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「α1」カメラグランプリ2021大賞を受賞!
3人の選考委員が「投票のホンネ」を語る 阿部秀之さん・熊切大輔さん・大村祐里子さんによる写真家座談会

デジカメ Watch掲載記事の転載
座談会に参加いただいた3名。左から阿部秀之さん、大村祐里子さん、熊切大輔さん

ソニーフルサイズミラーレスαとして初の「フラッグシップ」を標榜する「α1」が、日本で最も優れたカメラに贈られる「カメラグランプリ2021大賞」を受賞!有効約5,010万画素の高解像モデルでかつ最高約30コマ/秒のブラックアウトフリーAF/AE追随高速連写、8K 30pの動画記録、鳥の瞳認識にも対応したリアルタイム瞳AFなど、先進的な機能の数々を一台に融合させた圧巻の存在だけに、納得のいく結果だと感じた読者も多いのではないだろうか。

カメラグランプリ2021大賞を受賞したα1

「α1」の大賞受賞を受けて、デジカメWatchでは3名の写真家をお呼びして座談会を実施。3名ともカメラグランプリにおいて、「α1」に実際に得点を入れた外部選考委員だ。 参加いただいたのは阿部秀之さん、大村祐里子さん、熊切大輔さん。彼らは「α1」をどう評価したのだろうか。

カメラグランプリとは? 写真・カメラ専門の雑誌・Web媒体の担当者の集まりであるカメラ記者クラブが運営するカメラ業界の主要なアワード。毎年4月1日から3月31日にかけて発売されたカメラ製品から選ばれる。 「大賞」「レンズ賞」「あなたが選ぶベストカメラ賞」「カメラ記者クラブ賞」が用意されており、そのうち「大賞」は、期間内に発売されたスチルカメラの中から、最も優れたカメラに贈られるもの。ちなみにソニーのカメラは2013年にサイバーショットRX1がコンパクトカメラで大賞を受賞するというセンセーショナルな出来事から始まり、2016年にα7R II、2018年にα9、そして前回2020年度はα7R IVがカメラグランプリ2020大賞を授与されている。

“使いたくなる”先進機能の数々

――最初にカメラグランプリに参加された経緯や、どんな評価を心がけているか教えていただけますか。 阿部秀之さん(以下、阿部): 僕は1986年の第3回カメラグランプリから選考委員を務めています。カメラは飛躍的な進化をしており、選ぶときは「これまでにない最新の機能」を搭載しているかを意識しています。そして諸先輩や編集長に教えられたのが、「他のメーカーにもこれから恩恵を与える機能を持っているか」どうか。今でも、「カメラの持つ先進性」をカメラグランプリ審査の時にはいちばん重視しています。

熊切大輔さん(以下、熊切): カメラグランプリの外部選考委員をさせていただくようになったのは、日本カメラ誌の評価連載「テストレポート」を担当したことがきっかけです。評価については「テストレポート」と同じように、前モデルからどう成熟したか、新機能が一人歩きせず、使いやすくブラッシュアップされているか、といった面も気にしています。 大村祐里子さん(以下、大村): フィルムカメラが好きで中古カメラ店で働いたのですが、カメラマンのアシスタントを経て、今は商業カメラマンとして仕事をさせてもらってます。カメラグランプリは2018年度から参加しています。業務利用での目線に加えて、「夢がある」「すごいと思わせる」カメラに投票するようにしています。 ――みなさんα1に高得点を入れていますよね。ずばり、α1のどのような点を評価されたのでしょうか。特に阿部さんは持ち点すべて(10点)をα1に入れてますよね。 阿部: 何といっても、イメージセンサーを含めて、ソニーがこの何年かやってきた先進性がすべて入っているところ。全部入りでこの性能、でも全部入りだけど、麺がのびちゃっているわけではない、しっかり食べやすいっていう(笑)、まとめ方もすごいよね。最高約30コマ/秒の高速連写撮影が可能なだけではなく、α1には「操作したい」「撮りたい」と感じるものがある。先進技術の数々をソニーはうまく使えている。

阿部秀之さん

熊切: 僕は正直いうと「NEX-5」(2010年発売)を出した頃のソニーのカメラには、PC周辺機器の延長のような雰囲気を感じて期待してませんでした(笑)でもその後、どんどん進化してきましたよね。α1もそうですが、使い心地も触り心地もどちらも意識して作っている印象を受けます。最初の違和感はもうゼロです。 大村: EVFも進化してますよね。今までのフルサイズミラーレスαとは違います。見やすくなりました。手を抜いていないというか。 ――個々の機能についてはいかがですか?例えばブラックアウトフリーでの最高約30コマ/秒の高速連写とか。 熊切: これは使い勝手にダイレクトにつながります。ブラックアウトせずファインダー内を見ていられるということは、シャッターチャンスを逃しにくいということ。瞬間が見えていると繋がりが見える、前後関係が見えるわけですし、撮影ジャンルを問わず役に立つ機能でしょう。

熊切大輔さん

阿部: ずっと見られるというのは理想だよね。一眼レフではできないフルサイズミラーレスαのフラッグシップならではの利点。ハイスピードシンクロにしなくても1/400秒でフラッシュが切れるのも、今まで撮れない状況のものが撮れるのはすごいことだよ。 ――その高速性能に有効約5,010万という画素数がついてくるのですよね。 熊切: α1が出るまでのαシリーズは高解像モデル、高速モデル、高感度モデルと、各方向性で最先端のラインアップだった。それが今回1台に凝縮された。 大村: まさに自分が「通常は高解像とスピードのバランスを求めてα7Rシリーズ、暗い時はα7Sシリーズ」という使い分けをしていました。けど、α1ならそれもなくなりそうです。

大村祐里子さん
α1,FE 50mm F1.2 GM 50mm,F1.2,1/1000秒,ISO100

――「α7S III」に続いてCFexpress Type Aを採用しました。これについてはいかがですか? 阿部: CFexpressメモリーカードはエラーが出たことがないので、SDメモリーカードより信頼しています。

α1はひとつのスロットにCFexpress Type AとSDUHS-IIのどちらかを挿入できる

大村: 私も仕事で使う時、SDメモリーカードだけだと心配になる時があります。 熊切: デュアルスロットのそれぞれがCFexpressメモリーカードとSDメモリーカードのマルチスロットになっているのが面白いと思いました。

フルサイズミラーレスα初の「フラッグシップ」

――α1はフルサイズミラーレスα初のフラッグシップという位置付けになります。その辺りへの期待はどうでしょう。 阿部: フラッグシップなのに大きさと重さがシリーズの他のモデルと変わらないところがソニーらしい。これまでフラッグシップを作るならボディを大きくするのが当たり前だった。これは一眼レフの発想かもしれないね。だから、「大きさを変えずにフラッグシップに行こう」というソニーの考え方は独創的だと思う。ソニーαとしては初めてのフラッグシップだったから他社の前例は気にしていないのかもしれないけど。 大村: 私は手が小さいので、一眼レフカメラの大きなフラッグシップモデルは持てないんです。いくら性能が良くなってもαが一眼レフフラッグシップのような大きさになったら興味は一気に薄れます。 阿部: サイズを統一しているのは、動画用途を意識しているからでしょう。でもぱっと見で他のαと見た目が同じだから、「俺が持っているの“α1”なんだぜ」と周りに見せつけられない(笑) 熊切: 確かに(苦笑)、もうちょっと自己主張があってもいいかなと思いますが、謙虚ですよね。

操作系は他の現行フルサイズミラーレスαを踏襲

阿部: 2機種くらい同時に持ち歩いても、カスタムを揃えれば違和感はそれほど感じない。 大村: あと、同じ大きさのボディで動画が高機能になっています。発熱の問題をクリアして8K 30pの動画記録で30分。スチルも高性能ですし、これ1台あると本当になんでも撮れそう。 熊切: 「α1」はフラッグシップということで、よほどのことがない限り、壊れてはいけない存在になりました。例えばシャッター音がこれまでのフルサイズミラーレスαと違うのですが、これは高い堅牢性と軽量化の実現のために、カーボンファイバー製のシャッターカーテンを採用しているからだそうです。「α1」からは信頼性をこれまで以上に担保しようという姿勢は感じます。

広がるラインアップの強み

――α1からいったん離れて、ソニーのαシステム全体について思うことはありますか? 阿部: レンズラインアップに勢いを感じますね。すごい速度で出してくる。G Master、その中でも僕はFE 35mm F1.4 GMがいいね。これはいいレンズだと思います。

左がFE 35mm F1.4 GM。右は4月23日発売のFE 50mm F1.2 GM

熊切: かつてαはレンズが少ないと言われていたけど、それがあっという間に潤沢に揃った。 大村: 最近は小型のレンズにも力を入れてますよね。α7Cを買った一般ユーザーはうれしいんじゃないでしょうか。 阿部: この前、鳥を撮っていたところ、近くで女性がαにFE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSで撮っていた。望遠レンズでも意外に軽かったりして、こうやってソニーが選ばれているんだなあと思ったわけです。 大村: 「αっていいんでしょ?」と普通の人に結構聞かれます。特にα7Cについて尋ねられることが多いですね。 阿部: あと、レンズに絞りリングがあるのもいいよね。一番最初に外しそうなメーカーなのに(笑)。 熊切: 絞りリングのクリック感もいいですしね。 阿部: クリックオフにもできるところは、スチルと動画、両方の声をちゃんと聞いているからかな。プロサポートの忘年会とかでユーザーの意見をしっかり聞いて反映、自分たちが劣っているところを素直に改めていったんじゃないかな。そういった姿勢を感じるよね。 ――Cinema LineのFXシリーズも同じEマウントレンズが使えます。 大村: そのまま使えるのは本当にいいですよね。仕事でも作品でも、「このレンズだったらこう撮れる」という前提があって、それがカメラを替えてもそのまま通じるのはありがたいです。どちからかというと、「レンズでどうするか」という感じで、ボディより重要ですね。

Cinema Lineの最新モデル「FX3」。向かって右上に“α”のエンブレムが見える

――フラッグシップの「α1」を筆頭に、高解像の「α7R IV」、高感度&動画に強い「α7S III」、ベーシックモデル「α7 III」、小型・軽量なフルサイズ「α7C」と、ラインアップを広げています。 阿部: イメージセンサーを内製で作っているからこその豪華なラインアップ。例えば、他のメーカーに「α7S III」は出せないと思う。それぞれのニーズに特化したカメラが揃っている。イメージセンサーを外から買ってきていては難しいんじゃないかな。

10bit 4K 120p記録や動画記録時の高性能手ブレ補正「アクティブモード」などに対応するα7S III。フラッグシップ機であるα1はさらに10bit 8K 30pの動画記録まで対応する

大村: プロにもαユーザーが増えたのは豊富なラインアップのおかげですよね。いろんなシチュエーションにボディを変えて対応できます。コンパクトでうれしいα7Cも出ましたし。 阿部: α7Cが出せたのもソニーに余力ができた証拠だろうね。(今の時代は)こういう横に種類がたくさんあった方がいいけど、他のメーカーでは難しい。 熊切: APS-Cサイズもありますしね。 阿部: αのAPS-C機といえば、α6600やα6400の次を期待しちゃうね(笑) 一同:(苦笑) ――阿部さんは昨年ベーシックモデルのα7 IIIを買われましたよね? 阿部: コロナ禍の自粛中に時間があったので、みんなが「いいぞ、いいぞ」というαを使ってみようということで(笑)。使ってみてわかったのは、機能が十分。この価格ですごく良くできている。実用上、画素が少ないと文句をいう人もいないでしょう。これより上を望むなら色々あるわけだから、ソニーはこのクラスを大事に伸ばしていくといい。このクラスで十分αの良さは味わえるし、高いレンズの味もちゃんとわかるよね。

ベーシックモデルに位置付けられるα7 III

純正オプションなどソニー製品との連携

――先程動画の話が出ましたが、大村さんはシューティンググリップ「GP-VPT2BT」を使われているとか。あれを買おうかずっと迷ってまして(笑)…… 大村: 普段はVLOGCAM ZV-1と一緒に使っています!動画を撮る時に便利ですよ。ジンバルのように画面の揺れをしっかり止めるものではないのですが、圧倒的に持ちやすく撮りやすくなります。手元で録画ボタンを押せるのも助かってます。

大村さんが持っているのがシューティンググリップ「GP-VPT2BT」とショットガンマイクロホン「ECM-B1M」をα7Cに装着したところ。
α7C

――その外付けマイクもソニー製ですか?

大村: あるときソニー純正のショットガンマイクロホン「ECM-B1M」を使ってみたんです。大きさと手軽さを考えると、音はかなりいいですね。何よりもマルチインターフェースシューに付けるだけで接続できて電源供給もされるのが便利。 ――最近、「Xperia PRO」(スマートフォン)やドローン「Airpeak S1」など、αと連携できるソニー製品が目立ってきています。この辺りへのご意見はありますか? 阿部: 動画を撮影している人にとって、XperiaがHDMI経由で外部モニターになるのはいいよね。外部モニターを買うのは癪だもの。 大村: サイズも小さくていいですよね。外部モニターは大きくて重いし、接続がうまくいかないことがある。ソニー純正ならその辺も安心感があります。ドローンもこれからが楽しみです。

ミラーレス時代のカメラ選びとは

――一眼レフからミラーレスへと時代が移って久しいですが、カメラの評価や選び方はどう変化したのでしょうか。 熊切: 僕らにとっては出てくる画が思う通りになっているかが重要です。撮れる絵をファインダーで見ることができるようになったりと、ミラーレスになってワークフローは変わったのは確か。すでにミラーレスカメラならではの所作が生まれて、活用されていますね。

阿部: 僕は一眼レフが好きだけど、一眼レフのエントリーモデルは上位モデルとの差が激しかった。光学ファインダーをはじめ、コストがどうしても違ってくる。でもミラーレスは安い機種もしっかりしているよね。大きさも含めて、今の時代に合っているのは間違いなくミラーレスかな。 大村: 仕事でミラーレスを使い出してから、師匠に「一眼レフより写真が良くなった」といわれたんです。多分、いままで「自分でなんとかしなきゃ」と思っていたこと、例えばピントを手動で瞳に合わせるといったことを、リアルタイム瞳AFなどでカメラが自動で高精度でやってくれるようになったからだと思います。ピントに意識を向ける代わりに、表情や構図などに気を配れるようになったのは感じますね。私も一眼レフは嫌いではありませんが(笑)、そういう進化に恩恵は受けているはずです。 阿部: 昔からカメラを買うならちょっといいやつを買った方がいいと言ってます。機材のせいにして言い訳しなくなるし、被写体の見方も変わってくる。そういう、人によって違ってくる「ちょっといいカメラ」が、APS-C機を含めてソニーにはたくさんあります。その一方で、α1のような心底憧れる存在も出た。メーカーには皆が憧れるものを作って欲しい。そういう憧れのイメージの中に、先進性が含まれているのが、今のユーザーにとって大事だよね。

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