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多くの武器を持ち合わせる
ミラーレスの革命児「α9」
に迫る 写真家 小橋城 氏

〜20コマ/秒、ブラックアウトフリーの
高速連写を携えて〜

α Universe editorial team

プロスポーツ領域の第一線で活躍する写真家・小橋城氏がミラーレスモデルα9を手にスポーツ撮影に挑戦。実際に撮影していただいた感想やその背景についてお話を伺った。

小橋 城/写真家 1974年生まれ、東京都出身。写真家でもある父の背中を見て育つ。日本写真芸術専門学校卒業後、一般社団法人日本スポーツプレス協会会長でもある水谷章人氏に最後の弟子として師事する。スキーを中心に各種スポーツを撮影し、雑誌、広告などで作品を発表している。また、2014年、自身初の写真集『FACE』(桜花出版)を出版。

ミラーレスに革命を起こす
「一眼レフと戦える」モデルが登場

――小橋さんは普段一眼レフを使用されているそうですが、ミラーレスを使われなかった理由を教えていただけますか? 僕はずっと一眼レフを使っていたので、ミラーレスのモニターファインダーにとても違和感があったんです。一眼レフのOVF(光学式ファインダー)と違って、ミラーレスはEVF(電子式ビューファインダー)ですから。以前までのEVFは、横に振ると後から映像が残像としてついてくることが多かったんです。映像が後からついてくるなんて、スポーツ撮影では致命的ですからね。 最初に手にした時から、僕の中でのEVFの概念が変わりました。横に振ってもしっかり映像がついてくるし、かなり見やすかったので。過去ミラーレスのファインダーに対して抱いていた不満が払拭されていて、ソニーの「本気」が見えた感じがしましたね。

――ミラーレスで感じていたストレスは無くなった、ということですか? 「これなら撮れる」という自信が持てるモデルに仕上がった、という言う方が正しいかもしれません。「すごい!撮れるじゃん!」という印象になりましたから。とうとうこの領域まで来た、戦える武器になった、という感じです。 僕はいままで一眼レフのOVFとミラーレスのEVFはまったく別物だと考えていて、比較する対象ではありませんでした。でも、α9に関しては違います! 「革命を起こすんじゃないか?」って言っていましたけど、EVFの性能も含めて、実際に高評価を得ていますよね。素晴らしい機種が登場したな、と思っています。

ブラックアウトによる不安も解消。
選択肢の幅を広げる20コマ/秒の高速連写

α9,FE70-200mm F2.8 GM OSS 138mm,F4,1/2000秒,ISO-400
α9,FE70-200mm F2.8 GM OSS 173mm,F4,1/3200秒,ISO-400

――スポーツ撮影では連写が強い武器になると思うのですが、その性能はいかがでしたか? α9は20コマ/秒の連写が可能ですが、これって僕たちの今までの感覚だとあり得ないというか、異次元の世界に突入した、という感じ。スポーツ撮影をするカメラマンは、基本的にシャッターは撮りたいところで押してるんですよ。なので、連写ありきではないのですが、連写をすることによって押さえられた決定的瞬間のコマが増えれば、それだけセレクトの選択肢が増えるんですよね。 例えばテニスのサーブの瞬間。おそらくサーブを打つ準備段階から撮り始めたと思うんですけど、撮影できるコマ数が多ければボールの上がり具合の選択肢が増えるじゃないですか。ゴルフも同じで、ボールの位置や、バンカーの砂の飛び具合に選択の幅が増える。もちろん、秒間20コマも撮れなくてもベストショットを狙うことはできます。プロですから。そして、あくまで主役はプレーヤーで、ボールと砂は完全に脇役です。でも、連写のコマ数が増えることで、脇役たちの選択肢が増える。数あるバリエーションの中から選べる、どれがベストか迷える。そういう部分での貢献度は大きいと思います。

α9,FE70-200mm F2.8 GM OSS 198mm,F5.6,1/2000秒,ISO-400
α9,FE70-200mm F2.8 GM OSS 200mm,F2.8,1/1000秒,ISO-3200

――スキーやフィギュアスケートなど、動きが読みづらいシーンでの連写性能はいかがでしたか? スキーやフィギュアスケートは、こちらに迫ってきたり、逃げて行ったり、立体的な動きをするんですよね。通常、一眼レフでずっと連写することはないんですが、スキーの場合は分解写真のリクエストがあったりするんですよ。「S字のコースを滑ってくるところを2ターン分撮影しましょうとなった時、14コマ/秒でも正直かなり撮れます。でも、後半からちょっと逃しているような錯覚に陥ることがあって。 一眼レフだとシャッターを切るとミラーが上がってファインダーの表示がブラックアウトしますよね。コマ速の多い連写の場合はそれが連続して起こるので、フレーミングまではできてもピントがきているかどうかまではファインダー上では確認しにくくなります。シャッターの切りはじめはさすがにピントは合っていると確信は持てても、後半になってくるとピントは果たして本当に合っているか、と不安になってくるんです。でもα9はブラックアウトフリーなので、ずっとピントの具合まで見えている。そこは「すごいな」と思いました。 一眼レフで長く連写をすると、後で画像を確認して「(シャッター後半のカットも)ピントが合ってた。良かった」という感覚でした。それだけ不安が大きいんです。でもα9はずっと見ていられるから撮影しながらも「撮れてるだろう」という安心感がありますね。 スポーツ撮影で考えられるいろいろなシーンを想定すると、20コマ/秒の連写もブラックアウトフリーも強力な武器になることは間違いありません。

デュアルスロット&UHS-Ⅱ対応で連写時のストレスもメディア交換の手間もなくなった。

――連写時の書き込み速度にストレスはありませんでしたか? α9はUHS-Ⅱ対応なので、今回の作品撮りではソニーのUHS-Ⅱ対応SDカード「SF-G」を使いました。連写時は書き込みスピードが遅いと連写が止まりかなりのストレスになりますが、このカードならバッファ開放時間も短く、すぐに次の連写ができました。瞬間を逃せないプロスポーツの撮影では、非常に頼りになるカードです。 いくらカメラが高速連写に対応していても、書き込み速度の遅いカードでは撮り逃しが発生するなど、UHS-Ⅱのカメラの良さを楽しめなくなってしまう。α9の性能を最大限に発揮させるためにも、なくてはならない存在ですね。

UHS-II対応。高速連写や大容量データの転送に適したメモリーカード(Class10) SF-Gシリーズ

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――デュアルスロットに関してはいかがですか? スポーツの現場で撮影していると、メディアを交換する時間さえももったいないと思うんです。大容量のメモリーを入れておけばいいのかもしれませんが、僕の場合は32GBを2枚入れるのがスタンダード。何かあったときのリスクを軽減するための対策ですね。撮影枚数が多くなるようなスポーツではあらかじめ2枚入れておきたいので、デュアルスロットになって助かっています。 メディアが大容量でないと、どこかのタイミングで「あと100枚しかとれない撮れない」となりますよね。そんな時も「急いで交換しなきゃ!」ではなく「今のうちに切り替えておこう」と心の余裕もできますから。デュアルスロットの採用でより快適に撮影ができるようになったといえますね。 もちろん、スロット1は本番、スロット2はバックアップと、人によって使い方はさまざまだと思いますが、僕は交換の手間が省けるところにメリットを感じています。

ピントが1度外れてもすぐに戻ってくる。
連写時の高精度なAF追随も魅力

α9,FE70-200mm F2.8 GM OSS 200mm,F5.6,1/2500秒,ISO-200

――連写時のAFについてはどのような感想をお持ちですか? しっかり追尾している感覚でした。連写中に途中1度でもピントの位置が外れてしまうと、追随すべき被写体にピントが戻ってこない機種はたくさんあります。でもα9は連写中にピントが外れてもちゃんと戻ってくるんです。それは最高60回/秒でリアルタイムに計算しているという高速演算処理の成せる業だと思います。 例えばスキーのスラローム競技を撮る場合、選手が上から滑り降りてくるので、旗門に隠れてしまう瞬間があるんです。そうすると間違いなくピント位置が引っ張られて、選手ではなく旗門にピントを合わせてしまうんです。でも、α9は2、3コマくらいですぐに戻ってきました。今までは無理だったんですよね。1度外すと戻すことができずに、カメラが焦点を合わせようとギコギコと迷ってしまって。 別にピントが外れてもいいんですよ。2、3コマ目で戻ってくるのであれば、そこから追尾できますから。でも、戻ってこないと追っている意味がまったくなくなってしまう。ここには大きな差があります。だから、この部分は開発の段階で強くリクエストしたところです。実際に撮影してみて満足のいくものに仕上がったな、と実感しています。

693点像面位相差AFが未知なる世界の扉を開く

α9,FE70-200mm F2.8 GM OSS 249mm,F4,1/1000秒,ISO-3200

――AFのエリアが広くなったことで、スポーツ撮影ではどのようなメリットがありますか? スポーツに限ったことではないかもしれませんが、メリットは、画面の隅にピントを置くことができること。α9はAFの画面カバー率93%、693点の像面位相差検出AFセンサーを配置しているので、画面の隅の方でもしっかピントを合わせてくれます。 ですからこの作品のように、一定のコースを通るようなスケートのトラック種目やモーターレースでは思い切った大胆な構図が可能です。今までは四隅にAFポイントが無かったので、置きピンで撮るしかなかったんですよ。それでもいいのかもしれませんが、あまりにリスクが高い。しかも、この作品はバックが白いでしょ? ピントを置くところがないんです。さらに室内だから高感度だし、開放に近い状態で撮るとピントがシビアになるじゃないですか。さらに目にピントを合わせるとなると相当シビアなので、ちょっと自信ない。となると、広範囲をカバーするAFが頼りになるわけです。

α9,FE70-200mm F2.8 GM OSS 198mm,F5.6,1/1250秒,ISO-400

――このAFエリアの広さは、ハイアマチュアのユーザーにも役に立つところですか? 僕は写真教室の講師もしているんですけど、ハイアマチュアの方でも四隅に主題というかピントを持ってくるような大胆さを、感覚的に持ち合わせていない方も多いんです。だから、自分にない感覚を養うためにも、思い切った構図づくりに挑戦して、とよく言っているんです。この四隅のAFを多用できるようになれば、いつもと違った構図の作品が撮れて、コンテストに入選する可能性も出てくるのではないかと思うんですけどね(笑)。 ちょっと考え方を変えるだけで、今までと違った自分に出会えるものです。「こういう写真が撮れたから、次は違う場面でもやってみよう」と創作意欲が湧いたり、「気づき」につながったり。AFポイントが693点あるα9で撮影すれば、構図づくりの未知なる世界が広がるわけですよ。今まで持っていた固定概念を打ち破ることができるんです。 それが、未知の世界の扉を開くきっかけになりますから、僕たちプロカメラマンももっと四隅のポイントを意識して、多用しないといけないのかもしれませんね。

スポーツだけでなく他の分野でも武器になる
サイレントシャッター

α9,FE70-200mm F2.8 GM OSS 198mm,F3.5,1/5000秒,ISO-1600

――プロの領域でのスポーツ撮影で「これがあると便利」という機能はありますか? プロスポーツの世界では、選手の集中力を乱すような行為は御法度です。そこで役立つのが「サイレントシャッター」です。例えば、アーチェリーの試合。アーチェリーの弓にはロックの装置が付いていて、矢を射る前にそれを解除するんです。そうすると「カチッという音がして、それが「これから撃ちます」という合図になる。だから、「カチッ」って音が聞こえるとシャッターを切り始めるカメラマンもいる、と選手から聞きました。そして、それがとても気になるとも。そう考えるとサイレントシャッターは選手のためにも、カメラマンのためにもうれしい機能といえますね。 アーチェリーだけでなく、ゴルフも同様です。テイクバックまでは「Quiet(お静かに)となるので。一応、クラブを振り下ろすところからは撮ってもいいことになっていますが、ここでシャッターを切ると選手はやっぱり気にするじゃないですか。でもサイレントシャッターなら安心です。「静かにしてください」と言われるような競技に関しては、どれも気にせず撮れるようになりました。 この機能は一般ユーザーにも便利だと思います。例えば、音楽の演奏会とかお遊戯会とか。今までだったら音がしないように詰め物をするなどの防音対策が必要でしたが、サイレントシャッターがあればその必要はありません。ピアノやオーケストラの撮影をメインとするフォトグラファーにも、サイレントシャッターは役立つでしょう。

――インタビュー撮影でも、シャッター音を嫌う方がいますよね。 そうですね。ムービーとスチール同時に撮影をする時には便利です。プロの選手にインタビューする時は、先にムービー、後でスチールと分けられることが多いんです。ムービーと一緒だと、やっぱりシャッター音を嫌がられるので。でもムービーの時間にいい表情を見せたりするんですよね。そんな時にもサイレントシャッターは武器になります。音を気にせずどんどん撮れますから。 「音がしない」ということは「撮っているかどうかわからない」ということ。だから、スポーツに限らず、クラシックの演奏会やポートレート撮影など、他の分野でもメリットになる可能性は大きいと思いますよ。

――いろいろな面で「可能性を広げるカメラ と感じたわけですね。 サイレントシャッターもそうですが、そのほかにも20コマ/秒ブラックアウトフリーの高速連写やAFエリアの広さなど、どれも今まで撮れなかったものが撮れるようになったという実感があります。そういう意味でもα9はすべてのカメラマンをワクワクさせるカメラだと言えますね。 撮影の可能性が広がったことで、気づかされた点もたくさんありました。僕はα9を手にして、新たな次元を体感したような気がします。みなさんもα9で撮影すれば、きっと「気づき」や「感動」に出合えるはずなので、ぜひ手にとって撮影してみてほしいと思います。

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