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包み込む光をとらえるα99 IIとSAL24F20Z /SAL85F14Zで
描く女性の「素」の美しさ

〜前編:α99 II+Aマウントレンズで挑む屋外ロケ撮影〜
フォトグラファー 尾形正茂氏

α Universe editorial team

雑誌や写真集のグラビア撮影、CD・DVDのジャケット撮影を手がける尾形正茂氏。男女問わず、被写体の魅力を最大限に引き出す尾形氏は、AマウントレンズもEマウントレンズも使いこなす“α使い”としても知られている。その尾形氏のテクニックに、α99 IIとα7R IIの撮影レポートで迫ります。前編は、千葉県笹川湖でのポートレートをα99 IIで撮影。やわらかな女性を映し出す、その秘密とは。

尾形正茂/フォトグラファー 1964年6月4日、東京都入谷生まれ。高校卒業後、東京写真専門学校に入学し、在学中に小松敬典氏に師事。卒業の年、集英社「青年写真大賞」準グランプリを受賞し、集英社と専属契約を交わす。その後、フリーランスに。現在、写真事務所SHERPA+代表。最近の印象に残った仕事のひとつは、某雑誌の表紙を飾った木村拓哉さんの撮影とのこと。
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【staff】 Photo 尾形正茂(SHERPA+) Model 穂奈美 Hair makes 木下龍珠

光と女性の自然な存在感
その一瞬を描写する

α99 II,SAL24F20Z 24mm,F2,1/1000秒,ISO-100

――まずは今回の撮影コンセプトについて教えてください。
今回はプロのモデルさんではなく、友人の同級生の娘さんにモデルになってもらいました。作品を作るうえで、ビジュアルをどういう風にしていくかと考えた時に、笹川湖というちょっとおもしろい場所があるので、そこで撮ろうと。そして女性それぞれに備わっている、自然な美しさというか、母性みたいなやわらかな魅力を引き出せればいいな、と思いまして。うら若き女性に“母性”なんていってしまうと引かれてしまうかもしれませんが(笑)、やさしさのなかに芯のある、女性の素の部分を映し出したかった、ということですね。

――この撮影でAマウントレンズを選んだ理由は?
Aマウントのレンズは、女性ポートレートなどやわらかい雰囲気を出すのに効果的だと思っています。絞りも開放のみ。今回は作品イメージとして、逆光でハレーションによる周辺光量落ちを意図して入れようと思いました。この表現を好まれる方も多いのではないでしょうか。Aマウントのレンズ、とくに今回使ったツァイスレンズはハレーションが起きても全体が白っちゃけずに黒が締まるのでチョイスしました。

α99 II,SAL24F20Z 24mm,F2,1/1000秒,ISO-100

例えばこの1枚は24mm(SAL24F20Z)で撮影していますが、ちょうど顔のところにハレーションがきています。こういう写真の場合、ハレーションの位置で作品の印象がガラッと変わってきます。カメラを1mm振るだけでハレーションの位置が変わるので、三脚を使うことはありません。手持ちでその一瞬を狙っていく、という感じです。

――AマウントとEマウントのレンズにおいて、描写の違いはお感じになりますか?
Eマウントレンズでももちろん同様の写真は撮れますが、ベースがパキっとした感じになるといいますか。使っている印象でいうと、シャープでかたい感じがします。人物にハレーション、と考えるとトーンがやわらかいAマウントレンズの方が光に包まれている感じを表現できるように思います。Aマウントレンズの“味”といいますか、作品に彩りを与えてくれると思いますね。一方で建築物などを広角で撮影した場合のハレーションやゴーストはEマウントレンズがマッチする印象です。

――ハレーションが起きると、作品全体の締まりがなくなるというかぼやけた感じになってしまう、ということはありませんか?
そこを解決してくれるのもAマウントレンズなんです。ハレーションが起きても、全体として暗部の締まりが残るんですよね。この作品も顔の部分にハレーションが起きていますが、背後の森は締まっています。この締まりがなければ、ハレーションを活かすことはできないというか、作品として成立しなくなってしまいます。ハレーションを活かした作品でも、顔の表情を、4240万画素の解像力で表現できるのがα99 IIの魅力だと思います。

――ハレーションの効果を作品に取り入れるとき、ファインダーで確認することは可能なのでしょうか?
ファインダーでハレーションの画を確認できるか、というとOVF(光学式ファインダー)では無理ですね。強い光で真っ白に見えてしまいます。その点、EVF(電子式ビューファインダー)の場合は、手持ちで動きながらなのでハレーションの位置を厳密に確認してから毎度シャッターを切っているわけではありませんが、見ることはできますし、また、逆光の中、ピントの確認もしやすいのが大変なアドバンテージだと思っています。あと、OVFだと目への影響が怖いですよね。太陽を直視してしまうようなものですから。その点でもEVFのアドバンテージは高いと感じています。

α99 IIの高い描写性能と
プラナー85mmレンズで描く珠玉の一枚

α99 II,SAL85F14Z 85mm,F1.4,1/1600秒,ISO-100

――こちらの作品は、また違った印象ですね。
ボートの上から85mm(SAL85F14Z)開放で撮影しています。風を感じてほしい作品ですね。モデルさんもこちらも、お互いがボートの上で揺れている状況なのは変わりません。だからこそ、AF精度の高さが重要。α99 IIの高速AFシステム(ハイブリッド位相差検出AFシステム)のおかげで被写体を素早く正確に捉えてくれるので安心でしたね。ボディ内手ブレ補正(光学式5軸ボディ内手ブレ補正機構)も、焦点距離が長くなるほど起こりやすい角度ブレを補正してくれますし。85mm開放というわずかなピント面のズレも許されない状況下で、ボート上のモデルをボート上から撮れる、というのは、かなりすごいことなんだと思っています。この場面の光は、逆光というよりはトップライトに近い。髪の光のあたり方、きらめきが気に入ってます。また、ボケ描写が素敵ですよね。瞳のピント面から、右肩にかけてボケ始めていて、背景の木々は完全にボケているけどそのぼけ味がふんわりと優しいですよね。このプラナー85mmは、ただカリカリなだけのレンズとはそこが違うところ。ヤシコン(コンタックス/ヤシカ)の時代から僕も使ってたんですけど、ぼけ描写のバランスがすごくいいところがずっと気に入っていて使ってます。やっぱりポートレートで名玉と言われているのを、なるほどなぁと今回も感じました。

――連写や顔認識機能は利用していますか?
今回、連写はしませんでした。あくまでも1コマ撮りです。鳥を600mm望遠で追いかけるわけではないので、撮る方はさほど大変ではないですが、モデルさんが大変だったと思います。揺れるボートの上に立たされて、初めての撮影なのになんで湖? と思ったかもしれません(笑)。顔認識機能は、拡張フレキシブルスポットと重ねて使うようにしています。構図を先に決め、フレキシブルスポットの位置を合わせておいて、顔認識が認識しなかったときはフレキシブルスポットを優先して撮影する、というイメージです。機能を組み合わせることが、シャッターチャンスを逃さないことにつながると思います。

ボートの揺れを感じさせない
AF精度と手ブレ補正機構

――ボートに乗りながらの撮影はとても興味深いです。モデルとカメラマンとの距離感はもちろん、足場が不安定ななかでの作品作りはいかがでしたか?
ボートという狭い場所での撮影でしたが、息づかいを感じられるぐらいの距離感でモデルと撮影者の一体感が生まれて、よい作品が撮れました。「ボートから落ちるんじゃないか」という恐怖も共有できますから、より連帯感が出ますよね(笑)。なお、撮影したカットをモデルさんに見てもらうときは、Capture One ProのCapture Pilotを利用しました。

ノートPCを背中に背負って、有線で撮影データをPCに保存。そこからWi-Fiを経由してタブレットに表示し、モデルさんにもどう撮られているか確認してもらいながら進めました。ちなみに、PCからタブレットに画像が転送されて保存されると思うかもしれませんが、タブレットがWi-FiでPCにアクセスして画像を表示しているだけなので、画像が表示されるまでのもたつきもなくて本当に便利ですよ。ロケ撮影が好きな写真ファンに真似してもらえるとうれしいですね。

屋外ロケ、しかも湖上という状況での尾形氏の撮影。やわらかな雰囲気、ハレーションを取り入れた表現を活かすために選んだのは、Aマウントレンズだった。後編は、趣を変えてスタジオでの撮影に密着する。そこでセレクトするのはα7R II。どのような世界観が描かれるのか、乞うご期待。

※ボートには人数分の救命胴衣が積まれています。救命胴衣はボートをとめて撮影する時だけ特別に外しています。

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