出し・戻しがとてもスムーズで共同作業に向いている」

日頃のお仕事のなかでどんな場面でクラウドを使用していますか?

「プロデューサー陣は撮影した素材の管理や、編集した映像をクライアントさんに確認してもらうためにクラウドへアップするケースが多くなっており、会社としては制作実績として携わった作品の素材を整理することにも使っています」

田口「イベントやライブの配信では、たとえばテロップや登壇者のプロフィール資料など、さまざまな素材が仕込みの段階で必要です。それをシェアすることでチーム全員が同じ認識になるので、フォルダを細かく作って、配信オペレーションの部門と各クライアントの共有用に利用しています」

アップされた素材は編集ソフトの操作画面のようにマウスオーバーで簡易プレビューすることができる。

Ci Media Cloudのプレビュー画面。コメント(画面右側)は映像のピンポイントなIN/OUT点に対して行うことができ、
通知も受け取れるので修正のやり取りなどで齟齬や見逃しがなくなるはずだ。

プレビュー画面ではアップした映像素材の一部をクリップとして書き出すことも可能。

今回、Ci Media Cloudを実際に使ってみた感想を教えてください。これまで使ってきたクラウドのサービスとどんな違いがありましたか?

「これまでのクラウドは素材をアップロードすることはできるけど、それを確認する方法は結局ダウンロードするしかなかったんです。Ci Media Cloudはブラウザ上の画面内でプレビューをサクサク見ることができるので、時間短縮の意味でもすごく魅力的でした。あとコメント機能も充実していて、たとえば修正に関するフィードバックも、フレームを送りながら細かな『ここ!』という場所を指定してコメントを入れることができるので、共同作業に向いていると思います」

間地「『〇〇秒あたりの〜』という指示しか出せなかったのが、Ci Media Cloudではより具体的に該当箇所を示せるので、齟齬がなくなるいい機能だなと思いましたね」

田口「たとえばテレビ番組ではテロップの数がすごく多くて、それに対する修正も何百箇所と発生したりします。チェックして修正指示を出す人も修正する人も細かなところまで即共有できるため、一連の作業がやりやすくなりそうですね」

間地「これまではデータのやりとりでアップロードとダウンロードを介していましたが、Ci Media Cloudではチーム全員がコメントとチャットでつながっているイメージなので作業の時間短縮になりますし、余計な素材のやり取りが発生しないことからデータの取り違えやセキュリティ的な部分でもメリットがあると思います」

素材のアップロード中の画面。ネットワーク帯域を最大化するAspera搭載のアップロード&ダウンロードによって大幅な速度向上が見込めそうだ。

受け手側のメディアボックスの画面。Asperaによるダウンロードのほか直接別のスペースに保存することも可能。

Aspera(IBM社の高速転送アルゴリズム)が搭載されているアップロード&ダウンロードは速さを実感しましたか?

「使った限りではアップロードが途中で止まるなどのエラーもまったく起きず、安定した速度でアップロード&ダウンロードできていました」

間地「あとカメラで撮影しながら現場からファイル転送ができる点もいいですね。SSDに保存していてもデータのクラッシュはあり得るので、撮影したデータがそのままクラウドにアップされているというのは、制作側からするとすごく心強いです」

田口「データ量は従量課金のため、動画素材のサイズ的にはプレビュー用途などに最適かもしれないですね。あと即時性が必要なニュース番組などは、午前中に撮影した素材をすぐに編集して夕方の放送に間に合わせるということをしているので、向いていると思います」

間地「ひとつのプロジェクトスペースとして見ると修正の出し・戻しがとてもスムーズになる。案件全体のコストの兼ね合いはありますが、導入メリットはありそうです」

アップした素材の共有時には新規のメディアボックスを作成するか既存のメディアボックスに追加する。

アクセス権限やパスワード設定、ウォーターマークの適用、変更時の通知メールの有無など細かく決めることができる。

配信のさまざまな制約から解放されるクラウドスイッチャー

M2 Liveはクラウドベースのソフトウェアスイッチャー。カメラやスマートフォン、もしくはエンコーダーからの映像信号をクラウドへ伝送してWebブラウザ上でスイッチングができる。スイッチャーの基本的な機能を持つが、最大の特長は時間、場所、所有といった“制約からの解放”にあると言える。

M2 Liveのイメージ図

これまでにコスト面で躊躇われたケースでもM2 Liveの導入が選択肢のひとつになりそうだ。

具体的には、Webブラウザによるスイッチングのため全国どこからでもリモートで操作することができる、カメラとノートPCだけで準備が簡単かつシンプルな操作性で直感的に配信できる、スイッチング設備の所有や管理が不要である…などが強み。これによって人や機材の移動、輸送、設備などのコスト面で見送られていた配信が実現可能になる。小規模のイベントや簡易ライブの中継、企業配信から、スポーツ競技の配信や地方遠征まで、さまざまなユースケースが考えられるだろう。

テスト配信の風景。映像・音声の入力数が増えるほど配線が煩雑になりがちだが、
ケーブルレスでスマートに配信できるのがブラウザ型のスイッチャーの強み。

「スマートなのにこれまでと同じように配信できる」

THINGMEDIAさんのライブ配信のお仕事はどんな現場が多いですか?

田口「オンラインセミナーや社内イベント、コロナが落ち着いてきてからはリアルイベントと配信のハイブリッドなど、世の中的によくある配信はほぼやっている感じです」

間地「僕のほうで担当しているのは対談などもう少しカジュアルで、予算に限りはあるけどちょっとリッチな配信をしたいというケースでも配信を行っています」

今回のテストで想定した配信パターンの図。

ブラウザはGoogle Chrome(以下同)。テスト配信ではすべて使い切れなかったが、
最大でビデオ6入力、オーディオは映像音声6+音声のみ3入力、クリッププレイヤー×2がソースとして使用できる。

今回、M2 Liveを試してみた印象をそれぞれ教えてください。

間地「まず体感したのはケーブルが必要ないことの便利さ。配信の現場では多くのケーブルが地面を這っていて、デスクの上もケーブルだらけです。僕は配信の仕事を始めたとき、なぜ現場がこんなにケーブルだらけになるのか分からなかったんですけど(笑)、それをよりスマートに、準備や取り回しの煩わしさがないなかで、ちゃんと配信ができるということが画期的でした。ソフト的な使い勝手で言うと、スイッチングもテロップ出しやクリップ出しもブラウザの画面内でできるので、基本的にはカジュアルな少人数のスタッフで行う配信に向いているのかなと思いました」

今回のテスト配信ではM2 Live操作用のMacBook Proに有線LANを使っているが、その他はすべて無線でシステムを構築している。

さまざまな場所からリモートで利用できる点も魅力ですが、M2 Liveの利用はどんな配信が想定されますか?

間地「これまでは別会場からの映像ソースはビデオ会議ツールをキャプチャーして、それをスイッチャーでスイッチングするというのが定番でしたが、M2 Liveなら余計なツールを介さなくてもスマホさえ用意してもらえればどこにいる人でも簡単に登壇者になれるというメリットがあります」

田口「エンタメ系のYouTube配信にも使えそうです。たとえば複数人の参加者が各地にいてそれぞれが移動するような企画とか、ケーブルレスで配信したいものには向いているので、予算によっては選択肢のひとつに入ってくると思います」

ソニー独自のQoS技術ストリーミング出力によって、対応しているPXW- Z280/Z190ではカメラのみでM2 Liveに入力が可能。

M2 Liveとの接続が完了したメニュー画面。設定はネットワーククライアントモードでパスワードの入力などを行う。

スマートフォンを中継用カメラにできるアプリ「XDCAM pocket」を使えば、AndroidはもちろんiPhoneも配信カメラになる。

少人数の運用が想定されるウェビナーの配信などではいかがでしょうか?

間地「それはより積極的に使えると思います。たとえば当日現地に来られないけどリモートなら参加できる人がいる場合。いちいちケーブルをつなげてキャプチャーして…という物理的な準備だけで数時間かかるので『じゃあ配信しなくていいか…』となっていたところで、PCひとつとスマホを使ってできるのであれば導入しやすいはず」

「会社のインナーでやる企画はわざわざ配信のベースを組むほどではないし、それにいろいろ時間やスペースを割くのがちょっとオーバースペックに感じるときはありますからね」

Xperiaであれば他のINPUTの状況やPVM、PGMの画面が確認できる。
画面上にタリーを出すこともできるため、自身のカメラがPGMに使用されていることが一目瞭然だ。

USB-C搭載のスマホならUVCによるケーブル接続でαシリーズなどの一眼カメラも使える。
また、PCに接続すればオンラインセミナーなどでは必須のPowerPointのスライドも映像ソースとして使うことができる。

間地「あとスポーツの中継にも使えそうですね。自前で頑張って配信している団体さんもいますが、基本的に試合の引きの画だけだったりするので、会場の各ポジションにスマホを持ってる人がいて、画面が試合展開に合わせて切り替えられるとよりリッチになると思います。ケーブルが引けない会場、たとえばサッカーのフィールドなど広い場所での活用は親和性が高そうです」

田口「いま各スポーツチームの映像配信が盛んじゃないですか。たとえば試合前の練習からそのチームの担当者がM2 Liveを使って配信する…など、リッチな画面の配信でなにか独自性みたいなものが出していけるかもしれません」

最大5画面で同じM2 LiveのUIを同時制御できるため、映像と音声を分けて操作を担当するだけでなく、
別の場所にいても共同でスイッチングすることもできる。

テストを経て、今後の展望としてはいかがでしょうか?

間地「これまでは配信の導入が難しかった会社さんと一緒にM2 Liveでの配信をトライしながらやっていけるといいですね。それこそ社内イベントとか、配信といっても構えることなく、カメラとスマホとPCがあればいい、という気楽さで」

田口「自分たちで簡単に配信できるならやってみたいという会社さんの話はけっこう聞くんです」

「みんながつながりやすくて、発信しやすい世界になる」

今回の試用を経て、総括的にコメントをいただければと思います。

田口「我々は配信を主にやっていて、スイッチャーならこのメーカー、配信ソフトならこのメーカー、クラウドならこのメーカー…と、それぞれ固定化しつつあるなかで、ソニーさんがこういうふうにパッケージとして配信・クラウドのことを考えてくれているのがちょっとうれしく思います」

間地「やっぱりクラウド上での作業にどんどんシフトしていくんだろうなと感じます。物理的に難しかった地方と地方のつながりみたいに、僕たちが求めていたことがどんどん叶えられていく、その入り口に立っている感じがして、今後よりみんながつながりやすい、発信しやすい世界になるんじゃないかな、と。M2 Liveに関しては、本当に実際に重い荷物を持って配信現場に臨んでいる身からすると、そこが軽減されるのは純粋にありがたいです」

「これまでもクラウドを軸にした作業というのは当然のようにやっていましたが、その当然の作業がよりスムーズになっていくと思います。その未来にいち早くフィットしていきたいですし、今回のテストで自分自身もアップデートしなきゃなと感じました」