商品情報・ストアサイバーショット RX Cyber-shot × SPECIAL CONTENTS With RX Photo Gallery 中田 久美子

RX×TABLE PHOTO RX100 IIIで撮るテーブルフォト 中田 久美子

中田 久美子

1978年兵庫県生まれ。東京カメラ部10選、東京カメラ部写真コンテスト「日本の47枚」2016・2017年入賞。事故で片手が不自由になり、それまでやっていた事が思うように出来なくなって、何か片手でも出来る趣味を・・・と手に取ったのがカメラだった。それ以来、多くのカメラ友達との出会いの中で写真の魅力に気付きのめり込んでいく。建造物や、ストリートスナップなどそこに有るものに加え、頭に浮かんだイメージを作り上げるようなテーブルフォトを撮影している。自宅近くに写真を楽しむためのガレージハウスを作り、仲間と集まって日々写真活動を楽しんでいる。

日常風景の中から、独自の視点を切り取ることを得意とする中田久美子さんは、撮りたいと思う瞬間を逃さないためにRX100 IIIを手にした。そんなスナップ撮影とは対照的に、作り込んだテーブルフォトの作品も多数。今回はRX100 IIIを使ったテーブルフォトの魅力をお伺いしました。

わたしが撮るテーブルフォトはブラックな視点やストーリーがあるようなものが多いです。咲きほこっている花よりは枯れている花。錆なども好きですし、朽ちていく、というようなものに惹かれるんです。特定の小説や映画などにインスパイアを受けているわけではないですし、最近では特にシリーズを撮り進めているわけでもないんですが、今回のようにテーブルフォトというお題をいただくと、自ずとそういう方向のテーマが浮かんできますね。

一言で「テーブルフォト」と言ってもさまざまですし、撮ったことの無い人からしたら何を撮れば良いのかすら分からないと思います。まずは好きな色とか好きなモノを並べて撮ってみる事から始めてみるのはどうでしょうか? 今回は「色」をテーマとしたので、白一色のものを撮ってみました。この写真は白の背景に白い皿とフォーク&ナイフに1輪の白い花だけを乗せてみました。お皿に花が乗っているなんて日常では無い光景ですが、当たり前にあるものの組み合わせより普通では無い組み合わせの方が面白いかと私は思います。

今回は「色分け」を大きなコンセプトにすることにしました。これはオレンジで、まさにわたしが好きなモチーフである朽ちていく様子を1枚にしています。照明はLEDライトを2灯。セルフタイマー2秒でレリーズしており、撮影の瞬間にLEDを動かし影をぶらしています。クッキリとした影よりもおもしろい表現になるかなって。昔はストロボを使っていましたが、テーブルフォトの場合は定常光のほうが撮りやすいと思います。左の朽ちたオレンジは前に撮影で使ったものでスライスしてから数ヶ月経過しています。真ん中のものは今回のテーマを決めてすぐにスライスしたもので2週間くらい経過した状態。古いものが残っていなければ今回提出できなかった作品ですね。バック紙は手芸店で探した布です。さまざまなデザインが見つかるため、背景には布を使うことが多いです。

青は水をテーマにしました。わたしの家は建築業をしており、さまざまな工具があるんですね。この水槽はセメントを混ぜるための容器で、サテン地の布を貼りそこに水を入れ、ラメを浮かべています。撮影時は水槽を揺らして表情を作りました。構想時はもっとチープになるかと思っていましたが、想像以上に良い出来映えになりましたね。青い花というのはなかなかないので、少しでも青が入っている花を集め、また少し悔しいですが造花も使っています。花はスポンジに刺して水中に沈め、浮かび上がらないように重りを付けています。

LEDライトは工事用のもので、照明用スタンドにテープで無理矢理に固定しています(笑)。このように、全てホームセンターで揃うもので撮影をしているんです。

赤はやはりバラ。そして深紅のバラは「美しいものにはトゲがある」の代表じゃないですか。倉庫に行き錆びた工具たちを探してきて、トゲのある幹とからませて配置しました。青がキレイめの雰囲気だったので、それとは対照的なダークさを出したかったです。もっとも目が行くメインのバラはハサミで切られそうになっていますね。改めて見返すと、心に闇を抱えていそうな世界観です(笑)。構図や色のバランスも全て感覚的で、その場でモニタリングしながら決めています。今回提出した写真の中でももっともRX100 IIIに向く1枚かなと思います。

緑は身近な野菜などを使い、木をデザインしてみました。最初は立体で制作していたのですが、重みに耐えられなくて倒れてしまうので、平面で制作して植木鉢も半分に切断しています。これもモニタリングしながら並べていきましたが、完成形の大きさが予想できず、でもズームレンズ搭載のために画角をその都度変えればモニタリングできました。RX100 IIIでテーブルフォトを撮ることの利点ですね。

最後の1枚として、全ての色を使い撮影しました。黒い板の上に割れた花瓶を置いてます。水に見えるのは洗濯糊。水だと流れていってしまうので、粘度のある洗濯糊にしました。花瓶は本当に割っています。最初は割れた瞬間を撮りたかったのですが難しく…。黒い板が反射しやすい材質だったため、天井に黒い布を貼り、カメラも反射防止のため斜め横から構えています。そのぶん全面にピントがくるようにF9まで絞り込み被写界深度を深くしています。ライティングは水のエッジにこだわりました。定常光で撮ることができる強みが出た1枚かなって思います。板への写り込みを消したり、黒を締めるなどのレタッチはしていますが、彩度はほぼいじっていないですね。

これまでテーブルフォトではα7R IIIと90mmのマクロレンズとの組み合わせで撮ることが多かったですが、RX100 IIIのみで撮るということを意識的にやってみると、利点も多いと感じました。使用した三脚はセンターポールを水平にすることができるタイプのもので、アングルは自在に変えられるものの、カメラの重量が大きいとバランスが取れなくなってしまいます。しかしRX100 IIIではそういうこともなく、水槽などの真上にカメラをセッティングすることができました。また、背面液晶モニターの可動域が大きいためモニタリングしやすいのも作業効率のアップに繋がったと思います。レンズを真下に向けた状態でも液晶を立ち上げてモニタリングできるので本当に便利ですね。わたしはプリント時の画質を重視しますが、東京カメラ部2018写真展の展示にRX100 IIIで撮影した作品を出展しており、展示レベルにあることもわかっています。ただ、ISO125など低感度で撮り、可能な限り高画質で残すのはコツが必要。でも、テーブルフォトはシャッタースピードの制限はありませんから、その点でもRX100 IIIで十分に楽しめると思います。

ちなみにRX100 VIも購入しました。今回は花瓶が割れる瞬間を撮ることはできませんでしたが、連写性能に優れたRX100 VIであれば撮れるかもしれません。「瞬間を撮るテーブルフォト」という、新たな試みにも今後は挑戦してみたいですね。

テーブルフォトの撮影で中田さんが使用したRX

ガラス非球面レンズ接合技術により、大口径化と小型化を両立した、24-70mm(*)、F1.8-2.8のツァイス バリオ・ゾナーT*レンズを搭載。大型1.0型の裏面照射型CMOSセンサーと画像処理エンジンで、被写体の細部までリアリティーのある高画質を実現。コンパクトボディはそのままに、ツァイスT*コーティングを採用した有機ELファインダーを内蔵。

* 35mm判換算

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