法人のお客様プロオーディオ What's DWXシリーズ
ワイヤレスマイクロホンは新たなステージへ Digital Wireless Microphone System デジタルワイヤレスマイクロホンシステム

1991年NABショーでUHF800シリーズを発表して以来、ソニーはワイヤレスマイクロホンのリーディングカンパニーとして、放送局・サウンドエンジニアにUHF帯ワイヤレスマイクロホンを提供してまいりました。

「ワイドダイナミックレンジを備えた高音質」で「安定した伝送系」、「多チャンネル同時運用」。この3つのデザインポリシーを持つソニーのワイヤレスマイクロホンは、世界中のプロフェッショナルから好評を博し、数多くのシステムが稼働しています。

しかし近年の地上放送のデジタル化をはじめとするHD映像機器の普及や、コンサートPAなどでのデジタル音声素材伝送・記録の普及に伴い、多くのお客様から「もっと良い音を」、「もっと多チャンネルで」というご要望をいただいておりました。

その声に応えるためソニーは、デジタルオーディオ無線伝送技術の開発にチャレンジ。デジタルオーディオ無線技術を用いることで、優先伝送と同等の音質と性能を確保しながら、さらに多くのチャンネルを使用できる世界を創りたいと考えています。

「すべてのオーディオ機器の接続をワイヤレスで!」これが、ソニーが目指しているテーマです。

ラインアップ

デジタルワイヤレスシステムの概要

「デジタルワイヤレスシステム」その核となる部分を新たに開発

ソニーは、デジタルワイヤレスシステムの核となる「オーディオコーデック」と「デジタル変・復調器」を新たに開発しました。オーディオコーデックにより高品質かつ低遅延、そして秘匿伝送を可能とし、デジタル変・復調器により多チャンネル同時運用を実現します。

デジタルワイヤレスシステムの概要

トランスミッターは、アナログオーディオ信号を増幅器で増幅後、A/Dコンバーターでデジタル変換します。そして、コーデックでは、A/Dコンバーターから入力されたデジタルオーディオ信号を圧縮して低ビットレートのデジタルストリームに変換します。さらに通信路符号化では、圧縮されたオーディオデータに無線伝送に必要な同期データやエラー処理用データを加えたうえ暗号化処理を行います。デジタル変調器は、通信路符号化処理を行ったデジタルストリームをデジタル無線伝送するための変調信号を生成します。変調信号はRFブロックに入力され、RFブロックは変調された搬送波を必要な送信電力まで増幅して送信します。

レシーバーは、RFブロックで受信した信号を、デジタル復調器で通信路符号化されたデジタルストリーム化し、さらに通信路復号化で、同期処理、暗号処理、エラー処理、オーディオデータ抽出処理を行います。

コーデックでは、トランスミッターで低伝送レートに圧縮された信号を伸張して、デジタルオーディオ信号を再生します。再生されたデジタルオーディオ信号は、D/Aコンバーターと増幅器を経由してアナログオーディオ信号として出力するか、AES/EBUのような標準的なオーディオインターフェースでデジタル出力します。

デジタルワイヤレスシステムの特長

高音質伝送、安定性、多チャンネル運用などに優れたデジタルシステム

有線マイクロホンに迫る高音質伝送


アナログシステムには、ダイナミックレンジを確保するためにコンパンダーと呼ばれる圧縮方式が搭載されており、現在もさまざまな改善が行われていますが、音質と過渡応答に対する根本的解決策にはなりえませんでした。

そこでソニーが開発したデジタルシステムのオーディオコーデックは、これらの問題を根本的に解決し、さらなる音質の向上と、トランスミッターのA/DコンバーターからレシーバーのD/Aコンバーターまで含め1.2ミリ秒*の高速処理を可能としました。

  • 24bit/48kHzサンプリングを採用
  • 20Hz~22kHzまでの広い周波数応答特性
  • 送受信システムで1.2ミリ秒*の低遅延時間
  • 106dBを超えるダイナミックレンジ
  • リニア方式に近い高速レスポンス
  • DWT-B30、DWT-B03RとDWR-R03Dを組み合わせた場合の遅延時間です。送信機と受信機の組み合わせによって遅延量が異なります。

妨害波に強く、安定した無線伝送

アナログシステムでは、D/U比(希望波と妨害波の強さの比)が、復調 されるオーディオ信号のS/N比となります。妨害波が強くなれば、復調される信号に含まれるノイズも増加する性質があるので、アナログシステムにおいて、クリアな音声を再生するにはD/U比で40dB以上必要とします。

一方、デジタルシステムでは、エラーが無ければオーディオ信号の品質劣化がありません。ソニーのデジタルシステムでは、20dB以上のD/U比が確保できればエラーは発生しません。つまり、妨害波が強くなっても、D/U比が20dB以上確保できていれば音声の劣化が無いことになります。

このように、ソニーのデジタルワイヤレスマイクロホンは、従来のアナログシステムと比較して20dB以上(受信電圧レベル比で10倍以上)も妨害波に対して強くなり、安定した運用が可能となります。

FPU全帯域を使用した多チャンネル同時運用が可能

WiDIF-HPは妨害波に強く、多チャンネル同時運用に大きな進歩をもたらします。

多数の無線チャンネルを同時に使用した場合、それぞれのチャンネルが干渉することで3次相互変調ひずみという新たな周波数が発生し、無線チャンネル妨害の原因となります。従来のアナログB帯システムでは、この3次相互変調ひずみの発生しているチャンネルを避けてチャンネル配置を行う必要があり、同一空間での同時運用は最大7チャンネルまでとなっていました。これに対してWiDIF-HPは、アナログシステムより20dB以上も妨害波に強く、優れた高周波回路と組み合わせることで、3次相互変調ひずみによる妨害波を気にすることなく375kHzの等間隔にチャンネル配置ができるため、従来のアナログB帯システムよりはるかに多数のチャンネル数を同時運用することができます。

これと同じ理論により、移行後の新しいA帯におけるテレビホワイトスペース帯では、チャンネルあたり12波、また、1.2GHz帯では、38波の同時運用が可能となります。

盗聴を防ぐ暗号化伝送

アナログシステムでは音声信号をFM変調で伝送しているため、専用機材と知識があれば音声を傍受できてしまいました。一方、デジタルシステムでは盗聴防止のため、暗号化による秘匿性を持たせたワイヤレス伝送が可能です。ソニーのデジタルシステムは、秘匿鍵を用いたセキュアキーモードと、1つのパスワードを複数台のトランスミッターやレシーバーに設定し秘匿通信グループを作れるパスワードモードをサポートします。セキュアキーモードは、トランスミッターが生成する鍵を交換した一対のトランスミッターとレシーバーでのみ通信が可能で、強固な秘匿レベルを保てるという利点があります。

一方、パスワードモードは、ユーザー独自のパスワードをトランスミッターやレシーバーに入力。パスワード未設定の機材は通信に参加できませんが、パスワードを設定した機材間では自由に通信できます。例えば、放送局の機材をすべて1つのパスワードに設定したとき、その局内では機材の暗号化を意識せずに自由な組み合わせで使用できるので、他局などに対して秘匿化できます。

また秘匿化された同報通信(ブロードキャスト通信:1つのトランスミッターの音声を複数台のレシーバーで受信すること)も可能です。放送局以外でも、官公庁など、情報の漏洩防止、秘匿性が求められる利用にも有効です。

メタデータの送信が可能

音声信号と同時に、トランスミッターのオーディオ入力レベル、電池残量情報、アッテネーターなど、トランスミッターのほぼすべての情報をメタデータとして伝送がすることができます。

これによりレシーバーのディスプレイ画面においてトランスミッターの状態を確認でき、運用上の利便性が向上します。またスロットインによるカムコーダー装着時は、トランスミッターのみならずレシーバーの情報もカムコーダーのビューファインダーなどで確認できます。

デジタルならではのワークフロー

今までのワークフローを変える便利な新機能

"Cross Remote" ‐進化したワイヤレスリモートコントロール機能

アナログワイヤレスシステムと比べて、多チャンネル同時運用が可能なDWXシリーズ。その設定と運用・管理をより簡単にするため、レシーバーからトランスミッターを遠隔コントロールできるように開発されたのが"Cross Remote"です。

"Cross Remote"は、乾電池持続時間やオーディオクオリティーなど本来のワイヤレスマイクの機能を損なうことなく同時に使用できるよう、2.4GHz帯のIEEE802.15.4規格を採用。トランスミッターのアッテネーターやローカットフィルターの操作はもちろん、電源や周波数設定などトランスミッターのほとんどの機能をレシーバー側から操作できます。"Cross Remote"は、トランスミッターを映像に写らないように衣装の下など装着された場合に困難だった設定変更も、簡単に遠隔操作できます。

PCでシステムを確認/制御できるコントロールソフトウエア Wireless Studio

Wireless Studioは、ネットワークを通じてデジタルワイヤレスシステムのモニタリング、コントロールを行うことができる付属ソフトウェアです。

最大で6台のPCから同時にデジタルワイヤレスマイクロホンシステムに接続することができます。

運用機器のモニタリング機能
レシーバーおよびトランスミッターの運用状況をモニタリングできるStatus Viewerや、拡大表示可能なSimple Status Viewerを備えています。
ステイタス履歴の記録機能
運用中の機器の状態をログとしてファイルに自動保存します。テキストエディター などを使って、保存されたログファイルを参照できます。
運用機器のコントロール機能
レシーバーとペアリングされているトランスミッターを、モニタリングしながら制御できます。
チャンネルプランの選択機能
安定運用を行うために、電波環境に応じてチャンネルプランを選択することができます。Channel Plan Adviserでは、あらかじめ調査しておいたTV放送波、同じ場所で使用されるほかのワイヤレス機器の周波数や、チャンネルスキャンにより検出された電波など、いろいろな条件を加味してチャンネルプランを選択することができます。
また、複数のレシーバーやトランスミッターの設定値を一覧表示し、一括で同じ設定値に揃える、スピーディーなコントロールが可能です。
設定値やモニタリング情報の保存および再現
運用機器の設定値やStatus Viewer上の運用機器の配置などを、ファイルに保存/再現することができます。ワイヤレススタジオ上に再現した設定値を、各運用機器へ反映させることもできます。
RF チャートグラファーと、アナライザー
ワイヤレススタジオでは、RF Chart Grapherを使用して、運用中の電波環境と発生したアラート情報を記録することができます。これにより、電波環境とアラート内容の因果関係を明らかにできます。また、RF Chart Analyzerを利用すれば、過去の電波状況をその画面に再現でき、解析に役立ちます。

メタデータとの組み合わせにより、新しいワークフローを実現

デジタルシステムならではのメタデータ伝送と、新機能のワイヤレスリモートコントロールにより、新しいワークフローを実現します。トランスミッターの電源を入れて衣装の下などに仕込んでしまえば、後はレシーバー、カムコーダーからトランスミッターの状況を監視しながら、遠隔コントロールで各種設定変更が行えます。

また、本番が始まるまで、トランスミッターの電源をスリープ状態で待機させ、本番と同時に遠隔コントロールで電源を立ち上げるといった、電池の消耗を抑えた運用も可能となります。

USBインターフェイスを搭載

トランスミッター、レシーバーともにUSBインターフェースを装備。市販のUSBキーボードを接続することで、各種設定やトランスミッター のユーザーネーム入力などに使用できます。

またトランスミッターとポータブルレシーバーをUSBにて直接接続することで、秘匿鍵の交換が行えます。各機器のバージョンアップも、この端子から行えます。

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