商品情報・ストアマイクロホン C-100 / ECM-100N / ECM100U レコーディングサンプル音源
Hi-Res Recording Microphone 50kHzまでをすべて捉える、ソニーのマイクロホン Hi-Res Recording Microphone 50kHzまでをすべて捉える、ソニーのマイクロホン

CDを超えるレートとなって
久しい音楽制作現場に、
改めて向き合い開発した
100シリーズ

音の入口において、96kHz/24bitの音楽製作の標準になり得る情報密度を実現することで、
クリエイター、アーティストに新たな音楽制作のカードを提供したい。
100シリーズは、このような意図で、ソニーがC37Aから60年振り、C-800Gから26年振りに世に送りだしたレコーディングマイクです。
これまでのマイクと同様に、基幹事業所である大分のソニー・太陽株式会社が、カプセルから一貫して製造しています。

減衰のない20Hz〜50KHzのワイドレンジと、音楽制作用マイクとして十分な感度の実現は、通常トレードオフの関係にある帯域と感度を両立させることを意味します。その実現の為に、ソニーは新規にカプセルの設計を一から行い、サイドアドレス型のC-100においてはマルチウエイでレンジを分担する方式にチャレンジしました。

「音楽用のワイドレンジマイクを
目指して、
初めて得る事の
出来た収音特性」

減衰のない超ワイドレンジと音楽用マイクとしての感度、この相反する要素を両立させるべく進めた開発の結果、
これまでにない優れたトランジェントレスポンスが、低域から超高域までの広大なレンジで実現されており、
録音フォーマットに関係なく、その恩恵を受ける事ができます。また高域、低域共に、限界を感じないオープンでヌケのある収音特性が得られました。C-100は同じく新開発のφ25ラージダイヤフラムカプセルの量感も加わり、リボン方式のようなナチュラルさと、
広大なレンジ感が共存する、稀有(けう)な存在と言えます。
皆様のレコーディングの方程式にこれから加えて頂きたいその特長を、いくつかご紹介していきます。

  • Vocal Recording 一聴して、実在感と発話のクリアさが耳に飛び込んできます。ピッチやシビランスが非常に鮮明で、Mixで歌詞を立たせる苦労はありません。ラップ、ナレーション等にも向いており、C-800Gを使用されていた方にも、ぜひ選択肢のひとつとして試していただきたいマイクです。中域にカラーやガッツを付加するタイプではありませんが、Mixで重なりがちな中域が出しゃばらず使いやすい、チェ―ンの機器の特性を非常に良く吸い上げる、等の利点があります。倍音が非常に多く収音できる為、やや上方からチェストに向けた遠目の配置でも面白い結果が得られると思います。技術のあるボーカリストの方程、チャレンジや調整がしやすいマイクです。
  • Musical instrument Recording 演奏のニュアンスはもちろん、楽器の各部、素材の状態や湿度までよく分かるような、高次倍音まで豊富に捉える特性があります。緻密に追従するダイヤフラムのおかげで、激しい演奏も荒れる事なく歪まずに収音できます。打楽器のアタック、金物の煌き(きらめき)、ギターのフィンガリング、特にピアノをブライトに収録するには、良い選択肢です。また優秀なトランジェントレスポンスは低域の正確性に非常に貢献しています。決まった特定のカラーを持つマイクが必要な場合でも、C-100を別に立てておくことで、Mixの可能性がグッと広がります。
  • Ambience and Air これまでの説明からもわかるように100シリーズは、収録現場のエア、スタジオやホールの反響音、アンビエンスを捉えることが非常に得意です。よって各種のオフマイク、ルーム、アンビエント、またドラムのオーバーヘッド等は、是非試していただきたい用途です。普段拾わないような音まで良く録れるため、通常使用しているマイクより少し近い印象を受けるかもしれませんが、指向性の範囲内で非常に網羅的なサウンドの収音ができます。

オネストなタイプのマイクとして、特に以下のようなレコーディングを実施される場合には、
100シリーズをおすすめします。

  • ・ 更にリアルな臨場感、エアの実在感が欲しい
  • ・ 高域、低域の正確さ、頭打ち感のないオープンなサウンドが欲しい
  • ・ 歌詞、ピッチの明確さが欲しい
  • ・ EQやコンプの調整をあまり加えたくない収録
  • ・ 代表的な楽器と異なる倍音を持つ民族楽器、フォーリー等の収録
  • ・ ベストの情報密度で録っておきたい、ピッチダウン用途でも鈍らない音で収録したい
  • ・ チェーン機材の音色、プラグイン等の効果を最大化したい
  • ・ アタックのトランジェントの緻密さ、スピード、鮮烈さがもっと欲しい(特にECM-100U)
  • ・ 楽器の音の芯を捉え、倍音やエアをしっかり収録したい(特にECM-100N)
  • ・ 広大なレンジ感、特に低域のクリアな収録、量感が欲しい(特にC-100)
  • ソニーの100シリーズと共に、新しい収録の方程式を生み出していただければ幸いです。

Hi-res Microphone Project Leader
Taro Konno

音楽制作者が語る
100シリーズレコーディングマイク

  • 福原淳人

    (ハウス・エンジニア)

    C-100

    1988年のオープン以来、国内屈指のジャズ・クラブとして誉れ高いブルーノート東京。ソニー製のコンデンサー・マイクをライブPAや配信に活用しているそうで、現場での有用性を明らかにすべく取材へ向かった。ハウス・エンジニアの福原淳人氏にインタビューを行い、指向性可変のモデルC-100を中心に語ってもらった。

  • トッド・ホワイトロック

    (レコーディング・エンジニア)

    C-100 / ECM-100U / ECM-100N

    グラミー常連のトッド・ホワイトロック、自身のキャリアを開始した「パワーステーション」にて100シリーズを語る

  • 福原淳人

    (ハウス・エンジニア)

    C-100

    リファレンス然としつつ音楽的なサウンドです。価格帯を考えても“ありそうで無かった一本” リファレンス然としつつ音楽的なサウンドです。価格帯を考えても“ありそうで無かった一本”

  • 福原淳人

1988年のオープン以来、国内屈指のジャズ・クラブとして誉れ高いブルーノート東京。ソニー製のコンデンサー・マイクをライブPAや配信に活用しているそうで、現場での有用性を明らかにすべく取材へ向かった。ハウス・エンジニアの福原淳人氏(写真)にインタビューを行い、指向性可変のモデルC-100を中心にお聞きしたので、コメントを交えながらレポートしていこう。

かぶりを計算に入れたミックスも容易に

本体スイッチで無/単一/双指向性を選択できるほか、−10dBのPADやローカットをオンにできる。高域用/低域用の2つのカプセルを備え、20Hz〜50kHzという周波数特性を実現。ハイレートでのデジタル録音/処理に向く。
本体スイッチで無/単一/双指向性を選択できるほか、−10dBのPADやローカットをオンにできる。高域用/低域用の2つのカプセルを備え、20Hz〜50kHzという周波数特性を実現。ハイレートでのデジタル録音/処理に向く。

一般的に、ライブPAではステージ上のプレイヤーたちをセパレートしないため、各マイクへの“かぶり”が付き物である。コンデンサー・マイクには、とりわけかぶりやすく、それをどう処理するか、またはいかに利用するかがミキシングの肝になるわけだが、福原氏はどのような方法を採っているのだろう? 「マイクを設置した後に指向性を変えてみることが多いですね」と切り出す。

「入力音量をしっかりと上げたいときには単一指向に、横からのかぶりを低減するなら双指向にするとか、低音同士をなじませたければ無指向にしてみたり。指向性を変えたときに音のニュアンスが変わってしまうマイクもある中、C-100ならどの指向性でもリアルに収音できるというか、“こういう楽器だな”というソース本来の印象が保たれるんです。スペック・シートを見てみたところ、指向性によって周波数特性がまちまちだったりするんですが、実際の音はそんな感じではなくて、とても自然に切り替えられます。なので“横からかぶる低音を削りたいから双指向にしよう”といった方向転換が難なく行えるし、インプットで最終的なバランスに近付けられると、後からプロセッサーで補正するよりも良い結果を得られることが多いんです」

指向性に左右されることなく、目的のソースを“聴いたまま”収音できるというC-100。その特性は、かぶりの音にも反映されるようだ。ピアノに立てたC-100へかぶるドラムを例に、福原氏はこう語る。

「ドラムのサウンドであればオンマイクだけでミキシングせず、ドラムのかぶりが多いピアノやボーカルなどのマイクをブレンドしながら調整します。かぶりがアンビエンスとなり、距離感だけでなく周波数のバランスも作れるわけですね。しかし、例えばピアノに立てたマイクの高域に癖があると、そこにかぶったドラムも高域成分に特徴が出て、バランスを取り直すときにピアノを下げればドラムがこもったりする。そうなると、ドラムのオンマイクのEQに手が伸びるわけですが、C-100だとかぶりの音もナチュラルなので、ピアノの上げ下げで一緒にドラムのカラーが変わってしまうようなことがないんです。音量感が変わった分、EQせずにオンマイクのバランスを取るだけで済む場合もあります」

かぶりの音に癖が感じられず、フェーダーの上げ下げなどのシンプルなオペレーションでバランス取りが行えるのは、ショウ全体を通してもメリットだそう。

「たくさんのコンデンサー・マイクの上げ下げが必要な公演だと、各マイクのかぶりの音量も変わり、そのたびにミックス全体のバランスや印象が大きく変化してきます。そこがライブ・ミキシングの難しいところなのですが、C-100を使っていると“かぶりを勘定に入れたミキシング”がスムーズに行えるので助かっていますね。また、ハウリング・マージンをしっかり稼げるのもありがたい。これまで苦労していたことが一気に解決できるような感じで、ライブそのものだけでなく、配信用コンテンツのミキシングなどにも生きています」

BLUE NOTE TOKYO ALL-STAR JAZZ ORCHESTRA directed by ERIC MIYASHIRO

2月15日に開催されたBLUE NOTE TOKYO ALL-STAR JAZZ ORCHESTRA directed by ERIC MIYASHIRO “New Year Greetings”の様子。グランド・ピアノの収音にC-100のペアが用いられた

アコースティックなライブでも威力を発揮

指向性に左右されにくいという特性やかぶりの音はエンジニアの領域だが、客席に向けてはどのようなサウンドを聴かせてくれるのか? 「マイクの音量を上げていくと、大抵は音が楽器本体からスピーカーに移っていくような感じがするんですが、C-100の場合は楽器の出音がそのまま広がる、大きくなる印象です」と福原氏。

「チーフ・エンジニアの山内(俊治)は“空間をそのまま持ってくることができる”と表現しています。“ある程度スピーカーからPAしていっても飽和して滲(にじ)むことがなく、収音された細部まで、その空間ごと広げていける”と。ジャズ・ピアニストの上原ひろみさんとストリングス・カルテット(上原ひろみ ザ・ピアノ・クインテット)のコンサートで、上原さんとカルテットのおひとりがデュオで演奏するというコーナーがあり、山内が無指向のC-100×1本だけで収音していたんです。それがとても良い結果で。フロアの後方で聴いていても、離れたステージで鳴っていることは分かるけど、前方で聴くのと同じような音量感が得られたんです。目の前で聴こえるように拡声された音ではなく、席とステージの距離感はそのままに、見た目通りの音でなおかつ音量感もあるという印象でした」

録音後にも存在感をキープし続ける音

C-100で収めたサウンドは、レコーディングしたときにも確かな存在感を放つという。

「例えばサックス。ライブ収録をしたとき、ベルにクリップ・マイク、ボディの横にコンデンサー・マイク、演奏者の手前にオフでC-100を準備していたんですが、C-100だけで十分なレベルと豊かな音色が得られたので、結局それ一本で進めることになりました。C-100の音は、ミキシングの最終段階まできちんと残ってくれるんです。マイクによっては、もう一押し欲しくなってコンプなどをかけることがあるんですけど、C-100ならそういう処理をせずとも存在感をキープしやすい。録音後の倍音付加を見越して使うようなマイクではなく、“聴いた感じ”に極めて近い音をとらえるからかもしれません。だから、生音そのものが魅力的なソースに最も力を発揮すると思いますね」

配信用コンテンツなどのオーディエンス・マイクとしてもユニークな働きを見せるC-100。「位相ズレや飽和などが感じられないんです」と福原氏は続ける。

「2ミックスにオーディエンス・マイクをブレンドするときの感覚が大きく変わりました。アナライザーで確認してみると、位相ズレなどによる特性の変化は認められるものの、音を聴く限りは嫌な感じがせず幾らブレンドしても平気なんです。ごくナチュラルにアンビエンス感を足せる印象で、ミックスし終えたものを聴くと、あたかもライブの現場に身を置いているような臨場感を覚えます」

近ごろは、C-100を専ら楽器収音に使用し、オーディエンス・マイクとしてはソニーの無指向性コンデンサー・マイクECM-100Nを2本、吊っている。「乗り込みのエンジニアの方々にも“本当に奇麗な音ですね”と好評です。2ミックスへスムーズに混ざるのは、C-100とECM-100Nに共通する特徴だと思います」と福原氏。

「ソニー製の単一指向性コンデンサー・マイクECM-100Uも楽器収音に活用していて、リアルな音にC-100との共通性を感じます。かなりオフで立てても音の輪郭がきちんととらえられるので、かぶりとのベストなバランスを探りながら距離を決められるのが、ほかに無い魅力ですね。とにかく気に入っています」

C-100をはじめとするソニー製のコンデンサー・マイクは、楽器の響きや演奏を生々しくキャプチャーするようだ。その特性が、ミュージシャンの表現を鮮度高く伝えるのに一役買っているのだろう。

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  • 鈴木Daichi秀行

    (プロデューサー/作編曲家)

    C-100 / ECM-100U / ECM-100N

    リファレンス然としつつ音楽的なサウンドです。価格帯を考えても“ありそうで無かった一本” リファレンス然としつつ音楽的なサウンドです。価格帯を考えても“ありそうで無かった一本”

  • 鈴木Daichi秀行

ソニーからハイレゾ音楽作品の録音を意識した製品が発売され、注目を集めている。それらを使用する第一線のプロに、インプレッションを語っていただくのが本連載だ。今回はプロデューサー/作編曲家の鈴木Daichi秀行が登場。自ら購入し愛用中のコンデンサー・マイクC-100に加え、楽器収音用のECM-100U(単一指向性)とECM-100N(無指向性)の2機種についても語っていただこう。

C-100はリーズナブルかつ万能なマイク

鈴木はもともとソニーの真空管マイクC-800Gの愛用者で、それと同じソニーのプロフェッショナル向けマイクということからC-100に関心を持ったそう。

「C-800Gは1992年に出たマイクですし、経年変化などを考えると、いつまで使えるか分からないなと思って。一方C-100は、真空管ではなくICを使っていますよね。だからメインテナンスの面でも有利だと思ったんです。それに価格がリーズナブル。15万円ほどなので、C-800Gを買ったときの1/7くらいで済むなと。音に関してはC-800Gを使ってもいたし、間違いないだろうと思って試聴せずに購入しました」

早速、ボーカルなどの録音に使い始めたそうだが、そのサウンドはC-800Gとは趣を異にするものだったという。

「どちらのマイクも周波数レンジが広く感じられるのですが、C-800Gは低域と高域に少しピークがあって、それによりワイドに聴こえる。でもC-100はフラット方向の音で、各帯域のバランスが良く、高域が伸びているというよりは下の方まで奇麗に収められる印象です。リファレンス・マイクという感じで、もちろん癖は無いんですけど、ほかの同傾向のマイクに比べると重心が低めで、どっしりとした音。そこが“音楽に使うマイク”という感じですね」

鈴木は、同じ“フラット”でも、音楽制作向けのマイクと音響測定用のマイクなどでは考え方が変わってくるという。

「例えば歌では中低域も大事ですし、そこも含め、きちんと収められることを前提としたフラットさが必要になります。C-100は、そういう音をしていますね。可聴帯域に凹凸が無いというフラットさではなく、音楽ソースに合わせたフラットさだと思うんです。リファレンス・マイクとしての性能を持ちつつ音楽的なサウンドで、なおかつこの価格を実現したマイクって、ありそうで無かったのではないでしょうか」

鈴木は、市場におけるC-100の立ち位置をこう考える。

「例えば最近の4〜5万円のマイクは、音が作られ過ぎているんですよ。多くはハイ上がりな傾向で、“その音”にしかならないから録音後にいじりにくい。C-100のように、正しい音というか奇麗に収音できるマイクの方が扱いやすいんです。で、マイクでキャラ付けしたいなら、結局は数十万円の機種を探すようになる。ただ、その価格帯の製品は個々に明確なキャラクターがあるので、今度は曲やシンガーによって合う/合わないが出てきます。そう考えると、15万円ほどで万能なマイクって、現状C-100くらいしか見当たらないんです。“最近録りもやるようになったから良いマイクが欲しい”と思っている作家の方や“20万円以内で応用の効くマイクが欲しい”と思っている人にはピッタリでしょうね」

生楽器の収音でうまみを発揮するECM

共通の仕様:3機種共、新開発のカプセルを採用したコンデンサー・マイク。ダイアフラム(24金蒸着)の薄膜/軽量化と背面電極のインピーダンス低減を図り、50kHzまで再現できる。背面電極とカプセル・ケースは真ちゅう製で、絶縁材にはポリエーテルイミドを使用。いずれにも高精度な切削加工を施し、各パーツを丁寧に組み立てることで色付け無きサウンドを実現しているというC-100:高域用カプセルと低域用カプセルを備えた2ウェイ構成のモデル。可変指向性で、さまざまなソースに有用ECM-100U:単一指向性のモデル。楽器収音を想定した仕様だECM-100N:無指向性の機種。空間の鳴りも含めた収音に向けている
共通の仕様:3機種共、新開発のカプセルを採用したコンデンサー・マイク。ダイアフラム(24金蒸着)の薄膜/軽量化と背面電極のインピーダンス低減を図り、50kHzまで再現できる。背面電極とカプセル・ケースは真ちゅう製で、絶縁材にはポリエーテルイミドを使用。いずれにも高精度な切削加工を施し、各パーツを丁寧に組み立てることで色付け無きサウンドを実現しているという
C-100:高域用カプセルと低域用カプセルを備えた2ウェイ構成のモデル。可変指向性で、さまざまなソースに有用
ECM-100U:単一指向性のモデル。楽器収音を想定した仕様だ
ECM-100N:無指向性の機種。空間の鳴りも含めた収音に向けている

普段はC-100をアコースティック・ギター録音にも使っているという鈴木だが、今回ECM-100U(単一指向性)とECM-100N(無指向性)を試してみて「アコギ録りなら最初からECMを使っておく方が良い」と感じたそう。

「C-100を使うと、録音後に低域をEQで切ることになりますからね。ECMの2機種も、音の傾向はC-100とよく似ています。ナチュラルなので、音数が多い曲よりはミニマムなもの、録音後の加工を前提としたロック系よりはアコースティック編成などでうまみを発揮しそうです。とは言え音数の多い曲にも使えるはずで、その場合はECM-100Uをオンめで立てると抜けの良い音が得られるでしょう。どちらの機種もアコギに合うし、ECM-100Uはハイハット、ECM-100Nはドラムのトップなどにもマッチすると思います。コンパクトなので設置しやすく、このクラスのコンデンサー・マイクには珍しくシャーシが頑丈だから、ドラムのスティックが当たってしまっても破損しにくいはずです」

リファレンス・マイクとしての確かな性能に、制作の現場を見据えたプラスαを備えるC-100とECMの2機種。「プラグインやアウトボードでキャラクターを付けたり調整することを考えると、脚色の無いマイクを使った方がやりやすく、どのくらい色付けしたかという判断も容易です」と鈴木は言う。

「プリアンプなどの特性もジャッジしやすいし、今は入力段で味付けできるオーディオI/Oなども出ているから、そういうものをきちんと生かせると思うんです。その意味でC-100もECMの2本も、現代の音楽制作に適したマイクですね」

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  • 浅田祐介

    (サウンド・プロデューサー)

    C-100 / ECM-100U / ECM-100N

    歌に合わせてマイクへの味付けを変えたいからC-100のストレートな音は重宝するんです 歌に合わせてマイクへの味付けを変えたいからC-100のストレートな音は重宝するんです

  • 浅田祐介

ソニーからハイレゾ音楽作品の録音を意識した製品が発売され、注目を集めている。それらを使用する第一線のプロに、インプレッションを語っていただくのが本連載だ。今回は、アーティスト活動を経て、サウンド・プロデューサーとしてCharaやCrystal Kay、CHEMISTRYなどを手掛けた浅田祐介が登場。高域用/低域用の2つのカプセルを備えたC-100、楽器収音に向けた単一指向性のECM-100U、無指向性のECM-100Nという3つのコンデンサー・マイクをレビューしてもらう。

C-100は1本持っておくと良い万能系

浅田はC-100のヘビー・ユーザーで、2018年の発売当初に自ら購入して以来、愛用し続けているという。もともと同じソニーのマイク、C-800Gが大好きだったと言い、それがC-100を選ぶ動機になったそう。

「店頭で自分の声を入れてみたところ感触が非常に良く、その場で買って帰りました。C-800Gとは特性が違い、中高域が強調されたような印象は無くフラットで、よりワイド・レンジに収音できます。プロ用のボーカル・マイクとして使えるクオリティですし、歌のほかにもアコースティック・ギターなどいろいろなソースに対応するため、1本持っておくとよい万能系マイクだと思います」

原音に忠実な方向のマイクをプリアンプで味付けして使うのが浅田の流儀だ。

「昔から自分の声と真空管マイクの相性が悪く、真空管の色ありきになってしまうのも好きではなかったので、フラットかつリアルに収音できるマイクを好んでいます。歌い手や曲に合わせてプリアンプで色付けしつつ録りたいので、C-100は自分の音楽作りの方法にすごく合っているんです」

浅田にとっては、自由に表現できるキャンバスのようなものなのだろう。「あと、最近は音圧戦争が沈静化した感もありますが、そうは言ってもマスターにリミッターを挿してレベルを稼ぐじゃないですか?」と続ける。

「そのときに、超高域が録れていないとナローになってしまい、詰まって聴こえるんです。でもC-100は40〜50kHzくらいまで余裕で収音できるため、録り音にコンプをかけてもちゃんと前に出てくるし、マスター段でマキシマイズしても沈まない。超高域だけでなく低域の方もしっかりと入っているから、つぶしても自然な上下感が得られるんです」

周波数レンジのみならず、解像度の高さも魅力だそう。

「マイクにおいて大事なのは、音の立ち上がりから1ms以内といったディテールをいかに高解像度でとらえられるかだと思っていて。スキルの高いボーカリストなどは、そこの歌い方によってアタックを前に出すか控えめに聴かせるかをコントロールしているのですが、解像度の低いマイクはせっかくの表現を押しなべてしまいます。その点、C-100は過渡特性に優れ、ハイスキルなボーカリストが使うと非常にニュアンス豊かな音が得られる。本当に衝撃的ですよ、すべてを録れている感じがして。逆に、未熟なシンガーの場合には粗が目立ちます。しかし、それがプラスに作用することも多く、ささいなリップ・ノイズにも耳が行くので“少し水を飲んでください”といったディレクションが早い段階から行えるんです」

ECMはアタックの情報量がさらに豊か

C-共通の仕様:3機種共、新開発のカプセルを採用したコンデンサー・マイク。ダイアフラム(24金蒸着)の薄膜/軽量化と背面電極のインピーダンス低減を図り、50kHzまで再現できる。背面電極とカプセル・ケースは真ちゅう製で、絶縁材にはポリエーテルイミドを使用。いずれにも高精度な切削加工を施し、各パーツを丁寧に組み立てることで色付け無きサウンドを実現しているというC-100:高域用カプセルと低域用カプセルを備えた2ウェイ構成のモデル。可変指向性で、さまざまなソースに有用ECM-100U:単一指向性のモデル。楽器収音を想定した仕様だECM-100N:無指向性の機種。空間の鳴りも含めた収音に向けている
C-共通の仕様:3機種共、新開発のカプセルを採用したコンデンサー・マイク。ダイアフラム(24金蒸着)の薄膜/軽量化と背面電極のインピーダンス低減を図り、50kHzまで再現できる。背面電極とカプセル・ケースは真ちゅう製で、絶縁材にはポリエーテルイミドを使用。いずれにも高精度な切削加工を施し、各パーツを丁寧に組み立てることで色付け無きサウンドを実現しているという
C-100:高域用カプセルと低域用カプセルを備えた2ウェイ構成のモデル。可変指向性で、さまざまなソースに有用
ECM-100U:単一指向性のモデル。楽器収音を想定した仕様だ
ECM-100N:無指向性の機種。空間の鳴りも含めた収音に向けている

その解像度に関して、ECM-100UとECM-100Nにはさらなる性能を感じたようだ。

「ダイアフラムが小さくアタックへの反応が機敏で、かなりの情報量です。C-100に薄くコンプがかかって聴こえるほどの“速さ”で、立ち上がりの再現性はC-100以上だと思います。アコギに立ててみたところ、ヘッド寄りなのかブリッジ側なのかという演奏位置はもちろん、マイクとの距離の変化やピックの違いなどもよく分かりました。また倍音の聴こえ方が、楽器の生音を聴いているときとそっくりなんです」

アコギを使ったチェックでは、3本のマイクをほぼ同じ位置に並べ、同一のゲインで一度に録音したそう。

「ECMのマイクについては、個人的にはECM-100Nの方が好みです。無指向性なので部屋の鳴りもよく入り、ふっくらとした音が得られます。中低域が充実していて、かつ立ち上がりの速いマイクってあまり見かけないので、面白いですね。一方ECM-100Uは、タイトでセンターに寄った音。オケ中で扱いやすく、ストロークなどに向くと思います」

浅田はECMの2機種から「開発者のメッセージを感じますね」と語る。

「既存のペンシル・マイクのような音はしないけれど、音にかかっていた薄膜が取れたでしょ?といったメッセージです。まさにハイレゾ時代のマイクという感じがしますし、アナログ領域で起こっている音の変化がつぶさに出るDSDなどの録音方式には、特にマッチすると思いますね」

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  • 島崎貴光

    (音楽プロデューサー/作編曲家)

    C-100

    中高域をきらびやかな質感で収音し歌手の微細な表現を録りこぼさない 中高域をきらびやかな質感で収音し歌手の微細な表現を録りこぼさない

  • 島崎貴光

ソニーからハイレゾ音楽作品のレコーディングを意識した製品が発売され話題を集めている。それらを使用する第一線のプロにインプレッションを語ってもらうのが本連載だ。今回は、音楽プロデューサー/作編曲家として活動する島崎貴光が登場。島崎が拠点とするMiL Studio 目黒に導入されている2ウェイ・カプセル構成のコンデンサー・マイク、C-100の使用感を聞いてみた。

コンパクトで安心感のある筐体

取材に伺うと、実際にC-100をスタンドへ設置して見せてくれた島崎。セッティングをしながら「2ウェイ・カプセル構成なのに筐体はコンパクトで、扱いやすさ抜群です」と語る。

「位置決めしたマイク・ホルダーがマイク自体の重さに耐え切れず動いてしまう、といったことが起こらず、どんなスタンドにも安心して立てることができます。例えばアコースティック・ギターの録音用に、奏法の違いでその都度マイキングを変えなければならない場合でも、スムーズに進められます」と話す。

島崎は「実は、MiL Studio 目黒を造るにあたって、実験的な気持ちで導入することにしたんです」と明かす。だが現場で使用してみると、プロ向けでリーズナブルな10万円台半ばのクラスからは全く想像もつかぬほど性能が高いと感じられたそう。

「まず、真空管マイクのような電源ユニットがあるわけではなく、別売りでそろえなければならないものも特に無いので、開封したらすぐに使えます。またボーカル録りをはじめ、弦楽器やドラムの録音にも有用ですね。ちなみに、ボーカルやアコースティック・ギター、バイオリンなどは単一指向性で録音し、ドラム録りではタムを双指向性で拾うようなこともあります。バイオリンの録音では、ピチカートのようにアタックの強い音を出しても、高域が全然耳に痛くならないんですよ。試しにアンビエンス・マイクとして使ってみたときには、残響音がより高いところまで響いているような余韻を得られて、解像度の高さを実感できました。2ウェイ・カプセルと可聴帯域を超えた収音能力が、この価格で手に入るのは革新的だと思います。DAWの普及により、作家が自宅でレコーディングして曲を作り込む時代になっていますよね。もうワンランク上のマイクが欲しい作家やクリエイターにも、C-100は重宝するのではないでしょうか」

きらびやかな中高域と高い解像度

C-100:高域用カプセルと低域用カプセルを備えた2ウェイ構成のコンデンサー・マイク。可変指向性(全/単一/双)で、さまざまなソースに使用できる。ダイアフラム(24金蒸着)の薄膜/軽量化と背面電極のインピーダンス低減を図り、50kHzまで再現可能。背面電極とカプセル・ケースは真ちゅう製で、絶縁材にはポリエーテルイミドを採用。いずれにも高精度な切削加工を施し、各パーツを丁寧に組み立てることで色付け無きサウンドを実現しているという
C-100:高域用カプセルと低域用カプセルを備えた2ウェイ構成のコンデンサー・マイク。可変指向性(全/単一/双)で、さまざまなソースに使用できる。ダイアフラム(24金蒸着)の薄膜/軽量化と背面電極のインピーダンス低減を図り、50kHzまで再現可能。背面電極とカプセル・ケースは真ちゅう製で、絶縁材にはポリエーテルイミドを採用。いずれにも高精度な切削加工を施し、各パーツを丁寧に組み立てることで色付け無きサウンドを実現しているという

直近で、島崎がプロデューサーを務めたキノコホテルのアルバム収録曲にもC-100が使用されていたのだという。

「C-100は、中高域をきらびやかな質感で収音し、歌手の微細な表現を録りこぼさない点が魅力的ですね。キノコホテルのアルバム『マリアンヌの奥儀』のリード曲「ヌード」にも使用したのですが、声を張ったときに出てくることがあるピーク成分も耳に痛くなく、それでいてきらびやかに収めることができました。そのときは、マイクプリとしてAVEDIS AUDIO ELECTRONICSのMA5を使用したのですが、C-100は癖が無いので、個性の強いマイクプリによるカラーリングも楽しめます」

続けて、島崎が最も気を配る、シンガーの微細な表現にC-100の解像度の高さが生きていると話す。

「シンガーって感情や表現を“語尾”に込める傾向があると思うんですね。具体的には、少し息を抜いてみたり、ぐっと強く思いを込めてみたりということです。セルフ・ノイズが低く、かつ微細な領域まで収音できるマイクじゃないと、そうした表現を録り逃してしまいます。C-100は解像度が高いため、歌手の表現力が試される語尾ギリギリの音を拾うのに適しています。録りそびれも無く、録音後の処理もしやすいです。“全部”録れていることは、ミックスの観点でかなり重要ですから」

人間の可聴帯域を超えた50kHzから20Hzの低域まで、C-100のレンジの広さは編曲をも支えるのだという。

「高いところだけでなく中低域がしっかり録音できるので、音やせも無く過度な処理を必要としません。音の輪郭が見えて、色気のあるボーカルが録れますね。また、ロックのようににぎやかなバンド・サウンドの中でも、抜け良く響いてくれます。例えば、ボーカルとアコースティック・ギター、バイオリンのような小編成による静かな曲をレコーディングするときなどは、以前ではアンサンブル全体の中低域に不足を感じ、ビオラのアレンジを加えるなどして補完していました。しかし、C-100によって歌の中低域を豊かに録ることができたので、音数を減らして個々の演奏を聴かせる編曲が可能になりました。そのときに、C-100のレンジの広い収音能力は、楽曲全体のアレンジにも多大なる貢献をしてくれるのだなと実感したんです」

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  • 三船雅也 ROTH BART BARON

    (アーティスト)

    C-100 / ECM-100U / ECM-100N

    予想をはるかに超えて、使っていて楽しいいつも以上に音にフィールを入れられます 予想をはるかに超えて、使っていて楽しいいつも以上に音にフィールを入れられます

  • 三船雅也 ROTH BART BARON

ソニーからハイレゾ音楽作品のレコーディングを意識した製品が発売され、注目を集めている。それらを第一線のプロに試していただき、インプレッションを語ってもらうのが本連載だ。初回はROTH BART BARONの三船雅也に、高域用/低域用の2つのカプセルを備えたC-100、楽器収音に向けた単一指向性のECM-100U、無指向性のECM-100Nの3つのコンデンサー・マイクをチェックしていただく。

倍音まで奇麗に入ったレンジの広い音

「予想をはるかに超えて、使っていて楽しい。いつも以上にフィールを入れて歌ったり、演奏したりしました」と語る三船。プライベート・スタジオであらゆる楽器を録音し、近年は96kHz環境でいかに音のディテールをとらえるか研究中と言う彼に、これら3本のマイクはマッチしたようだ。

「最初に試したのはC-100です。歌録りに使ってみたところ、声の中心帯域にフォーカスしたような音ではなく、倍音まで奇麗に入っていたので“レンジが広いな”と。ブレスや子音なども良い音で収められるから、英詞の曲でも気持ち良く録れるはずです。また録音の最中にも、モニターから臨場感や空気感がきちんと伝わってきます。だから良い空気をどんどん録りたくなって、街が寝静まった夜中2時くらいに静謐(ひつ)の中でレコーディングしたこともあるほど。特筆すべきはそういう部分で、声のフィールを場の空気ごと克明にキャプチャーしてくれるんです。だからこそ、それを生かした作品を作ってみたいなと。例えば、一曲を通しで録るような弾き語りのアルバムなどですね。変に味付けされていないピュアなサウンドが、今の自分のムードに合っています」

三船は「オケの分厚い曲でも使えると思います」とも言うが、あくまで繊細な響きを生かす方向に関心があるようだ。そして「アコースティック・ギターにも抜群で、指の動きまで見えるような音が得られるんです」と続ける。

「すごく繊細にとらえられるから、強くストロークするのがもったいないように思えたほど。でもいざストロークしてみると不思議なレンジの広さがあって、これまで使っていたマイクとは全く違うキャラクターだと感じました。ザクザクとした鳴りが心地良く、録れば録るほど高揚感を得られるんです。僕はいつも、弾いていてインスピレーションのわく楽器や触ってすぐにピンとくる機材を選ぶようにしているんですが、サンレコ編集部からの使用依頼でここまで良いと感じられたので、“一本取られたな”という心境です」

スピードが速く密度感も兼ね備える

バーディハウスのブースでC-100をセットする小森氏。ボーカルのほか、チェロでもチェックした
共通の仕様:3機種共、新開発のカプセルを採用したコンデンサー・マイク。ダイアフラム(24 金蒸着)の薄膜/軽量化と背面電極のインピーダンス低減を図り、50kHzまで再現できる。背面電極とカプセル・ケースは真ちゅう製で、絶縁材にはポリエーテルイミドを使用。いずれにも高精度な切削加工を施し、各パーツを丁寧に組み立てることで色付け無きサウンドを実現しているという
C-100:高域用カプセルと低域用カプセルを備えた2ウェイ構成のモデル。可変指向性で、さまざまなソースに有用
ECM-100N:無指向性の機種。空間の鳴りも含めた収音に向けている
ECM-100U:単一指向性のモデル。楽器収音を想定した仕様だ

続いてはECM-100UとECM-100Nについて。いずれもアコースティック・ギターやビブラフォンで試したという。

「まず単一指向性のECM-100Uは、音へのレスポンスや出音のスピードが非常に速く、キレがあります。アコギの弦を弾いた瞬間の“ポン”というアタック成分が、すぐ耳に飛び込んでくるんです。かなり近付けて設置すると、楽器を生で聴くよりも速く/近く感じられますね。ラージ・ダイアフラムのマイクでは、これだけクイックな音は得られないので面白い。ピアノをアタッキーに収めたいときやストリングスにも試してみたいです。これだけ速い音なら、めったなことではオケに埋もれないと思うので。それでいて、音が硬くなくて良い。クイックだけど腰高過ぎず、密度感があるんです。まだ試せていませんが、エレキギターの録音時に弦の真ん前に置き、アンプリファイしていない生音をアンプのマイクにブレンドすれば、ユニークな音が得られるんじゃないかと思います」

無指向性のECM-100Nは、オンで立てたECM-100Uにブレンドするオフマイクとして試したそう。

「どこに設置しても奇麗に、高い解像度で収音できるんです。オフマイクということもありふっくらとした音になったので、ECM-100Uのクイックな音に混ぜるとぜいたくな響きが得られ、ブレンド具合を調整するのが楽しい。C-100とも相性が良いと感じるし、セットで持っていれば、かなり使い道が広がると思います。あまり深く考えなくても、1本立てておくとミックスの際に簡単に立体感を作れるから、マイク・ビギナーにも使い勝手が良いでしょうね」

今回の3機種は、いずれも50kHzまでの高域特性を有している。この人間の可聴帯域を超えたサウンドは、ミュージシャンに何をもたらすのか?

「昨今は制作環境もどんどんワイド・レンジになっているため、広がった部分を新たなキャンバスとしてどう生かせるのか日々探っているところです。可聴帯域は20kHzまでと言われていますが、音は空気振動なので、それ以上の帯域も感知できると思うんです。だからこそ、この3本のマイクのような新しい技術や機材というものは、これからの音楽表現のフィールドを広げてくれると感じますね」

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  • 小森雅仁

    (レコーディング・エンジニア)

    C-100

  • 小森雅仁

バーディハウスがマネージメントするフリーのエンジニア、小森雅仁氏は、宇多田ヒカルや米津玄師、小袋成彬などのほか、サントラも手掛けるなど、幅広いジャンルで活躍中だ。ハイレゾにも造詣の深い氏が、C-100をさまざまな場面でテストしたということで、早速話を聞いてみよう。

立ち上がりが速く音質もクリア

ソニーから新しいマイクが出ることを聞いたときはびっくりしましたし、発売前に試させてもらえたのは、すごくうれしかったですね。今まではボーカル・レコーディングでマイクを選ぶにあたって、C-800Gは、曲によっては替えの効かない存在として使ってきたので、その後のマイクがどんなものか、非常に楽しみにしていました。

まずテストしたのは、普段お仕事させてもらっている男性ボ ーカルと女性ボーカル、アコースティック・ギターでした。ボーカルのサウンドは、基本的にはC-800Gを踏襲している印象。しかし聴感上、高域のザラッとした帯域が、C-100の方がきめ細かく、よりナチュラルに聴こえたので、C-800Gよりしっとりと重心が低い感じに聴こえます。立ち上がりが速く音質もクリアなので、歌詞も聴き取りやすく、派手な打ち込みのオケにも埋もれない声で録れましたね。また、男性が低い声で小さく歌ったときでもレスポンスが良く、単一指向では10kHzあたりにカーブがあるので、特に歌モノのポップスに使いやすい仕様になっているなと思いました。

録ったときから完成品に近い印象

バーディハウスのブースでC-100をセットする小森氏。ボーカルのほか、チェロでもチェックした バーディハウスのブースでC-100をセットする小森氏。ボーカルのほか、チェロでもチェックした
バーディハウスのブースでC-100をセットする小森氏。ボーカルのほか、チェロでもチェックした

アコースティック・ギターは、NEUMANNなどの定番マイクと並べて録ってみました。ここでも立ち上がりの速さが生きていて、キレのあるストロークが録れましたし、アコギって曲によっては中低域を削らないといけない場合があるんですけど、その辺りがC-100はちょうど良く、録ったときから完成品に近い印象がありましたね。

あと、2018年2月公開予定の映画『リバーズ・エッジ』(行定勲監督)のサントラ収録でも使いました。楽器編成がほぼピアノとチェロとエレキギターだけという中で、チェロに立ててみたところ、高域の伸びや弦がこすれる臨場感がすごく良くて、音楽プロデューサーさんや作曲家さんにも好評でしたね。実はC-800Gもそうですが、C-100は低域もしっかり録れるので、低弦の楽器にも合うと思いました。

C-100は、これからマイクを買う人のオールマイティな1本としても良いと思いますし、既存の定番マイクの別オプションとして1本持っていると、録り音の幅が広がるんじゃないでし ょうか。最近は、自宅録音したものをデータで受け取ってミックスすることがよくあるのですが、録音状況によっては、処理に困ることがあります。でもC-100ならそういうことは起こらないでしょう。これから、スタジオだけでなくアーティストやミュ ージシャンが持つことでどんどん広がっていくと良いですね。

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  • 粟野敬三

    (レコーディング・エンジニア)

    C-100

  • 粟野敬三

ビクタースタジオでキャリアをスタートしたレコーディング・エンジニアの粟野敬三氏。1999年より現在まで中国・北京を活動の拠点にしており、ポップ/ロックを中心に数多くの作品を手掛けている。そんな氏が中国のスタジオでC-100をチェックしたということで、話を伺った。

素の状態で奇麗に録れている

中国ではここ数年C-800Gの人気がすごく高くなってきていて、ボーカリストとマッチしたときの素晴らしさは、もう手放せないアーティストもたくさんいます。僕も同じ印象で、C-80 0Gでハマるともうほかには戻れないですね。ここぞというときの一番の武器です、見た目も含めて(笑)。C-37A、C-38Bもビクタースタジオ時代に使っていましたが、独特のナローな感じが、民族楽器と相性が良く、印象に残っていますね。そんな中ソニーから、久々となる新しいマイクが出ると聞いたときは、どんなものだろうという期待感がありました。

ハイレゾ音楽を聴いているときと同じ心地良さ

北京のレコーディング・スタジオで、男性ボーカルのチェックを行ったという粟野氏 北京のレコーディング・スタジオで、男性ボーカルのチェックを行ったという粟野氏
北京のレコーディング・スタジオで、男性ボーカルのチェックを行ったという粟野氏(写真右)

最初は、C-100で録られた音源を聴かせてもらいました。中国人の女性ボーカルで、ロック・テイストなオケのポップスだったんですけど、密度の高いオケ中でも、ボーカルがしっかり前にいたのが印象的でした。ケロケロ・ボイスに加工されていたんですが、心地良い奇麗な声だなと思ったんですね。AV ID Pro Toolsのセッション・データも見ることができたので、ボーカルのエフェクトを見てみたら、コンプとリバーブが少しかかっている程度でした。高音の滑らかさは、EQしてあるかと思っていたんですけどね。それで、それらを外して素の声を聴いてみたのですが、印象は変わらず、素の状態でここまで奇麗に録れているのは素晴らしいなと思ったわけです。

その後、僕自身が男性ボーカルを録音するテストができました。ほかのメーカーのマイクも使って聴き比べてみたところ、C-100の低域の豊かさ、安定感が特に優れていると感じました。中国語で歌う場合、破裂音が強い言語なので、それがハッキリ聴こえないと違和感があるんですね。それをEQして聴こえるようにする場合、ピークが強くなり過ぎないように苦労するのですが、C-100で録ったボーカルは、エフェクト処理をしなくてもそのままで完成されていたので、自分好みのマイクでした。テストで歌った本人も、すごく歌いやすいと言っていましたね。

C-100はスペックを確認すると、50kHzまで集音できるのですが、全帯域がしっかりしている上でのキメの細やかさがあり、ハイレゾの音楽を聴いているときと同じ、ふくよかで心地良いサウンドで録れます。まだECM-100は試せていないのですが、民族楽器などの録音は興味がありますね。ふくよかで滑らかな低域がうまく録れるような気がします。でも、C-100を使ってみただけでも、個性のあるマイクだと思いましたし、今後、僕が選ぶマイクとしていろんな場面で登場しそうですよ。

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  • 高田英男

    (レコーディング・エンジニア)

    ECM-100N

  • 高田英男

1969年より、ビクタースタジオにてレコーディング・エンジニアとして、アコースティック録音を中心に、多くの作品を手掛けてきた高田英男氏。現在はMIXER'S LABのサウンド・プロデューサー/エンジニアとして活動しており、ハイレゾによる音楽制作を中心に推進している。そんな氏が、ECM-100を録音に使用したということで、早速そのインプレッションを聞いてみよう。

ソニーのマイクはクリアなサウンド

僕はこれまでソニーのマイクにはいろんな恩恵を受けてきました。特にC-38Bはオールマイティに使えるマイクで、ドラムからパーカッション、ビブラフォンなど、どんな楽器でも困ったときはC-38Bを使えばOKという時代が、僕の中ではあったんです。ギタリストの松木恒秀さんは、レコーディングのときにC-38Bを指定していました。その後に出たC-800Gも、多くのボーカリストで使ってきましたね。僕のソニーのマイクの印象は、クリアなサウンドでナチュラル。声や楽器の音の芯がしっかりとらえられるなと思っていました。

楽器の芯の音をうまく拾えていた

井筒香奈江が2018年春にリリースするアルバム『Laidback』でのレコーディングで、コンガとベル・ツリーにECM-100Nが使用された 井筒香奈江が2018年春にリリースするアルバム『Laidback』でのレコーディングで、コンガとベル・ツリーにECM-100Nが使用された
井筒香奈江が2018年春にリリースするアルバム『Laidback』でのレコーディングで、コンガとベル・ツリーにECM-100Nが使用された

今回、新しくハイレゾ・マイクを試す機会をいただいたので、井筒香奈江さんの2018年春にリリース予定のアルバム『Laidback』のレコーディングに使ってみました。基本の楽器編成はピアノとエレキベースとボーカルというシンプルな編成です。初めて使うマイクですので、マイクが持つ音色感の確認を含めて、アコーステック・ピアノのアンビエント・マイクとして実験的に試してみました。聴いた印象は、アンビエントとしてだけではなく、ピアノの直接音もしっかりととらえられ良いなと思ったのですが、僕のこれまでのピアノ録音でのベーシックのマイクの組み合わせから変えるのが正直不安もあり、このときは採用には至りませんでした。

翌日はパーカッションが入る編成で、今度はブースに入っての録音だったので、そこでもチェックをしてみました。コンガとベルツリーのオフマイクとして立てたのですが、楽器の持っている音をすごく素直に、伝わるサウンドで録れたので、“これはいける”ということで採用したのです。オンマイクとのミックスで音を仕上げたのですが、半々か、もしくはオフマイクをメインに音作りをしました。そういう意味で、アコースティック楽器の芯の音をストレートにうまく拾えていたということですね。今回のコンガやベルツリーといった楽器を録音するマイクとしては適切だなと判断いたしました。

ECM-100はハイレゾに対応していますが、僕がマイクを選ぶときは、マイクのスペックよりも楽器との相性で選びます。このマイクもハイレゾだからアンビエンスを録ると決めるのではなく、アコースティック楽器との相性を考え、メイン・マイクとしてチャレンジすることによって、さらなる使い方が見えてくるのかなと思いました。僕自身、いろいろな録音で試してみたいですね。

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  • トッド・ホワイトロック

    (レコーディング・エンジニア)

    C-100 / ECM-100U / ECM-100N

  • トッド・ホワイトロック

ジョシュ・グローバンやブライアン・ブレイド、ヨー・ヨー・マ、チック・コリアなど、ジャンルを問わず活動しているエンジニア、トッド・ホワイトロック氏。グラミーの受賞経験もある氏が、2017年の秋に、NYのPower Station at Berklee NYCにてC-100、ECM-100N、ECM-100Uを使ったレコーディングに臨んだという。その使用感、サウンドについて語ってくれた。

ソニーの新マイク発表には興奮しましたね

私はソニーのマイクを25 年ほど使い続けていますが、NYのパワー・ステーションでアシスタント・エンジニアをしていたころ、C-37A、C-37P、C-48、ECM-535P/536Pなどが、トップ・クラスのエンジニアに使われていましたよ。1995 年にはSony Music Studiosに移るのですが、そこでC-800Gを初めて使いました。個人的にはビンテージ真空管のキャラクターとサウンドが秀逸なC-37Aが一番のお気に入りです。ですがクリアさや存在感という意味ではC-800Gにかなうマイクはありません。

ソニーから新しいマイクの情報を聞いたときには興奮しました。これらのマイクを試せる機会がないか探っていたところ、幸運にもPower Station at Berklee NYCで、伝説的なドラマー、ハーレン・ライリーのクインテットを録れることになりました。しかも私の大好きなStudio Cでね。ハーレンのクインテットは、全員がブースに入っていたのでECM-100Nを全体マイクとして使えませんでしたが、どうしてもサウンドが聴いてみたかったのでドラムのワイドL/Rとして立てました。通常のオーバーヘッドよりは離して、ドラム・キットの角にセットしたのです。ECM-100Uはピアノの内側にORTFペアで設置し、後端に置いたC-48と併せて使いました。あとC-100はウッド・ベースとトランペットに立てましたね。

すべての音域を収録できているように感じました

ピアノのチェックで使われたのは、単一指向性のECM-100U。手前のマイクはC-48 ピアノのチェックで使われたのは、単一指向性のECM-100U。手前のマイクはC-48
ピアノのチェックで使われたのは、単一指向性のECM-100U。手前のマイクはC-48

ベースに使用したC-100はとても印象的でしたね。通常のファンタム電源のマイクでは決して得られないローエンドをとらえてくれ、サブハーモニック領域から超高域のハーモニクスまで、すべての音域を収録できているように感じました。素晴らしい存在感でミックスの中でのパンチを出してくれ、コンプレッサーが不要に感じるほどです。トランペットに使用したC-100も明る過ぎないクリーンなサウンドで印象的でした。それからピアノの内側にセットしたECM-100Uですが、良い輝きを持ったサウンドで、グランド・ピアノを大きくきめ細かくしてくれ、トラッキング中にプレイヤーが聴くサウンドとして最高だと思います。そして、ドラムのワイド・ステレオ・マイクとして使ったECM-100Nも、とても効果的でした。スタジオの空気感をうまくドラム・サウンドと併せてくれて、その意味では通常のオーバーヘッドよりも優秀でした。いわば半分オーバーヘッド、半分アンビエンスといった感じで、キックやタムの響きが素晴らしかったです。ソニーの新しいマイクは、私の好みのサウンドを出すのに最適だということが分かりましたね。

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ソニーC-100の性能が
生きるホームレコーディング

トップエンジニアが指南する
C-100での自宅録音のクオリティアップ
(「サウンド&レコーディング・マガジン」掲載記事)

※リンク先は新しいウィンドウにて、月刊誌「サウンド&レコーディング・マガジン」のホームページへ遷移します

レコーディングサンプル音源

C-100、ECM-100N、ECM-100Uで録音した音源をダウンロードして試聴できます。

※ ボタンをクリックすると、別ウインドウで再生画面が開きます

女性ボーカル アコースティック・ギター ピアノ
コンデンサーマイクロホン C-100

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エレクトレットコンデンサーマイクロホン ECM-100N

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※ こちらのサンプル音源は本商品の試聴を目的に制作されたものです。著作隣接権を侵害する行為は固く禁止させていただきます

Vocal:甲田益也子(dip in the pool) Vocal:甲田益也子(dip in the pool)
Vocal:甲田益也子(dip in the pool)
Acoustic Guitar:窪田晴男 Acoustic Guitar:窪田晴男
Acoustic Guitar:窪田晴男
Upright Piano:古川初穂 Upright Piano:古川初穂
Upright Piano:古川初穂
甲田益也子

音源情報

Title
Gymnopédie No.1
Music
Erik Satie
Vocal & Lyrics
甲田益也子(dip in the pool)
Acoustic Guitar
窪田晴男
Upright Piano
古川初穂
Recording & Mixing Engineer
鎌田岳彦
Recording Studio
Saidera Mastering
Producer
木村達司(dip in the pool)
Executive Producer
國崎晋(Sound & Recording Magazine)
  • zAk マイキング・セミナー with 角銅真実
    使用マイク:C-100/ECM-100U/ECM-100N
  • Seigen Ono: Reflection Miking Technique
    使用マイク:C-100/ECM-100N

100シリーズレコーディングマイクを
試せるお店

RECORDING PROSHOP MIYAJI

東京都千代田区神田小川町1-4
宮地ANNEXビル1F・2F

TEL:03-3255-3332

営業時間:11:30〜19:30

定休日:正月休み(1月1〜2日)のみ

C-100

Rock oN Company Shibuya

東京都渋谷区神南1-8-18
クオリア神南フラッツ1F

TEL:03-3477-1756

営業時間:12:00〜20:00

定休日:年中無休(年末年始を除く)

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