商品情報・ストアデジタルビデオカメラ ハンディカム AX700 Creator’s Voice 動画は写真の延長線上にあるもので感じたことをカメラにたたき込むことが大切

No.001

動画は写真の延長線上に
あるもので感じたことを
カメラにたたき込むことが大切

PROFILE

鉄道カメラマン

広田 尚敬/ NAOTAKA HIROTA

1935年東京生まれ。初個展「蒸気機関車たち」(1968年)で独自の表現世界を展開して評判となる。日本鉄道写真作家協会の初代会長を務めるなど「鉄道写真の神様」として日本の鉄道写真界を牽引する。

鉄道動画はお散歩気分で気軽に撮れるもの。
三脚を持たずに軽装で出かけても
印象的な動画が撮れます

動画の魅力に取りつかれたのは
40年以上前のこと

ずいぶん昔から動画には興味があって、周囲からも「8mmもやってください」と言われていました。そんな時、写真撮影を依頼された現場に16mm映画の機材があって。「よかったら使ってください」と言われたので、早速撮ってみたところ予想以上に楽しくて夢中になってしまいました。
写真で列車を撮る場合、一瞬を切り取り、あたかも動いているように見せるわけですが、動画は動きのすべてが記録できる。これは簡単でおもしろいと思いましたね。でも40年以上前のことですから、当時は高価で個人で機材を買うことができませんでした。
満を持してムービーカメラを購入したのは1991年くらいだったかな。それ以来、写真を撮影する傍ら、今もさまざまなチャレンジをしながらアマチュア気分で作品をつくっています。

※本映像では一部4Kにアップコンバートしている部分もあります

誰でも気軽に動画を楽しめる
「気付き」になるような作品に

今回、誰でも気軽に鉄道の動画撮影を楽しめる、ということを伝えるために作品をつくりました。この作品を見ると「自分でも撮れそう」と思うでしょ?(笑)。自分ならこういう風に撮る、と意欲も湧くはずです。そんな方々のお手本になれば、という思いで、お立ち台(定番スポット)で撮影しました。まずは多くの方々にも軽い装備で、お散歩気分で撮ってみてほしいです。AX700の手ブレ補正が強い味方になるので三脚も不要です。やはりカメラはAX700のようにクオリティの高いものを用意するべきです。そうすると撮り手の中で、自然と心構えが変わり、人にも見せたくなるようないい作品が撮れてくる。すると撮影の楽しみが膨らむので上達への近道にもなると思います。

カメラ本体にNDフィルターが
搭載されているのでフィルターをつける
手間も荷物も省けて便利です

本体搭載のNDフィルターは
晴天時に大活躍

AX700は1型のセンサーが搭載されているのも利点です。鉄道の映像は列車全体にピントが合っていないとダメなんです。でも1型センサーなら悪条件のところで開放に近い状態で撮影しても、頭から尻尾までピントがきます。周辺のビルや木々の描写も充分。
あと、私が良いと思ったのはNDフィルターが搭載されているところ。フィルターをつける手間が省けるのと、何より少しでも荷物を減らすことができるのはありがたい。とくに多用するのは快晴時です。最近は電車の行き先や名称の表示がLEDなので、高速シャッターだと写りません。表示をしっかり写すためにもNDフィルターは欠かせません。AX700は、クリア、1/4、1/16、1/64から撮影環境に応じて選択できるので、鉄道などの撮影ではかなり有効だと思っています。

思い通りの画が撮れる
多彩なAF設定も魅力

今回の作品は、ほぼAFのみで撮影しました。AX700のAFは常にピントを外さずに動いてくれて、まったく問題なかったです。273点像面位相差AFセンサーを高密度に配置され画面の約84%をカバーしているので、高速で動く鉄道でも広範囲で精度よく捉えてくれました。今回の撮影のなかで「MFでないとフォローできない」というシーンはなく、AX700のAF性能を信頼して撮影できました。加えてAX700は多彩なAF設定が可能なのもおもしろいところ。「AF追従範囲設定」を5(ワイド)に設定すると、奥行き方向に動きの大きい被写体を捉えやすいので、列車が奥から手前に向かってくるようなシーンでは役に立つと思いますよ。

映像の印象を変えられる
スロー&クイックモーション。
ワンアクションで自分色の作品に仕上げらます

感覚的なおもしろさがある
スロー撮影を多用

AX700は「スロー&クイックモーション」がボタン1つで出せるところも便利でした。現場で即座にスローで撮ってみたい、と思うことがよくあるので。基本、鉄道はそのままのスピードで撮影しますが、作品の途中に人の流れや木々の揺れなどをスローで撮影して挟むと感覚的におもしろいです。新幹線のホームとか、作品にも入れた踏切が開くところとか。思いついた瞬間にボタン一つで設定を変えられるのは便利です。
繰り返しになりますが、スローやハイスピードの映像を入れることで作者の個性も出せるので、さまざまなシーンで素材を撮っておくのもおすすめです。

今後は消えてしまう
貴重な場所を撮影しておく

撮影場所(空間)選びや、いつ撮るか(時間)も重要です。今回は山手線唯一の踏切を撮影しましたが、ここはやがて廃止されてしまうような場所。こうした、今しか撮れない場所を選んで訪れるのもおすすめです。
私は今となっては珍しいSLの踏切標識を意識して撮影し、変化していくものと変化していないものを動画に記録しました。みなさんはこのような鉄道風景をどう切り取るのか。いろんなことを考えながら撮影に臨んでほしいと思います。ただし、廃止される直前は混雑することが想定されるので避けましょう。鉄道撮影で大切なのは普段の情景だと私は思っています。

セオリーに囚われず、
自分らしさを追求する作品に

「動画は写真とは違うもの」と尻込みしている方も多いと思いますが、私の感覚的には動画と写真は同じです。動画ではシャッタースピードをどうしたらいいかわからない、と質問されることが多いのですが、みなさんが撮っているスチールの延長線上にあるものと考えて、同じように撮影しても問題ないと思います。動画撮影の基本はあるものの、決して難しい、別ものではないのです。
私は大事なのは2つだと思います。まずは何を撮りたいか。そして、どうまとめるか。だから構図なんて関係ないと私は思っています。だから「上下に振るな。過度にズームするな」とか、「エンディングはフェイドアウトで。むやみにパンするな」などのセオリーに囚われず、自分の撮りたいように撮れば良い。
撮影の仕方は人それぞれで、人と同じことをやっても面白くありません。同じ被写体でも100人が撮れば100通りの画が出てきますから。
まずは、自分が感じたことをカメラにたたき込む(表現する)こと。今まで首から下げていたカメラをカムコーダーに変えて、歩きながら見つけた“ときめき”を撮っていくといいと思っています。