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One and Only
鉄道写真家 中井精也 氏 Vol.11
中井氏が“α1”と探す唯一無二の鉄道絶景!
デジタルカメラマガジンとの連動企画を
毎月コラム形式でお届けします

α Universe editorial team

みなさんこんにちは。鉄道写真家の中井精也です。 今回は、富山県の高岡駅と氷見駅を結ぶJR西日本のローカル線「氷見線」を旅しました。 氷見線と言えば、なんと言っても名勝「雨晴(あまはらし)海岸」に沿って走る、越中国分駅から雨晴駅にかけての区間。距離にしてわずか2kmにも満たない限られた区間ですが、今回はあえてこのスポットだけに狙いを絞って、撮影に臨んでみることにしました。 というわけで撮影は狭い範囲で行いましたが、レンズは「SEL1635GM」「SEL2470GM2」「SEL70200GM2」「SEL200600G」と4本携えて行きましたので、限られた区間でもバリエーション豊富に撮れたと思います。特に新型の「SEL2470GM2」は、とても重宝しました! ちなみに雨晴という名前のルーツですが、ここには義経岩と呼ばれる奇岩があり、これは平家討伐を成し得たのちに源頼朝と決裂してしまった義経が、奥州藤原氏へと逃げ落ちる際に、この地を訪れ、怪力で知られる武蔵坊弁慶が雨宿りのために岩を持ち上げたという逸話がルーツだと言われています。 1枚目は、そんな逸話が残る雨晴海岸の砂浜で撮ったものです。

α1,FE 24-70mm F2.8 GM II 24mm,F8,1/1600秒,ISO400

砂浜にしゃがみ込んで、かなり低い位置から、気持ちの良い夏空を大胆に入れた構図にしてみました。広がる雲が良いアクセントになってくれて、壮大な雰囲気の1枚になったんじゃないかなって思います。水面ギリギリから撮影することで壮大さを出すとともに、実は列車と並行して国道が走っており、それを目立たないようにする意図もあっての低い位置からの1枚となります。 画面奥には能登半島が見えます。ここ雨晴海岸と氷見線を撮る定番カットといえば立山連峰を背景にした風景だと思いますが、ここではあえて立山連峰がある方向とは逆側で撮影しています。 有名な撮影ポイントでは、つい定番のカットを撮影して満足してしまいがちですが、そうした有名撮影ポイントの近くには、穴場の撮影スポットが隠れていることが意外にも多いのです! 長年さまざまな場所で撮影してきた僕が、経験から実感していることなので、ぜひ皆さんも「名所の近くには穴場あり!」で、自分だけの撮影スポットを探してみてください。 2枚目になります。

α1,FE 16-35mm F2.8 GM 26mm,F8,1/1000秒,ISO800

越中国分駅に近い岩崎ノ鼻灯台の下あたりに、国道415号線を迂回するルートがあるんですが、そこから撮った1枚です。 鮮やかなエメラルドグリーンの美しい海に、懐かしい国鉄色とも言える橙色の列車が映えます。道の駅「雨晴」の展望スペースからも似たような構図で狙えますが、こちらからの方がより高い位置から見下ろすように撮れるので、列車の全体を入れつつ、この美しい海も存分に構図に取り込むことができてお勧めです。 なお列車の手前にはガードレールがあるのですが、そこをギリギリでカットしてあげることで、見る人に列車と海をより強く印象付けることができたと思います。 3枚目は、いよいよ立山連峰を背景にした絶景の1枚です!

α1,FE 70-200mm F2.8 GM OSS II 191mm,F8,1/500秒,ISO400

まるで富山湾からそびえているかのような立山連峰を背景に走る氷見線の光景は、日本の鉄道風景を代表する絶景のひとつと言っても過言ではないでしょう。 定番ともいえる構図ですが、ただし現地に行けば簡単に撮れるというわけではありません。 立山連峰に残雪が残る時期で、かつ快晴になる日は、実はそう多くはありません。 天気予報など事前に細かくチェックして、行かれることをお勧めします。 なお定番というだけあって、ここでは構図が定まってしまい、どうしても列車は右下に配置せざる得なくなりますが、α1の広い測距点数と高精度なAFが、貴重なシャッターチャンスを逃すことなくこの絶景をしっかり捉えてくれました。 4枚目になります。

α1,FE 24-70mm F2.8 GM II 24mm,F8,1/1600秒,ISO400

海上にポツンと浮かんでいるのは「女岩」です。この奇岩から松の木が伸びており、海と空の青色の中での緑色が美しいです。 実は列車が来るまで、写真想像力をフル稼働させて、頭の中で構図の追い込みを試行錯誤していたのですが、線路の両側に前後で立っていた2本の標識が気になってしまい、どの位置に列車が来た時がベストなんだろう?と考え込んでいました。(笑) しかし実際に列車が来ると、車両の橙色が思っていたよりも強く効いてくれて、思っていたほど標識は気にならなくなってしまったというか、むしろあって良い感じになってしまいました。 こんな風に列車が実際に来る前の試行錯誤と、実際に列車が来た時のギャップも、鉄道撮影の面白さのひとつですよね。

α1,FE 24-70mm F2.8 GM II 24mm,F16,1/3200秒,ISO200

5枚目は、富山湾と列車をローキー調に仕上げた1枚になります。 まだ太陽が低い朝方に海岸線に行ってみると、海が驚くほど穏やかで、なんとも言えない幻想的な雰囲気になっていました。 そこでこの世界観をどのように表現しようかと考え、思い切って海をメインにして、列車はシルエット状にすることにしました。 鉄道写真の露出は、列車の明るさに合わせて調整するのが定番ではありますが、ここではマイナス4EVまで露出を下げ、ハイライト部分を基準にした大胆なローキー調にしてみました。 ただし単に列車をシルエット状にしてしまっては、黒い塊になってしまいます。そこで僕が工夫したのは、列車の先頭部を輝く海のハイライトと重ねてあげることで、列車が黒い塊にならずその存在感が失われないようにしています。 今回ご覧いただく最後の写真となります。

α1,FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS 356mm,F6.3,1/2500秒,ISO400

青い空、青い海と夏らしい写真を数多く撮ってきた今回の氷見線でしたが、この写真では朝8時くらいの太陽の光を上手く利用して、温かみのある暖色系の1枚を目指してみました。 越中国分駅を過ぎると、ちょうど岩崎ノ鼻灯台の下あたりに小さなトンネルがあります。そのトンネルから出てくる瞬間を切り取っています。ちょっとノスタルジックで鉄道旅情を感じられる1枚になったと思います。 さて今回の氷見線はいかがだったでしょうか? 2kmに満たない短い区間で、写真想像力と4本のG Masterを駆使して臨んでみましたが、思っていた以上にバリエーション豊かな写真が撮れたと思います。 いよいよ次回でこの企画「One and Only」も最終回となりますが、来月もこの場所で、皆さんに鉄道絶景を紹介できることを楽しみにしています!中井精也でした。

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