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クリエイターの珠玉の映像表現や想いを、ご自宅へ。 新しいコンセプトのオンラインギャラリー
「Creative Gallery on BRAVIA」開設
オープニング展は川内 倫子氏

α Universe editorial team

ソニーは、Android TV機能搭載テレビ ブラビア(BRAVIA)で、プロ写真家・映像クリエイターの作品をインターネットで視聴いただけるオンラインギャラリー「Creative Gallery on BRAVIA」を2021年2月18日(木)15時から新たに開設いたします。
一般的な写真展と異なり、ご自宅で、ブラビアならではの大画面・高精細な表現力で時間を気にせずお楽しみいただけます。さらに、音声(BGM)を交えた写真や映像作品など、多種多様な表現が可能。作家の趣向をこらした表現や、想いも含めて、ご自宅のリビングに感動をお届けします。※ネットワークに接続されたAndroid TV 機能搭載のブラビアをお持ちの方であれば閲覧無料。
記念すべきオープニング展は、第27回木村伊兵衛写真賞の受賞者でもある、写真家の川内倫子氏。彼女のデビュー作でもある『うたたね』『花火』から最新作の『as it is』に至るまでのセレクト作品と、今企画のために「α7S III」で撮り下ろした映像作品が展示されます。写真集や展覧会が作品の主な発表場所である写真家にとって、BRAVIAでの展示がもたらす新たな可能性とは?映像制作への思いや、自身の表現についてお聞きしました。

1972年、滋賀県に生まれる。2002年『うたたね』『花火』(01年、リトルモア)の2冊で第27回木村伊兵衛写真賞を受賞。著作は他に『AILA』(04年、フォイル)、『the eyes, the ears,』『Cui Cui』(共に05年、フォイル)、『Illuminance』(11年、フォイル)、『あめつち』を(13年、青幻舎)、『Halo』(17年、HeHe)。09年にICP(International Center of Photography)主催の第25回インフィニティ賞芸術部門受賞、13年に平成24年度(第63回)芸術選奨文部科学新人賞、第29回写真の町東川賞国内作家賞を受賞。
国内外で多数の個展・グループ展を開催。2020年にはグループ展「古典×現代2020 時空を超えるアート」国立新美術館に参加。近刊に写真集『as it is』(torch press)とエッセイ集『そんなふう』(ナナロク社)がある。 www.rinkokawauchi.com

一歩ずつ外に出ていく
広がり、そして原点に戻った写真集の軌跡

今まで『うたたね』(2001年)から、『花火』『花子』(同2001年)、『AILA』(2004年)、『Cui Cui』(2005年)、『Halo』(2017年)などの写真集を発表してきました。 どれもが不可欠で、1つの作品は、その1つ前がなかったら決して制作できなかった。その流れは、少しずつ外に出ていくという感覚に近いものです。

『うたたね』より

デビュー作『うたたね』の表紙は、スプーンで持ったタピオカ。
そこに写る手は、私の手です。どうしてその1枚に決めたのかというと、カメラを覗き込む私とスプーンを持つ手、その距離感が「うたたね」という写真集の象徴になると思ったからです。半径1mほどの距離感の中で見えたものを撮っていた私にとって、その世界がその時の全てだった。だから逆に、それ以外のことを作品として撮ることはできませんでした。 たとえば身近な友達をモデルとして撮ったこともありましたが、作品集としてまとめる時には自分ではない人を入れることはできないと思いました。ある日そのことに気づいて、全部省くことに。当時の自分が見えている距離感というのは、表紙のタピオカの距離感だったのです。私は作品集としては個人的であればあるほどいいと当時思っていたので、自分らしさという意味では今はこの世界観だなと。1番最初の作品集はそうして完成しました。

(『AILA』より)

でもそこから1歩出ると、社会がある。その社会は自分以外の生きものだと思い、人間よりも先に、動物を収めた『AILA』(2004年)を作りました。人間以外の生きものが世界中で、毎日生まれたり死んだりしている。それを実感するための1冊でした。
そしてその後の社会は、家族。自分にとって一番身近な人間は家族だったので、家族を記録した『Cui Cui』(2005年)を出しました。本当に一歩ずつ進んできたのです。そのようにしてどんどんと社会は広がっていき、『Halo』(2017年)では自分の中の宇宙のようなところに行きついて、とても遠くにいった気がしました。

『as it is』より

遠いところから一周して再び日常にかえってきたのは、出産で経験したものでした。自身が出産をしたことによって、生命の神秘のようなものを実感として得ることができ、その実体験がそのまま『as it is』(2020年)という作品になりました。なぜ自分がここにいるのか、なぜ生きているのかというところから出発した道のりは、自分自身が命を授かったことで一巡したのだと思います。

撮る行為が意味するもの
被写体とカメラの関係

写真をはじめた頃は、できるだけ色々なカメラに触れていました。その中で馴染む機材が見つかったものの、自分の特色を探したいと思うように。そこで、当時一般的ではなかった6×6のローライフレックスを使うことにしました。 二眼レフのローライフレックスは、頭を垂れながら撮影する形になる。それがなんとなく自分の中でしっくりきたのです。カメラは構えるとどうしても強く向かっている感じがありますが、ローライだと被写体が固まらず、身構えないという良さがある。自分がアノニマスになれるというか、良い意味で存在感を消すことができました。そうした特色を見つけていくにつけ、自分に合っているなと感じてメインの機材として一時期ずっと使っていました。

『Halo』より

もちろん違うカメラを使うこともありました。『Halo』は全点デジタルです。祭りの様子など暗い場所での被写体が多く、ローライでは撮れない光があったのでデジタルになりました。それは、私自身のこだわりではありません。使うカメラは、被写体が自然と選んだのです。

『あめつち』より

『あめつち』(2014年)では、持っているカメラの全機種を試した結果、4×5の大判カメラで撮影することに。撮影するには大変なカメラですが、大変なものの方が良かった。4×5は1つでも作業を間違えると写らないので、1つずつの作業が儀式のようでした。どこか些細な部分でも誤ると形にならないというのは、神聖さに近づいていくような感覚があって、1つ作業が終わるごとに気持ちが静かになっていきました。最後にシャッターを押す瞬間、被写体と向き合っているという感覚が実感としてありました。簡単に撮って終わらない。それがそのときの自分にとっては大事なことなのでした。 子どもを撮影する時は、どうしてもデジタルが多くなります。動きが予測できない被写体なので、ローライでは間に合わないときがある。家事と子育て、仕事を並行しながらローライ でフィルムを巻き上げて撮影するのは時間のロスになります。それよりも、今泣いている瞬間をそのまますぐに収めたい。それもまた、被写体がカメラを選択させたということなのかもしれません。

『as it is』より

誰でも写真を撮れる時代に
「作品をつくる」とは

誰でも、綺麗な写真1枚であれば簡単に撮れてしまう時代です。なんとなく撮った綺麗な写真。それは1枚の写真ですが、自分の場合は作品制作は一枚では完結できません。 作品化するというのは、自分の中で編んでいくこと。複数枚の写真が合わさった時に見える全体像は、作品をつくる醍醐味です。 私は1枚の写真は1つの細胞のようなものだと思っています。細胞それぞれに役割があって、それらが組み合わさることによって何か別の像が見えてくる。 たとえば『うたたね』のタピオカの写真や『Illuminance』(2011年)の表紙の写真は、核となる重要な細胞ですが、脇役たちもとても大事。身体がたった1つの細胞で完結しないように、作品も1枚では成立しない。作品をつくるには、構成がとても大事になってくるのです。

『Illuminance』より

「編む」という行為は、写真集だとよりパーソナルに行えます。その場所に行かなくとも、写真集に出会った瞬間に世界に入ることができる。展示は展示で違う良さがありますが、私が写真を始めた頃は写真のギャラリーも少なく、作品を発表する手段としては写真集が最も自分の世界観を見せやすいものでした。写真展は実際にその場所に足を運ぶ必要があるので、ある種限定的になってしまう。写真集を発表の媒体としたことによって、海外の方にも多く知っていただけたのだと感じています。

川内倫子と映像作品
4Kブラビアが持つ発表の可能性

カメラが素材によって選ばれるのと同様、この被写体は映像の方が合っていると思うことも多くなりました。たとえば、『Halo』の中国のお祭り。鉄くずを溶かして壁にぶつける様子を捉えたものですが、そのスパークがスチルだと花火のように見える。でも映像にすると、鉄くずを撒(ま)いているというのが確かにわかるんです。 このように自分の生の感覚をより伝えやすくするためには、映像が手助けになることがあります。その場所で体験したことをそのままシェアしたいと思った時には、スチルに加えて映像作品も発表するようになりました。

今回の展示に合わせてソニー α7S IIIで撮影した写真

今回、ソニーの「α7S III」を使って映像を撮りましたが、大袈裟ではなく今までの自分の映像ライフが変わったという実感がありました。良い意味でショッキングな。 ピントの合わせ方がとにかく楽で、ストレスが少ない。
ずっと周囲の写真家や映像関係の方たちが映像はソニーがいいと言ってくれていたのですが、その意味がやっと分かりました。「α7S III」によって、いままであった垣根のようなものが低くなって、今後さらに映像作品を作る機会が増えそうです。 展示などで自分の作品をモニターで見せることはもちろんありましたが、ブラビアという媒体を使ってそれぞれのご自宅で作品を見ていただく経験は初めて。 どこまで作品が広まっていくのかは未知数ですが、自分の中で1つ発表の場が増えるということは新しい時代の到来を感じさせますね。オーソドックスな写真集に、紙とは見え方が変わる展示。そこにご家庭で見る機会が加わるというのはすごく新しい。もちろん展示での魅力もありますが、作品を味わう1つの選択肢として存在するのは良いことだと思います。 写真家にとっては本当にありがたい話です。ブラビアという作品の発表方法が定着していくといいなと思いますね。

「Creative Gallery on BRAVIA」では、この記事で紹介された作品をはじめ本作品展をソニーのAndroid TV ブラビアでご覧いただけます。閲覧無料、クリエイターの趣向をこらした表現や、想いも含めて、ご自宅のリビングでご体感ください。

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