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写真家 山田芳文 氏 × α7R IV
特集:先進画質×俊敏性。新しい表現領域へ

〜脅威の高解像とAF性能で魅せる
美しい鳥の姿と物語〜

α Universe editorial team

自由に空を舞い、自然の中をたくましく生き抜く野鳥の姿を追い続けている写真家の山田芳文氏。歴代のαを使いこなしている山田氏に、α7R IVで見えてきた新たな世界、そして有効約6100万画素の高解像が生み出す表現力や描写力について語ってもらった。

山田 芳文/写真家 「100種類の鳥よりも1種類を100回」をモットーに野鳥を撮り続ける。撮った写真はカメラ雑誌や児童書、自然保護団体の会報誌などで発表。ライフワークは鳥がいる風景写真。著書に『写真は「構図」でよくなる!すぐに上達する厳選のテクニック23』(エムディエヌコーポレーション)、『野鳥撮影術』(日本カメラ社)など。

リアルタイムトラッキングで追随性が向上。
超高画質なのに高感度にも強い

――実際にα7R IVで撮影した印象や感想を聞かせてください。

まず、AFの追随性が格段に上がりましたね。正直、AFの精度自体はα7R IIIで十分だと思っていましたが、動いている被写体を追い続ける追随性能はさらに良くなったという印象です。なかでもリアルタイムトラッキングはかなり強力で、飛んでいる野鳥もピントを逃すことなく追いかけ続けてくれました。 操作面ではボタンが少し大きく、押しやすくなりました。ブラインドタッチで押すことができるので、夜明け前から待機する時もライトでボタン位置を確認することなく操作できます。さらにグリップが深くなり、握りやすくなりました。これも望遠レンズを使った長時間撮影では疲労軽減に繋がると思います。さらにタフなスタミナもα7R IVの大きな魅力です。よほどバッテリーを消耗するような撮りかたをしない限り、フル充電にしておけば余裕で1日持ちます。性能が上がっても、この持続性は頼もしいですね。 有効約6100万画素という驚異的な解像度なので、高感度撮影ではきれいに写るか心配でしたが、こちらも問題なし。高解像なのに高感度にも強いことは、鳥を撮影するユーザーによっては大きな利点になります。「シャッタースピードを上げて瞬間を写し止めたい」という人が多いので、高感度でもきれいに撮れることはかなり重要です。

風景とともに野鳥を小さく写しても
その姿を高精細に写し撮る高い解像感

――ここからは撮影した作品を見ながらお話を聞かせてください。なかでも自分らしさが出ていると思うお気に入りの作品はありますか?

α7R IV,FE 85mm F1.4 GM 85mm,F4,1/4000秒,ISO160

上のクロアジサシが飛んでいる作品ですね。私は周囲の風景とともに野鳥を撮ることをテーマとしているので、これは自分らしさが出ている作品だと思います。周囲の風景を入れ込むために、鳥をあえて小さく写すこともあります。鳥を小さく写せば写すほど、カメラやレンズのポテンシャルがダイレクトに出るというのが私の持論です。鳥までの距離が遠くなるほど空気の層が多くなり、きれいに写りにくくなりますからね。上の作品は鳥が小さく写っていますが、羽根の模様や陰影、黒のグラデーションまでとても精密に表現できています。拡大すると、高い解像感や階調の豊かさがよくわかりますね。

上の作品の右側のクロアジサシを拡大。
α7R IV,FE 85mm F1.4 GM 85mm,F4,1/4000秒,ISO320

このセグロアジサシも高い解像感がわかる1枚です。目の周りが黒い毛に覆われていても、はっきりと黒目が表現されていますし、羽根の裏やお腹の白い部分も白飛びせずに羽毛の質感がしっかりと見てとれます。

上の作品のクロアジサシの顔まわりを拡大。

もちろん、優れたAFの恩恵あってのものですが、画質の良さや白から黒へのグラデーションのなめらかさも一目瞭然です。
α7R IVで撮影した画像で6m×9mのデータをつくり、その一部分を切り取ってA3サイズで出力しましたが、問題なく鑑賞に耐えられる解像感でした。そこまで引き伸ばすには、6000万画素超えでないと難しいもの。いったいどこまで引き伸ばせるのか、実験したくなるくらいです。

一度ピントを合わせれば
どんなに動いても追随する感動のAF性能

――先ほど「リアルタイムトラッキングが強力だった」という話がありましたが、AF性能が生きた作品はありますか?

カツオドリを撮影した時はAFの実力を実感しました。下の2枚の作品は巣材をオスがメスに渡しているシーン、そして求愛シーンです。ともに同じカップルを撮影したもので、2羽の物語を感じさせる作品に仕上げることができました。

α7R IV,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 400mm,F5.6,1/2500秒,ISO400
α7R IV,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 400mm,F5.6,1/2500秒,ISO500

どちらもアイレベルから俯瞰(ふかん)で撮っているので、砂浜が背景になります。しかも足元は巣材でゴチャっとしているので、AFが背景に引っ張られやすい状況です。しかし、AFは迷うことなくメスの目にしっかりピントを合わせ、リアルタイムトラッキングでしっかり追随してくれました。

1枚目のメスのカツオドリを拡大。

求愛シーンでは、α7R IVの解像感にも驚かされました。目の周りが青くなっている右が オスで左がメスなのですが、くちばしを拡大すると、どちらも歯がノコギリのようにギザギザになっているのがわかります。エサとなる魚をくわえた時にすべり落ちるのを防ぐための形状だと思うのですが、ここまで写っている図鑑は見たことがありません。よく見ると、オスの歯は擦り切れていて、メスのほうが鋭い。

2枚目のカツオドリのくちばし部分を拡大。

これは私の想像ですが、オスは長年生きているから歯が劣化していて、メスは若いからギザギザが新しい。だから、このペアは年の差カップルなのではないかと。ここまで精緻(せいち)に解像してくれると細かい部分まで姿形を把握でき、想像力をかき立てられます。

高解像でも広いダイナミックレンジは健在。
撮影条件が悪くても攻めた撮影ができる

――今回の作品は、白飛びや黒潰れしないか不安になるような被写体、シーンが多かったように思いますが。

そうですね。なかでも一番条件が厳しかったのは下のズグロトサカゲリです。一番飛びやすい白と、二番目に飛びやすい黄色が並んでいて、その上に一番潰れやすい黒がある。しかも晴天時の順光で撮っていますからね。白が飛ばないように撮ると、黒が塗り潰したように真っ黒になりますし、黒が潰れない露出で撮ると、白と黄色が真っ白になってしまいます。しかし、この作品は白も黒もしっかり再現できていて、ヒストグラムを見てもそれが証明されている。これは「本当にすごい!」と思いました。

α7R IV,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 400mm,F5.6,1/1250秒,ISO160

α7R IIIで4240万画素だった解像度がα7R IVで 6100万画素になったと聞いた時、私の中で一番心配だったのがダイナミックレンジです。カタログのスペック上では同じ座標をキープしているとあったので安心し、使ってみて同じ最高約15ストップであることを実感しました。 ダイナミックレンジが広ければ、条件が悪いシーンでも攻めた撮影ができます。ダイナミックレンジが狭いカメラで撮ると、曇天で撮る、あるいは順光を避けるなど、撮影状況を選ばなくては白飛びや黒潰れを起こしてしまう。つまり、諦めてなくてはいけないシーンが出てきます。しかし、α7R IVならどのような状況でも撮ることができ、撮影領域が広げることができるわけです。

α7R IV,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 400mm,F8,1/1000秒,ISO400

晴天の硬い光で、白い砂浜にいるクロアジサシを撮影。しかも黒目の下には白い毛が生えている白黒のコントラストが強い非常に難しいシーン。しかし、「ダイナミックレンジが広いため白も黒も美しく再現できた」と、山田さん。

α7R IV,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 119mm,F8,1/1000秒,ISO160

こちらも白い砂浜を背景に撮影したクロアジサシ。画角が広く厳しい条件だが、ダイナミックレンジが広いため砂浜の質感から鳥のディテールまで、そのままに写し出している。望遠レンズで画面の圧縮感も理想通りに仕上げた。

高画素化したEVFで被写体を的確に捉え、
イメージ通りの画像が選べる連写を活用

――連写性能があったから捉えることができた作品はありますか?

α7R IV,FE 600mm F4 GM OSS 600mm,F5.6,1/2500秒,ISO250

3羽連なったクロツラヘラサギは連写を有効に使えました。1羽より2羽、2羽より3羽のほうが、配置のバランス、羽の広げかたなど、イメージ通りの作品が撮りにくくなるので、こういったシーンでは連写が便利です。α7R IVは最高約10コマ/秒撮影できるので、一番いいカットを選ぶことができました。しかも、6100万画素の高解像で最高約10コマ/秒切れるのは、本当にすごい。クロツラヘラサギは比較的ゆったりと飛ぶので、こういう鳥なら最高約10コマ/秒で十分です。α9では最高20コマ/秒撮れますが、約2420万画素。高精細に最高の瞬間を撮るなら、α7R IVに勝るものはありません。 連写ではEVFの高画素化も役に立ちました。1枚撮りだと分かりにくいですが、かつては鳥のように一定に動いているものを連写するとカクカクしていたような、時間差があるような感じに見えました。でも、それがなくなりましたね。私の個人的な感想ですが、光学ファインダーを技術や総合力で超えたように感じます。

圧縮効果の高さで表現の幅を広げる
「FE 600mm F4 GM OSS」の卓越した描写力

――「FE 600mm F4 GM OSS」でも撮影していますが、印象はいかがでしたか?

「G Master」レンズらしく、シャープに像を結んで、きれいにぼけてくれる高性能なレンズです。しかも軽くて取り回しもいい。数字上は「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」のほうが軽いですが、持った感覚は600mmのほうが軽く感じます。重量バランスを手前に寄せていて、カメラを構えた時に体の負担を軽減するようにつくられているようです。 「FE 600mm F4 GM OSS」 のレンズが登場して、一般的には焦点距離が長くなったことを重要視されると思いますが、私の場合は「さらに圧縮できるようになった」と考えます。焦点域が長くなったからではなく、より圧縮した描写が得られることで表現の幅が広がる、という感じ。そして、600mmが登場したら、ぜひ撮りたいと思っていたのが下の作品です。

α7R IV,FE 600mm F4 GM OSS 600mm,F8,1/500秒,ISO400

ここは私がよく撮影に行くスポットで、以前からもっと被写体と背景の距離を圧縮した作品を撮ってみたいと思っていました。屋根の上に止まっているコウノトリは、高いところから目線を合わせて撮れるのですが、「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS」で撮ると背景の建物との圧縮が足りなかった。だから、600mmが出たらまずここでこう撮ろうというビジョンがあったのです。その結果、思い通りに圧縮した作品を撮ることができました。コウノトリがいい位置に止まってくれて、2羽の鳥が脚先まで切れずに写っています。屋根には白いフンや、鳥が口から吐き出すペリットがあったので、ここはよくコウノトリが止まっている場所だと思い、完成作品をイメージして時間をかけて狙った1枚です。

α7R IV,FE 600mm F4 GM OSS 600mm,F5.6,1/1000秒,ISO200

佐賀県にある野鳥の中継地で撮影した上の作品も、圧縮効果が生きていますね。多くの種類の鳥が立ち寄ることを説明するために、あえて引いて3種類の鳥を画面に入れ込みました。右前にダイゼン、中央にチュウシャクシギ、左奥にアオアシシギと、全部で8羽の鳥が並びます。この3種類の鳥を圧縮して見せたかったので600mmで離れて撮影。ピントはダイゼンの目に合わせていますが、そこへビシッと像を結び、ぼけのグラデーションもなめらかで、レンズの良さが際立った作品に仕上げることができました。

機材の性能は撮影スキルのアシストに。
表現力を磨いてステップアップを

――カメラの進化により、多くの人が写真を簡単に、きれいに撮れるようになっていますが、今後のステップアップのために必要な要素は何だと思いますか?

私の中では、昔は10年かかっていた撮影テクニックの習得が、今は数年でできるようになっているという感覚です。それは、まさに機材の進化のおかげ。機材の進化は撮影スキルのアシストになるものです。撮影スキルが追いつけなくてもカメラの性能の恩恵を受けて、いい写真が撮れるようになっています。しかし、表現力のアシストはしてくれません。中身のある、内容のある、物語のある写真を、撮り手は考える必要があるのです。それがカメラで撮る意義にも繋がると思っています。 自分の思いや、被写体の背景にある物語など、作品で伝えるべきものを写真で表現することが、ステップアップに繋がるものです。伝えたい、という気持ちがあるからこそ、良い機材で撮りたいと思うはずですからね。 αの強みは、そんな思いを伝える表現が多彩なことです。現在、いろいろなメーカーからフルサイズミラーレス機が発売されていますが、レンズのバリエーションでいえば私の中ではα以外の選択はありません。α史上最高の画質を持つα7R IVと圧倒的な描写力を持つレンズを駆使して表現力を磨き、さらなるステップアップを目指しましょう。

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