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写真家 魚住誠一 氏 日常の中に潜む非日常感で撮る
ポートレートの魅力 ×α7R II

魚住誠一氏が撮りおろした日常の中の非日常。どこか懐かしさを感じつつ、新鮮でもある独特の世界観で撮られたポートレートをご紹介します。

α Universe editorial team

少々ご無沙汰しておりました。写真家のウオズミです。皆さんポートレート撮影を楽しんでいらっしゃいますか?今回、久々の登場となりますのでちょっといつもと趣向を変えて、日常の風景の中で非日常感を出すポートレートについてお話をさせていただきたいと思います。

「セオリーを無視する」

僕たちのようなプロが、こうした場で写真を紹介する場合やはりスタジオ(ハウス系も含む)のような計算出来る環境で撮影した写真を紹介することが多いかと思います。ウオズミもご多聞に漏れず、こちらでお見せしている写真の殆どはスタジオで撮ったものか、屋外だとしても何度か過去に撮影したことがある、つまり計算が出来るスポットで撮ったものになります。でもこの“セオリー”はプロにとってのセオリーであって皆さんにとっては“セオリー”とは言い難いかなと思います。もしもこれが大前提となってしまったら、ポートレート撮影って撮影前から随分とハードルが高いものになってしまいますので。 そこでウオズミがちょうど今、まさにそんな日常の風景の中で撮影しつつも作品として成り立つポートレートを撮ることをしており、そうして撮った写真をご紹介しながらお話をさせてもらえたらと思いますので宜しければ暫しお付き合いください。 なお被写体はモデルさんでも女優さんでも無く、ミュージシャンです。女性3人組のガールズバンド「Chelsy(チェルシー)」でベースを担当しているSHIZUKA(シズカ)さんです。ここも或る意味、いつもの“セオリー”無視かもしれませんね(笑) ※Chelsyのオフィシャルサイトはコチラから
http://chelsy-official.com/

α7R II,Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA,F16,1/4秒

まず1枚目です。セオリーを無視するということで、無計画に街中を歩きまわり、ピン!ときた場所でおもむろに撮るというスタイルです。この写真は渋谷駅前のスクランブル交差点で撮りました。公共の場、それも人通り多い渋谷駅前スクランブルですから、通行人の邪魔になってはいけませんし、顔が写ってもいけません!ただウオズミ的にピン!ときたので撮影です。 因みに話が前後しますが、撮影の場所を日常に選んだならば被写体の衣装はホンの少し場違いなくらいがハマります。派手とか奇抜ということでは無くて、TPO違いという意味です。これについては事前にモデルになっていただく方と相談されて頑張ってみてください(笑)ここは大事です。 さて話を戻して、ここで僕が思いついたのは長秒で撮ること。F値は思い切って絞り込んでの16です。実際にやってみると効果抜群で35mmの程良いパースが、流れる通行人と相俟っていい感じで立体的に写せていると思います。なお付け加えておくと、これ手持ちで撮っています。α7R IIの手ブレ補正さすがですよ。スクランブル交差点で三脚って有り得ませんからね。

2枚目は、落書きやチラシが幾重にも貼り付けられたちょっと海外のダウンタウンの一角のような壁の前です。ここでウオズミが思いついたことは被写体を壁に溶け込ませてしまうこと。またもセオリー無視!(笑)ですけど、せっかくこんな面白い壁面を見つけたので、そちらを活かして撮ります。「ポートレートは背景をボカす!」と強く思っている方もいらっしゃるかと思いますが、ここでは逆転の発想です。ちょっとだけ気を使いたいのはレンズのチョイスです。1枚目と違ってパースがついてしまっては壁感が損なわれますのでウオズミは55mmの単焦点を選択しました。このレンズのようにキレ味のある描写をするレンズだと、なお良しです。絞って壁の落書きも明瞭に写すことで、より被写体を壁の一部のように溶け込ませて撮れますから。

α7R II,Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA,F8,1/160秒

「室内で自然光のみ」

さて場所を変えての3枚目、今度は室内で撮ったものをご紹介します。ここでもコンセプトは「日常の中の非日常感」です。ですから室内とは言ってもスタジオでは無く、普通のビジネスホテルの一室で、なおかつ窓から差し込む自然光のみで撮りました。皆さんもイメージ出来るかと思いますが、日中の室内は窓から差し込む外光と室内の暗さで輝度差が激しい環境です。そこでウオズミが思いついたのが、いっそこの輝度差をそのまま利用して、明暗のコントラストで立体感を出しつつ構図そのものにシャドー部を意図的に取り込んで印象的に写すことです。スタジオ撮影などでは、多灯フラッシュを駆使して人工的に作り出すこともありますが、ここでは光源は差し込む自然光のみです。というわけで、ハッキリと構図の中に明暗を左右で分けれるくらい入れ込んだ構図で撮ってみました。如何でしょう?

α7R II,Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA,F1.8,1/125秒

さらに室内で撮ったものを続けてご紹介します。衣装を変えてもらって同じコンセプトで撮影したものです。レンズはSEL50F14Z、ISO800で撮りましたが、もう100とか200とかの低感度に拘る必要は全くありませんね。綺麗です。 スタジオで作り上げるライティングも好きですが、こうして日常の空間だからこそ醸し出せる雰囲気も素敵だと思いませんか? というわけで窓から差し込む何でもない自然光でも、上手く利用すればドラマチックな表現の強力な武器になることをご紹介しました。これは是非試してみてください。

α7R II,Planar T* FE 50mm F1.4 ZA,F1.4,1/125秒
α7R II,Planar T* FE 50mm F1.4 ZA,F1.4,1/125秒

そしてご紹介する最後の1枚は屋外になります。すっかり日も暮れた街角で、街路灯の光だけで撮った1枚です。コンセプトは先ほどの室内と同じで、窓から差し込む自然光を今度は街灯で賄いました。 さて如何でしたでしょうか?日常の中で非日常感を出して撮る。面白いですよ!是非お試しあれ。 因みに実際にやってみてウオズミが実感したこと。カメラがコンパクトで機動力あるってことは本当に素敵なこと(笑)それから今回撮影に使った3本の単焦点レンズの描写がウオズミ流に言うと“艶”があって、どれも撮影意欲を高めてくれたこと。 それではまたこの場所で。ウオズミでした。

α7R II,Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA,F1.4,1/125秒

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