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動物写真家 小原玲 氏×α7R III
特集:この一台で、挑む。すべてに応える。

〜α7R IIIで捉えた、シマエナガの新たな魅力〜

α Universe editorial team

動物写真家の小原玲さんは、2021年11月17日お亡くなりになりました。 小原さんのご冥福を心よりお祈りいたします。

これまでα7R IIやα9などのデジタル一眼カメラ、DSC-RX10M4などのデジタルスチルカメラで動物を撮影してきた動物写真家の小原玲氏に、α7R IIIについて語っていただきました。今回の被写体は、小原さんが大好きなシマエナガ。かわいさは人一倍、でも警戒心が強くて動きが敏捷で、被写体としてはたいへん難しい小鳥です。

小原 玲/動物写真家 1961年生まれ。群馬県立前橋高校在学中に「第3回高校生フォトグランプリ」(旺文社)のグランプリを受賞したことから写真家を志す。茨城大学人文学部卒業後、写真プロダクションを経て、フリーランスの報道写真家に。『LIFE』、『TIME』、『Newsweek』、『PARIS MATCH』、『ASIAWEEK』など世界中の雑誌で活躍する。北海道で暮らす小鳥・シマエナガの愛らしい姿を収めた写真集『シマエナガちゃん』の続編『もっとシマエナガちゃん』(講談社)が好評発売中。

――まずは、α7R IIIを使ってみた第一印象をお聞かせください。

4240万画素の描写力が素晴らしすぎて感動しました。撮ってみると、2400万画素では気づかなかった細部が見えてくるんです。シマエナガの生態に関して、新しい発見がいくつもありました。実は、試す前はちょっと不安だったんです。一般論的に画素数が上がった分、階調が破綻しないだろうかと。でも、心配は杞憂に終わりました。このカメラの階調はものすごくきれいです。とくに、ハイライトの階調が増えて表現力がとても豊かになった。色も鮮やかになった気がするし、画作りがものすごく進歩している。α7R IIから画質は数段レベルアップした感じがします。あと、高感度で撮影したときのノイズ処理も優秀でびっくりするほどきれいでした。わたしは、高感度撮影を多用しますが、ノイズがまったく気にならなかった。以前ISO12800は非常時用扱いであまり使っていませんでしたが、α7R IIIだったら普段用に使えます。高感度に関しては、いま出ているカメラで一番強いのではないでしょうか。

――では具体的に、作品を見ながら解説をお願いします。

α7R III,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 560mm + 1.4X Teleconverter,F8,1/2500秒,ISO 3200
α7R III,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS+1.4X Teleconverter,F8,1/2500秒,ISO 3200

霧氷がついた木の枝で休むシマエナガを逆光で狙いたかった。今年は暖かくて、なかなか霧氷が枝につかない。ついても、すぐ氷は溶けてしまうし、その枝にシマエナガが寄ってくれるとは限らない。シャッターチャンスはほんの一瞬だし、枝がごちゃごちゃ入り組んでいるとピントを合わせるのが難しい。簡単なようで、とても苦労するカットなんです。レンズは100‐400mmズームレンズの<FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS>。これに1.4倍のテレコンバーター<SEL14TC>をつけました。基本、カメラは手持ちで、フォーカスエリアはフレキシブルスポットのSかM。 ピントは、中央の狭いスポットにぴたりと合わせなくてはなりませんが、AFの追従速度が速いので助かりました。そして、逆光時の描写力! 逆光の美しさは、カメラの階調表現とレンズのコントラスト表現にかかっていると思いますが、両方とも完璧でした。霧氷の結晶が、シマエナガの毛についているところまで写ってる。高画素カメラだからこそ撮れた奇跡的な一枚です。

――次は、シマエナガが枝にとまって、なにかをついばんでいる写真です。

α7R III,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS+1.4X Teleconverter,F9,1/1600秒,ISO 12800
α7R III,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS+1.4X Teleconverter,F9,1/1600秒,ISO 12800

枝に残った葉に蛾の繭がついているんですね。2400万画素レベルだと、シマエナガが葉っぱを食べているように見えるけど、4240万画素だとわかるんですね。本当は、葉っぱの中の繭をついばんでいるんだって。シマエナガがなにを採食しているかって、よくわかっていないんです。生態学的にも貴重な一枚が撮れました。この写真はISO 12800で撮っていますが、ノイズがほとんど気になりません。

α7R III,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS+1.4X Teleconverter,F8,1/1000秒,ISO 1600
α7R III,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS+1.4X Teleconverter,F8,1/1000秒,ISO 1600

目の周りの毛が黄色とオレンジ色っぽくなっている感じは、今までのカメラだったら表現できませんでしたね。4240万画素の高解像度だから撮れた。毛並みのやわらかい感触まで伝わってきます。2枚目は枝にとまったシマエナガの写真を拡大したものですが、羽根のカタチや色がここまで明瞭に写ったことは今までなくて、わたしも新しい発見でした。こうしたシマエナガの生態に関する新しい情報が、カメラの性能によってもたらされるとは、感無量です。

――「10コマ/秒」の高速連写で決定的瞬間を捉えた作品もありますね。

α7R III,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS+1.4X Teleconverter,F8,1/5000秒,ISO 3200

地面に向かって急降下する瞬間。枝から離れた霧氷の結晶の粒が写っているのが判ります。動きが敏捷なシマエナガの撮影は、理想的には1/2400秒以上のシャッタースピードが必要なんですね。1/1600秒ではブレやすい。これは1/5000秒で切っていますね。当然、手ブレ補正が効いています。

α7R III,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS+1.4X Teleconverter,F8,1/800秒,ISO 3200

わたしが大好きなのが、右手(右側の羽根)を挙げているような写真。かわいいでしょ。ハーイって挨拶してるみたいで。これは、連写で狙っているときにたまたま撮れた一枚なんです。本当は、シマエナガが枝にいて30cmくらい横に飛び跳ねようとしているシーン。連写を始めたのは、両方の羽根を広げて動こうとしている瞬間で、たまたまタイミングがずれて片手を挙げているような写真になりました。

――α7R IIIだからこそ撮影できたという作品はありますか?

α7R III,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS+1.4X Teleconverter,F8,1/800秒,ISO 3200
α7R III,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS+1.4X Teleconverter,F8,1/2500秒,ISO 1600

シマエナガが水浴びしている貴重な写真で、しかもこちらをしっかり見ているんですね。これは10日間粘ってやっと一枚撮れるか撮れないかのレアなカットです。枝が邪魔になってピントどころか、シマエナガを構図に収めるのさえ困難。近寄れば撮れないことないですが、わたしが近寄ればシマエナガは逃げてしまう。微妙な距離感をキープしながら撮影しましたが、繊細な階調がしっかり表現されています。2枚目はトリミングしているのに、きれいにまとまっているカット。空の色合いも美しいし、ぼけ味もいい。4240万画素の魅力のひとつは、トリミングして使えることですね。シマエナガなど小さくて動きが早い動物は、画面いっぱいに構図を決めて撮影するのは難しい。とりあえず、小さくてもいいから中央で被写体を収めて、あとでトリミングして使うというのが王道だと思うんです。縦長の雑誌の誌面一面に使うために、横位置で撮った写真をトリミングして縦位置にするってことも多々ありますが、α7R IIIだったらまったく問題ありません。最近、動物写真の掲載でけっこう多いのが、幼児向け雑誌の見開きページでB3サイズなんです。わたしの感覚だと、2400万画素だとちょっときついけれど、4240万画素だったら余裕で美しい。このカメラの登場で、「4240万画素の解像度と連写10コマの表現力」というのが、業界の標準になっていくのではないでしょうか。そういう意味でも、α7R IIIはエポック・メイキング的なカメラだと思いましたね。

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