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撮影にアイデアをもたらすAPS-C超望遠ズームレンズ
「E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS」

α Universe editorial team

井川拓也 TAKUYA IKAWA 広告カメラマン 大阪府生まれ。東京都在住。 独学で写真を学び、フリーランスのカメラマンとして、営業写真館にて人物撮影の経験を積む。 2008年、自身を代表カメラマンとして、TENOHIRAWORKS photo studioを設立。 現在は、モデル・タレント、商品や料理などの広告撮影を中心に活動。 プライベートでは、街のスナップ撮影やポートレートの作品づくりを続けている。 また、撮影アドバイザーとしてテレビやWEBメディアに出演するなど、撮影の基礎と写真の表現についての講演経験も多数あり。 著書「いちばんやさしい新しい写真&カメラの教本 人気講師が教えるよさが伝わる写真の撮り方」「今すぐ使えるかんたんmini SONY α6400 基本&応用 撮影ガイド」

スポーツや電車、飛行機などのアウトドア撮影、ペットや野生動物の撮影など、望遠レンズが欲しくなる撮影シーンは多い。被写体まで距離がある撮影ポイントからでも、捉えたい被写体をより大きく写すことができるからだ。焦点距離が長ければ長い方が遠くのものをより大きく写すことができるが、これを望むほどレンズは大きく、そして重くなる。
今回使用したAPS-C超望遠レンズであるSEL70350Gは、35mm版換算で105-525mmまでをカバーする5倍ズームレンズながらも、全長142mm、重量625グラムという小型軽量化を実現している。「望遠レンズは持ち歩くのが負担になる」というイメージを払拭するほどの取り回しの良さを感じつつ、使用するにつれて撮影時の細かい要求にまで応えてくれるレンズであることを実感した。
例えば、好きな機能を割振りできるフォーカスホールドボタンや、AFとMFを切り換えられるフォーカスモードスイッチの搭載はその良い例だ。画質についても、Gレンズならではの、ぼけと解像感の両立は、ズーム全域、画角の端々まで納得のいく描写を見せてくれる。長距離撮影時に発生しやすい解像感の低下を気にすることなく撮影に臨むことができた。
AFの速度と精度を左右するアクチュエーターにXDリニアモーターを搭載し、αシリーズの特徴とも言えるカメラボディの高速AFと連動して素早いフォーカシングを可能にし、動体撮影時のAF追随の精度がかなり高い。また、レンズ自体に光学式手ブレ補正機能を内蔵しているので、例えばα6400のような手ブレ補正機能のないカメラボディに装着しても安心して使うことができることもこのレンズの利点だ。
今回はSEL70350Gを、同じくAPS-Cフォーマットのα6600に装着し、様々な被写体にカメラを向けてみた。

超望遠と高速AFで、移り変わる
ニホンザルの表情を高速で捉える。

近づきにくい動物の撮影では望遠レンズは必須と言える。APS-Cフォーマットの利点から、35mm換算で焦点距離が約525mm相当となるこのレンズを装着して、ファインダーやモニター越しに動物を見ていると、肉眼で見るよりもずっと近くに動物を感じながら撮影することができる。撮影に集中し、ニュートラルな気持ちでファインダーを覗きつつ、二匹の猿の表情や動きに撮影したい衝動を感じシャッターボタンを半押しする。
動物にも人物撮影と同じようにその表情や動きにシャッターチャンスがあり、じっくりと被写体と向き合う為には、レンズが小型軽量であることはありがたい。その瞬間が来たとき、XDリニアモーターによる高速AFはしっかりと応えてくれ、シャッターチャンスを逃さずに撮影することができた。

α6600,E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS 525mm相当(35mm換算),F6.3,1/320秒,ISO800

歩き回るシロクマの表情をより大迫力で切り取る。
食いつきの良いAFの追随性能。

大型の動物の場合は、ぐっと寄って撮影するのも面白い。今回は動き続けるシロクマの顔のアップを連写で撮影した。長い焦点距離での撮影では被写界深度は浅くなり、動き続ける動物の顔にピントを合わせ続けるのは非常に難度が高いが、動物にも対応したリアルタイム瞳AF機能を搭載したαシリーズなら、シャッターボタンを半押しするだけで瞳にピントが合う。
シャッターボタンを半押ししながらカメラを動かすのが難しければ、フォーカスホールドボタンに瞳AFボタンをカスタマイズで設定することで、シャッターボタンを半押しすることなくシロクマの瞳にピントを合わせ続けることもできる。XDリニアモーターによる精度の高いAF追随は、カメラを動かしながらの連写でもしっかりと瞳にピントを合わせ続けてくれ、印象的な表情と毛並みを克明に捉えることができた。

α6600,E 70-350mm F4.5-F6.3 G OSS 525mm相当(35mm換算),F8,1/125秒,ISO400

レンズ内手ブレ補正とGレンズならではの描写力。
小さな被写体の新鮮な撮り方。

暗い鳥舎の中、印象的な逆光の中に佇む(たたずむ)小鳥を撮影した。遠くにいる被写体を撮る時だけではなく、このような小さな被写体をしっかりと捉えたい時にも望遠レンズは活躍する。AFが機能しにくい暗いシーンだが、飛んでいる小鳥が着地し、ちょうど良い背景に収まったタイミングに、その素早く正確なAFを実感できた。
逆光のハイライトで際立つ輪郭の毛並みはこの写真の肝だが、手ブレや解像感によっては台無しになりがちな部分だ。テレ端となる350mmでも満足のいく描写になったのは、このレンズの光学式手ブレ補正機能とGレンズならではの描写力に助けられたと言えるだろう。

α6600,E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS 525mm相当(35mm換算),F6.3,1/200秒,ISO1000

ズーム全域の高い描写性能が背中を押す、
望遠レンズならではのポートレート撮影。

ポートレートといえば、ぼけをつくりやすい大口径の単焦点レンズを使うことが多いが、望遠レンズもぼけの表現に向いている。絞りを開きF値を小さくするだけではなく、焦点距離を長くすることでも被写界深度が浅くなり、前景や背景をぼかすことができるのだ。
この写真は、絞りはF6.3ながら、焦点距離は35mm版換算で420mmという超望遠で撮影することで、手前や奥の壁面をぼけの表現とした。Gレンズならではの解像感と柔らかいぼけの描写の両立を実感できるだろう。 室内など暗いシーンの撮影では、もちろん大口径の単焦点レンズよりもシャッタースピードは遅くなるが、手ブレ補正機能を搭載したこのレンズなら、装着するボディを問わず安心して撮影に臨める。

α6600,E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS 420mm相当(35mm換算),F6.3,1/125秒,ISO800

中望遠から超望遠。5倍の広いズーム域が広げる、
長距離人物撮影の可能性。

人物撮影で望遠レンズが必要になるシーンといえば、運動会などのスポーツ、芝居やライブのステージなど、被写体に近づけないシーンだ。これらのシーンでは、被写体との距離が長くなることが多いが、同時に事前に焦点距離が決めきれないシーンでもある。被写体となる人物の自然な表情や躍動感のある動きを写したいシチュエーションではズーム域が広いことが生きる。
SEL70350Gは35mm版換算で105mmから525mmまで、5倍のズーム倍率を持つのでその自由度が高く、これまでも触れてきたように、アクチュエーターに自社開発のXDリニアモーターを採用しているので、カメラボディのAF性能を最大限発揮させ、動く被写体や暗いシーンでもピント合わせに苦労することは少ない。円形絞りを採用し、背景の丸ぼけが美しいことも特筆すべきポイントだ。
今回はポートレート撮影であるが、相手にカメラを意識させない長距離撮影のメリットを生かし、被写体の自然な表情・動きに集中して撮影した。ズーム全域での高い描写力を生かして、カメラを意識し過ぎない、自然な表情を空気感ごと構図に収めることができた。

α6600,E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS 289.5mm相当(35mm換算),F6.3,1/60秒,ISO400

夕方、走る電車を流し撮る。
レンズに搭載されたXDリニアモーターが、
AFの追随性能を最大限に発揮させる。

夕景の河川敷、走る電車を離れた場所から流し撮りした。長距離撮影とは言え望遠レンズでは被写体を画角の中に大きく捉えることになり、気を抜くと走る電車はすぐにフレームアウトしてしまう。だが、走る電車に合わせてカメラを動かすことに集中していると、ゆっくりと電車にピントを合わせている余裕はない。
ここでも、αの高速AFと追随性能に、レンズのアクチュエーターが反応する速度がものを言う。フォーカスエリアをワイドに設定し、リアルタイムトラッキングをつかって撮影すると、瞬時に電車に食らいついたピントは連写中も外れることはなかった。XDリニアモーターを採用したアクチュエーターの賜物だ。撮影者は、車体を構図の中に捉えながら動かすことに集中し、ピント合わせはカメラとレンズに任せてしまってよいのだ。
また、長距離撮影ならではの圧縮効果を生かすことで、メインの被写体となる電車と前後の風景の大きさにギャップが少なく、等倍に近い大きさで写すことができ、構図に奥行きをつくることもできた。

α6600,E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS 105mm相当(35mm換算),F8,1/50秒,ISO400

ズーム全域の高い描写性能が実現する、
望遠レンズの圧縮効果を生かした夜景撮影

風景の撮影ではダイナミックな構図をつくれる広角レンズを使用することが多いが、もちろん望遠レンズならではの風景表現もある。広角レンズに比べて望遠レンズでは、近くの被写体を意図的に写さずに風景を切り取りやすいので、意図しない遠近感を抑え、遠くの被写体を圧縮効果で大きく写すことができる。
この写真は、手前に流れる川と奥に位置するビルを一緒に構図にまとめた夜景撮影だが、広い画角では川に比べてビルが小さく写ってしまう。これを望遠レンズで切り取ることによって、対岸から望むビル群の大きさをしっかりと表現することができるのだ。性能の注目がテレ側に偏りやすい望遠レンズだが、ワイド側も重要だ。SEL70350Gはワイド側でも画角の端々までGレンズならではの高い解像感を実感できる。

α6600,E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS 105mm相当(35mm換算),F8,4秒,ISO100

焦点距離の自由度とポータビリティ。
小型軽量であることが新たな
被写体との「出会い」を生む

これまでは、出番があるかどうかわからない時に望遠レンズを持ち歩くことには抵抗があったが、小型軽量で広い焦点域をカバーするこのレンズなら、日常的にカメラバッグに入れておきやすい。
日常のスナップ撮影をしている時に、望遠ではないと撮れない構図がある。ふと見上げるときれいな月が出ている夜なども最大の焦点距離に加え、αのボディ側の全画素超解像ズームを使うことで、存在感のある大きさで写すことができる。ボディ側全画素超解像ズームを使うとAFの機能が制限されるが、そのような時はレンズ側面のフォーカスモードスイッチで手早くマニュアルフォーカスに切り替えられるので便利だ。

α6600,E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS 1050mm相当(35mm換算,全画素超解像ズーム),F8,1/640秒,ISO100

APS-Cの利点を存分に生かし、
工夫次第で撮影の可能性が広がる。

今回の撮影を通じ、SEL70350Gは、一般的に望遠レンズが必要な被写体だけでなく、風景・動物・人物・スナップなど、さまざまな被写体の撮影で活躍することがわかった。サイズのコンパクトさ、軽さ、描写力、細かな使用感など、あらゆる点で充分に期待に応えてくれるレンズである。
本文中では触れなかったが、ズームロックスイッチを搭載している点もここで言及したい。ズームレンズは自重で勝手に鏡筒が伸びてしまうことがあるが、動物園などで遠くに視線を向けて歩いている時に、視野に入らない位置にいる子どもや柵や壁などとの接触リスクを減らすことができるのだ。
SEL70350Gは望遠ズームレンズに求められる機能や性能を充分に搭載しながらも、サイズと焦点距離という、APS-Cフォーマットの長所をフルに生かしたAPS-C望遠ズームレンズの決定版と言える。特定の被写体を追いかけている方でなくても、工夫次第で被写体や撮影シーンの幅を広げることができるので、あらゆる撮影者に手に取って試してもらいたい。

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